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花がいっぱいの寝床できみを愛したい
ouji to omega no himitsu no hanayadori
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
切なくも甘くてロマンチックな、おとぎ話風オメガバース作品になります。
こちらですね、故国を救おうと重い使命を負う主人公と、ストーリー自体は結構過酷なものなんですよね。
なんだけど、印象としてはひたすら美しいしただただロマンチック。
もう、うっとりとため息しか出てこないんですよー!
これな、二人の愛がとにかく純粋なのと、健気で芯の強い主人公に穏やかで心根の優しい攻めと言う、彼等のキャラのおかげだと思うんですけど。
特に攻め!
彼の愛の大きさにはとにかく感動しまくりでした。
萌えまくりでした。
ああ、攻めがみんな彼みたいだったら、しょうもない誤解で傷付く受けは激減するだろうに。
終盤、おとぎ話の素敵な結末に、涙が出ちゃいましたよ。
美しすぎるわ。
こう、ストーリーとしてもめちゃくちゃ面白いので、ロマンチックで優しいお話がお好きな方に全力でオススメ。
個人的に作者さんのお話では「禁じられたアルファの子 」が一番好きなんですけど、こちらも負けず劣らず好きになりました。
傑作だと思います。
で、内容です。
エデッサ公国の第二王子でオメガのシダ。
魔女によって狼の姿にされた兄の呪いを解く為、聖なる森で糸を紡ぐ毎日なんですね。
そんなある日、平和で美しい隣国レオニードの王子と、そうとは知らずに出会って・・・と言うものです。
まずこちら、両視点で進みます。
二人は聖なる森で互いの立場も何も知らず運命的に出逢うんですよね。
美しくまるで妖精のように儚い不思議な青年・シダ。
そして穏やかで優しく、共に過ごすだけで心があたたかくなる素敵な人・レオニード。
実はシダですが、魔女からは見えなくなる特別な薬を飲んでたりするんですよね。
しかし、声を出せば魔女に見つかってしまう・・・。
そんなワケで、彼は一切喋らないんですよ。
そう、一言も話さずに呪いを解く為の薔薇の絨毯を一人で作り続けると言う、かなり過酷な状況でして。
これね、そんな受けが言葉を話せないと言う状況ながら、それでも二人が丁寧に愛を育んで行く過程がとにかくロマンチックで、めちゃくちゃ萌えまくりなんですよ。
えーと、攻めであるレオニードですが、豊かな国の王子ながら、すごく心根の優しい青年なんですよね。
人を傷付ける事が苦手で、そのせいで周囲からは若干侮られがちなんだけど、そんなのはどこ吹く風でサラリと受け流す。
そして、とにかく誠実。
シダに惹かれる自分の気持ちを真っ直ぐ伝えるんですよ。
ちょい格好悪い部分まで。
もう、彼が「生まれて初めてこんなにも人を愛しいと思った」って調子で真摯に心を伝えるのに、ひたすら萌え転がっちゃって。
また、言葉を話せないシダはですね、詩集の中の一編で自分の気持ちを伝えるんですよね。
この詩自体が、切なくもロマンチックでとにかくうっとり。
ああ、汚れた心が洗われるような純粋さ。そして美しさ。
しつこいけど、うっとりとため息しか出てこないじゃんよと。
こちら繰り返しになりますが、両視点なんですよね。
その為、故国を救おうと自身の身を捧げた為に、レオニードの思いに応えられないシダの悲しみ。
そして、そんな彼の事情は知らないまでも、何か重いものを背負っているであろうシダの事情を察し、ただただ深い愛で守ろうとするレオニード。
それぞれの思いが読者には分かる為、切ないけどめちゃくちゃ萌えちゃう。
こう、攻めの愛が揺るぎ無いので、切なさと運命の意地悪さにただただ酔いしれる事が出来ると言うか。
くっ、なんてなんて美しい愛なの!と。
ちなみにここから、シダの兄に呪いを掛けエデッサを乗っ取った魔女により、シダはかなり厳しい状況に置かれます。
疑わしき立場に置かれちゃうと言うか。
本当、ストーリーとしてもめちゃくちゃ面白くて、読者は気が気じゃないんですよ。
グイグイ読ませてくれるんですよ。
でもそんなストーリーとしての面白さと同時に、レオニードの深い愛にとにかく感動で。
こう、ただただ真っ直ぐシダを信じて、彼の為に行動するんですよね。
レオニードのセリフに、マジで涙が出ちゃいそうになった。
またこれね、シダはシダで懸命に動くのに、すごく心を打たれて。
彼もまた、レオニードを守ろうと自分の精一杯で戦うのです。
もう、こう言うのめちゃくちゃ弱いんだけど!
