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美と言うものの艶やかさ、酷薄さ、そして残酷さを
静かに描き出した佳品。
美の一筋を見出さず溺れ貪る者と美を感じ陶酔し
殉じる者、その彼岸と此岸の距離感は、近い様で
相当遠い。
明治維新を廻る人間模様の深みもさる事ながら、
ボーイズラブにあらざる原作を換骨奪胎して元から
ボーイズラブであったかの様に違和感無く再構成
している「小野塚カホリ」と言う人の恐ろしさを再認識
できると言う醍醐味もある。
団鬼六氏の描く世界の上品さがそのまま乗り移った
と言う一面もあろうが。
団鬼六氏の「鬼ゆり峠」を小野塚カホリさんが、その設定を土台にBLに仕立てた作品。
原作では親の仇討に出る剣士姉弟が、その仇に囚われて凌辱の限りをつくされるお話でありますが、
それを弟と、食客の剣士を登場させて絡ませることによりBL要素満載の作品に仕立て上げた小野塚さんの力には、頭が下がります。
江戸時代設定のため、言葉遣いなど言いまわしが独特ですが、それも世界観の一つでありますので、時代物として欠かせない部分です。
殿の寵愛を受ける少年剣士・菊之助が、剣の師匠として慕う大月が出奔したことを聞き、自ら捜索に出るのです。
盗賊の用心棒となった大月と再会した菊之助ですが、逃がそうとした大月が盗賊の一味を斬ったことから2人親分の定次に捕えられてしまいます。
身分差からくる大月の臆病さと、素直に大月を求め慕う菊之助の姿に、意味ありげに立ちまわる定次の存在がとても効果を出しています。
彼が大月の殻を破っていくのです。
凌辱を受ける最中も大月の名を叫ぶ菊之助の一途さとか、大月の臆病ささえも、武家社会の逃れられない宿命を表わしていて、実に上手い作りをしているなと感心させられます。
原作ではこの凌辱強姦・調教が興味を惹く箇所ではありますが、
見事耽美BLに昇華させた作家の力量のすごさを、見せつけられる作品となっていました。
原作の方は未読なのですが、BLではなかったものをBLとしてリメイクした作品だそうですね。『美少年』とはまったく繋がりのない作品ですが、あちらで団先生と小野塚先生の掛け合わせがどういう風体になるのかは察していたので、やはりこの作品でも予想通りの耽美さを味わえて至福でした。移り変わる時代とそう簡単には変わらぬ武家社会の掟との間に捕らわれて、時折足掻きながらも相手への純情を貫くために覚悟が据わっている2人の生き様が素晴らしかったです。
蹂躙される菊之助の確かに艶やかではあったのですが、どんなに乱れてもあまりいやらしいとか、生々しいとかいうような印象は意外にも少なかった気がします。やはりこの時代で愛を貫くことの潔さも共存していたからでしょうか。文字通り命を懸けて人を愛している男がどんなに火照った美しい肢体を晒そうと、私にとって彼の清らかさは変わりませんでした。重四郎を蹴ってまで自らの愛を訴えた菊之助。小姓ながら非常に気概のあるキャラクターで魅力的でした。悪者として登場する定次も、重四郎を理解するシーンもあったりなど、単純な善悪で片付けられない相関図も面白かったです。
団鬼六という人は名前しか知らない不勉強者なんですけど、名前だけはよく知ってるその方の作品を原作にして、大好きな小野塚カホリさんが描くとあって、とても気になってた作品でした。
さらっと読めなくて、じっくり読んだんですけど、初回はイマイチ理解できず…。2回読んでやっとそこそこわかりました。なんとダメなんだと凹みました…。
せりふ回しが昔(当時のもの?)風だし、立場やその他が今ではちょっとわかりにくかったりするのがするっと入ってこなかった原因かもしれませんね。
でも、そういうのを差し引いても、重四郎と菊之助の関係には萌えが詰まってましたね!
そもそもこの時代は男色はさほど禁忌ではなかったはずなんだけど、たまたま菊之助が藩の殿様お気に入りのお小姓だったせいで、重四郎のような下級武士には仲良くすることすら許されないレベルで禁忌だったんですよね。
それでもお互い惹かれあう。
ビビって逃げた重四郎を、気持ちだけで追いかけた菊之助はなかなかオトコマエです。
だけど、賭場を仕切るやくざ者とその仲間にとんでもない目に遭わされます。
遭わされるんですけど…そこでしか気持ちを確かめられなかった二人が切ない。
そんな状況じゃなくもっと早くに解り合えてたら…と思うと残念でなりません。
でもそのぎりぎりの状況じゃなければやはり二人は相容れない者同士、まったく違う運命を歩んでいたでしょうからね。
ストーリー展開そのものは失礼だけど実に昭和な感じ。
だけどこういうのもこういう世界でのレトロモダンって言うんでしょうかね、悪くはないですよ。むしろ控え目だからこそ感じる萌えもありましたしね。
じっくりと読んでほしい感じのマンガでした。
団鬼六氏の原作をコミカライズされたとのこと。
昔は侍であった大月は脱藩して盗賊の用心棒となっている。大月に剣の指南を受けた菊之助は、大月を探しに出る。殿の寵愛を受けるかわいい菊之助 (名前 :-)。
お互いに慕っているにもかかわらず、なかなかその本性をさらけ出せない。
実は、江戸時代の方が今よりも衆道に理解があったのかもしれませんが、そこはそれ。
盗賊のいじわるというか助けというかで、ようやく結ばれる二人ですが。。
菊之助がモブにいいようにされるのがちょっと切ないですが、原作の肝だしなあ。
それより何よりやはり切ないのがラスト。わかってはいても。
余韻の残る物語でした。