ドリアン・グレイの激しすぎる憂鬱

Dorian Gray no hageshisuiru yuuutsu

ドリアン・グレイの激しすぎる憂鬱
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神24
  • 萌×25
  • 萌1
  • 中立3
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
6
得点
146
評価数
33
平均
4.5 / 5
神率
72.7%
著者
菅野彰 

作家さんの新作発表
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イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
色悪作家と校正者の不貞
発売日
電子発売日
価格
¥680(税抜)  
ISBN
9784403525148

あらすじ

人気実力兼ね備えた作家・白洲は、深酒して文壇きってのおバカ作家・伊集院宙人と一夜を過ごしてしまい……!?
人気シリーズ、スピンオフ!!

表題作ドリアン・グレイの激しすぎる憂鬱

時代小説で当たるが大うつけと評される作家,8歳年下
有名な文学賞を総なめにするヒットメーカー,35

その他の収録作品

  • ドリアン・グレイのマイ・フェア・レディ
  • あとがき
  • ドリアン・グレイの、僕の名前

レビュー投稿数6

インナーチャイルド

表題作、実は雑誌掲載時に読んで大泣きしたんですよ。揺さぶられちゃってねぇ……

『色悪作家と校正者の~』で始まるシリーズのスピンオフです。
本編も『孤独』がテーマのお話ですが、このスピンオフ作品の方がもっとわかりやすいかもしれません。

白州というキャラクターは『~の純潔』に登場していますが、私は嫌いでね。
「なんといういけ好かない野郎」と思っていたんですよ。
自分が他人を操る能力に長けていることをよーく知っている厭世家とでもいうのでしょうか。ま、ある意味『他者はどうでもいい』人なのね。そんでもってベストセラー作家で世間からは優しい人だと思われている。
このお話で、白州がこんな感じの大人になってしまった理由が解りましたよ。
いや、闇が深すぎる……

この闇の深さに対抗できるのは、確かにまんじゅう時代劇を書く様なうつけ者くらいしかいないのかも。
だって考えてみれば『ものを知らない』ということは、社会に転がっている有象無象の汚れたモノに接していないってことなんですものね。宙人くんが先入観なく澄んだ眼で、白州の中の奥の奥の方に隠れている『傷ついた子ども』を見つけることが出来たのも納得いくってものですよ。

お話の中に、よだかの星、銀河鉄道の夜、あとマイ・フェア・レディが出てきますが、私は『はだかの王様』を思い出しましたです。
あ、宙人は告発の為に白州の裸の心を言い当てたわけではありません。
白州が「いっぱい着ている(だから本当の自分がどんな風なのかは見えないはずだ)」と主張し続けたから言ったんだと思うんですね。
「裸だよ」と言うよりは「そのカッコだと寒いでしょう?」的な意味だったと思うんですよ。
……こんなこと言われちゃったら、もう惚れてしまうしかないやろー!

6

突破力

色悪作家シリーズのスピンオフ。読む人を選ぶと思うのですが、私自身がとっても好きなので、神にしました。なんと宇宙人小説家、宙人vs大吾の天敵、白洲絵一!楽しかった。絵一は「色悪作家と校正者の純潔」に出てくるし、宙人は「色悪作家と校正者の貞節」に出てきて、二人とも強烈な個性を輝かせていますので、是非色悪作家シリーズの方からお読みくださいませ!各種分からないところを、「わかんないけど、まいっか!」とさっくり超越できる方限定でおススメです。

新宿の高層ホテルで文壇の爺に撫でられるのを我慢している絵一。ここ何年か獲りたくても獲れない賞の事を考え我慢してパーティに出たものの、パーティ終わるや否や飲まずにおられない精神状態に。エレベーターホールで鉢合わせた想定外の人物(宙人)をやり込めてやろうと思っていたのに、飲んだくれてしまったのか、なぜか目覚めるとベッドに宙人と一緒にいて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
大吾・正祐(色悪作家の方のカプ)、お兄ちゃん(絵一を毎月訪ねてくる男)、百田(小料理屋のおやじ)、篠田さん(正祐の同僚)、宙人のお爺ちゃん。相変わらず百田のおやじさん、涎の垂れそうな料理作ってます。今回の№1は白海老と空豆のかき揚げ。食べたいよう。

**攻め受けについて

絵一。思いもよらなかった背景を持った方でした!!!!!
なんであんなに賞に拘っているのかという切ない理由が今回分かりました。過去に囚われて一歩も動けてないじゃないですか、絵一さん・・・もうほんとにびっくりです。その方が少しずつ自分を取り戻して前に歩いて行こうとする訳です、今回。

そのトリガーになったのが、出ました宇宙人!宙人。名は体を表す?宇宙人としか思えない想定しなかった方向からのアプローチ?いや本人は真正面攻撃なんですけど、絵一の常識では、真下から攻撃受けたぐらいの衝撃。最初は会話が成立してないですよ。やんわりお断りモードに入っているであろう絵一なのに、宙人はなんと説明すればいいのか、とにかく全てを破壊して、絵一を手に入れちゃう!素晴らしいこの突破力。

毎度のごとく、有名なお話は出てきますが、今回はマイ・フェア・レディ、よだかの星、銀河鉄道の夜と既読のものだったので付いていけました!すごく好きなお話なので、できれば多くの人に読んでいただきたいなああああ・・・・
難しいなと思う部分はあれど、そこは宙人が「わかんない!」とぶっ飛ばしてくれるので、是非試し読み部分だけでも!

