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setsugen no tsukikage mikazuki
上下巻で長かったですが、読んで充実感がありました。
皇太子でありながら病気で成長が止まり跡継ぎを望めなくなった事が理由で皇太子の位を排されたエルンスト。
王宮を出て、一貴族として与えられた領土は、雪深い辺境地。更には何の産業も無く貧しさから人々が疲弊しきっている土地でした。
エルンストの伴侶となったのは、王宮で皇太子だった彼の下男をしていたガンチェ。
この2人がとにかく、運命で結ばれた2人で。最初からラストまでずっとお互いを溺愛していて、途中、邪魔が入るとか、離れ離れになる事も無く話は進むのに、2人のラブラブが飽きることなく読めました。
話の主軸はエルンストが領主となった土地メイセンで極貧生活から抜け出す為に奮闘する事。
王宮での生活しか知らないエルンストが、急に暖炉の薪も、食べ物も節約しながらの生活を強いられます。しかし、元皇太子として学んできた帝王学を活かして、ガンチェと二人三脚で兵士や農民を巻き込んで領土の抱える問題や領民の意識改革など様々な角度から貧乏脱却を目指します。このエルンストの思いつく施策が丁寧に描かれていて、エルンストがとにかく思慮深く人を見極める目があるのが読んでいて爽快でした。
周りの環境は厳しいけど、その厳しい生活の中で、エルンストとガンチェが2人だけの時間を過ごす時は甘い生活なのが読んでいて癒しでした。
三日月ではエルンストが住民の信頼を得て、土地改良に着手しますが、エルンストには王宮の陰謀が立ちはだかっているところまでが描かれています。
忠実で、誰よりも力強い伴侶ガンチェがエルンストを護ることができるのか?気になるところです。
初見ですが、同じ作品が過去に別の会社からも出ているご様子?
新しい方が良いのかなとこちらを選んでみました。
二冊あるようで、一冊しかまだ読んでないですが独特の静けさみたいなものを感じる作品世界でした。
攻めと受けが別の人種で
攻め=逞しい兵士さん。短命。大人だけど年下。
受け=見た目が少年(種族特有の病気で体の成長が止まった)の元皇太子。世間知らずで下々と大分感覚が違うけど思慮深く、年上。
・受けが種族特有の病気で体の成長が止まり子を作れないと判断されたので廃太子される
・元々一目惚れしてお風呂のお世話係してた攻め(受けにとってはたまに思い出されるモブみたいな認識だった)が受けを追いかけて、というか…先回りみたいな形で再び従者になる(美味しい)
・好きです→慕われて嬉しい→そういう好きじゃないんです、みたいな(萌え)
・受け側が性知識や常識ない感じでとても初々しい
・体液適合者、という設定があってお互いの体液が好ましく感じられるようです。
全体的に静謐な雰囲気があり、視点の関係で少しずつ世界の解像度があがっていったり他人がみえてくるような感覚がとても良かったです。
人間は本当に美しいものの前に立つと「美しい…」しか出てこなくならし、圧倒されるほどすごいものに出会うと「す、ごい…」しか出てこなくなる。
本当に、すごいしか出てこないです。
すごい…。
何を書けば、このすごさが伝わるのか三日三晩考えました。
まず、私たちは当然、BLを求めて彷徨っているわけで、これはカテゴリ的にはBLとして販売されています。
ボーイズ・ラブの名が表す通り、その大半は男同士の恋愛に終始するわけです。
これは、恋愛のボリュームももちろんすごいのですが、それよりすごいのは2巻に渡って描かれるリンス国メイセン領第十七代領主、エルンスト・ジル・ファーソン・リンス・クルベール公爵が治めたメイセン領の物語です。
何か素晴らしいものを読んだ時、「この作者すごいな」とか、「どういう経験したらこういう話思いつくのかな」とか、考えてしまうんですけど、殊これに関しては実際にいた人の人生を綴ってるのではないかと疑うほどです。
帝王学でも履修したのかというほど、領主としての如何、領内の運営など詳細に描かれていて、敬服してしまいます。
これは、本当にすごい。
長いこと腐女子やってきましたが、こんなにも物語の精巧さに感心しきりになったBLは初めてです。100年に1人の逸材。
ウェブで連載された伝説的ファンタジーみたいなことをどこかでお見かけして、「伝説てwwww」などと小馬鹿にしていましたが、謝りたい。これは、まさしく伝説です。
これを読まずに腐女子やめたり、死んだりしたら、絶対後悔していましたよ、私は。
しばらく、何も読みたくない。
これを咀嚼しきるまで、このガンチェとエルンスト、そしてそれを取り巻くメイセン領やリンス国に浸っていたいと思います。
今後どんなBL小説を読むにしても、おそらくこれが私の中の基準になるんだろうなってくらいには神作品でした。
後世に残したい名作です。
BL枠に納めておくのがもったいない。
エルンストのじっくりと深く考え行動する様が何度読んでもグッと来ます。
ガンチェとの甘い時間も程よいエッセンスになっていて、とても良い。
登場人物の個性もそれぞれ際立っていて、いや、もうホントに、みんな!読んでみて!!!