ああ、結末まで素敵すぎるわ!と。
えーと、若干、この魔女との戦いの顛末が駆け足と言うか、簡単な気はするんですよね。
でも、二人の愛が素晴らしいから、全然問題無いの。
むしろ、「全て丸く治まりました」でもいいくらいなの。
二人の愛が素晴らしいから。
エピローグがですね、レオニード視点で書かれてます。
これがまた秀逸で、言葉が交わせるようになって分かったシダの、意外な所。
そして、互いの本音。
知らなかった部分を知って、幻滅するどころかますます好きになる。
そして彼も、どんな自分でも愛してくれるー。
ああ、愛って本当に素晴らしいと、まるで心が浄化されたような心地になっちゃいましたよ。
ここが今作の集大成だと思います。
ところで、敵役である魔女ですけど。
彼女の理由と言うのが、ちょい悲しいですね。
悪役だけどちゃんとバックボーンがあって、彼女の苦しみもある。
少ししんみり来る。
こういう風にそれぞれにドラマがある所も、この作品の素晴らしさだと思います。
ラストが気になりまくりで、ページをめくる手が止まりませんでした。
受け様は、エデッサ公国の第二王子でオメガのシダ。
義母で魔女のイリナが兄を狼に変えてしまい、その呪いを解くために1人『聖なる森』へ。
薔薇を育て、その薔薇を使って糸を紡ぎ、魔物を払う絨毯を作る。
その間、言葉を封じなければならない。
ここで出会うのが、攻め様であるスタボリア国の王子レオニード。
何事にも執着せず、流されるように生きてきたレオニードは、ひたむきに薔薇の糸を紡ぐシダに惹かれていく。
これがなぁ、もう理想の攻め様!!
誠実で常にシダの気持ちを気遣う思いやり深いリオニード。
両視点で進むお話なので、2人がお互いに相手を愛しく大切に思っているのがわかり、とてもとてもきゅんきゅん(*´∀`)
冬になり、森が雪で閉ざされる前に一緒に来て欲しい、と乞われシダはレオニードと共に彼の住まいへと向かうと、そこはスタボリア王国のお城で。
兄、ひいては祖国を救うまでは、とただひたすらに絨毯を編むシダと、そんなシダの想いを汲んで大きく柔らかな愛で接するレオニード。
ささやかにひたむきに確かな愛を育んでいた2人( ´,_ゝ`)
そんな中、魔女イリナにシダの存在を知られ、窮地に陥る2人。
シダを信じて送り出すレオニードがもぅ、カッコいい!