5

BL小説はこうじゃなくっちゃ!

シリーズのスピンオフですが、私は本作品が一番好きです。
(シリーズ未読の方にも楽しめる内容となっております)

受けがまず普通じゃないです。そこが良い!!!きちんと我があって、いかにもなイケメンなのに目立たないように擬態して、でもきちんと打算もできる大人な受けです。

そんな受けのテンポを崩す攻めの人間的面白さといったら最高です!!これまた自由奔放で、単なるイケメンには終わらないけれど謎の包容力がある攻め!!

この攻め受けの人間的リアルさを兼ね備えたBL小説となっているところが、さすがの菅野先生です。

是非是非、小説読みのお姉様方におかれましては、読んで頂きたいです。
続刊も期待しております!!

4

スピン元より好き!

どうやら私は本シリーズの正祐が苦手なので、こちらのカップルの方が人間らしくて好きだと思いました。大吾と正祐も登場してますがあまり出張って来ないので、それほど気になりませんでした。

白洲の方が人間として共感出来る部分の方が多いし、なんと言っても宙人がこんなに魅力的だとは思いませんでした。

宙人の言葉が段々と理解出来てくる事に絶望する白洲にクスッとしたり、宙人が命を与えた庭の変化と共に白洲の感情が変化して行く過程がとても良かったんです。

白洲が心の中の少年に別れを告げて、宙人を選んでからの変化がとても素敵だと思いました。ちゃんと宙人の気持ちを慮る事が出来るのが正祐との違いだと思います。

コンサート会場での開き直りとも取れる白洲の潔さに読んでて高揚感を覚えました。あの心の中の少年が現れて彼は白洲に未練があったようですが、宙人の手を取り立ち去ったのに胸が熱くなりました。

宙人は何も考えて無いようで、実は宙のごとく思慮深いのではと思ってしまいました。
二人の好きな本が同じだった点も凄く良かったんです。
それに比べて今作でも「春琴抄」に拘ってた大吾と正祐のやり取りには辟易しました。

本シリーズのあとがきにこちらの続きが出るとあったので楽しみにしてます!むしろこちらをメインシリーズにして欲しいくらいです。

2

コメディかと思ったら

最初、この二人がカップルになったのか…と思ってました。
(色悪シリーズを先に読んでしまっていたので)

で、こちらを手に取ったのですが、読み出したらなんだか宙人と絵一のやりとりというか、宙人の天然さなのか、コメディなのか?このスピンオフは?!
と思ってしまうよな入り。

ですが、そこは後半からシリーズらしい深さが出てきます。
絵一の抱えて抱えているものが、宙人によって変えられていく。
宙人は天然でアホっぽい子なんですが、まぁ本当にアホなところもあるんだけど、彼のすごいところは知識を吸収しようとするところ。そして人の機微にはなぜかめちゃくちゃ聡い。きっと絵一には、宙人くらいのキャラクタじゃないと太刀打ちできない闇に沈んでいたのかもですね。

ネタバレですが、白州絵一というのはペンネームで、実際の名前は双葉(これまたカワイイ)なのですが、彼は名前を捨てているんですよね。もうずっと絵一として生きてきた。その名前を取り戻すべく宙人は「双葉」と呼び続けるんです。あえて。
宙人のその名前は大切で、それを呼び続け、馴染むようにちゃんと考えていたってところがすごいなと思いました。
何を考えているのかわからない宇宙語を話す彼ですが、実はめちゃくちゃ地に足が付いている。お祖父ちゃん、やるな。

最初はなんだか軽めな感じ?と侮りながら(って訳じゃないですが、さらっと読めそうとは思った)読み進めていたんですが、やっぱり最後はあたまフル回転で読まねばアホな私は逃避してしまいそうなお話でした。

最後は東堂にデカダンス的な光景と言わしめて、周知の関係となった二人。
次作も楽しみになりました。

0

ある作家の完全犯罪について

今回は感性が独特過ぎる若手作家と
多数の文学賞を手中にするベストセラー作家のお話です。

攻様と一夜の過ちを犯してしまった受様が攻様の恋人に収まるまでと
攻様と恋人になってからの後日談短編を収録。

受様は現代文学者の中ではまだ若手と評される作家ですが、デビュー
以来、様々な文学賞を受賞し、現代文学の旗手と呼ばれています。

また若き日のヘルムート・バーガーと呼ばれる美貌の主ですが、本人は
己の美しさに執心はありません。しかし、ビジネスとして我欲がなく
前に出ず大人しく物静かな文学青年を演じる為にその美貌は一役買って
いた事は否めません。

