銀色きつねは愛されアルファ

giniro kitsune wa aisare alpha

銀色きつねは愛されアルファ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神14
  • 萌×215
  • 萌11
  • 中立7
  • しゅみじゃない7

--

レビュー数
12
得点
170
評価数
54
平均
3.4 / 5
神率
25.9%
著者
葵居ゆゆ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
カワイチハル 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
価格
¥886(税抜)  
ISBN
9784344846722

あらすじ

銀ぎつねの半獣・蘇芳凛一はアルファなのにも拘らず、勉強もスポーツも結果が奮わない「落ちこぼれ」だった。さらに厳格な家で育ったことで、無表情で口数も少なく、友人もできないまま大人になってしまった。そんなある日、兄が病気であることを知る。弟の結婚を望む兄を安心させるため、凛一は婚約を捏造することを思いつく。仮の婚約者役は唯一親しく話しかけてくれるベータの沖津吉見に頼むことに。沖津は年下ながら思いやりのある優しい好青年で、凛一が憧れる人物だった。沖津は快く承諾してくれたが、「恋人ならみんなするよ?」とキスやセックスなど、本当の恋人同士のような甘い行為を繰り返し…? 「このBLがやばい! 2020」小説部門9位、「ちるちるBLアワード2020」小説部門14位、「愛されオメガの幸せごはん」スピンオフ作品!

表題作銀色きつねは愛されアルファ

沖津吉見,26歳,キッチンカーのオーナー(β)
蘇芳凛一,28歳,研究所勤務・銀ぎつねの半獣(α)

その他の収録作品

  • 新妻は可愛い銀色きつね
  • あとがき

レビュー投稿数12

臆病なアルファ半獣人受け君の、ピュアさ健気さが眩しい

先生買いしたこちら。Β × αの変則オメガバースストーリーです。

受けの凛一は銀狐獣人。ぴこぴこ動く耳と、ふさふさ尻尾が可愛い!
カワイチハル先生のイラストで存分に堪能しました・:*+.

オメガだけでなく、アルファも妊娠できる、という設定が斬新!
アルファ受け、は初めてではないんですが、今まで読んできたのはアルファ同士だけだったので、ベータとのカプは初めてでした。

スピンオフとのことですが、スピン元未読でも全く問題なく読めます。

受けの凛一は、好みが分かれるかなあ……葵居先生らしい、不憫で内気な受け君です。個人的にはもう少し、アルファ感・精神的な強さがあると嬉しかった。ピュアで一途で健気なんだけど、卑屈すぎ・後ろ向きすぎるように感じられるのが、読んでいて「うーん…」と辛くなってしまうところもありました。

でもでもでも。
もう2回もえちした後なのに、「友達になりたい」と告げる凛一のいじらしさ・ピュアさよ!
合鍵渡されるなんて、もうとっくに「友達」も「親友」の枠も飛び越えてるのに、そんな自覚もなくひたすら”特別な友達!”と喜ぶ凛一に、胸をぎゅーっと掴まれたような気持ちに。

ストーリーの方は、ちょっと正直急展開に付いていけないところが。
二人の初えちが、急にえちに流れ込んだな、という感じが否めず、違和感がー…。
攻め、それは違うんじゃ感。

慣れない凛一のことを考えるなら、攻めにはどどん!と告白から入り、そこからじっくりえちに持っていって…という流れの方が萌えたなあ…と。超個人的かつ勝手な欲なんですが…!