何度でも惚れ直す(≧▽≦)
魔女裁判が落ち着くまでが、え!?それでよかったの!?とあっけなかったけど、まぁ大事なとこはそこじゃないからね。
2人が真実の愛で呪いに打ち勝つまで、ハラハラドキドキしながら読ませて頂きました(つд;*)
真実の愛は何よりも強い。
まるで映画でも見たようにドラマチック(///∇///)
そしてまた、エピローグがステキでした。
確かに、薔薇の糸を紡ぐシダは健気で儚くて聖霊みたいな雰囲気でしたものね。
そんな自分は湖面に映った月だと切なげに言うシダ。
そんなシダを慌てて抱き寄せるレオニード(*^^*)
魔女の呪いがなくなってめでたしめでたし、で終わりじゃなくて、こんな風に2人のこれからを笑みを添えて見せてもらって、とても微笑ましく嬉しくなりました。
イラストはyoco先生。
それはもうお話ピッタリのステキなイラストばかり。
yoco先生の繊細で美しいイラストがこれ以上ないくらいお話に花を添えて下さってました。
辛いけど幸せで、御伽噺としてのオメガバースに浸ることができました。
2人して試練を乗り越えるまでの過程が甘くてあまくて...
とても幸せな気持ちで読むことができました。
文章として描かれる描写も、yoco先生の挿絵もただただ美しい。
とにかくシダの境遇が不憫なので、レオニードとの関わりは救いでした。彼の手を取りたいけど取れない、シダが可哀想すぎて...
報われてほしいのに、さらなる試練がシダを襲います。
幸せな展開と、シダへの辛い仕打ちの板挟みで、読みたいけど先へ進みたくない気持ちで揺れてしまいました。
大きな試練が去っていく描写は、個人的にあっさりすぎだなあと思ってしまいました。
あれだけシダにいろいろとしておいて、シダの知らないところで解決してしまうのは疑問が残ります。
でも、その試練がなくなったから2人は幸せになるので...
エピローグでは、大きな幸せと少しの驚きを味わうことができました。
カバーデザインから受ける印象が、内容とリンクしているので、ぜひ読んでみてください。
華藤先生のオメガバ作品は大好きで欠かさず購入しています。
先生が実際に旅行されて詳しいからか、ヨーロッパの森や湖やお城や街並みの描写もとても素敵です。
そして今回はいつにも増してロマンティックで、レオニードが攻めの鏡というようなキャラクターでした。
どんな時もシダを信じて愛し守りぬく姿に安心して読めました。
だからといってお話が平坦になって無いのが、この作品の凄いところです。
シダが兄を助ける為の秘密とか、ようやくレオニードを頼ることになった途端にシダに忍び寄る魔の存在とか、ハラハラしてページをめくる手が止まりませんでした。
シダの兄が人間に戻る時の描写もとても美しかったです。
どんな時もシダを信じ抜くレオニードとレオニードに忠信を誓う従者のヤーシャの存在も光ってました。
後半を駆け足ぎみだと感じる方も居るかもしれませんが、この作品は深い森の奥でレオニードとシダが心を通わす場面が見どころなのでダラダラして無くて私は良かったと思いました。
2人の結婚式の話もエピローグもとても素敵なので、是非読んで欲しいです。
yocoさんのメルヘンチックな扉絵を開くと、BL版メルヘンの世界が広がる、といった感じです。
華藤さんの著作には、必ず美味しい伝統菓子が登場します。
このお話はロシア風の、ジャムを使った「くるみパイ」。
兄を救う無言の機織り。
この展開、どこかで読んだ事がある?・・・と読みながら思いだしたら、
子供の頃に読んだ童話「野の白鳥(白鳥の王子)」と似てました。懐かしい。
この物語では、姫役はΩの王子シダ。
背景は、中世のロシアにされています。
シダに一目ぼれした王子は、レオニード。
父王が逝去して、兄が王に即位するので、
お祝いの習慣;くるみパイ作りを独身の兄の家族の代わりにシダが作る場面が冒頭。
でも即位前に、実は黒魔女だった父の後添えの妃が革命を起こし、兄は幽閉されてしまう。
兄の魔法を解くために、聖なる泉の畔で「魔法の虹の薔薇」から糸を紡いでいるシダを他国の王子レオニードが見初めます。
