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短編集。
□はしろうか
冒頭「友人の肩ロースこと肩口一久(20)」に声出して笑っちゃいました。こんな発想が出てくるのすごいーと驚きのおもしろさです。
雁先生作品はよく泣くキャラが出てきますね。その泣き方がかわいいのが特徴的で好きだな〜といつも思います。
「青春の小箱」と大真面目に言うのもおもしろいし。
「一回でいいんだ……」「一回でいいから」
(きたきたきたきた)
「……抱いてくれ」←ここでズコーッと大爆笑しました。たっぷりのフリとオチが効いているw
ラスト、想像の余白があってステキです。
□巷に風の吹く如く
漫画家の名澄が情緒不安定だったり変わっていたり泣き虫だったりしておもしろい。
名澄が泣きながら「腹へった」と言うので青木が料理を作っているとその足元にへばりつく名澄ww
「こうやってるとおちつくんだよ」だそう。はぁそうですか。おもしろすぎるww
そして青木が見ていないと原稿を1枚も描けないつってどういうことーww
青木の生活音で闘争心をもやすって。おもしろすぎる。ああ〜おもしろい〜と言いながらずっと笑っていました。
修羅場の名澄「青木 頼むから俺の目の届くとこにいてくれ」ww
この後のやりとりが萌えでして。愛の形(特に名澄)もいろいろですね。それによって青木が変わったというのも愛だわ〜とほっこりしました。
再刊行して下さりありがたいです。
「おまえのことは一切合切 俺の青春の小箱に入れて…あきらめるから」
これは「はしらんか」での台詞。同性を好きになってしまった自分に混乱しつつも、友人への思いが止められずに動揺しまくっている青年が絞り出すように呟いた台詞です。
告白しちゃったけど無理だよな、だからこっぴどく突き放してくれ、そしたら諦めるから、と言っているわけです。
この「青春の小箱」というのがいい、とてもいい。
同性を好きになっちゃった側と、そして好きになられた側のそれぞれの混乱がうまく描かれていると思います。
他の収録作品は正直、あまりピンとこなかったのだけど「はしらんか」は好きです。
雁須磨子さんの作品はすべて、『過不足ない』素晴らしさで溢れています。
たくさんの手書き文字があるにも関わらず、それらすべては登場人物を表すのに必要な情報で、それでいて彼らの感情を文字で表しません。
彼らの感情のすべては行間に描いてあります。
言葉にしなくても伝わります。
まずは「はしろうか」から読んでみてください!!
あと、タイトルがます最高すぎます。
登場人物のネーミングセンスも、セリフのチョイスも、全部神です。
表題作はコミックスの一番後ろに載ってます。
小さい頃から頼りになる慎ちゃん。
今はグレてしまっているけど、かっこよくて便りになるところは、幼馴染の玖磨にとっては変わらない。
そんな慎ちゃんはどうやら同級生の赤井に歪んだ愛情を持っているご様子。
慎ちゃんに憧れのような恋心のような複雑な想いを抱える玖磨。
そんな玖磨の想いが切ないです。
そして慎ちゃんも。玖磨のことは可愛いけれど、ひどいことをしたいのは赤井だけ。
歪んだ愛情ですが、なんとなーく赤井にも伝わっているみたい。
赤井視点でその後の話もアリ。
「慎ちゃんの愛が募るほど乱暴なことをされる」と玖磨に言われ、戸惑う赤井。
実際本当に「どこまでなら許すのか」知りたい(笑)
乱暴なことをしつつも自分を見つめる表情が気になる赤井。
この二人がくっつくのは時間の問題かな。
でもこれはくっついたとしても赤井の不憫な状況は変わりなさそう…(笑)
他収録作品はどれもBLとはいいづらい作品が多いです。
人間の心の弱い部分をガンガンと見せつけられて、読んでてうーんと悩むような作品が多かった。
そんな中でも精神的な繋がりや、少年たちの成長がテーマなのかもしれない。
一番BLっぽかったのは『はしろうか』
友人の“肩ロース”こと肩口一久に告白された青島。
青島の気持ちはうすうす気づいていた、でもロースが男だということが引っかかっていた青島。
「一度だけでいい」というロースの願いから、ロースを抱いてしまう青島。
結局は青島もロースのことが可愛いし、好きで、何かしてあげたいと思うんだけど。
結局お互い男同士で。どうしてもそれが引っかかってしまう青島。
ロースは青島のことを考えて身を引くけど、ラスト、ロースの玄関先に青島は立っていた。
そして、インターフォンがなる…。
切ないけれど、これは未来の見えるお話でした。
なんで肩ロースなんだろうと思ったけど、ラストの玄関先の名前を見てやっとわかった。
なるほど、見えないこともない(笑)
キュンキュンっとすることはないんだけど、なにかと心に残るものが多い作品集。
ちょっとシリアス目なものが多いけど。
たまにはこういう純粋なラブストーリーを読むのもいいものです。