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kare to sex shitemo zombie ni naranaitte honto desuka
初読みの作家さま。
タイトルに興味を惹かれ、読んでみたいと思い手に取りました。
昨今流行りのゾンビBLですねえ、なんて思っていましたが、なんて言えばいいのかな。すごく斬新なストーリーでした。
主人公はリーマンの翔太。
我儘だけれど可愛い恋人と同棲中。が、その恋人は翔太からお金を借りてそのままドロン。傷心の翔太だったが、さらに彼を追い詰める出来事が。愛猫のクロが逝去。クズの元カレはどうでもいい。でも、クロには帰ってきて欲しい。
そう追い詰められた翔太は、ネットで見つけた「死んだペットを蘇らせるキット」なる眉唾物の商品を買い、クロを蘇らせる儀式を行うことに。が、その儀式でよみがえったのは愛猫のクロではなく、知らない若い男で―?
というお話。
「自分はクロだ」と言い張るその青年を家まで連れ帰る翔太だったが、お礼にと言ってその青年に口で奉仕されてしまって…。その青年は史郎と名乗り、愛猫・クロとかけて「シロ」と呼ぶことにした翔太。ゾンビのシロとの生活は意外にも心地よくて。
シロは正真正銘ゾンビです。
ゾンビですが、オカルト風味はほぼなく、翔太×シロのエロがてんこ盛り。そしてほのぼのと進んでいくストーリーで、え、これ、どういう結末を迎えるのかなあ…、と思いつつ読み進めたのですが。
序盤のほのぼのさから一転、シロ、そして翔太の過去のストーリーに差しかかると一気にシリアスさが浮かび上がってきます。死とか流血のシーンがちょこっとありますので、苦手な方は注意が必要かもしれません。
シロの過去、はかなりシリアスなものですが、そこからシロと翔太の意外な関わりとかまで描かれていてハラハラしつつも萌えもきちんと描かれています。シロが翔太に「お礼」と称してご奉仕するシーンは、ああ、ここに繋がってたのね、という感じ。
が、風呂敷を広げ過ぎた感も否めない。
シロを傷つけた人物のその後とか、少年Aの存在とか、翔太のクソな元カレとか。上手にそれらを絡めつつ進むストーリーで惹きつけられる展開ではありましたが、いかんせん、急にはしごを外された感じっていうのかな。え、それでその後は?という感がありました。
終盤に描き下ろし「描き下ろしスペシャルコミック」が収録されていますが、そこでも、え、それでどうなるの?という感じもしました。「彼ら」のその後が読んでみたいです。
「ゾンビ」というバックボーンが必要だったのか…?という感は否めなかったですが、あっさりさらりとしたゾンビもので、痛すぎたりシリアス過ぎたりする内容ではないので痛すぎる作品があまりお好きではない方でも手に取りやすい作品かもしれません。
ゾンビもののBLが何故か読みたかったのでKindleで見つけました。求めていたサバイバル的なストーリーではなかったんですが、まあなんて言うか「いい話」ではあったかな? (^^;)
正直ここいる?って感じのパートが少々ありますし、(特に少年Aのくだり― あれお話を紛らわすだけじゃん?)疑問もまだたくさん残っていますが、受けちゃんが非常に不憫でいい子で愛らしいので頭を空っぽにして可愛いゾンビの幸せな姿が見たい方々におすすめします。