黄色いダイアモンド

kiiroi diamond

黄色いダイアモンド
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神38
  • 萌×213
  • 萌8
  • 中立1
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
19
得点
267
評価数
64
平均
4.3 / 5
神率
59.4%
著者
木原音瀬 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
鳩屋タマ 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
電子発売日
価格
¥890(税抜)  
ISBN
9784799753408

あらすじ

幼い頃走るのも泳ぐのも速かった勇は邦彦の憧れだった。
だが成長するにつれ勉強についていけなくなり、さらに家庭の事情でまわりからは浮きはじめ、ついには悪い仲間とつるむようになる。
そんな勇を叱っては真っ当な道へ戻そうとしていた邦彦だったが、ある日突然勇から結婚すると言われる。
優しくて本当の勇をわかってくれる相手と二人の間に生まれた子供。
勇が幸せな家族を持ったとき、邦彦は自分のこの執着が『恋』だったことに気づいてしまった。
今更気づいたところでどうしようもなく、この想いは胸に秘めたまま終わるはずだったが……。
勇の息子・俊一視点の「歯が痛い」、その後の三人と俊一の恋の行方が読める書き下ろし「十年愛」も収録。

表題作黄色いダイアモンド

片岡邦彦,25歳,サラリーマン
真田勇,25歳,男手一つで息子を育てている邦彦の幼馴染

同時収録作品歯が痛い

上岡邦彦
真田勇

同時収録作品歯が痛い

(仮)真田俊一,中学生
(仮)秋森悠生,中学生

同時収録作品十年愛

(仮)真田俊一,中学生→大学生
(仮)秋森悠生,中学生→大学生

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数19

あまりにもリアル

萌えたか萌えないかで言うと分からない。
好きか嫌いかで言うと間違いなく好きな1冊。
そんなことを思った作品でした。

木原先生作品の中ではかなりマイルドな読み心地かなとは思いますが、どの登場人物も本当に実在していそうなくらい解像度が高いというか、生活や言動のすべてがリアルすぎて時々苦しくなります。
痛くはない。でも苦しい。
飾らない言葉で真っ直ぐにザクザク刺してきます。
眠る前に少し読もうかなと思っていたはずが、苦しさと共に人間くさい愛おしい面が交互にやってきて、この先の彼らを見届けたいとページをめくる手が止まらず…気が付いたら朝になっていました。

読み始めて、邦彦の片想いがメインに描かれている作品なのかと思いきや、いやいやこれはそれだけではないぞとなるのです。
表題作の黄色いダイアモンドでは、邦彦視点で進む勇への長きに渡るずっしりと重みのある感情の行方を。
そして、彼と共に暮らす真田親子を追っていくと、複雑でいてぐちゃぐちゃとした人の営みが見えてきます。
中編・歯が痛いでは、勇の息子で中学生になった俊一の視点で子供社会の残酷さと大人の理不尽さ、多感な思春期のままならない心情と家族の愛情が。
短編・十年愛では、俊一の同級生の秋森視点で繰り広げられる、まるで過去の邦彦と勇をうっすらとなぞっているかのような別ルートの恋模様が新たな世界を魅せてくれています。

どのお話も、自分が今まで生きてきた人生の中で体験したことや見聞きしたことがある物事の断片があまりにもリアルに描かれていて非常に驚きました。
きっと誰しもが「わかる」ことが出来るエピソードが絶対にひとつはあるはず。
共感や想像が出来る悪意や感情、葛藤、そして愛情がこれでもかとストレートにぎゅっと詰められていて、人の良いところと悪いところが同時に見られる1冊です。
けれど、わざとらしさは全くなく、どれもこれもがあくまでも自然な表現なのだからすごい。

人は好き勝手にものを考えます。
好き勝手にものを言いますし、好き勝手に受け取ったり受け取らなかったりします。
良かれと思って言ったことだとしても、それをどう受け取るのかは相手次第。
過去の自分の発言を未来で後悔することだってあります。
案外、世の中は身勝手で一方通行な想いや考えで出来ているのかもしれませんね。

邦彦の粘り強さに拍手し、勇の成長に安堵し、俊一の苦悩に辛くなり、秋森の綺麗な傲慢さと変化を見守りました。
とびきりの惨めさから、とびきりの深い愛情まで。
どしゃ降りの雨から、雨上がりの晴れやかさまでが本当に丁寧に描かれた読み応えのある作品でした。

3

可愛い表紙に...

