図書塔うさぎの一途な恋

toshoto usagino ichizuna koi

図書塔うさぎの一途な恋
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神8
  • 萌×216
  • 萌7
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
14
得点
127
評価数
34
平均
3.8 / 5
神率
23.5%
著者
葵居ゆゆ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
古澤エノ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784344850415

あらすじ

両親のいない半獣うさぎのチカは、旧世界の資料が眠る“図書塔"で書物の発掘作業を行う日々。そんなチカは、物心ついた頃から塔の長であるセザールに恋をしていた。でも、セザールはチカの育ての親で父親代わり。愛情たっぷりに育ててくれても、恋愛対象としては見てくれない。それなのに、十八歳を迎える目前「すべてを手に入れたい」とセザールに抱かれる。戸惑いながらも想いを受け入れてもらえたことにチカは喜ぶが、その数日後、王宮から訪れた使者に「あなたは国王の子だ」と衝撃の事実を告げられる。さらに、セザールがチカを育てたことには理由があって…?

表題作図書塔うさぎの一途な恋

セザール,優秀な読書士で図書塔の長,37歳
チカ,図書塔で働く半獣のうさぎ

その他の収録作品

  • 大読書士長の秘密の日記
  • あとがき

レビュー投稿数14

愛されなくてもいいから、傍にいたい

『図書塔』を舞台に展開される、ファンタジックで美しい物語です。

主人公は半獣うさぎのチカ。チカには両親がおらず、“図書塔”の読書士長であるセザールに育てられます。
図書塔は、旧世界の書物や資料が眠る場所。読書士とうさぎは、とうに眠る書物を発掘するのがお仕事で、チカもその一員。
そんなチカは、物心ついた頃から愛情たっぷりで接してくれるセザールに恋をしており……というのがあらすじです。

セザールは37歳、チカは18歳なので年齢差好きな方はぜひどうぞ。人間×半獣というのも、好きな方にはぶっ刺さるジャンルなのではないでしょうか。
わたしは年齢差も異種恋愛も好きなのでたまりませんでした。
そしてセザールのイケメンスパダリっぷり。言うことなしです。

まず、世界観がRPGのようで、ファンタジー好きな方にはかなり刺さるのではないでしょうか。私はファンタジークソ野郎なので、設定にのめり込むのにそう時間は要しませんでした。

不憫で一途な健気受けが読みたい!という方に是非オススメしたい作品です。

以下ネタバレです。
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育ての親である図書塔の読書士長セザールを一心に愛する、半獣うさぎのチカ。
セザールが与えてくれる疑うことなき愛に、チカは心を満たしていきますが、チカの18歳の誕生日を目前に王宮からの使者が二人を分かちます。
チカは、王の血を引く王子様だったのです。
チカはセザールと離れ離れになることを拒否しますが、セザールには、チカの知らないある一面がありました。
それは、セザールの憎しみです。セザールは、パートナーであった半獣うさぎの婚約者を国王に奪われたという過去があったのです。
セザールの婚約者と国王との間にできた子供が……

そう、チカです。
セザールの憎しみの矛先は、チカに向きます。

「殺さずに育てれば、そのあいだずっと国王を苦しめられるからだ。そしていつか、私を裏切った二人の血を引くうさぎに、私と同じ恥辱を味わわせてやるために、特別優しくしてやったんだ。懐いて、恋をして、私がすべてだと思わせてから、犯すためにね(150ページより)」

チカはセザールしか知りません。生まれてからずっと、彼に育てられ、慈しまれ、愛されてきたと思って生きてきたのです。そして急に、お前への憎しみからそうしていたのだと言われたら、縋るすべもなく、世界は閉ざされてしまうのは想像に容易いこと。

憎しみをぶつけられてもなお、セザールを信じようと、彼の憎しみと悲しみすら理解した上で、どんな形でもいいから一緒にいたいと懇願するチカに涙腺は緩む一方でした。

「なにか取ってこいって言うなら、世界の果てまで行ってきてもいい。蔑むのでも、耳が嫌いなら切り落とすのでも――そうだ、蹴るのだっていいです。さっき、男の人が言ってたんです。船に乗っているあいだは暇だから、鞠のかわりに蹴飛ばそうかって。僕、そういうのでも全然――(187ページより)」

