狼王は金の子山羊を溺愛する

ookamiou wa kin no koyagi wo dekiaisuru

狼王は金の子山羊を溺愛する
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×27
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
4
得点
54
評価数
13
平均
4.2 / 5
神率
30.8%
著者
釘宮つかさ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
やすだしのぐ 
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
プリズム文庫
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784775529638

あらすじ

狼族のヴォルフ王家に伝わる伝承により、山羊獣人の一族は村を与えられ、王家に守られて生活をしている。
そのひとりであるシリルは、数百年に一匹といわれる金色の毛をもって生まれ、『奇跡の子山羊』として崇められ、身を守るためにその事実を隠されて生活していた。
そんなある日、森に迷い込んだ少年・ラウリーを助けたシリルは、数年後、なんと王の婚約者として指名され……!?

表題作狼王は金の子山羊を溺愛する

9歳→20歳,レーンフェルト王国のヴォルフ王家の王太子→王
5歳→16歳,「奇跡の子山羊」と呼ばれる山羊獣人

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数4

狼獣人×山羊獣人、もふもふ二人の両想い&ストーリーの深みに一気読み

釘宮つかさ先生の作品が大好きで、いつか全作品制覇することを夢見て少しずつ集め、読み進めています。

釘宮先生の柔らかく、読みやすい文体、そして情景や心象風景がパッと浮かび、頭と心に入って来る文章が大好き。

こちらの物語も、とても面白かった…!
個人的に大好きな”けもみみモフモフ”、”溺愛”、”ストーリーの深み”と三拍子揃ったファンタジー✨読み応えがありました。

電子で拝読したのですが、挿絵がなかったのは残念、ちょっと悲しい( ; ; )
二人の「7日間の儀式」や迎えた初夜の様子がとてもロマンチックかつ、濃厚だったのでイラストでもぜひ濡れ場(だけじゃないけれど!)を見たかったなあ、と思いました。


舞台は狼獣人の王族が治める王国。
昔、王の暴走を防ぎその心を鎮め、国に平和をもたらしたとされる山羊獣人の一族も狼獣人による手厚い保護のもと、王国に暮らしています。

そこで生まれた特別「金の子山羊」「奇跡の子山羊」であるシリル(受)は、身の安全を守るためその事実を隠し、孤独にひっそりと日々を送っています。

そんなある日、森に迷い込んできた王太子で後の王・ラウリー(攻)を偶然助けたことから交流が生まれ、やがて婚約者に指名されるのですがー

と続く、獣人同士のファンタジーです。
狼と子山羊という体格差も良い♡

お話の見どころは、BL的萌えの側面では
攻め・ラウリーの溺愛一途執着ぷり、シリルを守り抜く格好良さ。

そして恋愛以外のハラハラ、ドキドキ要素としては

・一体いつ、シリルの隠している真実がラウリーの知るところとなるのか?
・シリルが襲われた事件の黒幕は誰なのか?その理由とは?

といったところでしょうか。

このBがLする展開も(両片思いですらなく、圧倒的両想いなのがまた萌えます)、またハラハラ事件の方も、ぐっとのめり込み集中して読んでしまう面白さ。

特に事件の方は、黒幕の正体については比較的容易に想像がつくものの、
なぜ?どうして?という理由・動機の部分に思いもよらない事実があり、あっと驚かされました。

彼の過去を考えると、どうしても「悪い奴!」と切り捨てることができない自分が、、

事実上の死刑のような厳しい追放措置となった彼に、何か少しでも救いが訪れてくれますように…という気持ちです。
(シリルは本当に命が危なかったので、当然の報いではあるのですが;)

黒幕の方の事情・過去にも共感を覚えてしまい、切なさが込み上げました。

シリルの誤解から始まる脱走未遂と大ピンチにはヒヤヒヤしましたが、
そこで攻めが攻めらしく立ち回り、しっかり守ってくれる心強さよ〜!・:*+

そんな騒動もなんとか丸く?収まってほっとしたのも束の間、
今度はラウリーが正式な王となるための「7日間の儀式」なる官能的な展開の始まりに、頬が勝手にニヤついてしまって困りました笑

二人が本当の意味で体を重ねるのは終盤の初夜のみですが、この儀式がとにかく甘くて濃厚でえっちな香りがして…大変、良かった!!(語彙力...)萌えました。

狼獣人ならではの長ーい舌を使っての、ねっとりとした乳首舐め・攻めフェラ描写がとにかく癖に刺さる!!
心臓どんどこ言わせてながら、文字と文章を追っていました。

初夜の交わりに興奮したラウリーの腕に狼の毛が生え始め、指先には爪が出てきてまさに変化寸前ー!となった時の、シリルの描写にグッときました。
健気受けの健気さは本当に胸を打ちますね...✨

