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爱似清风拂过
詩的なモノローグが自分にはなかなか噛み砕けなかった作品ですが、何度も繰り返し読むことでようやくストレートに自分の心に響いてきた気がします。
かつて影郎の両親がやっていた行き場のない子供たちを預かって共同生活を送っていた頃、幼いアタは影郎の家にやってきた。それ以来、一つ屋根の下でまるで兄弟のように仲良く暮らしてきた影郎とアタ。
しかし成長するにつれアタは、変わっていきます。自分がゲイであることを影郎に告げ、見境なくそこらじゅうの男と寝るようになってしまうのです。
「恋愛がなきゃ僕は死んでしまう‥恋をしてなきゃ 苦しくて‥苦しくて‥」と吐露するアタに対して、影郎は怒りまくってアタの男を監視し続け…。影郎はなぜそこまで自分がアタに執着するのか気づいていないニブチン男。
ずっと一緒にいたいという気持ちはアタも影郎も同じなのに、求める世界が違う。
影郎の求める「ずっと一緒」の世界は小さい頃から変わらないお手々繋いで仲良しこよしの純粋で牧歌的なもの。対するアタはそれだけではなく、影郎の身体も含めて全て欲しいのです。
そんな時、真摯な態度で接してくる讃岐という先輩とアタは付き合い始めることになるのですが、誠実に接する讃岐を見てもう反対せずアタを任せることにした影郎。
血は全く繋がっていないけど兄弟同然で育ってきたので、ガチ兄弟のような葛藤が描かれている作品だと思います。
自分の中に抱く感情に早く気づいたアタ。アタはその欲望に従ってしまったら、住む家、自分の居場所を失うかもしれないという恐怖に怯えていた。そんな感情を影郎に抱いている事が育ての親=影郎の実親にバレたらきっと悲しむだろうと思っていた。だから他の男に逃げていた、そして讃岐先輩に逃げて、先輩を傷つけた…。アタが自分の感情に向き合うきっかけを作ってくれた讃岐先輩がとってもいい男でした。ただの当て馬として終わらせるのが勿体無いキャラです。
「僅かでも持ってる愛を全部なくしてはしまいたくないんだ」というアタの台詞、そしてアタの名前の由来、「お前は最初から俺と寝るべきだったよ」という影郎の台詞が今回は心に響きました。
比喩多めなモノローグに満ちているので、読むたびにどこかしら自分に響くところがある作品だと思います。
萌萌か神かで迷いましたが、初読では掴みきれなくても、そこにある何かを掴みたくて何度も手にしてしまう一冊という点で神にします。
藤たまきさんの漫画は、まるで映画の絵コンテを見ている様で読んでいると世界はレンズを通した様にキラキラと優しく輝いていて、その世界に読む度に引き込まれます。
訳あって影郎〔攻〕の家に一緒に暮らしているアタ〔受〕
最初はアタってちと変わった名前だなーと思うのですが、何故に彼がアタなのかはラスト近くで判明するのです。
影郎の弟分の様に育ち、そして影郎はゲイでだめんず(←死語?)にばかり引っかかり恋愛をするアタを心配している。
そしてアタは影郎の親友と付き合う事になるのですが、この親友が実に格好良くていい男っぷりです。
彼は当て馬的な役割なのだけれど、いい当て馬っぷりでした。
繊細な線と世界観で語り口は、切なくそして優しいのです。
心理描写が実に見事。
少年と年上のお兄さん的な存在との関係を描いた作品、が多いような気がするのですが、この作家さんの描く線が細くて頼りなさそうな、でも芯が強いというノスタルジックな少年像がとてもいいです。人物以外の風景も丁寧に描き込まれていて、モデルの場所があったら行ってみたいと思わせるほどに臨場感があります。さらに、人物の心情を語るモノローグがとても抒情的というのか詩的で、セリフ同様心揺さぶるのであります。