その後の展開は、ほぼ「野の白鳥」に沿うもので、可愛い子供にも呪いをかけられちゃったけど解決して、ハッピーエンド。
〔紡いだ糸をバラで染めて絨毯を編む、とあるど、絨毯は「織る」が正しい,シダが編んでいるのは、ニットのマット。)
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▶「野の白鳥」De vilde Svaner
*デンマーク民話。妖精は、トロル。
童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンが再話。「白鳥の王子」王子は11人。アザミやイラクサの糸。
グリム童話にも類話がある。『十二人兄弟とその妹』王子は12人 ヒナギクの花の糸。
映画では、王子は6人になっている。
王の後妻は悪い魔法使い。
悪い妃は、邪魔な賢い姫に「胡桃の汁」を塗り醜く変えて、城の外に追い出す。
そして、王子達を白鳥に変えて追い出す。
姫は夢のお告げを受ける。
「いら草を紡いだ糸で帷子を作り王子達に着せれば呪いが解ける。但し編む間に口をきくと王子達は死ぬ」
兄たちの呪いを解くために、姫は無言で帷子を作り続ける。
優しい他国の王子が姫を気に入り、城に連れ帰る。
無言のままイラクサを紡いで織り続ける姫に魔女の嫌疑がかけられ、火刑に決まる。
処刑場に行く最中も帷子を作り続ける姫。
刑が始まる寸前、飛来してきた兄たちに帷子を投げ着せ、魔法を解き救うことが出来た。
★この伝承は、辛苦に伴う教訓も多いのですが、謎も多いです。
北欧の怖い悪い魔法使いの伝承の再話は、幾つも有る点に興味がわきます。
ホントに恐ろしい「黒い魔女」が居たのかもしれない。
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胡桃(アレーシュキорешки)
オペラ『くるみ割り人形』があるくらい、東欧で胡桃(アレーシュキорешки)は人気。
プリャーニク пряник 胡桃型焼き菓子
東欧のバクラヴァ baklava。
ハチャプリ(グルジア語: ხაჭაპური Khachapuri.ogg 発音 英語: Khachapuri)
南コーカサスにあるジョージア国に伝わる微発酵のパン生地に塩気のある白チーズなどの具を乗せたり包んだりして焼いたパン
華藤さんて個人的に当たりはずれがあるので(いや、失礼)購入をためらいましたが、yocoさんの描かれた表紙がとっても素敵で。思わず手に取りました。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公はオメガのシダ。
彼はエデッサ公国の第二王子だが、オメガであること、そして第一王子である兄とは腹違いであること(王の正室が生んだ子ではない)ことから利権争いとは無縁の立場にいる。
兄を心から愛し、そしてその兄が正式にエデッサ公国の大公になることを喜んでいる。が、その兄は大公になる儀式が行われるその日に囚われて地下牢に入れられてしまったという。彼らの亡き父の後妻であるイリナが策略したことらしい。
兄を救い出すためにシダがしたことはー?
というお話。
シダと、彼の兄であるティモンは仲良しではありますが、今作品の恋愛の軸にいるのはシダと、エデッサ公国の隣国であるスタボリア王国の王子であるレオニードです。
シダは、ティモンを救い出すためにスタボリア王国に行き、「とあること」をする過程でレオニードと出会うのです。
スパダリ王子と、薄幸受けさんとの恋のお話ね?
と思いつつ読み進めましたが。
うん。
予想の斜め上を行く展開でした。
yocoさんの描かれた美麗表紙。
そしてあらすじ。
ここから、こういうストーリー展開に行くとはなかなか推測しづらい。いや、いい意味で。ちょっとファンタジー要素を盛り込みつつ、二人が巻き込まれていく困難。
ロミジュリ的な?
白雪姫的な?
それとも某人気魔法使いシリーズ的な?
その困難を、二人はお互いの愛情と信頼関係でもって潜り抜けていく。
シダは、ティモンを救い出すことができるのか?
