ツァイガルニクの恋の沼

Zeigarnik no koi no numa

ツァイガルニクの恋の沼
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神83
  • 萌×248
  • 萌11
  • 中立2
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
21
得点
642
評価数
146
平均
4.4 / 5
神率
56.8%
著者
月村奎 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
志水ゆき 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784813013297

あらすじ

「誰でもいいなら、別に俺だっていいだろう?」

都会から地元に戻って半年、
祖父母の経営していた市川糸店を継いだ
市川春音には好きな人がいた。
おさななじみで今は人気木工作家の二ノ宮航輝だ。
中学生時代、「男のくせに兄貴のこと好きなの?」と
軽蔑されたように言われて以来、疎遠になっていた。
でも、春音の姉と航輝の兄が結婚したこともあり、
Uターンをきっかけに親しくつきあうようになっていた。
好きだという気持ちは隠したままで。
だけど、やさしくされるほど恋する想いは強まって……
おさななじみのすれ違いラブ!

表題作ツァイガルニクの恋の沼

二ノ宮航輝,人気木工作家
市川春音,手芸店の新米店長

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数21

優しく甘く深い、恋の沼

ふあ。。。なんですかこの読後の多幸感とふわふわは…!!!!

毛糸玉に手編みのニットに手袋、暖かい暖炉の前で食べる手作り料理…

現実の自分の世界には到底出てこない、夢のような品の数々・:*+.

「夏」から始まり、季節のチャプター毎に紡がれるお話にときめきと胸きゅんが止まりませんでした…

両片想いの幼馴染、当て馬(に見せかけて全然そうではないのだけど誤解して暴走する攻め)、クリスマスイブのラブラブいちゃいちゃ…窓に映る自分と春音の姿を見つめて興奮する航輝……に興奮する私←

月村先生の「好き!」をぎゅっと詰め込んだ作品とのことですが、私の「好き!」もこれでもか!!と詰め込まれており、気のせいか小刻みに体が震えました。。。

中学時代に航輝が春音に浴びせた言葉は許されるものではないけれど、
再会後、そして想いが通じた後のスパダリ具合に「もんなんでも許してしんぜよう」という気になっちゃいました。

春音は手編みのニット・手作り手袋、航輝は家具店の職人なのでスツールそして手作り料理と、違いに自分の「手」で編み出したものを相手にプレゼントすることができるのって、とっても素敵ですよね。
(…全然関係ないけど、私も今通っている絵付け教室、頑張ろう!って思えました。完全に感化されましたね)

人肌恋しくなるこれからの季節、大切に読み返していきたい作品に出会えたことに感謝です◎

余談ですがタイトルの「ツァイガルニク」が気になって気になって、読み始める前に検索しちゃいました。

ツァイガルニク効果:中断された課題や未完の課題は、達成済みの課題より記憶に残る心理現象のこと。

だそうです☺︎(作中でも言及されてます)

中学時代、誤解し喧嘩別れしてしまった二人の未完成の恋…未完成だからこそ、お互いにずっとずっと忘れられなかったのですよね。
タイトルも小粋かつお洒落で、志水ゆき先生の美麗なイラストが作品の世界をより深めてくれていて、大好きな作品になりました。❤︎

1

燻る思いの最適解

再読なのに ついつい前のめりで読んでしまいました。
「そうそう、これこれ。両片思い やっぱサイコー!」と思いながら。幼馴染みのすれ違いラブ、大好物です。

春音(受け)というキャラが私は好きです。いい意味で普通の青年で、でもどこか品があって 好きな仕事には妥協を見せず、しっかり足が地についている。でも航輝(攻め)のこととなると・・・
自分の気持ちが相手に露呈することを何よりも恐れていて、追いつめられると言わなくていいことまで言ってしまう。この不器用さに愛着がわいてきます。
全編、春音視点で語られるので「それ、間違ってるからっ!勘違いも甚だしいから!!」て場面にいくつも遭遇するたび、切なさが じわじわと染み込んでくるのです。

中1の時、尚輝(航輝の兄)がきっかけで 航輝と春音が疎遠になる出来事が起こります。が、今現在 尚輝と春音の姉(夏乃)が結婚しているので、二人は姻戚関係。
【もうおまえは一生俺に話しかけてくるなよ! おまえみたいなやつ、大っ嫌い!】
と、過去に春音から暴言を吐かれたのは 航輝の中で無かったことになっているのか、再会した航輝は やたら親切でいい男になっているのです。おまけに 料理人になっても通用しそうなくらいに料理上手で、 お手製の料理を携え「ぬっ」と春音の元をたびたび訪れます。
こんな感じなので 航輝の本心が春音には読めなくて、接し方の正解がよくわからないまま…