ドキドキはらはらの展開も喜びも悲しみも、全てのバランスが良いです。
中学の頃、三銃士やモンテ・クリスト伯を読んだあのドキドキとわくわくを40年ぶりに味わいました。月夜さんは現代のデュマだと思う。
登場人物が生きている感じがしていて素晴らしい。
そして、読めば読む程先が気になってしまい、一気に読んでしまう。
そして、経過した時間に驚く。
それでも、費やした時間を後悔しない作品です。
普段は紙で本を買わないのですが、この小説は紙でも買ってしまいました!
絶対手元に置きたいお話です(*´﹀`*)
お話の序盤で、感情をあまり表に出さないようにしているのと境遇の変化で気落ちしているだろうせいで主人公の言動が静かに感じますが、そこから新しい体験と出会いで少しづつ、その後一気に変わっていくのがすごく好きです!
自分の気持ちをストレートに表現する所やそれが周りとちょっとズレている所なんかも可愛いというか愛おしいと思ってしまいます(*´艸`)
主従ラブはツボもツボですが、ガンチェの健気さに乾杯!
仕事もでき、勇猛果敢で素晴らしい体躯の端からみたら男らしい男の中の男、という感じなのに、エルンストを前にすると、エルンスト好きすぎて尽くしたい感満載の大型ワンコにしか見えないのが可愛すぎです。
作品紹介が書かれている文面にエルンストが60歳とあるので「どういうこと?」と思われる方もいるでしょうが読めば納得。設定がキチンとしてるのでお話がするする入ってきます。
ぜひ読んでない方は今すぐ読んで欲しい!
とても丁寧に描かれていて、初めての世界を主人公エルンストの目を通して体感しているよう。壮大な物語の世界にすぐに引き込まれていきます。読み応えのある作品ですが、読み進むにつれて終わらないで!という離れがたい気持ちでいっぱいになります。ぜひ満月まで完走してください。世界が少し違って見えてきます。
上下巻と言う事で最初読み切れるかな?と不安を感じつつもレビューを読んでえい!っと購入しました
あの時の決断は間違ってなかった
何かと比べようもない唯一無二のストーリーです!
ファンタジーをこれ程リアルに感じるなんて
例えればハリーポッターを読んだ後に映画を見て本当にその世界がある様に思える感じです
主人公は孤独感やその環境の厳しさ苦しさすらも
他を知らない人であるのに優しい心を持つ少年の姿のままの60歳
そして彼が初めて愛する唯一の人も彼を知るまで
愛する事を必要とせず生きてきた孤独な青年でした
上巻で一旦区切りが付きますが
読んだら間違いなく下巻を読みたくなります
そして、挿し絵イラストの素敵かっこよさ
清楚だけども意志の強さを感じる少年の主人公と
屈強で精悍なのに大きな優しさを感じる恋人
本作のイメージ通りで彼らを想像しながら読み進める事が楽しくて仕方なかったです
2人の見た目となって中身お互いのやり取りのギャップにも感服!
