お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
文庫版の2巻目で終わりの巻。
本当に暴力的なシーンが多いのですが、1巻から続いてどうしても途中でやめられなくて夢中で読むというのうを久々に味わいました。
バイオレンスで暗くってホントに全然好みじゃないタイプなのになあ。
親から愛されて育ったNY刑事のコーキと、親の愛を知らずに育ったストリートギャング・アーチャーのせつなくて痛々しいラブ・ストーリー。
麻薬ルートを追い行動を共にするうちに、コーキの存在が自分の中で次第に大きくなっていくことを実感するアーチャー。それがどの種の感情なのか、自分ではっきりわかってはいません。
このまま時間を重ねれば互いの存在が生きる意味になる素敵な関係になれたと思うのですが、事件が二人を引き裂きます。
しかし、組織というか、敵対関係に当たるグループの数が多くてちょっとそのへんこんがらがります^^;
2回読んでやっと~かな。登場人物もホントに多い。
個人的には黒幕の息子であるアイスがお気に入りです。悪人になりきれない、馬鹿な所がかわいいです。こういう所が親に愛されてたのかなあと思います。
このアイスと、アーチャーの兄・マーフィの行く末も気になりました。
父親の虐待によって、深いところでつながり、互いを守ってきたアーチャーとマーフィ兄弟。
離れることのなかった2人ですが、アーチャーがコーキを意識し始めたことから小さな溝が出来はじめた感じです。
結局マーフィは一度アイスの手を取りますが、最後にはアーチャーのところに戻っていく。
全て終わった後にアーチャーの手元にもどってきたのもマーフィだけ。
なんだか2人とも、逃れられない影に追われている感じです。
麻薬云々のお話自体はチラチラつめの甘い所が気になりました…。
お話が遠回りしすぎていて、意味なく複雑になっているような気がします。
しかし、ニューヨークという舞台を隅々なで本当によく調べられてるなあと思います。
「愛されて育った」コーキは「愛を知らずに育った」アーチャーのために、何ができるかをずっと考えます。
親に虐待されて育った子どもは、家庭や職場でない「どこか」に居場所を求める事が多いらしく、アーチャーもその例に漏れず、自分の居場所が欲しくてディーノに付いてギャングの抗争に参加し、自分の価値を認めてもらえる場所をつくりたかったんですね。
けれどそれで本当にいいのか、それが本当に欲しいものなのかときいてくるコーキはまっすぐで、アーチャーは次第に戸惑いはじめます。
アーチャーが欲しがっていた「自分の存在できる場所」が自分の中にあると教えてあげることをどうしても、(たとえ自分が死ぬとしても)絶対しないといけないと思っていたからこそ、死ぬかも、ていうギリギリの数分間で助かるということより伝えるということを優先したんだろうなと思いました。
それももうつまり同情やかわいそうな子供に対する庇護欲などでなく君を愛しているからだという事を、アーチャーにはホントにわかってほしい。
もうその2人が、その瞬間がすごくせつなくて、ドロドロした世界の中にあっていっぱい人も傷つけてきたのにこんな純粋なものはないんじゃないかと思いました。
抗争がすべて終わって、コーキがいなくなって、結局戻ってきたのはマーフィと父親と、そして300メートルのスラム街にその仲間。
これが自分の欲しかったものなのかな?と泣くシーンがまたせつないです。
コーキのために泣いた事が自分の中にある最後の綺麗なものだというアーチャーは、まだ16歳かとおもうとすごく重いものを背負った辛いお話なのですが、だからこそコーキってアーチャーの生活の中で大きなターニングポイントになるべき奇跡的な出会いだったのでは…と思ってしまいます。
ラストはバッドエンドではありませんが、BLのハッピーエンドって感じではなく、映画のラストのような含みのあるラストです。
このあと番外編と、別のタイトルで続編が出ていますが、この2人にはいつか幸せになってほしいです。