お互い表面上は平静を装って なにごともなかったかのように交流を続けますが、春音の友人・航輝の職人仲間がそこに加わったあたりから 素直になれない臆病くんたちの物語が動きはじめます。
航輝が、誤解を招き度1200%の場面に遭遇してしまい(2度も!)、ひそかに打ちのめされている姿が気の毒で可哀想で でも二人の恋の加速度をヒートアップさせるには、この上ないスパイスで。読み手は思わずニヤニヤ悪い顔になってしまうんですね。

まだ一線を越えていない春音と航輝のたわいないおしゃべりの時間は、なんとも言えない戸惑いと 甘い感情が漂っていて、私は遠足前日の子どもみたいに 読みながら気持ちが逸って仕方なかったです。
月村作品の、この「来てほしいところで来てくれる感じ」何度味わってもいいし この先また何度でも味わいたい。

「ツァイガルニクの恋の沼」
【BLアワード2022】BEST 小説 10位

0

これだから現代ものはやめられない

ファンタジー作品も含めた多くのBL作品を読んできた中で、やっぱりの原点回帰。

現代もの最高ーーー(*´꒳`*)

現代もの作品に心惹かれる理由は、同じ世界に立ってると思う期待からです。私のすぐ近くで起きてるかも?と思うドキドキ感に、私はそれだけで萌え堕ちます。

月村先生×現代もの作品。最強タッグ過ぎる。
そんでもって大好きな幼馴染みときました……間違いない。そして間違いなかった。
面白くて読む手が止まりませーん。


春音と航輝の長い恋心が紡ぐストーリーに、それはそれはもうどっぷり。春音視点のすれ違いと誤解描写が主ですが、航輝の言動に間違いなく春音への愛を感じ取れたことに、妙な安心感を抱きながら読み進めることができました。

ストーリーの中に、色んなトラップが仕掛けられていて、これで誤解するなって言うのが無理でしょって思うくらいです。春音サイドでも航輝サイドでもそれが起こっているから、本当にややこしいしもどかしい。
それを軌道修正できるのは、告白一択。
さてさて、どちらから告白するのかな?…なんて、予想ゲームを脳内で展開してました(笑)

航輝からポロッと好きの言葉が飛び出したのをキッカケに、それまでの誤解と勘違いの答え合わせが繰り広げられていく会話が、とても面白かったです。

航輝のアピールが春音よりも分かりやすくてこれは結ばれたら相当に甘やかすだろうなと想像していたら案の定(笑)春音の部屋まで勝手に作ってしまう気の早い男に、ニヤニヤするしかありません。エッチも底なしのようだし、両想いに浮き出し立ってる姿は、幸せハイ。可愛いですね^ ^


親戚同士の春音と航輝だから元々「家族」の関係にあったけど、これからは本当の意味での家族になっていって欲しいと思いました。

1

ほっこり

この季節に暖かくしながら、まったり読んで欲しい作品です。
何気ないプレゼントの渡し方とその意図がお互い様でお前ら〜ってなります。かわいい。
周りの人達もみんな優しくてほっこりします。

1

ちょっとしたプレゼントの定義とは

いじっぱりで素直じゃない幼馴染の長い長い両片思い。

中学の頃、好きだった近所の幼馴染・航輝(攻め)に性嗜好を馬鹿にされたと思った春音(受け)は大嫌いと罵り、絶交を言い渡してから10数年。
東京に出て行って物理的に離れていたけれど、思い出深い祖父母の毛糸店を継ぐために会社を辞めて戻ってきて半年。
航輝の兄と春音の姉が結婚したことで姻戚関係になっており、お互い昔のことはなかったかのように親戚付き合いをしています。
昔は春音の邪魔をしたり意地悪ばかりしていたのに、人気木工職人になっていた航輝はすごい世話好きになっており戸惑う毎日を送っています。

絶交するまでは、編み物をしている春音の邪魔をしたり(自分の相手をして欲しい)、虫などが嫌いな春音に蝶を持って追いかけ回したり(綺麗なものが好きだから蝶は好きだと思った)と春音からしたら嫌がらせまがいなことばかりしていた(全く悪気はない)航輝は典型的な好きな子に意地悪する小学生男子で、それを嗜める航輝の兄(春音にとって今では義兄)の好感度が上がるイベントになってしまい、小学生の情緒でそれを理解するのは難しいとはいえ可哀想なことになってしまっていました。
結果なが〜い両片思いに発展したんですね。
最終的に今この歳になったからこそずっと続く関係になれたんだと2人は納得できていましたが、今までの苦労はなんだったのかと時々思い出したりするのかな。