数年後、結婚した二人に双子が生まれて…という終盤のあまーーーい展開も嬉しかったです。待ってましたー!と歓喜。

狼パパが一人を背に乗せ、子山羊ママが一人をしっかりその腕に抱えて仲睦まじく微笑みあう様子が鮮やかに頭に浮かび、甘い気分に浸ることが出来ました。

電子限定SSの、ラウリー視点のお話もしっかり溺愛、甘くて大満足です◎

また事件要素にハラハラしながらも、しっかりロマンチック気分に浸れる。
そんな奥深いファンタジーでした・:*+


1

怒涛の展開が!

電子書籍が割引きになってると知り購入してみました。
釘宮つかさ先生の作品なので安心していたのですが、序盤まではちょっと違ったかもと思いながら読んでいました。

『奇跡の子山羊』と狼族の王のお話が何回も出て来て、「いや、もうそれ知ってるし」と突っ込みを入れていました。もしや、今回はハズレだったかもと思い始めた時でした。シリルがラウリーの「成年の儀式」に参加する為に、王宮を訪れてからグッと面白くなって来たんです。

ラウリーと義母の王太后との確執や、あまりにもシリルに厳しい村長の態度がシリルの従者であるリニによって明らかになると、誰が敵で気を付けなければならないのかと、読者は一緒にドキドキしながら読むことになるのです。

途中、世間知らずなシリルが護衛騎士の立ち話から誤解してとんでもない行動を取ってしまいます。案の定危機的状況に陥るのですが、ラウリーとその部下たちによって救われていました。

このラウリーがですね、シリルが大好きで大事過ぎてついつい過保護にしちゃうんです。心配させまいと話さないのでシリルがグルグルしちゃってるんですよ。

なのでラウリーが王として認められる7日間の儀式も当日話すし、シリルの気持ちを慮ってしなくても良いとか言い出すんです。オイオイってなりましたけど、この儀式が箱入りのシリルにとっては難易度が高いのも確かでした。電子で購入したので挿絵がないのが残念でした。www

凄くまどろっこしく感じたのはシリルがラウリーの心配を聞き入れずに、一度村に帰ると言い出した時でした。優しい山羊族の皆が大好きな気持ちは分かるけど時期を待とうよ!って突っ込みを入れたら案の定って感じでした。

この頃には狼族にとって山羊族がどれだけの存在か分かっているので、諸悪の根源はアイツだなと分かって来るんです。ですが、何故シリルをそこまで憎むのが理解出来ませんでした。
だってどう考えても八つ当たりでしかないんです。元々の性格が悪いとしか思えませんでした。

シリルがある時から妖精の声が聞こえなくなったり、獣体を取れなくなった原因も想像通りでした。

今回の作品はかなりわざとらしい面が鼻に付いたので萌2にさせていただきました。
個人的にお気に入りのキャラはシリルの従者のリニでした。かなり聡明で物事の本質に気が付いてて、黒幕を危険視してた事に脱帽でした。彼のお話も読んでみたいと思いました。

1

儀式の根拠!

物語の何重もの仕掛けと発想に敬意を表して萌×2で!

なんと主人公は山羊の獣人さんです。しかも金色の!国に安寧と平和をもたらし、狼王を救ったという伝説の。

とても読み応えがありました。
主人公の幸せを祈りながら読み進め。

ハラハラしたり、ええ!となったり波乱もありつつ、基本溺愛狼王と子山羊ちゃんが無事に結婚するまで。

主人公シリルが切ない境遇なんですよね。なぜここまでシリルが金色なのを隠すの?こんなに一人ぼっちにするの?ともっともらしい規則が…実は…なからくりで。

そしてなんといっても王ラウリーの即位の儀式が!
何そのプレイ!何の根拠でそれが儀式?しかも1週間も!
萌えましたともっ!

お話はとっても凝ってたんですが、シリルが金色をあんなに必死に隠してきたのに、あ、打ち明けるんだ?な感じというかタイミングで。
いや、早く打ち明ければいいのにとずっと思ってたのですが。

うーん、なんというかお話はとっても凝ってるし、何もかもお前か!みたいなのもあったり、ハラハラするんですが…。

萌えはそこまで…。ごめんなさい!発売日のレビューでこんなことを。あくまで個人の感想です。
読み疲れかなあ。

伴侶はお前だけだってのにしびれました。愛の証ですよね。

4

独特の世界観、奥行きのあるストーリーに激しく萌える。

釘宮さん作品というと、モフモフ、あるいは獣人、といった作品を多く書かれる作家さまのイメージが個人的に強いのですが、今作品もそのイメージを損なうことのない獣人のお話です。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






