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amagawa wo tojiru natsu
体調が悪く駅までの道をふらふらと歩いていた新は、偶然通りかかった光代に車に乗っていくよう声を掛けられる。
助手席から下りてきた恭介にやんわり断りを入れているところで倒れてしまい、次に目覚めたときは恭介たちの家で…という、偶然の出会いから始まるお話でした。
世話焼きの光代に気圧されながらも
食事を共にし、当たり障りのない会話をして。
そこに居る新は元気そうに見えたけど、病気のことはどうしても濁してしまう。
そんな新の様子を見て、恭介の"優しいお節介"が始まっていったんだなと思いました。
田舎での自然体験をまるで小学生のようにはしゃぎ楽しむ新の姿は無邪気で明るく、健康そのもの。
でもふと、電話の音に怯えたり過去を語る顔が曇ったり…
そんな様子に気が付いている恭介がそれを問い正すことなく見守っている感じが良かったです。
そして明かされた新の過去はとても重く、辛いものでした。
その日々を「乗り越えた努力」を
否定され続けたせいで新自身は気付いていなくて。
でも恭介はすぐに気付いて新の努力を認めている場面はグッときました。
その後パワハラ上司を殴りに行った恭介の行動力に感動。
それが衝動的だったとしても新を守りたい気持ちがすごく伝わったし
そこからまた、周りの人の気持ちも変えて物事が動き出すきっかけになったのは本当にすごいことだなと感じました。
大切な人の為に動くことができる恭介も
自分のツラさを人にぶつけない新も
とても強い人間だと思います。でもそれだけでは壊れてしまう。
弱さを見せることができる相手が居て、補い合えればその強さはもっと大きなモノになりますよね。
なので、きっとふたりはお互いにバランスよく支え合える相手に出会えたんだなと思いました。
人と人との温かい繋がりをじんわり感じられるような美しい作品でした。
タイトルがまさに作品の中心をとらえていて、感動しました。
恭介とその家族と過ごす雰囲気は、優しくて暖かい。
けれどふと差し込む新側の事情は、あまりに重くて辛すぎる。
この新の経験した過去の仕打ちは、似たような経験をした人にはフラッシュバックしてしまうかも。
それくらいにはリアルで、新が今の状況でいられるのは、なんて幸せなんだと考えてしまいます。
傘をずっと差さなければいけなかった新が、恭介に出会って差す必要がなくなるまで。
じっくりと丁寧に、心情描写も踏まえて描かれています。
新が恭介に出会えてよかった。
個人的に恭介の、大人っぽいけれどきちんと高校生の子どもっぽさも持ち合わせている、そういうところが好きでした。
この作者様って前作が、『凪子の話』の方だったのに驚きです。全然気が付かなかった!前作がすごく良い話でお気に入りの作品だったのですが、今作はまた違ったテイストのお話で、BLというよりか人間ドラマっぽいですね。表紙がとても綺麗で涙ぐむ傘をさした高校生?くらいの可愛い男の子!これは切ない系のお話かなと思ってたのですが、社会の闇とか暗部を感じるお話で多分こういうことってどこでも行われてることなんだろうなと
それでも新は頑張りすぎて、心が壊れちゃった
好きな人のために、会社に乗り込んでいってクソ上司殴った恭介は、ほんとにカッコいいしまさにヒーローです
恭介や光子さん旦那さんに出会えて、癒されていく新
救いのお話でした。
最後は守屋さんが、クソ上司の悪事を暴こうと動いてくれてました。やはりそういう世の中にしていかないと
純粋で優しい新みたいな人が救われないなとおもいますね。( ・`д・´)