という部分を軸に、二人が少しずつ愛情を育てていく姿にめっちゃ萌えた…。
今作品が他のオメガバものと一線を画すのは、ずばり、攻めのレオニードの存在かと思われます。
いやいや、こういう作品の攻めさんて圧倒的なスパダリ感を醸し出すのが一般的ではなかろうか。なんなの、このほのぼのさんは…!
良い!
おっとり優しい、そんな坊ちゃん感が半端ない攻めさんですが、彼のその優しさがあったからこそシダは頑張れた。ハラハラドキドキする展開で、もう手に汗握るっていうのかな。頑張れー!って、思わず応援してしまう。この二人が良い子たちだからして。
で、薄幸青年だと思われたシダ。
彼がめっちゃカッコいいの。ぶれない芯がある。だからこそ、強く逞しい。
切ないお話かと思えばファンタジー要素モリモリ。
二転三転するハラハラな展開。
彼らの持つ優しさ、国を守りたい王子としての矜持、そしてお互いを想う愛情。
そこに華を添えるのがyocoさんの挿絵。
儚く、美しく、優しく。この作品の持つ世界観にぴったりで、萌え度は確実に上がりました。
yoko先生の表紙に惹かれて拝読させて頂きましたが、童話チックな雰囲気の素敵なオメガバースでした。
童話×BL=エロの方程式(偏見?)を打ち破る、健気なイノセントラブに何度もうるっときてしまいました。
健気×健気、敵国の王子同士という大好きなカップリングで、特に攻めのレオニードの一途な愛には感動しかなかったです。
魔女になった継母に義兄を狼に変えられてしまった、第二王子のシダ。
自分の命に代えても兄を救うと決意し、呪いを解くために「言葉」を封じて薔薇を育てながらひたすら糸を紡ぐ日々。
そんな中、偶然出会ったレオニード惹かれ、オメガであるシダはアルファのレオニードと番になるのですが、2人はお互いの素性を明かすことができずーー…
話せない制約をかけたシダは、自分の気持ちを何一つ言葉に出来ないままレオニードに惹かれていきます。
そして、そのままのシダを信じ、愛を誓うレオニード。
シダに対して真摯に向き合うリオニードの姿は、正に真実の愛。
高貴で健気で美しい2人の恋の行方と、愛の深さから目が離せませんでした。
身元も分からず、大きな秘密と使命を抱えたシドを献身的に愛するレオニードに萌えました。
見返りを求めない愛は、ともすれば重荷にもなり得ます。
それでも、シダがこの大きな愛に支えられて使命を全うさせようとする所に、何度もグッときてしまいました。
無事に義兄を助けてめでたしめでたし……と、なるかと思ったら、この義兄も曲者でしたね。
正直、魔女よりムカついちゃいましたよ!
そして、魔女の呪いはシダ自身にも及び──
どうやって魔女と戦うのか、シダの呪いは解けるのか……と、ドキドキワクワクしながらページをめくりました。
健気なシダを何度も襲う魔女の影、遂にはその手がレオニードにも及びます。
危機に陥る度、レオニードの愛に救われていく流れが胸アツ過ぎる。
真実の愛がハッピーエンドに導いていくという展開は、まさに童話のようでロマンチックでした。
最後の最後までハラハラさせられましたが、ラストは少し呆気なかったかなあ。
猫のミャウの存在もハッキリしなかったし、シダが飲んだ薬の効果も?
それでも、優しく美しいストーリーに胸が温まりました。
オメガバース特有の発情期も身体を貪るようなものではなく、相手の心を求めて止まないという感じで品を感じるんですよね。
ファンタジー要素を活かした繊細なラブストーリーなので、オメガバースが苦手な方にも入り込みやすい作品だと思います。
エピローグも意外性が可愛くてキュンとしました。
登場する食べ物や風景・色の表現が詳細で素敵なので、そちらにも注目して下さい。
いやあ…yoco先生のカバーイラスト、これはあまりにも素敵ではないですか?