愛されなくてもいいから、何されてもいいから、傍にいて役に立ちたい。それ以外の生きるすべを知らない。まっすぐなチカの想いは、セザールに罪悪感を感じさせ、チカを傷つけるべきではなかったと、後悔するのでした。

ところどころセザール視点の話が挟まれるのが、より双方の心情の変化を読み取ることができて良い。
不憫な健気受けが読みたい!という方がいらっしゃいましたら、手放しで勧めたい作品です

4

うさぎは、寂しいと死んじゃうんだよ

異種族愛のファンタジー。

自分勝手なセザールは、チカに隠している事がある。
物語の進捗につれ、セザールの虚構が剥がれていく。
でも、チカの愛は不動。
・・チカは健気というより、洗脳が解けない愚者に近い。
事件が起きて、チカを失いかけてセザールは初めて後悔する。

★以下、あらすじ。・・ 激しくネタバレするので、嫌な方は読まないで。

天才セザールは執念深くて「心の偏差値」が低い自分勝手。
愛されたいのに、愛し方も愛され方も知らない、冷血漢だった。

己を裏切った雌うさぎと王へ復讐するため、生まれてすぐのチカを王宮から攫い、18年育てる。
絶望を与えたときに深く心を抉るように、チカに呪文のように愛を呟く。

でも、セザールが復讐したいのは、雌兎のイウリと王のはずで、チカは無関係。
そもそも、チカの母イウリは、セザールを裏切っては居ない、

セザールは、嫌がるイウリをもの扱いして拘束する。
自分専属のうさぎとして強引に契約し、結婚も意思確認せず押し付けるセザール。
王に紹介すれば、イウリは観念すると思ったら、逆だった。
セザールの不在の間にイウリは優しい王に恋をして、王の子を身籠る。
激怒したセザールは、赤ん坊のチカを拉致して図書遺跡に籠る。

王は常に自分を責める人。セザールを咎めることができない。
チカも、父親似で、自分が悪いと考える。
チカと王様がじれったいけど、面白かった。

チカの兄、亡くなったエンリケ王子の事をもっと知りたかった。

2

愛は偉大

くっそ泣きました。

受け・健気うさぎ チカ
攻め・粘着質復讐男 セザール

もう、読んで欲しい。
読んで、セザールどうよ?フレデリコどうよ?と分かち合いたい。   

みなさん、たくさん書かれていますので、あらすじは省きます。

今作のチカは、全て捧げます系です。

育ての親ともいえるセザールに全て捧げて、受け入れられた後で、全否定されます。
存在そのものを否定されます。ひどいです。

チカは傷つきます。泣きポイントです。

が、結局、骨の髄まで染まってるので。
やっぱり、セザール大好き!…って、そうなるように育てられてるんです。

その上で、あのセリフ!(他の方参照して下さい。)
ここで号泣。読書、一時中断です。

チカの気持ち考えたら、震える。
悲壮感が漂ってないのが、もう、ね!

チカが全て。チカに救われる。チカ万歳。
そんな終わり方。愛はセザールを救う。

年齢的には、私はフレデリコと同世代。セザールはちょい下。
パパ友、ママ友的な感覚になってしまうので、ちょっとアンタ達ねー!って言いたくなってしまったわ。

ひどい言い草だけど、面白かったですよ。
葵居先生の作品て、なんかキャラ濃い気がします。
でも、先生は意図してないような。私の受け取り方が歪んでるのかしら。
何作か読んで、ジワジワきてます。脳に染み渡るんですよ。侵食されて、日常生活のふとした瞬間に葵居作品が蘇る。。沼の予感。



2

一途って最高ですよね

大きな七つの島でできている世界。
発掘された書物から、知識や技術を読み取り生活、発展しています。
特に図書搭からは多くの書物が発掘されています。
発掘し、書物を読み解く役割を果たすのが読書士。
書物の匂いや気配に敏感で、読書士と共に発掘に同行するうさぎ。
五の島の図書搭で暮らす半獣うさぎのチカと、読書士長のセザールのお話です。

