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和ファンタジーものの2007年作品。
そして水上シン先生ですから「カワイイ」ファンタジーというよりももうちょっと耽美でもうちょっと浪漫な空気感…
「件の黒猫」
時代は戦後?
稲荷神社の神主の弟・裕次郎と、猫神の美少年・真夜の恋物語。
ひとの生活と、神社・神様が共存している世界観です。
町内にはネズミが大発生し、病気も増えている。その鼠退治に絡めて、裕次郎と真夜の出会いから恋心が育っていきます。
人間ではない真夜の起こす超常現象、恋に落ちていく2人を心配する周囲への反発、鼠たちに襲われてしまう真夜(鼠の尾による触手的プレイあり)を助けながら真夜を誤解しすれ違う2人…
一度は離れてしまうが、猫目神社の当主になった真夜のお披露目の晩、猫たちの発情期に真夜の胸も騒ぎ、ついに…!
途中がヒヤヒヤするんだけど、甘々ハッピーエンドでとても可愛い話になります。
「件の狐」
裕次郎の兄で、稲荷神社の神主・伸一のお話。
…というより稲荷神社の過去、というか伸一の父親と彼と共にいる狐神の不知火と伸一の切なすぎる別れの話…
元々伸一の父・宗司郎と不知火は夫婦同然。だが父は召集され伸一が神社を継いだ。不知火は伸一に心を許さない。伸一は不知火にずっと憧れていたから苦しくてたまらない…
そんな時、御神体の鏡が割れた…宗司郎戦死。その晩宗司郎の魂は神社に帰還し、不知火と共に消えてしまう。
残された伸一の元に「狐之介」という狐神がやってくるが…
…とここが伸一と狐之介の出会いとなっていきます。
不知火は伸一を見捨てて行ってしまったわけではなく、大切な存在だから位の高い狐之介に託して逝ったのですね。
「件の黒猫」では既に狐之介と伸一はしっくりいっているので、この後ちゃんと気持ちが通じたのでしょう。
「愛の結晶」
新婚生活に溺れる裕次郎と真夜。
ある朝、いきなり子供が生まれていました。
…という爆弾展開。
愛し合う事で神通力が高まり子の形を成し、との事です。
ところがここでもう一つ爆弾発言が!実は裕次郎は…!そしておそらく伸一も実は。
耽美とファンタジー、切なさと愛、そしてエロ、その上笑いの要素も。
盛りだくさんに楽しめる作品です。
水上さんにはまった記念の1冊です。
人外もので、あやかしで、絵が色っぽくて、夢中になって読みました。
猫族の真夜は、祖父に認めてもらうために、鼠退治に出かけます。
そこで、鼠に襲われてしまう真夜を助けたのが、裕次郎でした。
真夜が夜中に裕次郎の寝室へ行ったのは、大事な鈴を返してもらうためでした。
でも、勘違いした裕次郎は、真夜に「好きだ」と告げるのです。
真夜の、妖艶な色気に萌えました。嫉妬深いところは可愛いし。自分から身を引こうとするのが切なかったです。
裕次郎の兄ちゃんが実は…な話では、そんなことがあったのかと驚きました。
まさかの子供誕生には、可愛すぎてニヤニヤしました。
とにかく世界観が独特。水上ワールドを満喫できる作品だと思います。
時代は特定されていませんが、登場人物の服装や町並みの雰囲気は大正ロマン風。或る町にネズミが大発生して住人を悩ませ、町に棲む猫神の孫・真夜(まや 表紙左)がネズミ退治に乗り出すところから、物語は始まります。
…そうなんです。この作品の世界には、ごくあたりまえに猫神やら狐神やらが登場します!神様もネズミも、それぞれ人の姿をしていたり動物の姿だったりと変幻自在で、その切り替えの面白さも見どころの一つになっています。
これはもう、作者のセンスですね。
ただ、受けの真夜は猫神ではあるものの終始姿は人間。とても妖艶な美少年です。人間にはない妖しさも漂わせつつ、無邪気で幼い面もあり…という、いいとこ取りの少年。
彼は詰襟の制服風の服装で描かれていますが、これ制服じゃなくて「黒猫のコスチューム」なんですよね。暗闇では猫の目になったり、猫舌だったり(猫の発情期に反応したり)と随所で猫らしさも発揮しますが、彼の基本属性は猫というよりも圧倒的に「美少年」という感じです。
一方、攻めの裕次郎は稲荷神社の神官の弟で大学生(表紙絵の公家装束の男じゃないんです。ここがややこしい)。大正ロマンの学生さんなので、学帽に詰襟姿。これがまたカッコいい。
二人はネズミ退治をめぐって出会い、すったもんだの末にハピエン…となります。
冒頭はちょっと怪奇ものっぽい雰囲気から始まりますが、裕次郎の神社の祭神・九尾狐之介(このすけ 表紙絵右)などコミカルで個性的な脇キャラが登場してくると、すっかりコメディと化してたり…場面場面で雰囲気にもメリハリがあります。
カプの切ない恋の顛末もさることながら、個人的には真夜の放つ少年ならではの色気にやられました。この少しおどろおどろしくて、少しとぼけた奇妙な世界が、彼の妖艶さを際立ててるというか…とにかく舞台装置がすばらしい。
当初恋に受け身だった真夜が、クライマックスでは自分から裕次郎を強く求めるようになる…というあたりも萌えどころ。エロ少なめ?…や、かなりエロいですよ。
水上ファンは勿論、日常ものに飽きたという方に箸休めの一作としてもおすすめ。きっとこのあやかしの世界の美少年に魅せられてしまうと思います。
(書き忘れましたが、まさかの触手責めもあり♪です)
神社の息子で書生の裕次郎は、ある日道で倒れている真夜を助けます。
人間に見えた真夜は、実は猫族の長の孫。
裕次郎の家(神社)は、狐を祭っているので狐神様がいます。
それが当たり前の世界観だと思って下さい。(一応、一般人にも真夜の姿は見えています)
鼠を退治する時に使う鈴があって、それを裕次郎が真夜を助けた時に拾うのですが、それを巡って色々誤解やら何やらで、いつの間にか裕次郎に惹かれて行く真夜。
とても健気で可愛らしく、裕次郎の方も誤解からとは言え真夜に惹かれて上手くいくかに見えて、また事件が。
裕次郎を思う故に身を引こうとする真夜がちょっと可哀相な感じですが、当然(?)最後はハッピーエンドです。
健気な可愛い子ちゃんが好きな方にはオススメかも?
・件の狐
裕次郎の兄・伸一と、前代の狐神様、そして兄の父親の話です。
前代の狐神様と父親がいなくなってしまうまでの話と、現狐神様との件が書かれています。
狐神x兄のカップルもオススメです。
「件の黒猫」では熟年カップルのような二人の馴れ初めは、こんなんだったのかー、とちょっとビックリ。
でもこれがああなる、と想像すると楽しめるかも。
・愛の結晶
真夜の家に婿入りした裕次郎と、真夜の間に子供が!
人外(神様)なので何でもありです(笑)
子供もとっても可愛らしいですv