鋼鉄と迅雷

koutestu to jinrai

鋼鉄と迅雷
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×27
  • 萌7
  • 中立2
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
6
得点
71
評価数
20
平均
3.7 / 5
神率
20%
著者
小鬼36℃ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
新書館
レーベル
Dear+コミックス
発売日
電子発売日
価格
¥690(税抜)  
ISBN
9784403667534

あらすじ

喧嘩っぱやくて兄貴気質の鉄太と、飄々としていつも眼鏡の奥で笑っている迅太は無敵のコンビ。
肉体関係もあるふたりだが、恋人というには微妙で……。

表題作鋼鉄と迅雷

井上鉄太,高校生
迅太,高校生,ヤクザの息子

その他の収録作品

  • これから、

レビュー投稿数6

若いのに渋い

高校生が主人公だけれど、やたらと渋くて大人っぽい話でした。
そう見えるのは彼らの境遇があるからこそだと思います。

攻めの方が身長は低いので、体格差に好みのある方は、注意が必要だと思います。
個人的には、見た目の攻め受けは完璧でした。

攻め受けどちらも、背景がひどく暗く、そこから抜け出すのは容易ではないものを抱えています。
作中、2人でいれば世界が明るくなる、といった描写が多く描かれていました。
個人ではどす黒い道を進むしかなかったところを、2人でいることによって軌道修正できる。

明るくて普通の幸せな道、というわけにはいかないのかもしれませんが、ひとまず平穏を得た終わり方でした。

高校生が抱えるには重すぎるお話でしたが、しっかりとその道を突き進んでくれるので破綻しておらず、面白かったです。
表紙がお洒落なのも、気に入っています。

1

思ってたのと違う

表紙の絵に惹かれて、悩んだ末に買ってしまいました。
実は本屋で悩み、裏表紙を眺めるまで高校生だと気付きませんでした。
そんななので、内容も知らずに買ってしまい、あまりのディープさにハラハラしました。

普段は甘々な話を好んで読むので、内容が重い話は事前情報を仕入れてから気合いを入れて読んでいます。
なので、思っていたのと違う展開にダメージありました。


最初は不良の溜まり場、煙草、喧嘩など、ある意味高校生らしい描写から始まります。
仲間と楽しそうに過ごしながらも、お互いに執着している様子が分かり、女の子とのキスを見せつけて煽る所など情熱的でした。

しかし話が進むにつれ不穏な空気が漂いはじめ、虐待されていたような過去、逃げてきた親に連れ戻される迅太。
鉄太に出会う前のモノクロの世界の理由が分かって、辛くなりました。
モノクロの世界を極彩色にしてくれた鉄太や友人を守る為に、自らモノクロの世界に戻る迅太に、更に銃を持たせて追い討ちをかける親。救いのない最悪な展開です。


海でのシーンは親から逃げ出すすべもない二人が選んだ結論が悲しい。
それでも鉄太の縄を外し、空気を入れて助けようとする迅太の行動には心を打たれます。
鉄太1人助かっても何も解決しないんですけどね。

そこまでした子どもに更に銃を持たせ、殺せと言う親は何なんでしょうね。役に立たないオモチャは壊してしまえとでも言うのでしょうか。
本当に糞な親で胸糞です。

全てが解決した訳ではないものの、束の間の平穏を手に入れられた二人が穏やかに過ごせるといいなと思います。


最後まで読んでから表紙を見返すと、自分に銃を向けさせ微笑んでいるような柔らかい迅太の表情が切なくなります。
思っていた内容と違うので驚きましたが、今回の表紙買いガチャは成功でした。心臓に悪いのであまりしないようにしようと反省しましたがw


最後まで読んでから受け攻めの名前を見て驚きました。迅太受けだったっけ?
読み返してみたら迅太がネコって言ってましたね。途中でそういう描写もありましたが、辛くて読み飛ばしてたみたいでした。
それにしても一冊読み終わっても気付かないって、どんな読み方していたんでしょう。
二週目はじっくり読む事が出来ましたが、初めて読んだ時は動揺しまくってたんですね。


スッキリしたハッピーエンドが好きな人とか、エロエロが好みな人はあまり合わないかもしれません。
ちょっと人を選ぶ作品かなと思いました。
自分は好きですが、読む前に気合いを入れないとダメージ受けるタイプの重い話でした。

