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akatsuki no tori ha nureta tsuki ni hizamazuku
他のレビュアー様も書かれているように、この作品は前作の「濡れた王は千夜一夜の夢をみる」のスピンオフ。私はどちらも読みましたが、個人的にはこちらの「暁の鳥は濡れた月に跪く」のほうが好きでした。話の内容的に、前作を読んでからこちらを読んでいただいたほうが作品理解が深まると思います。
ただ、この作品。かなり重たくて、受の心の闇の深さが半端ない。そして、攻の巧妙な救済はお見事なんですけど、攻もかなり重たい。いろんな意味での重厚BLとなっておりますので、ご留意ください。
この作品の主人公である受のシャリフは石油王で超大金持ち。赤い瞳を持つ超美男子で、何不自由ない環境で育ってきたのかと思いきや、実は彼は実父による性的虐待を受けており、心に大きな傷を抱える孤独な青年なんです。
それだけではなく、シャリフは実父からの性的虐待を連鎖的にしてしまうように、自分もまた、幼い実弟であるアザムに性的虐待をしてしまいます。
シャリフは実父に性的虐待を受けていることを誰にも言えず、1人孤独に苦しんでいた。そのうち幼い実弟であるアザムを自分と同じ境遇にし道連れにすることで、深い孤独や苦しみから逃れようとします。
が、しかし。被害者にも加害者にもなった自分には結果的には誰もいない。誰も自分を愛してくれない。だから同じ苦しみを無理やり分かち合わせたアザムの存在だけしか頼れるものはない。
もう、シャリフの心は闇、闇、闇…。もう、精神状態を保つだけでもいっぱいいっぱいなんですよね。
そんな折、シャリフの学生時代の同級生である絢斗と久しぶりに再会します。しかしこれは絢斗の巧みな戦術で、絢斗はシャリフが唯一心を許す幼なじみのアミルを介さずに、自然と社交の場で再びシャリフと出会えるよう、クラブのオーナーになっているんです。
好きな男と再び再会するためだけに、起業してクラブのオーナーにまでなってしまう絢斗。もう根本的なところから執着がすごい。
絢斗はシャリフの心の苦しみを理解し、彼を救済へと誘うのですが、久しぶりの再会からずーっと、シャリフへ崇拝とも言える言葉と態度で接するんです。
「僕の世界には君だけが君臨している」
「僕を君だけのものにして」
絢斗にとって、シャリフって本当に何者なの…(汗)と思うくらいの激重愛。ただ、絢斗はもう心が壊れかけているシャリフを救いたい一心なんですよね。
アザムを犯してアザムに与えた苦痛とその罪悪感に苦しむ一方、男(絢斗)に抱かれると嫌悪感を感じつつも、一方的に己の罪を贖えている錯覚で満たされ、この負のループから抜け出せない。
絢斗の冷静で的確なシャリフの心理状態の解説はすごいの一言。そして、アザムの前でシャリフを抱き、シャリフの罪悪感を開放させる。
絢斗がものすごく言葉巧みで、シャリフも複雑な思いを抱えている人なので、とにかく作品中のセリフが練りに練られていて、私は途中で、えっ?えっ?って何度も読み直して、一言ずつ解釈していく、そんな感じでした。
そしてこの作者様はとにかく絵が美しい。そして、絵も美麗なのも相まって、とにかくセックスシーンがエロい。
私は最初、絵の美麗さに目が奪われ、さらに、何よりもガチムチ受が大好きなので、褐色!筋肉!受!という時点で、もうめちゃくちゃハマりました。
そしたら、もう心の闇が深すぎて、兄貴(シャリフ)も可哀想だし、弟(アザム)も可哀想だし、シャリフと絢斗とのあまりにも濃密な関係性とその救済劇に、もう、これ、BLなの…?と思うくらいのインパクトでした。
ストーリーの重厚さから言えば、前作よりも厚みがあるかなと。好みの問題はありますので、なんとも言えませんが、とりあえず闇度合いは前作よりも勝っていると思います。
そして、前作、今作とも、攻より身体が大きく、(と言っても、絢斗とシャリフは同じくらいか)褐色のがっちり体型が受ってところが、私には刺さりまくりでした。作者様の好みなのかな、とも思いますが、刺さる方にはぜひオススメしたいです。
前作「濡れた王は千夜一夜の夢をみる」がデビュー作だったんですね。凄い画力です。
前作のレビューでアザムの兄のスピンオフを読みたいと書いていたんですが、こちらの作品がまさにそうでした。おもい央先生ありがとうございました。
相変わらず褐色受けが色っぽくて眼福でした。けれど弟編よりは兄のシャリフの過去がキツ過ぎて、読んでて何度かしんどくなりました。
そんなシャリフの側に行こうとずっと力を蓄えて来た絢斗は凄いです。シャリフを父親の呪縛と弟への罪悪感から解き放つ手腕は、見事としか言いようがなかったです。
今回は弟のアザムも関係してるので、アザムと時生CPも登場してました。なので前作も読まれた方が人間関係をより把握出来ると思います。
個人的にはスピン元の「濡れた王は千夜一夜の夢をみる」の方が好みかな?