ずっとずっと2人の物語を読み続けたくなると思います✨
電子で読んだのですが、読んでも読んでも終わらない。
でもめっちゃ面白くてイッキ読みしてしまいました。エルンストの聡明さとガンチェの深い愛に感動。愛とは??で苦悩するエルンスト。ガンチェがエルンストを追ってまでの愛を受け止めようとするのがいいですよね。のちのち愛し合う2人の寿命の差が悲しい。
稲荷家房之介先生のイラストがすごく素敵で眼福でした。
上手くレビューできないのがもどかしいくらいすごく素敵なお話なのでたくさんの方に読んでもらいたいです。
ただのラブだけでなくガッツリ内政(微チート?)しつつやっぱりしっかりラブもあるので、飽きません!
仲良くなってからもいろんな事件が起こって、絆が深くなっていくのが良いです。
ちるちるさんで高評価だったのでとりあえず買ってはみたものの、あらすじ読んでもそこまで萌えなさそうだな…と積んでました。もっと早く読めばよかったです(いつもそうやって後悔してます笑)。
何ていうか、BL小説の括りにしててはいけないと思いました。王宮を追われた不憫な元皇太子が辺境の地に飛ばされて立て直しをはかる…とか、そりゃ簡単に言うとそんな感じだけど、そんな薄っぺらいものではないところに深さがあって読み応えを感じました。
為政者として領民の暮らしをしっかりと見つめ、どこにテコ入れをすれば風向きが変わるのかを見極める。でも一方的に教え込むとか諭すとか、そんなことはしない。領民自ら考え、自ら動けるようになるまでの手助けをするだけ。
これ、政治家を志す人とか現に政治家をやってる人必読じゃないの?BL読まない人にも読んでもらった方がいいんじゃないの?と思えるような内容ばかり。でも政治に限った話ではなくて、教育にも仕事にも、全てにヒントを与えられるような…。変な言い方かもしれないけど教典を読んでるような気持ちでした。「尊敬する人は誰?」と聞かれて「エルンスト様です!」って思わず言ってしまいそうになるほどのめり込んで読んでしまいました。もうホントにメイセンの領民になりたい…、いや、領主の館の壁になりたい…。
安心してください、政治のお話ではありません、BL要素はありますよ(笑)!!圧倒的体格差、年下巨根ワンコ攻め、不憫受け。そして元皇太子だからかちょっと(?)倫理観に欠けるところがあると言うか、人前でもイチャコラ始めたり普通に閨のことまでぶっちゃけちゃったり…。
感動したり笑ったり(主にタージェスに)同情したり…とにかく長い話だけど全く飽きることなく、一気に最後まで読み切ってしまいました。
とにかく読んでほしい。
政治にモヤモヤしている人、思いを言葉にできないけど何かモヤっとしたものを抱えている人。
BLだから、web発だからと思わずに読んでほしい。
そのモヤっとした感情を言葉に変えてくれると思う。
感情を表す言葉を本の中に見つけられると思う。
だから、読んでほしい。
体の成長が止まってしまうクルベール病に罹患してしまった皇太子エルンスト受けが廃嫡されてしまう。その後貧しく荒れた僻地の領主に追いやられて、その土地を改革していく。ガンチェとの愛を育むのに萌え。
設定も人物描写も素晴らしい作品です。
主従、対格差、寿命という好きな要素満載でとても楽しめました。
何よりひょいっとエンルストを抱いて歩いてしまうガンチェにも萌えます。
細かな設定がしっかりと生かされていて、作品にぐいぐい引き込まれて一気読みしました。
続編の満月まで読んでみて下さい、感無量です!