「途中で放置しているといつまでも心に残る」
ツァイガルニの意味はこの作品で初めて知りましたが、私も編み物するので春音の気持ちがすごくよくわかります。見ごろとかパーツを編んでしまって満足して、完成まで辿り着かず放置した作品の多いこと。
悪い意味で、恋も同じなんですね。ちゃんと失恋してないから、いつまでも踏ん切りがつけられない。だからこそ、時がきて両思いにになれて良かった。


航輝は春音が東京から帰ってきてからも尽くしてたけど、両思いになってからのワンコ化した姿のギャップが‥
誰?って感じで面白かったです。
ただ、甘い2人をもっと堪能したかったです。

1

両片思いの幼馴染の再会もの

恋人がいるのでは?
やっぱり嫌われているのでは?と両片思いのすれ違いや、
攻めが間男(誤解)に嫉妬したりなど私の大好きな展開モリモリ。
攻めが甲斐甲斐しく受けの家に通って手料理を差し入れたり尽くしてアプローチしてるんだけど、受けは一体どういうつもりなんだ??と訝しんだりしてて気づいてないのが面白い。
そして引っ付いてから急激に甘くなるもの萌える。
攻めよ、その激甘な態度をもっと最初から発揮しなよ…と思うけど
攻めは意外と臆病で繊細な子でした。
受けが攻めの料理をいつも絶賛しまくるから
「料理ができない恋人っていいな(出来る人からすると簡単な並べて焼いただけのものでも感激してくれるから)」って言ってるのも面白かった。

3

フルパッケージ

幼馴染の拗らせ両思い再会もの
どこからどう見ても両思いなのに本人だけ気付かないってなんでこうも楽しいんでしょう
と手放しで言いたくなるほど完成されてる感じがします
二人それぞれに誤解を喚起するキャラがおり
すれ違いが入りつつ紆余曲折を楽しめます
受けちゃんからの一人称ですが受けちゃんが編み物作家一歩手前的なキャラで
攻めくんが人気の家具作家
子供の頃の幼さ故の誤解からそのまま疎遠になっていたけど故郷に帰ってきた受けちゃんを
あらゆる手段で溺愛の搦め手で攻めまくってる攻めくんの気持ちが(読者には)バレバレなのに
受けちゃん本人は全く気付かなく
ともうここまでくれば様式美な気もしますがそれが楽しい
そしてキャラクターの造形が良い
受けちゃんはフェミニンになりすぎず
攻めくんは過度にならない程には雄身がある
贅沢を言うならもう少し攻めくんを掘り下げてくれたらもっと良かった気がしますが
この二人は作り出すものでより性格を表してる気がします
彼らの作り出す空間やクラフトが脳内で素敵にレイアウトされちゃうので
二人の恋物語を楽しみつつ
二人とも手作り作家なためか感じのいい家具屋さんの片隅のコーヒーコーナーで一杯飲んでるような
雑貨屋さんや家具屋さんをウインドウショッピングしてる様な
ウキウキキュンキュン感を堪能でるお得な一冊だと思います

これに志水ゆき先生の挿絵です
モリモリです
フルパッケージです

5

やっぱり良い、月村作品

タイトル通り、やっぱり良いです。
好きだなぁ…月村先生の作品。
なーんとなく、最終的には大団円!
なのはわかりつつも、程よく
はらはら、ドキドキ、きゅんきゅん
良い波で感じさせてくれるんです。
また、これでもか!と言う程ぐるぐる
勘違い、すれ違い…笑えるほどというか
呆れるほどと言ったほうがよいのかも。
それがしつこくて嫌と感じるか
微笑ましいと感じるかは私達読み手次第。

そして、もうひとつの月村作品の素晴らしいところは、文字だけであたかも目の前に実物が見えるかの様な表現です。
それは、物であったり情景であったり季節であったり人物であったり…
様々なのですが、物語の中に引き込まれずにはいられない感情になってしまうのです。
それは、この作品に限ったことではありませんが、ここでは編み物や手作り品を業合とする男性と木工作家という、ちょっと専門的な職業の二人の仕事や取り巻く環境、その世界に引きずり込まれた感覚でした。

そして、今回もまた勘違いすれ違い…
読んでいて、ちょびっといらいらしてしまうところはたしかにあるのですが、月村ファンとしては、「お〜やってるやってる(笑)」となってしまうのです。