2

評価が難しい作品

表紙に惹かれました。
まさかこんなにシリアスでアウトローなお話だったとは。
あまりにも救いが見えなくて鬱々としましたが、読後は悪くない独特の世界観です。


高校生の鉄太と迅太は、お互いに背中を預けられる仲間。
一心同体、割れ鍋に綴じ蓋、何があっても離れられない二人。
身体の関係はあるものの、そこに名前はなく……

〝二人でいれば色ある世界〟

お互いに荒んでいた二人は、出会って一緒にいる事で人生に輝きと意味を感じてーー…

ヤンチャで貧乏な鉄太と、黒髪眼鏡なのに(?)喧嘩の強い迅太。
二人で一つ、夫婦のような二人。
ずっとこのまま続いていくと思っていた日常は、ある日突然崩れ落ちます。

明かされていく二人の暗い過去と現実に胸が苦しくなりました。
大人はクズで、子ども達はそれに反抗心を持ちながらも抗う術がない。理不尽な大人が溢れた作品です。

特に、二人の親は最低でした。
「クズから生まれた人間は所詮クズ」
そう言い切る大人たち、そう思って育った子どもたちに憤りを感じました。

ヤクザものって人情味のあるカッコいい大人が登場する印象だったのですが、こちらは胸糞悪いヤクザでした。
子どもから意思を奪い、銃を持たせる。
一体、この二人はどうやって逃げ出せばいいのか……と、最後の最後まで不安感いっぱいのまま進みます。

ラストは……うーん、これは情じゃないよな?
予想しなかった方法で切り抜けた二人。
鉄太と迅太。名前が似てるのも境遇が似てるのも偶然?

シリアスなストーリーにおいて、魂レベルで惹かれ合う二人の関係が救い。
そして、賢治郎と流星との友情も。

未来に向かって生きる青春BLではあるのでしょうが、
スッキリしない部分も残ります。
鉄太の弟妹は、あの毒親に任せていて大丈夫なのだろうか?
鉄太が救い出してくれるといいのですが……

4

彼等の幸せを願いたくなる

良くも悪くも「思ってたの違った;;」となりました。

出版社Twitterで1話試し読みが出来るんですが。
受けが煽るように女の子とのキスを見せつけて、
攻めが嫉妬するシチュがめちゃくちゃツボだったんですよー。

速攻ヨッシャ買う╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ !
と、あらすじすら確認せずウキウキで読みはじめたら。

あ、あれ…なんか違う…、すごい重いし暗い…;
高校生が抱えるようなお話じゃないよ…これ。
うう、よく見たら表紙で銃持ってるじゃん。気付けよ私。
ーーと、想像と違いすぎて戸惑いが大きかった;;

けれど、どうしようもない家庭環境で腐った心を彼等が出会ったことで塗り替えられて。
シンドイながらも思い詰めた高校生の視野の狭さがそこだけ妙にリアリティがあって。
出口のないトンネルにいる彼等を見守る友人達の言葉が心に響いて。

この漫画に出てくる大人は揃って胸クソなんですが、
クソな大人に抗う子供たちの未来が見えなくてシンドくて刺さりました。

で。それとは別に叫びたいことが1つ。

(」°ロ°)」{黒髪メガネが攻めじゃないのーーー!?!?!?

黒髪(迅太)が攻めだと思って読んでてビックリした。
(試し読みの印象だと迅太が攻めっぽいのになんで!)
(単に私の嗜好がそうフィルターをかけたのか…;)
(エロシーンはほぼ事後ではっきり描写薄めです。)

評価が難しいですね。
○高校生たちの刹那的な部分→萌え×2
○まともな大人が1人ぐらい居てくれ→趣味じゃない
○重くて暗い展開は咀嚼すると刺さる→萌え×2
○絵はちょいちょい拙さはあるかな…

萌え×2寄り真ん中評価であげます。
けれど先が見えない高校生の恋愛が苦しく切なく、印象に残る作品でした。


さてさて。
鉄太(攻め)は家庭環境に恵まれず荒れていた過去が。
迅太(受け)は家族の話はしないけれど、にこやかな表情の裏に何かあるのは見え隠れします。

一緒にケンカをすると勃起するほどの高揚感を得て、時々キスしたりセックスしたりする関係ですが、
セフレとも恋とも違うような名前が付けられないように見えました。

わかるのはどちらも家族には恵まれなかったこと。
出会うまではモノトーンの世界に生きていたこと。

一緒にいると極彩色の世界に変わるそうです。
熱を求め合うように抱き合うのはめっちゃ萌えました!!!