前作「濡れた王は千夜一夜の夢をみる」が弟編。
今作「暁の鳥は濡れた月に跪く」はスピンオフ兄編です。
これはちょっとビックリ。
幼い弟を陵辱していた兄のターンが来るとは…(;´Д`)
彼には彼なりの理由があったようで罪意識も抱えてます。
兄が犯した罪が罪なので賛否あるかもしれませんが、
個人的には彼の内面を知れて良かった…と思いました。
ヒールのままで居て欲しい方は回れ右が良いかもです;
ちなみに弟カプも少し登場します。
辛い立場だけど兄の話には弟の存在は不可欠なので…。
今作でも幼い頃の陵辱回想がありますので要注意です。
絵は安定の美しさでした +゚。*美*。゚+
さてさて。
受け:シャリフ
幼い弟を陵辱していた罪を抱えるのと同時に、
彼は被害者でもあって今もトラウマに苦しんでいます。
攻め:絢斗
シャリフの罪を目撃した過去があります。
シャリフの罪意識を解放したいと考えていてーーー。
情報量が多いのでザックリあらすじを書くとすれば、
献身的で若干闇属性な攻めがトラウマで苦しんでる受けを支えるお話。
といっても優しく癒やすようなお話ではありません。
シャリフの為なら荒療治で痛みを与えることも厭わない。
死なばもろとも「地獄だろうが君を迎えに行こう」精神です。
絢斗はどうしてそこまでシャリフを支えようとするのか…。
その辺りも作中で描かれていました。
シャリフを見てると痛々しい気持ちになりました。
彼は父親から性的虐待を受けた被害者でもあり、
自分と同じ境遇に落とすため弟を陵辱した加害者でもある。
ただ弟に嫌がらせをしたかったわけじゃないんですね。
父親からの行為に助けを求めることが出来なかった。
大好きな幼馴染に救いを求めようとしたけれど無理で…。
結果、孤独だけを募らせていってて。
そして弟を同じ境遇にすることで自分の仲間=孤独の解消を求めてしまった。
けれど弟は同じ孤独を持つ事はなかったんですよね。
どれだけ穢しても、弟には時生がいたから。
自分が欲しかった支えを弟は持っているのです…。
この差がますますシャリフを孤独に掻き立て苦しめるっていう(;ω;)
しかも幼馴染は知ってて知らぬフリをしてたから余計にシンドイッ!!
父親への憎悪と、弟への罪意識。
雁字搦めになったシャリフの心はもう限界なんですよ。
謝れば済む問題ではないのは嫌と言うほどわかってて、
だから今更弟に赦して貰おうとは思ってなくてね…。
そんな常に不安定なシャリフを見ていると、
絢斗の存在になんだかホッとしました(;///;)
(罪の解放に性行為が使われるのはご愛嬌かな…?)
(性行為で解決っていうのが理解出来た部分もあり、)
(ぶっちゃけ「???」な部分もあった)
欲をいうならもう1話欲しかったです。
え、これで終わり!?ってビックリしました。
もう少しだけ穏やかに愛を育んでる姿が見たかったー!
シャリフの幸せをもっと見たかったー!!。゚(゚´Д`゚)゚。
そして弟・アザム。
兄の呪縛が今も解けないまま苦しんでいますが、
今回の件で少し心境の変化が出たようです。が!!
カバー下を見ると不穏な空気感がビシバシ(;ω;)
(そして続編の可能性もビシバシ放ってる・笑)
しっかしタイトルか秀逸ですね!
[暁の鳥=シャリフ/濡れた月=弟] と解釈出来て、
読み終えた後にタイトルを見るとなるほどな…と。
上手いなぁ…。