銀髪ロングのセザールと垂れたうさ耳のチカの美麗表紙を見ただけでワクワクします。
育ての親のセザールを恋慕うチカの片思いのような描写から始まります。
あらすじにもあるように、18歳目前にセザールに抱かれます。
そして数日後に自分が王子であるという事実を知らされます。
片思いの相手に抱かれて実は自分が王子様だったなんて、夢のようなお話〜、と思っていたのですが
「夢みるうさぎのお話」ではないんです。

そこから明らかになる愛憎入り交じる真実。
ふわっときゅんとするような感じではなく、結構ドロリとした感じなんです。
ドロリとしているので、チカの健気さに救われます。一途健気受けって最強ですね。

結構エロに割かれている割合が多めでした。
内容もエロエロだなと感じました。
セザール様、言葉攻めタイプでとてもエチでした。
うさぎは好きな相手を前にすると花の匂いを発してしまうので、周りにバレバレなのとか
セザールが周りを気にせずにスキンシップをするところとか可愛いくて甘美な雰囲気がありました。

七つの島や図書搭等の世界観がとても素敵だったので、この世界観をもっと深く知りたいとも思いました。
ですが、ラブがしっかり描かれていたのでとても満足感がありました。

9

二転三転するストーリーに引き込まれる

作家買い。
葵居さんの新刊はちょっと独特な世界観を持つファンタジーもの。ほっこり…、な作品かと思ったら二転三転するストーリー展開を見せる1冊で、最後まで一気に読んでしまいました。






図書塔、と呼ばれる場所がある。図書塔はその名の通り書物がたくさん埋まっている場所。人々は書物を見つけ出し、その書物から様々な知識や利器を身に着けていく。だから書物は人の生活には欠かせない。

が、どこにどんな書物があるのかは全くの手探り状態。危険な場所にあり、見つけるのも一苦労。だから書物を見つけ出し文字を解読し、人々の生活に役立つ知識を探してくれる「読書士」は尊敬される人物だ。

そんな中、書物がどこにあるのか、どんな書物があるのかを見つけるのが上手な人物がいる。「うさぎ」だ。かつては人に愛でられ可愛がられる存在だったうさぎは、今では人と同じ姿を持ち(でもケモ耳はついている)、数もめっきり減り希少な存在だがうさぎがいれば作業も捗るため、読書士にとっては欠かせないパートナー。契約を交わすことでずっと一緒に作業をすることができる。

という、ファンタジーもの。

今作品の主人公は、その「うさぎ」であるチカ。
チカには恋焦がれている人物がいる。有能な読書士であるセザールだ。両親のいないチカを引き取り、子どもの時から愛情深く育ててくれた。けれどセザールはチカの想いを受け取ってくれることはない。セザールの恋人になれなくても良い。「うさぎ」として読書士のセザールと契約を交わすことがチカの目標だ。

けれどその優しく温かな日々を送る二人のもとに一人の人物がやってくることで亀裂が入ることに。セザールの師であるオラーヴォだ。温厚で知識豊かなオラーヴォをチカは尊敬しているが、セザールはいつも素っ気ない態度を取る。それには理由があってー。

両親がいないチカを慈しみ育てるスパダリ・セザールと、セザールに恋焦がれるチカ、というほのぼのな2人の描写から物語はスタートします。葵居先生らしい、ほのぼのなお話?

そう思いつつ読み進めたのですが。

そうきたかー!
という、波乱に波乱を呼ぶ展開です。
チカの両親、セザールがチカを引き取り育ててきた理由、セザールがオラーヴォを避ける理由。そういったものが、少しずつ繋がり始め、怒涛の展開をみせる。さすがベテラン作家さま。めっちゃ面白い…。あまり書いてしまうとネタバレになりすぎてしまうのでこれ以上書きませんが、二転三転するストーリー展開をぜひとも満喫していただきたいです。

