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長年恋い焦がれた彼に今、届けるラブレター
itazura neko no mement
小説家『倉橋誠治』の父とブランド会社の社長の母を持つ中学生の航(わたる)と航の家にやってきた謎のハウスキーパー逢坂さん。
父の友人であり10年の交流を持つ小説家、大崎の身辺の世話をしつつ、密かに想いを寄せ続けているサラリーマン仁科(受)と白猫の太郎を飼っている、映像化作品多数の有名な小説家の大崎裕彦(ひろひこ)先生(攻)。
ひょんなことから”彼ら”の想いが動き出す、ファンタジーじゃないけどフシギな恋の物語です。
とりあえず感想をいうなら「作者様に完敗」です。これは是非ネタバレなしで読んで欲しい作品です。できる限りネタバレを避けながら感想を書いていこうと思います。
忙しく不在がちな両親と通いの家政婦さん。そこに料理の下手な住み込みのハウスキーパー逢坂がやってきます。初めは逢坂を母親の愛人だと思いツンツンしていた航ですが、ある日夜道で知らない男に声をかけられたところを逢坂に助けられます。それがきっかけで航は逢坂にむずがゆい気持ちを抱き始めるわけですが、うっかりドア越しに母親を抱きしめている逢坂を見てしまいます。眠らせた逢坂に自棄になってのしかかる航に、航の家庭を揺るがす衝撃の事実が逢坂より告げられてしまいます。
「大切な子から、ラブレターをもらった」
大崎先生が白い封筒を手に幸せそうに話す様子に、仁科はショックを受けていました。酔って寝落ちした大崎先生に、思い切って寝込みを襲って体だけでも手に入れて目の前から消えてしまおうかと逡巡していると、何と先生の方から迫られて押し倒されてしまいます。しかし、先生は仁科に”手紙の相手”のように語り掛けます。身代わりでもいいと言い聞かせ、仁科は大崎先生と一夜を共にするわけですが、翌朝、先生には昨夜の記憶はなくて……
「字書きの先生」は航の身を案じる手紙を逢坂を通して航にくれます。航もまた、とある確信を抱きつつも「字書きの先生」へ日々の想いをしたためて逢坂に手紙を託します。ある日、航が渡そうと思った手紙を白猫がどこかへ持ち去ってしまいます。これが、「航と逢坂」「仁科と大崎」の関係に深く関わっていく訳ですが…。
本当に第3話まで気づきませんでした。4話に入ってじわじわと事象が明らかになって、「え…え?~え!?マジか!!」ってなって、私が勝手に思い込んでいた事柄をいい意味で壊してくれました。話の構成やギミックが面白くて、2週目3週目を読むと新たな発見ができるので、是非周回してみて下さい。
中学生なりの精一杯のアタックと涙、いい大人の余裕のない切羽詰まった表情、そして彼の笑顔にグッときます!
小説家の父と経営者の母を持つ、主人公 航。
両親不在の家にハウスキーパーとして来ている青年 逢坂。
多感な時期の航はハウスキーパーとしては程遠い逢坂に嫌悪感しか抱いてない。
(母の愛人と思っていた)
反発をしている航に父からと手渡した手紙を喜んで受けとる航。しかし父の筆跡を知ってる航は直ぐ父の書いたものではない!と気づく。
「お前は誰だ?」と書きなぐった返しの手紙に、また返ってくる手紙。
この手紙、実は逢坂が自分と名乗らずに書いていたのだが逢坂だと気づく航。
でも、気づかぬふりをして文才のある手紙に返事を書く航。
また母の愛人と思っていたが父を敬愛していたと知り逢坂に打ち解けていくと同時に恋心を抱く航。
この作品のちょっとややこしいのが、この後の話が作家先生のご自宅に伺う若い編集者に切り替わる。
大崎という作家、そこに訪れる編集者の仁科という二人。
以降ネタバレになるので嫌な方は読まないで下さい!