えち描写が4回ぐらいかな?あるんですが、そこはもう少し少なめでいいので、臆病な受けを攻めがじっくり攻略・懐柔していく様子が見たかったなあと思いました。

0

愛されるということ。愛するということ。

作家様買いです。

あらすじ等を見ずに購入したのですが、
ベータとアルファの恋愛のお話だったんですね〜!
しかもアルファが受けでびっくりしました(*´ω`*)

『愛されオメガの幸せごはん』と同じ世界で、灯里と貴臣さんが出てきます。
二人の幸せそうな様子も見れてよかったです(*´ω`*)


銀ぎつねの半獣の凛一(アルファ)と、吉見(ベータ)のお話なのですが、
すれ違いが多すぎてどうなることやら…と思いました。
すれ違いというか、凛一は自分に自信がないので
すべてをマイナスに考えてどんどん悪い方向に進んでいっちゃうんですよね。
その姿が痛々しくて悲しかったです。

凛一の育ってきた環境が可哀想で、
こんなこといつも言われてきたら
そりゃ自分は出来損ないだと思っちゃうよね…と。

そんな凛一に優しくしてくれる吉見。
少しずつだけど確実に心の距離は縮まってるはずなのに
凛一は勘違いして吉見を遠ざけようとします。
これが切なかった…。
いつも余裕のある吉見もこの時は余裕がなくて
彼も彼で自分はベータだから凛一と番えないこと、
でも凛一はオメガと番えること、凛一には運命の番がどこかにいることを気にしてるんだなと知りました。

ずっとハラハラしてたけどちゃんと二人の気持ちが通じ合って
ほんとに良かったなぁと思いました(*´ω`*)

二人の赤ちゃんがいつか出来たときのお話とかも
読んでみたいなぁと思いました(*´ω`*)

0

包み込んでくれる攻めと孤独で不器用な受け

好きにならずにいられない!ですね。

「愛されオメガの幸せごはん」のスピンオフであの家族も出てきます。 
二段組でしっかり読ませてくれます。

凛一の劣等感、コンプレックス、不器用さに自分と重ねたり、切なくて可哀想で泣けて泣けて。祖父も兄もなんつー教育してんだ!
唯一話しかけてくれるコーヒー屋さんの沖津が一番親しい人だなんて…。どれだけ孤独だったのかと思うと(泣)

二人ともお互いを知れば知るほど好きにならずにいられないですね。
凛一の繊細さ不器用さ全部を愛してくれる沖津がいてくれてよかった。
最初から沖津は凛一の変わったところを否定したりしないで受け止めてくれて。理解してくれて。 

凛一が次第に沖津への気持ちを自覚していくところが、まるでヘレン・ケラーが水を初めて認識した時のようで。これが恋なんだ!と。
けれど沖津とは本当の恋人同士ではないし、彼の好みは自分とは正反対で。それでもいい、好きでいたい。切なかった。わからないんだよね?沖津がこんなに優しくしてくれて抱いてくれるのは、親切で恋人のふりを守ってくれているからだと思って。

沖津も養子でベータだからか、誰かから特別になりたい。愛し合いたいと願いがあって。
もう凛一を好きで好きでたまらなくて。

すれ違いも解消して無事にまとまって良かったです。
切なくて甘々だったので、いつズドーンと来るかハラハラしてました。思ったほどひどいことにならなくて良かったです。

凛一の根深い思い込みがしつこかったですが、グルグルしながらも成長して変わっていったし、ありのままの凛一を沖津が愛してくれて。オメガバース設定も独特ですね。
エッチも沖津がやけに慣れてるのが気になったけど、赤ちゃんできるといいですね。

ベータ×アルファは初めてでした。
凛一に耳と尻尾があって良かった。ちゃんと気持ちが伝わってて。

2

耳ぴこぴこ

「愛されオメガの幸せごはん」と同じ世界観で、「愛され」のカプがちょこっと出てくるお話でした。不器用な受けさんにシンクロしちゃったので、前作よりこっちの方が好きかなと思うので、萌2寄りの萌にしました。二段組の本編220Pほど+その続き25Pほど+あとがき。

厳格な祖父に「弱みを見せることになるから感情を表すな」と躾けられてきた凛一(りんいち)。そのせいか、アルファなのに人とのコミュニケーションは上手くいかず、本社から郊外の研究所にある資料室へ異動となり、一人もくもくと資料整理をする日々。困ったことが起きたので唯一声かけてくれる沖津に頼んでみようと考えて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
瑶一(受けの兄)、攻めの妹、研究所の方々少々、「愛されオメガの幸せごはん」のカプ、霜月(攻め妹友人、可愛いΩ)。瑶一、ナイス。

