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nemuriya hitsuji ha ookami kikoushi no neya de koi wo suru
作家買い。
村崎さん作品は今作品で4作目になるのかな?
すべて読んでいますが、その雰囲気が作品ごとに全然異なる。引き出しが多い作家さまだなあ、と感心してしまいますが、今作品はしっとりと優しいお話でした。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
獣人が住まう世界が舞台。
かつては「人間」もいたと聞くが、今は人間は存在しておらず獣人たちだけが住んでいる。そして、獣人たちの中には魔法を使えるものも、いる。
もともと動物だった時の能力を生かし、彼らは生計を立てている。
例えばウマ族ならかつて馬だった時の能力を生かし馬車屋を、ウマ族なら水の中に魔法を施しミルクと呼ばれるものを生産する、といった感じ。
今作品の主人公は羊族のメロウ。
彼らの種族で魔法を持つものは、その魔法で人々を眠らせる能力を持つ。そして、メロウの祖父も、そしてメロウもその魔法を持ち合わせていて、メロウは祖父の跡を継ぎ「眠り屋・メロウ」を始めた。
故郷から出て都会に行ったメロウは、だがしかし故郷で知人たちを眠らせていた時のように力を発揮させることができずにいた。顧客を眠らせることができないのだ。蓄えは底をつき始め、どうしようかと思案するメロウだったが、そんなある日、彼のもとにオオカミ族のオリヴェルを眠らせて欲しいという依頼が舞い込んできてー?
というお話。
まず設定がなかなか独創的で面白い。
それぞれの動物としての能力を生かしつつ、彼らは生活している。
そして、動物には草食動物と肉食動物がいますが、彼らは相容れずに生活していて。もともと捕食者と被捕食者、というバックボーンが存分に生きたストーリーでした。
主人公・メロウは草食動物。
彼に眠らせて欲しいと頼んできたのは肉食動物のオリヴェル。
メロウははじめ、オリヴェルを肉食ゆえに「こわい」と思ってしまうが…、とストーリーは続きます。
獣人たちの性質を、動物のそれとリンクさせながら進むお話なのですが、そこを軸に愛情とか優しさとか、そういうものを上手に読ませながら進むストーリー。そして、それは普通の関係であっても同じなのだと。知らないこと、知ろうとしないこと、それは無知であり時に罪にもなるのだなあ…、としみじみと感じ入りました。
メロウ、そしてオリヴェルたちの強さと優しさが基盤にあるので、読んでいて温かい気持ちになるし、優しさが全体を通してじんわりと染みわたっています。いやな奴も登場してはいますが、基本的には優しい人しか登場しないので読んでいて気持ちが温かくなる。
けれど優しいだけに非ず。
己の人には見せたくない部分とか、ネガティブに思っていることを、隠さずお互いにしり、励まし合うことで良い風に変えていくこともできるのだと。そんなエールも隠されている気がしました。
基本的にほのぼのベースなのですが、そこにスパイスとして加わるのがオリヴェルの身体の秘密。彼は実は、彼自身気づいていない「秘密」を抱えていて…。と、その部分に関してはあらすじに書かれていますが、彼の二つの顔がめっちゃ良い…。優しく紳士なオリヴェルと、野性味あふれるオリヴェルと。
1冊で2度おいしいカッコいい攻めさんを堪能できます。
メロウもですね、ガッツがあって優しく、本当の意味で強い青年でした。彼の優しさが、少しずつオリヴェルを良い意味で変えていく。メロウと出会ったからこそオリヴェルは素の自分を彼自身の手で取り戻したのだと。
この二人は文句なしのカッコよさなのですが、彼らを取り巻く人物たちも良い味出してます。彼と彼、くっつかないかなあ…、と思う人たちも登場していて、ぜひともスピンオフを読んでみたいと思いました。
デビュー作は切ない系のお話。
それから全く趣の変わった作品を紡ぎだしてきた村崎さんですが、だからこそ次回作はどんなお話かなと楽しみに思います。
小禄さんの可愛らしい挿絵も相俟って、どこまでも優しく、温かく、可愛らしい、そんな1冊でした。
今回は美術商を営む狼獣人と眠り屋を営む羊獣人のお話です。
受様が不眠症の攻様を顧客としたことから
世間の肉食獣と草食獣の垣根を低くするまで。
この世界はかつて人間と呼ばれた者の体に
獣耳や尻尾と言った動物の特徴を残した獣人の世界です。
受様は身近に肉食獣人のいない田舎で
大家族の長男として育ちます。
受様の祖父はとても優れた「眠り屋」で
受様は祖父の跡を継いで商業都市・ファラベルバルで
「眠り屋」を開業します。
全ての獣人のに平等で幸福な眠りを届ける事を信条に
自分がこの街の人達の癒しになるのだと意気揚々と
開業した受様でしたが
田舎ではうまく使えたはずの眠りの魔法が
この街にでの仕事はどうしてか失敗続きです。
今や定期的にお声がかかるのは
カバ獣人のご婦人のみとなっていました。
そんなある日、
あるお屋敷の執事というシカ獣人が
3カ月前から不眠に悩んでいる主人のために
訪問治療を依頼してきたのです。
受様は癒しの魔法のための道具と
数種類のハーブをトランクケースに詰めて
用意された馬車に乗り込みますが
馬車は高級住宅街に向かい始め、辿り着いたのは
小さな妹の好む絵本の中のお城のような邸宅で
待っていたのは領主である伯爵の三男で
オオカミ獣人の攻様だったのです!!