これ以降の話は【過去】青年の逢坂×中学生の航と、【現在】作家先生の大崎×編集者の仁科で展開します。
名前が違うのもありますが……
もう一つややこしくさせるのが、大崎の飼い猫が手紙好きで置いているのを加えてどこかへ運んでしまう……
話が過去と現在で展開してるのに手紙を加えて運ぶ猫の存在が繋がってしまってるように見せてるので同一人物で過去と現在だと思いにくい……
過去に航に告白されたが、告白をそれは勘違いだと振り、渡された手紙(ラブレター)を見る事もなく引き出しに入れたこの手紙と猫が最後までキーになる。
逢坂は航の父(倉橋)の教え子で自身も作家を目指し、そんな時に倉橋のスランプに恩師の為だ!とゴーストライターとして筆を取ってしまった。
ゴーストライターとして連載していた作品(父の作品と思っていた)誉め尊敬する航に、打ち解けてくれない中学生の航と接点を持てた嬉しさと同時にゴーストライターという後ろめたさで青年 逢坂の心中は複雑であったと思う。
作家になってからも独身を貫く逢坂に、航は自身の告白と手紙が起因してるとも思い罪滅ぼしの為に編集者の範疇を超えた身の回りのお世話をするようになる。
その頃には逢坂も航を大事な人と思っているのだが、過去に告白を振り手紙を読まずに引き出しになおしてしまった経緯で今の気持ちを伝えられない。
酒の力を借りて航を抱いて想いを伝えたつもりが罪滅ぼしと思って側にいる航には勿論、伝わらないし、可愛く抱かれてくれたのに翌朝には普通に戻ってる航。
航自身も罪滅ぼしと思ってるので好きな人に抱かれたのに嬉しさを封印する。
もどかしい………
そこを繋ぐのが猫である。
猫が過去の航の手紙を加えて持ち去り、猫が自分のテリトリーにためた手紙たち。
その中にあった航の逢坂へのラブレター。
今までの事を航に想いを伝え、航もまさか、中学生の頃に書いた手紙を逢坂が大事にしてくれていたなんて思わず……
やっと2人の気持ちが通じた。
凄く良い話なのですが、最初2組のカップルが出てきてると思っていた。実は同一人物で【過去】と【現在】の話が交互に入ってると分かるのが後半だった為、そこからまた読み返すという事になり、読みにくさは正直感じました。
初めて読んだ出樹先生の作品です。
ハウスキーパー→作家 逢坂 裕彦と中学生→社会人 仁科 航のお話。
人気小説家の父と会社社長の母を持つ中学生の航。
航の父親は仕事部屋を借りているので自宅にはほとんど帰って来ません。
ある日、母親が若い男性のハウスキーパーを住み込みで雇い…。
おそらく読まれた方のほとんどが、一度は前半に戻って読み返したのではないでしょうか?
ストーリー展開が過去と現在で繰り広げられ、さらに切り替えが曖昧なので、理解するのに時間を要すると思います。
おそらく、この設定は小説の方が活かせるのではないかと感じました。
小説は文章で補えない部分を脳で捕捉しながら読み進めるので、読者によって異なった想像をしますが、漫画はキャラの表情や背景等の絵柄から情報を得るので、読者のほとんどが同じ想像をすると思います。
個人的には、現在と過去の境目をハッキリさせ、逢坂の外見をあまり変えない方が作品の世界に入り込みやすいと思いました。
…とは言え、お話は良いですよ♡
あの日 航に吐いた逢坂の嘘と10年経っても想い続ける航の恋…。
すれ違う2人の気持ちが一匹の猫のいたずらによって手繰り寄せられる。
出樹先生の丁寧な絵柄とキャラの繊細な心理描写で、作品全体を優しさとせつなさで包み込んでいます。
また、キャラを含めて背景や造形物をきちんと描かれているのも良かったです。
もっと深く掘り下げて欲しかったエピソードはありますが、これだけの内容を1冊にまとめたのはすごいなと思いました。
過去と現在が交差した時、2通の手紙で奇跡が起きる…とだけネタバレします。
続きはぜひ本編をお読みください!
このお話には、当て馬は登場しません。
脇キャラは、猫の「太郎」です。
食いしん坊なので長生きしますね(笑)
他には、航の両親も登場します。
お父様の心の病は良くなったのでしょうか?
Hシーンは、エロさは薄いのですが愛情は伝わります。
本当は、ずっと両想いだった逢坂と航。
10年経った「今」だからこそ、結ばれたのでしょうね。
もしかして、逢坂はムッツリなのかしら(笑)
出樹先生はこれだけ絵がお上手なので、もっと扇情的なエロも見たいなと思いました。
描き下ろしは、本編のその後のお話。
なんだかんだ仲良しなのが微笑ましい。
何度も読み返しては、暖かい気持ちになれる作品です。
一度読まれれば、過去と現在の絡め方も気になりません。
手紙と猫…どちらも2人を繋いだ大切な宝物ですね。
今までの分も含めて幸せに暮らして欲しい♡
この先が楽しみな作家先生だと思います。
気になっている方はご覧いただくことをおすすめします。