で、古澤さんの挿絵がこれまた良い。
チカの可愛さとか、セザールの男の色香とか、めっちゃヤバい。

チカは「うさぎ」なわけですが、BL作品におけるうさぎちゃんといえば、「発情」。快楽に弱々で、攻めさんに触れらるとすぐにスイッチが入ってしまう、そんなイメージが個人的に強いのですが、このチカちゃんといううさぎちゃんもそのイメージを損なうことのないエッチな受けちゃんです。ビッチさんなわけではなく、大好きなセザールに触れられることに喜びを感じてしまうという可愛い受けちゃんで、そこもまた良い。うさ耳がついている可愛いビジュアルにこのエロさ。ヤバいです。そしてそのエロ可愛さを古澤さんの挿絵で堪能できるという眼福さよ。

途中シリアス展開になり、ハラハラしつつ読み進めましたが、最後は大団円。これ、二人のお子のお話も読んでみたいな。

独創的なバックボーンも面白いし、キャラはみんな素敵だし、甘々なだけではないストーリー展開は秀逸だし、絵柄は素敵だし。めっちゃ萌える、そんな1冊でした。

8

純愛だよ

エノ先生おっかけで購入。世界観、お話ともよかったーーー!!!今まで読んだゆゆ先生のご本の中で一番好きな気がします。純愛だよ、と思うお話、本編240Pほど+私は笑った後日談8P+あとがき。ちと酷いのでは?!と思う攻めでも大丈夫な方でしたら、オススメです!

ポルトカレ王国の大切な遺跡、図書塔で読書士長であるセザールに大切に育てられてるうさぎのチカ。ある日、「王子が亡くなった」「残された宝を迎えたい」との至急の知らせがやってきて・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
フレデリコ(国王)、イウリ(チカの母、故人)、デオダート(守護士)、オラーヴォ(学者)ぐらいかな。フレデリコが温厚なお父さんで良かった・・

++攻め受けについて

攻めについてはノーコメントにしておこうと思います。盛大なネタバレになって面白くないと思うので。ふふ、最後は「ざまあ」という気持ちと「あんたええ子に好きになってもらって良かったよね・・」という気持ちと半分ずつぐらい。

受けが良いのです。赤子のころから育ててくれた銀髪ロン毛温厚優しい優しい攻めのことが大好き。一途に想って側にいて。恨むとか怒るという負の感情が全くないタイプの子です。たれ耳うさぎちゃんで耳はもちろん可愛いし、色事シーンでは耳はむはむあるし、まん丸ふわふわしっぽもちょこっと出てきます♡ぴゅあっ子ちゃんですが、色事シーンでは頑張ってますよー「しゃぶっ」っていいかけて、攻めに口ふさがれてます(笑)

二人の恋話も好きでしたが、それに加えてうっとりしたのはその世界観。世界は七つの島で出来ていて、森におおわれた中から突き出しているのが図書塔。人々を目覚めさせたといわれる13冊の礎の書をはじめ、掘り出した書物の研究によって世界は少しずつ変化しているとのこと。うさぎ(数が少なくなってしまったらしい)は普通は特定の読書士と契約を結び、どんな書物がどこにあるのか、感知する能力を生かして、書物を発掘するようです。読書士はその失われた文明の遺産?である書物を読み解くというお仕事。電気のない世界ですしね・・デジタルアーカイブではなく紙の本が珍重されるのです。素敵。もう一つ楽しかったのが、手紙鳥という存在。どういう仕組みなんだかさっぱり?ですが、●●まで というと、そこまで飛んでいくらしいんです。あああ便利&なんて不思議な世界。

ゆゆ先生が好きなものをいっぱい詰め込んだというお話らしく、先生が楽しんで書かれたということが感じられる、素敵なお話でした。最後の番外編がかっこいいはずであろうセザールの「おっさん!」と突っ込みたくるお話で、より楽しめたです!ファンタジーで健気ちゃんが大丈夫な方、ぜひぜひ。素敵でした!