都会からちょっと離れた、素敵な自然と温かい人情のある、幼なじみ再会ラブ。
月村作品未読の方はぜひ、この世界感を味わってみてください。

12

誤解×すれ違い+嫉妬-期待≒♡

今回は幼馴染の家具職人と手芸店店長のお話です。 

誤解とすれ違いを重ね続けた2人が新たな関係を築くまで。

受様は高校を出て東京の服飾専門学校に進学、
アパレルメーカーに就職しますが
祖父母の手芸店を引き継いだ姉から閉店の相談を受けると
迷わず自分が継ぐ選択をします。

姉には猛反対されながらも店を引き継いで半年、
個人経営の手芸店の営業収入は微々たるもので
経営には苦労していますが、
編み物の仕事が大好きな受様が
この選択を後悔した事は1度も有りません。

開店時間に合わせて照明を入れ、
店の前にトルソーだして自作のニットや
ギャザースカートを着せかけ

ご近所さんに声を掛けらて雑談に応じ
店の脇のプランターに水をあげていると
見慣れた軽トラが店の前に停まりました。

窓からワイルドな顔を覗かせた幼馴染こそ
今回の攻めになります♪

攻様の実家は家具店で、
攻様は自分の工房で椅子専門の家具職人をしながら
家具店の配送を手伝っています。

攻様は受様の店の建てつけを直してくれたり
作品展示用の棚を設置してくれたり
料理が苦手な受様のために食事を差し入れてくれたりと
受様をいろいろと手助け暮れていて
受様もとても感謝しているのですが、

受様と攻様は中学生の頃に受様が
攻様の兄のために編んだセーターをきっかけに
仲たがいして長い間疎遠な関係だったのです。

この街に戻ってくる事で一番心配だったのは
攻様がどんな反応を示すのかという事だったのに
再会した攻様は疎遠な時などなかったかのように
普通に接してくるのですよ。

実は受様は攻様と諍いで攻様へ初恋心を自覚し、
今、再び攻様に惹かれていたのです。

果たして攻様の真意とは!? そして受様の恋の行方とは!?

椅子専門の家具職人である攻様と
祖父母の手芸店を姉ら引き継いだ受様という
幼馴染2人の恋物語になります♪

まずタイトルの『ツァイガルニク』とは!? と惹かれ
志水先生の美麗で意味深な小物使いにノックアウトされて
もう読む前から楽しみで仕方のなかった1冊でしたが
期待を裏切らない素敵な逸品でした (^-^)v

あるきっかけで関係を拗らせてしまった2人ですが
読者視線で見れば受様が戸惑う攻様の言動も
受様には見えない彼の気持ちも丸わかりです。

ゴ―ル地点は定まっている2人の恋の道のりを
受様と一緒になって攻様にドキドキさせられたり
受様の誤暴走(笑)にハラハラさせられたりしながら
とっても楽しく読ませて頂きました。

本作は何か大きな出来事があって
2人の関係が劇的に変わると言うものではありません。

普通の暮らしの中で感じる幸せ、楽しさ、苦しみ、
対人関係の中で抱く羨望、嫉妬、歓喜、

日時用生活の中で誰もが抱く感情が丁寧に描かれ
受様の言動にそうだよね!!って共感したり、
そうじやないだろ!? と突っ込んだりするのが
すっごく楽しかったです。

4

こういう話大好きです!

ここ暫く月村先生の作品にハマりきれなかったんですが、今作のお話は設定そのものが大好物でした。

長い間の両片思いとそれぞれの誤解、航輝の気持ちなんて読者には筒抜けなのに春音は悲しいかな気付いて無い、そしてお互いが勇気が無いもんだから要らぬ妄想をしてこんがらがってしまう。
もう焦ったくて焦ったくて、キュンキュンしどうしでした。

二人の日常描写が秀逸で、こんな丁寧な生活を送ってみたいと思ってしまいました。妄想の中で航輝の森の中の自宅兼工房を想像してみたり、寂れた商店街にあって懐かしさもあり小洒落た感のある春音の店を思い浮かべたりしました。

コロナ禍で家に閉じこもっている時間が長いので、余計に彼等の生活が眩しく感じました。

元から読者からは航輝は春音を溺愛していた事は分かってましたが、恋人同士になってからは春音をデロデロに甘やかしてて、両片思いになって浮かれてるのか丸わかりで微笑ましかったです。

ずっと壁になって見ていたいと思えるカップルのお話でした。

6

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