攻様は羊獣人の受様にも礼儀正しく接してくれますが
田舎の母には「肉食獣には決して近づくな」と
言われていたのです。
受様は肉食獣に魔法をかけた事がなく
試してはみたものの成果は有りません。
それなのに本能的に怖いだろう肉食獣を相手に
施術をしてくれたからと攻様は金貨3枚という
法外な金額を払ってきたのです。
その後も攻様の事がとても気になっていましたが
1週間後、執事に再び助けを求められ
攻様の元に向かうのですが、
なんと攻様は獣返りをしてしまい!?
不眠症から獣返りまでしてしまう攻様と
田舎からやってきて眠り屋を始めた受様の
もふもふファンタジーになります♪
今では肉食獣が草食獣を食べたりはしませんが
肉食獣に対する恐怖心は草食獣人の中で根深く
受様の母の言葉は多くの草食獣の中では
一般的なモノなのです。
しかしながら攻様は領主てせある伯爵家では
草食獣びいきの変わり者と言われていて
城で働く者達は皆草食獣人なのです。
受様は攻様の不眠症を解消すべく彼の元に通うのですが
それによって一方的に虐げられてきたと思っていた
草食獣人もまた肉食獣人を差別していた事が知れますし
攻様がある秘密を持っている事でハラハラ、
受様が溺愛されるだけでない展開にわくわく、
互いに交わろうとしなかった肉食獣人と草食獣人が
関係を変えていく展開も無理がなく
2人が恋仲になるまでとても楽しく読ませて頂きました♪
小禄産のキャラクターが物語世界にベストマッチまのも
良かったです (^-^)/
村崎先生の文体が好きで作家買い!
キャラクター・ストーリー共に好みの作品でワクワク楽しめましたが、期待していた〝二重人格攻め〟の部分が余り好みじゃ無かったので、〝萌×2〟評価に…
人類が滅亡し、動物と人間が融合した獣人世界のお話。
同じ獣人でも、草食動物は潜在的に肉食動物を忌み嫌い、肉食動物も草食動物を下に見ていて差別的。
ほんわか可愛い獣人世界とは違い、草食動物と肉食動物の両者には深い溝が出来ていて、意外にも人種差別を描いた作品でした。
(ディズニーのズー⚫︎ピアのような世界観)
〝羊=眠り屋さん〟や〝馬=御者〟等、動物達のイメージに沿った職業が可愛くて癒されます!
田舎から上京したばかりの主人公・メロウが〝眠り屋〟として奮闘しつつも、空回ってしまう姿が健気で、私も最近転職したばかりで慣れない業務に悪戦苦闘していたので、落ち込むメロウの気持ちが痛い程よくわかる……
仕事が上手くいかずに落ち込むメロウへ言ったオリヴェルの「一生懸命努力したからこそ、やるせなさに打ちのめされた心をどうか否定しないでくれ」の言葉に私まで励まされました。
そして、メロウの中の「肉食獣は野蛮で怖い」と言う固定概念がオリヴェルと出会った事で変わり、オリヴェルを通してメロウの世界が広がっていく様子にワクワクし、天真爛漫なメロウを通して〝本当の自分〟を受け入れるオリヴェルの変化が凄く良い!
で、今回〝紳士なスパダリ攻め〟と〝オラオラ俺様ワイルド攻め〟を同時に楽しめる二重人格攻め!と言う事で、かなり期待してたのですが、「なるほど…こう言う結ばれ方か…」と思ってしまったのが、正直な所です。
後書きにあった〝満月で人格が変わる〟設定が凄く良い…!と思ったので、その要素が無くなったのが少し残念。
そして、2人の人格に愛着があったので、急に第三者が出てきたような印象になり「うーん…」となりました。
とは言え、獣人達の可愛さとオリヴェルの溺愛っぷりに癒され、適度にハラハラする展開もあって楽しい一冊でした!