4

受けがとにかく健気です

葵居ゆゆ先生も(新書デビュー)10周年なんですね。おめでとうございます。
長くコンスタントに作品を書き続けて来られるには、苦労も多かったことだと思います。


さて、冒頭から不穏な空気が漂っていて、これはなかなかハードな展開になるのではと覚悟しました。

こちらの作品は健気な受けのチカに全て救われていたように思いました。ハッキリ言ってしまうと途中までは「中立」評価で、葵居ゆゆ先生はどうやってこのお話の決着を迎えるのかと不安になったほどでした。

先生の作品では受けか攻めのどちらかが好きになれない作品が多くて、こちらの作品の攻めのセザールもそうでした。
終盤になるまで自分勝手で傲慢な人物にしか思えず、何度も出てくるエッチシーンも苦手に感じてしまいました。

このセザールの抱えている苦悩の理由がチカ視点の話の流れの中に、セザール視点で入って来るのですが「それだけで⁉︎」と彼の憎しみの理由に違和感を感じました。
後に彼の若さから来る未熟さと納得は出来たんですが…。
なのでハッキリ言ってしまえば、好きな攻めキャラではなかったですね。チカの一途で健気な愛情には涙したので、チカに対する評価で萌2になりました。

それからチカの父親のフレデリコ国王が魅力的な好人物だったので、チカの母親が惹かれたのも納得でした。

攻めザマァな展開があっても良かったのではと思いましたが、チカの性格からはあり得ないのでこの結末には納得でした。

4

両親のいない半獣うさぎのチカ(受け)と、そんなチカを育てるセザール(攻め)のお話です。

お話がすごくて一気に最後まで読みました。
最初はのほほんとしたほんわか溺愛物語だと思って
幸せいっぱい嬉しいなー!ってるんるんだったんですけど、
途中から雲行きが怪しくなってシリアスみが強くなって
悲しくて苦しくて切なくなりました。

チカがすっごくいい子で健気で泣けちゃって
今、自分の目と鼻が真っ赤です(笑)
それぐらいドバドバ涙が出ました。
タイトル通りの『うさぎの一途な恋』なんですよ。
ほんとに素晴らしいです…。


憎しみからは良いものは生まれないんだと
改めて感じさせられた作品です〜。

3

隠しても匂い出にけり攻めの愛

ゆゆ先生のお話は久々に読みました。
タイトルと表紙買いです。
この世界観すごく好きです。ファンタジーの異世界のようで遥か遠い未来の地球のようで。この世界観で他のお話も読んでみたいような素敵な世界です。





お話について。これ攻めがクズって言われるんだろうなと思ったんですけど、すみません。クズが好きなわたしにはクズというより拗らせた切ない攻にしか見えませんでした。なのでレヴューすることにしました。



冒頭にある一文から攻めが何かを抱えているんだなとわかりますし、それまで手を出さなかった受けちゃんとの関係を変えたのにも理由があるんだろうな、多分冒頭のことなんだろうなと思うんですが、でもピンとこないまま読み進める感じでした。
なんと言うか攻めの行動に目的的な義務感的なものも感じるんですが、それよりその奥の深い愛情がバンバン感じられちゃうので、あんた何がしたいん?大丈夫?こんなに受けちゃん愛してるのにそこまで拗ねないといけん位傷つくような何があったん?と言う感じと言いますか…チカちゃんと一緒になんでかなあなんでかなあと悩みました。
理由がわかって、それを達成して、私は凄く切なくなりました。自分の決意を曲げられなかったんだなあ。馬鹿だなあ。と。
王様はいい人ですね。いい人に惹かれるのは仕方ないんでしょうね。子供ができて弱ってて死んじゃって可哀想ですね。
と思える人間じゃなくてすみません…。
私には幼い攻めが愛し方を間違ってしまった悲劇の方が辛く、それを修正する機会を唯一の友人に奪われてしまった可哀想な子供に見え、かわいい受けちゃんを産んだお母さんもお父さんの王様をあまり好きになれませんでした。いない時っていうのはフェアじゃないです…。
せめてお母さんが生きてくれてたらなあと思うけど傷つけるだけ傷つけて死んじゃうんじゃまあどうにもなりませんわな…。まあだからこそ王もわかってたんでしょうけどね…そこまで分かってたのに手を出すなよとぐるぐる。どうしてもこの部分がスッキリしないのが物語の読後感につながってしまった気がします。(まあこの部分は設定的なとこなんでどうしようもないんですけどね)
でも奇しくもチカちゃんと感情を共有できたんでホッとしました。チカちゃんいい子や。