レーンフェルト王国、という国が舞台。
この国には狼族のヴォルフ家という王族がいて国を治めている。
そして、この国にまつわる童話がある。

かつて王である狼が傲慢になり、国が亡びる寸前というところまで来てしまった。そこに金の毛を持つ山羊がやってきて、王をなだめ、再び国を守った。

というもの。
それ故に山羊たちは狼族に守られ、深い山奥でひっそりと暮らしている。そして、金色の毛を持つ山羊は「奇跡の子山羊」と呼ばれより一層大切にされる。

といった世界観のお話です。

主人公は、その奇跡の子山羊と呼ばれる、金色の毛を持つシリル。
精霊たちを見ることが出来、彼の祈りによって世界は平和を保たれる。

そんな有能な能力を秘めているシリル。
けれど、彼が幸せかというとそうではない。金色の毛を持つがゆえに常に他者から命を狙われる存在でもあるのだ。それ故に、彼が金色の毛を持つことは村の中だけの秘密。村の外の人にバレないように、どこかに自由に行くことすら許されていない。

そして、奇跡の子山羊ゆえの責務もあったり、彼の存在を守るがゆえに彼の両親は早逝してしまったという過去もある。

そんなシリルは5歳の時に一人の少年に出会う。
村人以外に姿を見せてはいけないと言われていたシリルだったが、彼が見つけた少年は怪我をしていた。助けるためにその少年・ラウリーの前に姿を現し、そして彼を助けるために奮闘する。

それ以来、シリルとラウリーは1か月に一度だけ、逢瀬を重ねていくが―。

というお話。


シリル、そしてラウリ―。
この二人の男の子たちを取りまく世界観が非常に独特で面白い。
独特な世界観を持つ今作品ですが、釘宮さんの文章がとってもお上手でかつ読みやすいためかスルスルとこの作品の持つ世界観に引きずり込まれてしまいます。

タイトルとか表紙とかからも推測できてしまうので書いてしまいますが、ラウリーは狼族の王族、というか王太子なんですね。で、次期国王であるラウリーに、シリルが溺愛され幸せになりました。と、まあ一言で言ってしまうとそういうお話なのですが。

この二人の恋愛という軸においては、ずっとブレがありません。
甘々で、優しい空気感が常に漂っています。シリルが金色の山羊、というのはかなり後まで伏せられているのですが、このこと自体は二人の障害になるどころかプラスにしか働かない事項なので、どうやって話を展開させていくのかなー、なんて思っていたのですが。

いやいや。
めっちゃ面白かった…!

金色の毛を持つシリルは、いろいろな人から狙われる存在。

見目麗しく、特殊な能力を持ち合わせている受けさん。その受けさんは、そのビジュアル・能力から多方面から狙われるけれど、そこをもれなくスパダリである攻めが守り抜く。

こういう展開って、ある意味BLでは王道の展開で、萌えはしますがまあ珍しくもなんともないストーリーかと思います。

が、今作品は、そこに、もう一人のキーパーソンが加わってくる。
この人物の存在が、王道のそれらとは一線を画すものにしています。序盤からきちんと伏線がまかれているので、読後、ああ、あれはそういう意味か!と繋がっていく感じ。
この人の過去の話とか読んでみたいなあ…。

シリルという青年は、すんごく薄幸なんですね。
けれど、彼自身の本質が、彼自身を守っている。それ故にシリアス過ぎず、ラウリーといった溺愛攻めの存在もあって甘々で、さらに「とある人物」の登場も加わることでストーリー自体奥行きがある感じ。

やすださんの描かれた表紙もナイス。
ラウリーのイケメンっぷり、シリルの少年ぽさを残したビジュアルにめっちゃ萌え。

だがしかし、電子だと挿絵がない…。
買うときに「イラストないよー」という注意書きを確認してから購入したので諦めてはいましたが、うん。挿絵も堪能されたい方は電子ではなく紙で買われることをお勧めします。

脇を固めるサブキャラもみんないい味出してます。
スピンオフとか、続編とか、いっぱい書けそう。今作品の世界観がめっちゃツボだったので、ぜひとも書いてほしいなと切望しています(釘宮先生の書かれたあとがきを拝見して、より一層その思いは強くなりました)。

あ、あともう一点。
ラウリーが王になるために行う必要のある「儀式」。これがね、
エッロ!
あんまり詳しく書いてしまうとネタバレし過ぎちゃうのでちょびっとだけ。

まっさらさんのシリルに、あんなことを仕掛けるラウリーですが、

アンタ、絶対楽しんでるよね。
でも、GJ!
と、称賛を送りたいです。

4

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