雪原の月影は読み進めるごとにハッと気づかされることが多いです。
もちろん二人の関係性やBLとして読んで、とても良いものではあるのですが
何かもっと社会的なことや政治的なことや倫理的なことや
難しい話にはなるのですが、無意識に思っていたことを目の前に突きつけられる
というか…感覚的なことにはなるのですが、私は多くの気づきを与えて頂きました。
エルンスト様の持つ為政者としての力と彼を真摯に強く愛するガンチェの姿
ファンタジーではあるものの、生き方に感じ入ることが多かったのです。
作品ではメイン二人が描かれるので、サブキャラたちは控えめですが…
素敵なキャラクター、愛すべき仲間の背景にも愛がたくさん詰まっています。
素晴らしい作品だと思います。
物語はクルベール病という成長が止まる病に冒された皇太子が廃嫡され領主に任じられた貧困僻地メイセンで戦闘種族のガンチェを伴侶とし、民を領地を皆と救い、戦う壮大なる物語。
BLという枠に収まらず『国を治める』という事を突き詰め書かれた大作。
元皇太子とダンベルト人の恋愛事情も甘々で、そのお互いを想い合う強さに感動する。
二人の愛のお話も堪能できるが、何より大河ドラマの様な壮大な物語が素晴らしいと思う。
過去に出版されていた作品のようですが、今回初見です。
初めて読む作家さんですが、表紙と帯の「伝説的傑作」に興味をひかれて手に取りました。
いや~、面白かった!(まだ続刊ありますが)。
遥か昔、子供の頃に布団にもぐって懐中電灯を使いながら夜更かしして夢中でファンタジー小説を読んでいた時のワクワク感を思い出しました。
あらすじは他の方も紹介されているので省略させていただきます。
ファンタジーなので、主人公は約200歳の寿命をもつが少年の姿のまま成長できない(でも年齢は60歳)とか、巨大な体躯をもつ戦闘種族がいたり、海にすむ種族がいたり、色々不思議な世界観です。
ですが、それがただの「設定」ではなく、自然や人間の多様性として見えてくるぐらい細かく描かれています。
キャラクターもそれぞれ魅力的。
特に主人公は皇太子として帝王学を教え込まれながらも、追放されて辺境の地の領主となるのですが、とにかく頭と性格が良い。
頭脳明晰とか真面目というだけでなく、人として賢いという印象。
「知識」を大事にしながらも、それにとらわれすぎることもなく、自分の目でみて、きちんと人と向かい合い、人を良く見ている。
皇太子として育てられたが故のどこか抜けた感じがあるところも愛らしいです。
貧しく、雪深い、見捨てられたような土地が、この後どう変わってゆくのか。厄介な権力者たちとどう向き合っていくのか。その戦略にもワクワクします。
こんな為政者が今の日本にもいてくれたら…と思わずにいられませんでした(笑)
他の方も書かれているように、いわゆるBLのラブストーリーというわけではありませんが、一風変わった感じがして私は今のところ物足りなさはありません。
まずお話の始まりが、宮殿の浴室。
巨大な体躯の下僕が、少年皇太子の全身を、素手で丁寧に丁寧に隅々まで洗ってゆくシーンから始まります。
一言も言葉は交わしません。
宮殿最後の夜、皇太子は今までにない感覚を覚え……。
無言が効いています。
はい、少しエロいですね。萌えますね。ですが、それだけではない何かも感じます。
後から見返すと、皇太子として知識だけは大量に与えられた主人公が、初めて「人」になり、「人」と出会ったシーンにも感じます。
ここからグイグイ引き込まれました。
「体液適合者」という設定はやや違和感がありましたが、少年の体をもつ主人公への作者の母心なのか、後半に何かあるのか……
いづれにしろ続刊がとても楽しみです。
少々大袈裟ですが、こういう小説に出会うと「生きてるって幸せだなぁ」と感じます。
前回発売された時は「三日月」まででしたが、今回は完結の「満月」まで刊行されるとのこと、本当に嬉しいです!!