とにかくタイトル通りチカちゃんががすごく優しく一途な子で、セザールの心を溶かして育ててくれたんだなあと思います。
そう育てたんだろう?とはわたしは思いません。そうなりますように思って育ててそうなる子なんていないと思ってるんで…。でもチカちゃんの心根を優しく育てたセザールの優しさが本物だったことには間違いない。
子育ては親を育てますが、育てた子にこんなの依存していいのか?と思う方にはセザールは受け入れ難いでしょう。
あと紫の上的な話はダメな人も無理かな。

スッキリ読めるお話という感じではないのですが、この世界観は(こちらについては他の方が説明してくださってるので割愛しますが)とても好きなので評価はこれに。
お兄ちゃん生きててほしかったなあとちょっと思います。


セザールは一途なチカちゃんを意固地に傷つけてしまった事を生涯かけて償って溺愛して頑張って日記つけろよと思います。

3

ほのぼの系ではないのでご注意ください

今回は「五の島」の図書塔の読書士長と
読書士を助けるうさぎのお話です。 

隠された育った受様が真実を知り未来を選ぶまでと
本編後の2人の短編後日談を収録。

春かな昔、ひとつの大陸だった世界は
今や大半が海と森に包ままれた7つの大きな島に
変貌します。

危険に包まれた海や森は人の手にあまりますが
書物を掘り出す事で人々は知恵を身に着け
世界を良き者へと変化させてきます。

初物の遺跡である図書塔は貴重な存在であり、
書物を見つけて読み解く事の出来る読書士は
人々に尊敬されています。

読書士とともに眠る書物を探し当てられる種が
長い耳と短い尻尾をもつ「うさぎ」です。

うさぎは数が少なく、特定の読書士と契約を結び、
パートナーとして書物を探す冒険に同行していますが

受様はうさぎながら幼い時から五の島の図書塔で
塔を司る読書士長の攻様に育てられており
塔の読書士達の手伝いを日課としていました。

攻様は読書士長のトップに立つ大読書士長になれる
と言われるほど優秀な人物です。

うさぎは恋をすると花の匂いを放ち
子供も産める種です。

受様は攻様を前にすると花の匂いを放つため
受様の思いは攻様似も明らかでしたが
攻様は養い子として大切にしてくれても
受様の気持ちに応える気はないようでした。

ところが王国の世継ぎの王子の訃報がもたらされた夜
攻様は受様にとても美しくなったと言ってキスし
受様を組み敷き、雄の快楽と雌の悦びを教え込むのです。

受様は攻様の恋人になれた幸せを噛みしめますが
訃報の知らせから10日後、国王の命を受けた
王宮守護士が受様を迎えにやってきます。

なんと受様は
王とうさぎの間に生まれた王子だったのです!!

受様は初めて知らされた事実を受け止めきれませんが
攻様は国王が受様の父であると認めながらも
「王とうさぎは過ちを犯したのだ」と言い、
攻様が赤子の頃に引き取ったといいます。

受様には攻様の側にいる術はないのか!?
そして受様を呼び寄せる王の真意とは!?

幼い受様を図書塔に引き取り育てている攻様と
攻様だけを一途に慕う受様のもふもふファンタジーです♪

タイトルと表紙イメージから
受様が攻様への初恋を成就させるお話だろうな
とは思いましたが、

溺愛系の甘みの強いお話かと思いきや
攻様と受様の両親との拗れた関係が受様の育ちにも関わる
愛憎渦巻く波乱の恋物語でした。

受視点を中心に進みますが
所々で攻視点での過去回想が挟まって進むため
攻様に何かしらの思惑がある事は早くから見えます。

攻様と受様の父である王、母うさぎとの関係が見え
三者の過ちと攻様の思惑が詳らかになる事で
2人の距離が開いていく中でも攻様を慕い続ける受様に
きゅんきゅんさせられました。

どうやったらハピエンになれるのかハラハラ、
受様が再び攻様の手を取るまでドキドキで
最後まで一気読みでした ヾ(≧▽≦)ノ

物語世界の設定が非常に面白いので
他の島にしたスピンオフ等を期待します♪

2

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