色合いも装丁も本当に綺麗で、思わず手に取って眺めたくなる。
装丁を担当されたのは、Asanomi Graphicの斉藤麻実子さん。細やかなお仕事が素晴らしいです。
薔薇が舞う薄桃色の帯も、背表紙も、折り返し部分のデザインもこれまた素敵なんです。
気になった方は紙の本もお手に取ってみてください。
ロシア風の架空の国を舞台に両視点で紡がれる、メルヘンとロマンティックの中に美しさがあふれるお話でした。
内容に関してはもう素敵なレビューが上がっているので、感想だけ。
こちらの作品、焦ったくももどかしい恋のお話なのです。
想い合っているし、くっついてはいるのだけれど、本当の意味ではなかなかくっつかない。
愛し合う2人の間に訪れる試練や壁というものは、時にはお話のスパイスにもなり、時にはあまり続くとダレてしまったりもすると思うんですよ。
ただですね、今作はこのもどかしさや切なさがとても良くて。
なんだか、じっくりコトコトと信頼関係を深めていくようで、オメガバースだけれど性急さはなく、きちんと心も伴った愛情が感じられたというのかな。
丁寧な心理描写が光る作品でした。
そして、攻めと受けのキャラクターが非常に良かった。
特に攻めのレオニード。彼が本当に心優しい人で。
優しいのだけれどヘタレ感はなく、なよなよとしているわけでもない。本当にシダのことを心から愛しているのが深く伝わってくる、すごく良い攻めなんです。
華藤先生のあとがきいわく、"ふわふわとしたやわらかな癒し系の優しい性格"とのことですが、その言葉がぴったりの大らかで愛情が強い人。
オメガバースもので久しぶりにこういう攻めと出逢えた気がします。
お相手となるシダもただの健気受けでは終わらないのです。
なんというのか、一見儚げなのにそれだけではない、一本筋が通った強さがある受けで、こちらもすごく良かった。
そんな2人がお互いを心から想い合う様子がわかるのだから、これはもうたまらないですよね。
駆け足気味な終盤や、シダが兄上と慕う人物の後半の発言でちょっぴりウーン?となる部分もありましたが、それ以上に、言葉を介さずに深まる2人の関係が素敵だったので、今回はこちらの評価で。
作中に登場する薔薇園は色とりどりの薔薇が咲く虹色とのことでしたが、読後の印象を薔薇で例えるのなら、花の中心から淡くグラデーションに色付く、ピエール・ドゥ・ロンサールかななんて。
あらすじの糸を紡ぐ、でわかるとは思うが、茨姫をオマージュにしたようなメルヒェンオメガバース。
終わりにほっとしました。
途中までは、魔女が悪役のThe魔女すぎてイライラハラハラしましたが、レオニードとその従者がちゃんとシダを信じてくれてたおかげで、不安や不信感はなかった。
受けの名前がシダなのに加え、レオニードがさん付けして呼ぶから、日本名の志田さん感が強いw
多分「シ↓ダ→さん」ではなく「シ↑ダ↓さん」ですよね。雑だけど、炭酸じゃなくて父さんのイントネーション。
エピローグの、口が聞けなかった頃と喋れるようになった今との違いについて喋るシーンにギュッとなった。
子供は二人とも男なので安心です。
でもがっつり喋るシーンでは、あからさまなお子様言葉なのが少し癇に障る。が、それを打ち消すくらいレオシダ夫婦のやり取りが微笑ましい。
さすがというか、景色が目に浮かぶような美しい文章。
壮大なストーリー。
2転3転して、ハラハラさせられる話の展開。
そして、素敵な挿絵。
文章との相乗効果で美しさが際立ちます。
是非とも神評価!と言いたいところですが、中立です。
なんでしょう?
ご都合主義?
あともう少しというところで、するすると問題が解決。
あれ???
そうなっちゃうの?
と、拍子抜け。
かなり残念な感じ。
もっともっと、盛り上がれそうだったのですが。
あー、惜しい惜しい。