受様はある事情から本来の我の強さを隠し、望んで大衆の求める話、
売れる話を書いて来たのです。そんな受様にはどうしても欲しい賞が
あります。

その賞は文学界で最も権威のある賞とも言われていますが、受様はここ
3年程は最終選考の5人に必ず入りながらも、今一歩のところで逃して
いたのです。受賞に必要なのは「社交」と「忖度」と、今日の受様は
選考委員である作家が出席する某出版社の90周年パーティに出席してい
ました。

受様はメディアに戦略的に出てはいるものの、こうした社交の席は極力
避けて鎌倉で引き籠りの作家活動をしています。今日は目的があって
出席していますが、知らない人々と空々しい会話を続けたり、目当の
選考委員である3人の老獪作家に純真な文学青年を装って挨拶すれば、
手や肩や頬を撫でまわされるという散々な目に遭ってしまいます。

どうしても最高の賞を得たかった受様でしたが、そのための営業に疲れ
果てて、会場であるホテルの最上階にある1番小さなバーカウンターで
管を巻いていました。昨年の秋口には大女優と同じ顔をした男性校正者
に入れ込んでもいた為、男色を完全に厭う訳ではありませんが、自分が
女性の立場として男に見られる事が我慢ならなかったのです。

バーテンダーに八つ当たりして致し方なくも殺人を犯さぬうちにと、
受様は出版社が用意してくれたなければ泊る機会もないだろうスイート
ルームで呑もうとバーを後にしますが、エレベータ―前で、同業者らし
い金髪の青年に声を掛けられます。この青年作家こそが今回の攻様です♪

攻様は件の校正者と付き合いがあり、受様を『文学王子』と呼びます。
攻様は彼女に振られて凹んでるから酒を飲みに来たのに、皆が文学が、
文壇が、夏目金之助生がと、難しい話をしていてわけがわからない!! と
長文で話してきますが、受様にはその日本語を解読するために長い時間
がかかります。

くたくたに疲れていた受様は彼女に振られたという攻様をしたたかに
嬲って軽く憂さを晴らそうと「よかったら部屋で呑まないか?」と誘う
のですが、翌朝目覚めた受様は寝具の中で自分よりいささか体格のいい
誰かに抱かれて目を覚まします。

悪い夢でも見ているのかと思う受様ですが、攻様は受様が起きたと知る
と髪を撫でて瞼に唇を合わせてきたのです!! 呆然としている間に額に
口づけられた上に、シャッター音と共に携帯に収められてしまい!?

菅野先生の色悪作家シリーズは、雑誌掲載作のタイトル作に続編を書き
下ろしての文庫化が定番ですが、今回は主カプの攻様のライバル作家に
焦点を当てたスピンオフとなります。

受様はシリーズ2巻目「色悪作家と校正者の純潔」にて主カプの攻様であ
る俺様作家のライバル作家として登場していますし、攻様はシリーズ1巻
目「色悪作家と校正者の貞節」で主カプの受様に迫る新進気鋭の小説家と
して登場します。

どちらも既刊で主カプの受様に迫った人達で、主カプにとっては当て馬
的な脇役の為、多分に主カプ目線な評価がされていて、雑誌掲載時にも
何故にこの2人の組合せ!? とびっくりしました (ӦvӦ。)

受様は腹黒策士系(笑)ですが、大衆に求められる売れる路線を狙って
書いているとはいえ、作家業には真摯に真面目に対しています。対して
攻様は本人いたって真面目でも、感覚とインスピレーション重視の為、
その言動能力は一般人には宇宙人と評される程、超変人なのですよ。

そんな攻様に捕まってしまった受様は自分の未来の為には攻様を亡き者
にするしかないと思い、完全犯罪の為と銃まで手に入れるほどなのです。
そんな受様の様子を知ってか知らずか、攻様は猛烈なアプローチをして
きます。

全く噛み合わない2人がどうやったら恋を実らすのか、ハラハラという
よりもどうしたらどうなるのかとワクワクとドキドキ、しかも時々、
受様が難解な会話を繰り出すので、攻様じゃないけど攻様の思考が理解
不能でしたが、受様が過去と決別し受様との未来を選ぶまで、頭をフル
回転させて読ませて頂きました。面白かったです♪

登場人物達は一筋縄ではいかなさすぎる人達ですが、人の感情の複雑さを
詳らかに現すとこうなるのかな。読み手としては四苦八苦させられますが、
コレがこのシリーズの醍醐味でもあり、新刊が出るたびに手にしてしま
います。さすが菅野先生です (^O^)/

主カプも本作カプもこのまま「幸せになりました」とは言えないカプなの
で、次なるお話でもワチャワチャしてくれることを楽しみにしています。

4

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