タイトルは主人公の名前。アタが想いを寄せるのは、彼を引き取ってくれた元児童保護施設経営者の息子で一つ年上の影郎。兄弟のような幼馴染のような環境で二人は育ちますが、アタが中学生になるとゲイであることをカムアウト。影郎はちゃんと大人になってから恋をすべきだと、アタから相手をことごとく遠ざけるのだけれど…。最終的にはくっついて欲しいよな~、どっちに転ぶんだろう、…ライバル登場かぁ、と王道な展開で上手に引っ張って読ませてくれます。
アタは影郎のそばにいるかぎり、誰かに恋をしていないといられない。恋に逃げなかったら、影郎のことが好きだと認めてしまうから。一方、影郎はそんなアタの苦しい葛藤も知らずに、彼がなぜ恋することに夢中になるのかわからない。ただ影郎はアタと子供の頃のように手を繋いで、一緒に大人になりたいだけなのに。
「何も知らない影郎なのに 惜しむものが同じだという事が悲しい」
というアタの心情吐露にホロっときました。
影郎の同級生、讃岐の存在がいい仕事していて、キーパーソン的な役割を果たしています。彼のセリフもいいんだなぁ。いや、話の作りがお上手です。お話自体は悲しい終わり方ではないのでご安心を。少女漫画っぽいのが苦手な方にはオススメしません。結局こういうのが好きなんだよなぁ。レビュー的なものを書いてみる度に、いつも同じことを叫んでる気がして、読み返すとつまんねーと思う。色々読んで、広げてかないと。
二人とも遠回りしちゃったねー…無事結ばれて(*´д`)エガッタエガッタ…。
もうねーアタの危なっかしい感じや痛々しいの見てて辛かった(´;ω;`)ブワッ
ってか讃岐さんのターン長すぎて、影郎よりも讃岐さんに私の気持ちがいってしまう罠←
アタって名前変わってるなーってずっと思ってたんですが…そういうことだったのか。
うぁー…これはアタが影郎を好きになるの分かるわー…。
このことを知ってからタイトル見るとなんか深いー。
最初は単純に受けの名前かーぐらいにしか思ってなかったんだけど。
さて、愛宕(あたご)神社…ってどこだっけ?と調べてみたら東京の神社なのね。(※総本山は京都)
防火・防災に霊験のある神社だそうな。
で見返してみたらサラッと東京タワーらしき建造物が背景に書き込まれているという事実。
読んでいるときは全然気付かなかったよ!(単なるビル背景だと思ってた)
当て馬の讃岐 隼音(医者の息子で影郎の同級生)さんがもうなんか…不憫過ぎて。
いや、讃岐さんだしきっといい子見つかるよ!
アタが影郎のことを好きだって知りながらも自分のことをいつか好きになってくれたらって側にいて…。
接し方が優しくて…それでいて好きになってもらおうと一生懸命で(*´艸`*)
アタ同様、讃岐さんの印象ってクールで格好良いイメージだったんですよね。
でもアタの前ではワタワタしたり、アタのちょっとした言動に嬉しそうにしたりして…。
影郎相手に牽制仕掛けてみたりw
無心になって浴衣縫ってるアタを見守ってたら実はそれ影郎の浴衣という罠www
限界が来て影郎の匂い(影郎宅シャンプー使用後)と影郎の浴衣でちょっと無理矢理やってみたら、いつもは中々イかないアタが直ぐに濃いーの出しちゃうという皮肉(;´Д`)
まぁ…ね、もともとアタと影郎が両片思い状態のところに突っ込んで来ちゃったし…讃岐さん自身、初恋の子とアタを重ねている感があるっちゃあるからアレなんですけど…ね。
それでも…正直、影郎より讃岐さんの方が私は好きです。
ひとつ屋根の下で他人でありながら、
家族として暮らしている影郎とアタ。
小さい頃は本当の兄弟のように仲良くしていた二人なのに、
アタが思春期を迎え、ゲイであることを自覚した頃から、
微妙な距離が出来てしまいます。
惚れっぽくて、いつも恋をしているアタ。
どうしようもない男に次々と身を任せるアタを心配する影郎。
アタは本当は影郎を好きなのですが、
ノンケである影郎を男同士の関係に引きずり込みたくなくて。
あえて影郎から目をそらし、逃げています。
その姿が痛々しいくらい、いじらしくて。
大事な人だからこそ、触れてはいけない。
そういう切ない思いが胸に突き刺さります。