なぜそんなに求め合ってしまうのか。
少しずつ明らかになっていくバックボーンには
いくつか共通点が浮かんでくるのですね。
無自覚にシンパシーを感じていたのかな…と思えてきます。

クソな親に追い詰められて、
逃げるにはこの方法しかないーーーと取った選択。

うううーーーー(;ω;)
絶対駄目なことなんだけどわかるからシンドイ。
まだ子供で抗う力はなくて、だったらいっそ…ってなる気持ち。
冷静になれば助けを求める場所はあると思うんです。
けれど視野が狭まって思い詰めちゃうところが妙にリアリティでゾワっとしました。

○○が愛かどうかはわからないけれど、
海辺でのやりとりは涙腺が緩みました。
そして最後の最後で迅太がとった行動に愛をかんじてしまって(;ω;)ウウウ

異変に気付いて飛んできた友人の真っ当な怒りも刺さります。
罵倒に愛を感じる(;ω;)ウウウウ

出口のないトンネルで、親に追い詰められ生きる。
そんな中で出会って、愛を得る高校生。
重く苦しいながらも幸せを願いたくなるお話でした。

そんで親&周囲の大人はクソ。
後味の悪さが最後まで払拭されないのは残念です。
(BLに関係ないといえばそれまでなんだけど…;)

2

君を失ってまで 欲しいものなど何もない

タイトル 表紙に惚れ込んで購入
はじめましての作家さん


モノクロの世界を色艶やかにしてくれた唯一の存在
一緒にいる事で得られる安心感は 互いが背負った運命への序章


最後が若干甘めになったけど

いい

相手を想うのに それ以上に抱えた自分の立場

一緒に生きる未来がないのなら
諦めきれず 欲からくる「自分より生かしたい相手」


無理心中すら美しく見えそうな闇
出逢わなければ得ることのなかった色艶やかな日常
生易しい世界の話じゃないから活きてくる笑顔と感情

お前を失ってまで欲しいものなど
全てを失っても お前だけは


これですよ これ こんな世界を

こんな汚し汚され 腐ってるくせに
生かし生かされ 幸せを模索する世界が読みたかったのよ


あーーー すっげぇいい
あたしみたいな 理解力も語彙力もないようなクズが これ以上何を言えようかッッッ!



いや ほんとにいいんだけど 若干物足りなく感じてしまうのは 彼らの幸せのその先と 残された兄弟たちのその後が気になる自分の欲でしかないんだろうな

1

宿命と運命と、青春と

春は桜、黒縁メガネ男子高校生と金髪ヤンキー風味高校生が、出会う。

パッと表紙を見た限りでは、そんな、今まで接点がなかった彼らが出会い、落ちる(むろん恋に)話だと思う。
が、どこか青春ものにしては渋く、翳りを感じるマットなグレーの背景と黒髪黒縁メガネ男子の朱色の瞳に一方的な執着では済まなさそうな、きな臭く、不穏な匂いを感じ取ったところで、彼らの背負った「クソの人生」もとい宿命と、「男とか女とかすっ飛ばして どうしようもなく惹かれる」運命と、いつか終わりが来ることを彼らも私たちも知っているー青春の物語が幕を開ける。

物語のテンポは、想像以上に小気味良く、現在と過去を行き来し、彼らのヘビーな背景が提示される。が、不思議と読み手側は落ち込まない。
なぜなら、今現在、彼らが軽口を叩きあい、煽り合いながらも、2人とも同じ熱量で共にいることを切望しているのが十分に伝わってくるからだ。(この熱量があるからこそ物語後半の彼らの選択が成立するわけで、それに対して心底から反対しながらも捩じ伏せられそうになった読者は私一人だけでは無いはずだ)
それほど2人で過ごす時の彼らの表情は、高校生らしい幼さと邪気のなさと安らぎに満ちている。

しかしながら、この時間が長くは続かないことを彼らも読者も十分に感じている。それほど時折差しこまれる黒の背景に白字で書き連ねられた彼らのモノローグは切なく、みずみずしく、不憫で不穏だ。
そんな重低音が流れ続けた末に、さも当然の様に彼らが取ろうとした選択のその重さに、内心ビビリ散らしながら物語終盤を迎え、安堵のため息をつきながら、もう一度表紙を眺めると、どうして、こんなにも灰色が強く、だが、そこに重ねられた桜のピンクや春のぽっかり晴れ渡った空を思わせる水色が淡くとも綺麗なのか、ようやく気づかされる。

そうか、これは彼らが出会った、あの春の日の瞬間を、灰色の世界が急速に極彩色になって行く刹那を描いたものなのだと。

そして、よくよく眺めないと気付かないほど存在感の薄まった拳銃(死)の意味に気づく。死なんぞどうでもいい。そう言わんばかりに魅入られたように見つめ合う彼らのー鉄太と迅太の、この出逢いの偉大さと、彼らが懸命につかむであろう真っ当な幸福が少しでも長く続くように。
そう祈らずにはいられない物語だった。

彼らの聡明な友人や作中唯一、真っ当な大人だったおばちゃん先生、危うくも放っておけない弟など、出てくる登場人物みんなが印象深く、とても魅力的だった。

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