WEBで読了済ですが、やはり紙で欲しかった。
あまりに嬉しくてどうしてもレビューを書きたくなり、こちらで新規登録までしてしまったくらいに。
もう続きが発売されることはないのだろうと諦めていただけに、喜びが爆発しています。
いま紙になっている部分だけでの確認ですが、WEB版よりは読みやすくなっていると感じました。
前回発売された時は「三日月」までで、もっとずっと続くというのはWEBを読んでいればわかるのですが、読んでいなかったとしても「ああ、うん、完結したのね」と思えるような終わり方でした。
それが今回は「次回に続く!」とはっきりわかる終わり方で、しかも、「次どうなるの!?」という絶妙な場所での終わり方。
うまいと思います。
WEB版で最後まで読んでいるのでお話は全てわかっているのですが、それでも、続きを早く読みたくなりました。
来月の「満月」発売を、心の底から待っています。
はじめて「満月」を読んだ時、自分でも引くくらい泣きました。
あの時の感動を、沢山の人に味わってほしいと思います。
稲荷家先生なんですもん、マストバイ。開いてびっくり二段組で、なんとも読み応えのあるお話。来月もう一冊出るらしいのですが、2冊で終わりなんだろうか?WEB発だからか、とにかく読み応えあります。領民を守る清く正しい領主!な受けが気になる方におススメしたいです。核をなすお話の合間合間に閑話が入るというスタイルで、全410Pほど。書き下ろしは9P。
リンス国皇太子のエルンスト。貧乏人がかかるというクルベール病を第二次性徴期の前に発症し、60歳でありながら少年の姿のままです。子供をなすことが出来ないため廃嫡され、極貧の僻地メイセン領の領主となり・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
タージェス(リンス国の元騎士、メイセン領で領隊長)、アルド(副隊長)、メイセン領の村長や、リンス国元老院の貴族等。タージェスがいい味を出すのかな・・?人物紹介図にも出てるけど。
++攻め受けについて
攻めは驚異的な身体能力を誇る戦闘種族ダンベルト人。ちっこい受けを抱えて歩く走る跳び越える、何でも来い。怪力を誇って鹿仕留めたりもします。戦闘シーンは無かったので、剣振り回してというのはなく、燃料となる薪を作るべく斧振り回すぐらいかな。受けと出会うまではやる事やってますが、受けと出会ってからは一筋、絶対道外さないという感じの性格穏やかなグリズリーという印象です。
受けは清廉潔白、領地の事を思う、清く正しく知識はたっぷりある領主。貧しい領民を救うべくなんとかすんべとひたすら頑張り続けている印象です。最初色っぽいことは「知らないのだ」と真っ白でしたが、攻めとえらく相性よろしいので、攻めと思いが通じてからは積極的でいらっしゃいます。皇太子としてお育ちのため、なんら恥ずることなく、自らの床事情をお話になる閑話もあり、そこは爆笑。
ちょこちょこ入る閑話で笑ったり、しんみりしたりしながら、ひたすらメイセン領の行く末を見守る巻でした。来月発売という続きの巻で、一体どういう風に話が進むのか、お待ちしたいと思います。読み応えたっぷり大河系のお話でも大丈夫な方でしたら、楽しいのでは。
初読みの作家さまでしたが、あらすじと稲荷家さんの描かれた表紙に惹かれて手に取りました。
購入してから気づいたのですが、2017年に刊行された同名小説の新装版?なんですね。旧版の方は未読。そして、今作品が掲載されていたwebの方も未読。なので、今作品の刊行にあたりもしかしたら修正等あるかもしれませんが、それらについては分かりません。
旧版の方にも内容は書かれていますが、一応ざっくり書こうと思います。ネタバレ含んでいますので、苦手な方はご注意ください。
リンス国は、第一子に王位が継承されていく。
そのリンス国の皇太子・エルンストは第一子だったために次期国王となるべく帝王学を叩き込まれて生きてきた。が、彼が60歳になった時に彼は正式にクルベール病に羅関していると確認されてしまった。
大人になっても子どもの姿のまま成長できない病・クルベール病。
その病のために、皇太子という身分をはく奪され、そして貧しい辺境の地・メイセンの領主に任命されてしまったエルンストだったが、彼はその地でかつて自身の下男として働いていたガンチェという青年と再会し―。
というお話。
皇太子で、自分のことすら自分でしなくても良い環境で生きてきたエルンストが、病のためにその存在を「なかったこと」にされ、そして僻地へ追いやられ―。
うんうん、薄幸受けさんのお話かな?