ここ数ヶ月、木原音瀬先生の作品のどハマりしています。

鳩屋タマ先生の可愛らしいイラストに惹かれて、「木原先生の甘々BLってどんなだろう?」と読み始めてみたら...何てこったい!

表題作『黄色いダイアモンド』の時点で既に甘々ではなかったんですが、『歯が痛い』はしんどいとかそういった問題ではなく...
とにかく不快感が先行し、何度か本を閉じました。
それでも木原先生を信じて読み進めると、最後の最後になってようやく光明が見えてきました。

神評価はBLとしての評価ではなく、広範な意味での作品としての評価です。

0

子供が出来、父性が生まれて、ダメ男が健全に幸せになるお話

よかったですー。
本書は3本立てになっていて、幼馴染みの勇(ノンケ)に子供の頃からずっと片思いをしている邦彦のお話「黄色いダイアモンド」(過去作)と、勇の息子・俊一が中学一年生の時の、彼をとりまく同級生や勇との関係を丁寧に描いた「歯が痛い」(書き下ろし・過去作に加筆修正)、中学生の時から俊一に恋をしている悠生のお話「十年愛」(書き下ろし) という構成になっています。

まず、勇のことから語らねばなりません。
彼は木原作品によく登場する、社会に適応できないタイプの人で、子供の頃の家庭環境がひどく、長じても生活能力が低く、物覚えも理解力も良くない。邦彦は幼馴染みで勇のことを好きだったけれど、好きだという気持ちを知られないように注意しつつ、陰になり日向になり時には口うるさく叱りつけるなどして長らく勇と一緒にいたわけなのですが、ある日勇に好きな女性が出来て、結婚して子供が生まれたりするわけです。(奥さんはとても優しく善良な人で、でも早世してしまう)
この勇が、木原作品によく登場する、社会に適応できないタイプのダメ男と違うことは、勇は圧倒的に根が素直で、不器用だけれど子供を愛し、子供のために苦手な事をコツコツ努力できるようになった、というところです。
私は、邦彦→勇の構図をみたときに、勇の悪意を心配したり、ふみにじられる邦彦を心配したりしてびくびくしていましたが、本書はそういう展開ではありませんでした。
「黄色いダイアモンド」こそ、それらしき片鱗は窺えましたが、結局そうではなかったし、「歯が痛い」においては勇の成長(? というとおこがましいけど)も実感できて、むしろ愛おしくもなりました。邦彦がどうして勇のことを好きか分かるような気もしました。

そして、「歯が痛い」においては、俊一の学校での虐めが描かれます。
「黄色いダイアモンド」では未就学児だった俊一は「歯が痛い」では中学一年生になっています。
読書とはいえ、えげつない同級生の加害描写には嫌気が差しますが、俊一がこの苦境をどう打開していくのかを見守るために熟読してしまいました。
結果、俊一の心の強さと勇の父性を目の当たりにし、勇の不器用で深い愛情に感動した次第です。
あとがきに、担当編集さんから「これはBLなんですか?」と尋ねられたと書いてありましたが、正直そんな些末なことはどうでもいいと思えました。
BLかどうかに拘るならば、この長いお話はこの後続く「十年愛」の布石であり、「黄色いダイアモンド」の続きでもあり、広義のBLといってよいと思います。
ただ、タイトルの「歯が痛い」は違うものでもよかったかもしれない……。
とにかく、このお話においても勇が切なかった。
俊一のことを生きがいだと思って、日々を生きている勇が切なかった。
学校に呼び出されるシーン、俊一に引っ張られてどこか遠くの街で野宿するシーン、とってもよかったです。
邦彦の前で弱音を吐くのも良かったです。

「十年愛」は、「歯が痛い」で俊一の同級生として登場した悠生が主人公。
中学生時代には悠生は思いやりという名の無意識の侮蔑とマウントによって俊一から敬遠され、理不尽な思いをしていて、気の毒でもありました。
(面倒くさいのはわかるけど、俊一も悠生に何がむかつくのかをはっきり教えればいいのに、とも何度も思いました)
その二人が高校生になり、大学生になり、関係が変化していきます。
悠生の気持ちは変わらないけれど、中学の時よりも視野が広くなっている分、耐えることも増えているなと感じましたが、それでも俊一への思いに勝るものもないようで、惚れた方が負けなのを地で行っています。
興味深いのはこのお話のウラで、邦彦と勇が結婚して一緒に住んでいることが描かれ、しかも勇が幸せそうだということが知れます。
よかった。よかったです、本当に。
勇は最愛の妻を亡くし、彼にとっては本当に生きづらい世の中を子供のために頑張っていて、報われて良かったと素直に思えました。