と思って読み進めました。
が、序盤、軸になっているのはエルンストとガンチェの恋のやり取りです。
エルンストに恋焦がれ彼を追いかけてきたガンチェと、ガンチェの想いに引きずられるようにして恋人になるエルンスト、という流れ。
んー、この二人は、お互いにどこに惹かれたの?
と思ってですね、ちょっとテンションが下がってしまったのですよ。
この二人は「体液適合者」だそうで、お互い惹かれ合う、そういう関係なんですね。オメガバでいうところの運命の番的な?そんな感じなのかな。
それならなんと陳腐なことか。
と思って読み進めたのですが。
んー。
んんー。
この二人が恋人同士、というのは、今作品において軸になる部分ではあるんです。それは読み進めるとより強くその意味合いが増してくる。
が、今作品の面白さは二人の恋愛がベースではありません。
貧しい辺境の地・メイセンを、エルンストがいかにして豊穣の地へと成長させるのか。
そこがメインなんです。
エルンストは、皇太子という身分だったために、いわゆる庶民の暮らしに関しては無知なんですね。自分の身の回りのことすら、自身でできない。
が、愚鈍な人物ではない。
そして幼少期から帝王学を学んできたために、知識はあり、他者との交渉の術を知っている。
何より、彼自身の優しさと他者への思いに溢れた人物だ、ということ。
彼は貧しいメイセンを、そこで暮らす民を、いかに守るのか、幸せにするのか、そこに心を砕く。終盤の、彼と彼が対峙するオッサンたちとのやり取りがカッコよくて萌え禿げるかと思いました。
そしてエルンストが羅患しているクルベール病。
この病は、この作品の世界の中では決して珍しい病ではありません。が、その詳しい病理については何ら解明していないという病。
病に羅患する経緯、その治療法、そういったものは何もわからない。
この「クルベール病」という病を通して、彼のおかれた過酷な過去が見えてきます。皇太子という彼を巻き込んだ陰謀が。このストーリー展開が秀逸。
今作品には「三日月」という文句がタイトルにつけられていますが、ストーリー展開としては「朔月」「三日月」「上弦の月」の順にストーリーが展開していきます(旧版の方は分かりませんが、今作品は「朔月」「三日月」「上弦の月」、そして書き下ろしの「メイセンの春」が収録されています)。
このタイトルがまた良い…!
エルンストは「皇太子という身分を病によってはく奪された」という薄幸青年なわけですが、彼は「皇太子」という身分から解放されたことで自分自身を取り戻していく。そんな感じがしました。傍から見たら身分が降格し、何の不自由もなかった王宮の暮らしから貧しく辺鄙な場所へ左遷された、ということになるのでしょう。
けれど、皇太子ではなくなったことで、彼は彼の持つ知識、交渉術、そして彼の民への思い。それらを存分に生かすことができるようになった。それはまるで、月が満ちていくかのように。
そして何より、皇太子ではなくなったからこそ、ガンチェという心の片割れを伴侶として得ることができた。
ガンチェはもともと戦闘種族の人物で身体も大きいんですね。
一方のエルンストは華奢な種族である上に少年のまま成長しない病に罹ったために身体が小さい。
この体格差にも萌え。
合法ショタ、というと聞こえは悪いかな?
が、小さい身体でガンチェを受けいれようとする、そこまでガンチェを愛しているエルンストの想いに萌えが滾りました。ここで、「体液適合者」という設定が生きてくるのも素晴らしい。無理なく、相手を受け入れられるわけです。
BL要素は薄い、というのか、男同士の葛藤とか、二人の恋の成就、をメインに描かれた話ではありません。ありませんが、ストーリー自体素晴らしく面白い。そして濡れ場もそこそこあるので萌えもたっぷり。
めちゃめちゃ面白かった。
次巻の発売を、楽しみに待っていようと思います。