というわけで、木原先生の筆力のためにぐいぐい引っ張られるように親子の話を読み、途中やっぱり人の悪意は描かれるものの、メインキャラの成長やら幸せやらにコーティングされ、読んで良かったなと思わせられる本でした。

2

カナリーダイヤ

黄色いダイア=カナリーダイヤモンド。
  イエローダイヤモンド:
  ≪希望≫を象徴するパワーストーン。心を明るくして、前向きに生きるパワーを与える

粗筋に、共感できる部分は少なかった。
幼馴染の勇への気持ちは、憧れでもなく、恋愛だと気づいた邦彦
勇が結婚して、子供が生まれて、妻と死別。

勇が他人と恋をして幸せになる・・
勇に踏まれる足下の支え石でも良いと満足する邦彦。
励まし支える邦彦が、長い間報われない様子が凄く辛い。

物語は、勇より、勇の息子についてが多く占めている。
 息子は、邦彦の好意を全部ひっくり返す、故意じゃなくても憎らしい。

木原先生の、ドSな痛みを伴う物語・・人気作なので読んだけど、やっぱり苦手。
「幸せ」「幸福度」とは、他人が傍から見て決めるものじゃなくて、本人の感じ方次第、
と示唆するような作品。

0

黄色いダイアモンドは愛の象徴

メインの二人のお話は短めではありましたがとても読み応えがありました。
勇の家庭環境の劣悪さや勉強の理解が他の人よりも時間がかかり置いて行かれてしまう描写などが細かく書かれており、勇が俗に言う"ダメ男"になってしまうのもかなりリアルに感じ少しゾッとしました。この環境ならそりゃそうなるか、、と。そんな勇に人生のほぼ全てを捧げて生きる攻めの愛情には鬼気迫るものがありました。この男ぶれません。表紙だと爽やかリーマンお兄さんに見えますが、邦彦に新しい執着攻めを見た気がしました。基本的に勇への愛情故の行動が勇を更生させることなので常識人のように見えますが、これがもし暴力や監禁などなら立派なヤンデレだしそれくらいの重い愛情を持った男です。

邦彦に対して、どうしてこんなダメ男が好きなの?と思う自分はいましたが、読みながら理由なんてないんだよな、、と納得させられました。邦彦の愛の深さ、懐の深さは狂気的ですがとても素敵です。

勇は何より素直な人でそこがとても魅力的です。素直で人間味のある性格なので時に残酷な時もありますが、根っこが優しい子で読んでるうちにとても好きになりました。そして少しずつ成長し、俊一を懸命に愛する姿もグッときました。
勇を支え続けるぶれない邦彦もとても清々しくて、イジメなどの描写もありますが読後感がかなりよかったです。

後、「歯が痛い」は個人的に幼少期の家庭が貧乏なコンプレックスなど分かりみが深くて、、分かる分かる!と共感の嵐でした。

2

読んだのは旧版です

新装版は書き下ろし?で十年愛が入っているそうですが、私は旧版を読んだのでちょっと辛口かも。
甘い部分がなく、歯が痛いの終わりが…

妄想で色々考えられると思えばアリなんですが、木原音瀬作品の中では痛さ切なさがマイルドな分、甘さにも振れておらず、消化不良。新装版なら読後感が良かったのかも知れません。
個人的には挿絵がそれを助長していたというか、可愛らしすぎてミスマッチに思えました。(あくまでも読んだのは旧版の方です)
もう少しキツめの挿絵ならピリッとした感じで良かったんじゃないかと思いました。

1

えっ…痛く……ない?

いつも木原音瀬先生の作品を読む時は心の準備をしてから読むようにしていますが、本作は多少のいさかいはあるもののほとんど痛いシーンがありませんでした。
正確に言うと、学校でのいじめの描写があるので、それが読んでいて痛々しくはあります。

表題作のほか、2作が収録されています。その2作は表紙の子どもが成長した時の話になります。

過去に発売された作品の新装版ということで、加筆修正も多少はあるようですが、安定の木原先生作品といった感じで読み応えは十分でした。

2

片想いの温度差と惨めさが堪らない

今回も辛くて泣いた・・・
紙書籍発売から2ヶ月、電子発売を待ち呆けていましたが、こんなに長引いたのは電子処理班が「辛くて先進めんわ(泣)」と休み休み作業してたんだと思う事にしました。

「その子を知らざればその友を見よ」は荀子の言葉ですが、この作品は勇という人間を形作る幼馴染の邦彦と、勇の息子俊一視点のお話でした。
書き下ろし一篇「十年愛」は俊一を好きな同級生のお話(20年前のキャラクター達がハッピーエンドになるって、なんて素敵な話でしょう)。

木原先生は、好きになった方と好きになられた方の気持ちの残酷な温度差を書くのが抜群ですよね。「美しいこと」でも「期限切れの初恋」でも、好きになられた側は当然平気でお構い無しに振る舞うし、好きになった方は惨めにも卑屈にもなり、何を行動しても無意味に帰す。片想いの辛さにド共感します。
でも側から見ると、惨めになるほど相手が好きな姿って、可愛く見えますよね。それがスーツを着て日頃ビシッとしている男性なら尚更。

咄嗟に告白してしまったことで、思いの外呆気なく二人は上手いこと丸く収まりました。が、次のお話「歯が痛い」は、勇と息子俊一の生活の戦いが描かれ大変苦しいものでした。
清掃会社で働く父勇を馬鹿にされ、臭いといじめられる俊一。いじめの相談も解決も出来ない俊一に焦れつつ、自分の為に働く父を大切にし庇う中学生の姿が辛くて辛くて号泣しました。
ここまで来るとBLということを忘れ家族ドラマじゃ…と泣いていたところでBLを息子が発見してしまい、思春期の男子の心はズタズタに(不憫)

勇の学生時代、俊一のいじめる側、周囲の目に勇は落ちこぼれで勉強が出来ない(家庭環境も影響して)どうしようもない奴なんですが、大切な人には掛け値なしで愛されている。そこに勇の芯があり、読者には勇がどうしようもない奴には思えない眩しい存在になります。

他の作品と違うところは、莉久ですね。勇の妻で、邦彦と同じく勇を純粋に愛し、女神のような存在で居続けた女性はBLジャンルでは珍しいのではないかと思いました。

欲を言えば、邦彦と勇と俊一3人でダムを見に行くくだりが欲しかったな。
鳩屋タマさんの絵はふんわり甘々で好きなのですが、この作品のイメージより甘過ぎに感じました。勇不細工寄りの設定なのに…
でも新装版にピッタリで新鮮なタッグだと思いました。

5

木原作品にしては安心物件?

木原さんにしては甘い、と言えるのか。もちろんすんなりとは行きません。そこに至るまでには長い長い道のりが。前半は父親のラブストーリー、後半はその息子編。邦彦×勇編は勇が序盤は相当嫌な奴でした。境遇に同情すべき点があったとしても。攻めの人生はボランティアというか勇を困窮から救い出すのがライフワークという感じ。粘り勝ち。指輪のシーンは泣けました。

息子の俊一編は思春期の学校もので、いじめがテーマの一つだったので読むのが辛かった。俊一を好きな秋森はいい奴だけど実家が医者というとBLでは嫌な予感しかしません。医者は裕福で恵まれてるけど色々家に縛られてる事も多いのよ。特に手強いのは母親。この辺詳細には書かれてないけど将来的には修羅場になりそうな母親でした。

俊一と勇は似てないけど自分に恋する相手への無神経さにはものすごくDNAを感じました。木原さんの小説は読み出したら止まらない、読者をその世界に引きずりこんでしまう勢いがあるのが相変わらずすごいなと思いました。

3

リアルなんだよなぁ

先生がツイで「甘々な波が来てる」と仰っていたので
ほうほう、ならば安心安全じゃな
と、完全に油断しきっておりましたが。

え〜〜〜ん
まぁまぁ痛かったよ〜〜

いや、やっぱり木原先生の作品はリアルなんですよね。
BLなのに全然ファンタジーにしてくれない。

邦彦と秋森の独りよがりの愛も、それに対する勇て俊一の拒絶も、登場人物たちの台詞ひとつひとつが刺さる!!
読みながら「木原節が沁みるぜ〜!!」と久々に震えました。

確かに十年愛だけを切り取れば甘々ではありましたが、、、。

しかし、我らはこの癖になりすぎる刺激を求め、今日も木原作品を読むのであります。


表紙のキラッキラしたテンションに騙されてはいけない



10

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