++ 攻め受けについて

受けにめちゃ入れ込みました。

アルファなのに、どんくさい!
「そうよ、アルファだからって全て優秀じゃないのよ!」ととても思ってしまったんです。アルファという理由だけで、「努力しないといい成績が取れない」とか、「運動能力がそんな優れていない」と落胆されるのってどうよ?!と、ぷんぷんしてしまって。「無意識にアルファ=優秀って思いこんで、アルファを傷付けてるんだわ、似たようなことをして自分も周りの誰かを傷付けているのでは?」ととても思うところがあったのです。

まあ、斜め上の発想するところや、四角四面に祖父から教えられたことをくそ真面目に守って、人と上手くコミュニケーションできないのは、どうよ?と思う気持ちもあるのですが、小さいころからの刷り込みって結構効きますしね・・

そんな受の思い込みを少しずつ解いてくれた攻さんには感謝です。スパダリとまではいかないまでも、優しく思いやりあるいい方ですし、勿論イケメンだし、受に執着して色事シーンではネチっこさありますし、受さんとナイスカップルじゃん!と思いました。

最初感じ悪かった受け兄も、最後はめちゃ楽しい感じの方に思ったので、攻め受けと兄のバトルをもう少し読みたかったかな。お耳しっぽの表現は少な目?ですが、可愛らしい表現あったのと、とにかく受が好きだったので、読んで嬉しかった一冊でした!

1

あーあ

攻めがダメだったわ。
最初にとても酷かったくせに、謝り方も知らんのか?だった。

その後もなんか凛一の好意にあぐらをかいてる感じがなんか嫌だった。
唐突にベットインした様に感じてしまったのよね。

凛一が可愛いにこだわってるのが健気で本当にかわいそうになっちゃった。

本当はすごく繊細で素直だから祖父さんに酷い仕打ちを受けて萎縮しちゃって色んな才能も削られちゃったんじゃないだろうか。
子供時代がかわいそうで辛かった。

なんか攻めの良さがわからないのよね。

2

甘い。けど…

攻め、αへのマイナスイメージが先にあったとしても助けてもらった相手にあの態度はないよ!
あと攻めのセリフが説明でダーーっと長いのがちょいちょい気になった。そこは小説ですから心理描写、文で表現してほしかった……。
また1回目のデートで我慢できないって言って即ベットインも頂けません!そこは我慢するとこー!ナンパ師と何が違うんですか……。家帰ってきたらすぐセックス、仲直りの後もセックス…甘々だけど読みたいのはこれじゃない感…。

また受けも祖父に感情を出さないように躾られたからといって、あんなにつっけんどんなのは……。

β×αっていう設定は中々ないので期待しましたが…すみません中立で。
(カワイチハル先生の絵は本当に可愛かった!!)

9

溺愛攻め

「お尻とろとろにしてくれる?」
甘く攻める吉見くん!優しくて 深い包容力で、どんどん凛一が感情や表情豊かになり、素直になっていくのがとてもとても可愛い。
凛一はαだけど祖父の抑圧する教育のせいで自己肯定感なし…とても生きにくそうだったのが、吉見くんと出会って、恋する感情のぐるぐると共に成長していくのも微笑ましかったです。凛一は銀ギツネの半獣なので無表情でいるつもりでも耳や尻尾ダダ漏れなのがなんとも~ケモ耳に興味はないけど、尻尾のとこ撫でると蕩けるのは、きゃんわいい! と思いました。

3

ちょっと異色なオメガバースです

今回はキッチンカーオーナーと研究所の資料室係の会社員のお話です。

受様が兄の入院をきっかけに偽婚約者を頼んだ攻様と恋人になるまでと
既刊カプを絡めた伴侶になった2人の後日談を収録。

この世界に男女の性別の他にアルファ、ベータ、オメガとという第二性差
が出現した頃、獣の耳や尻尾などの特徴を持った人間が現れ始めます。中
でも半獣アルファは身体的にも能力的にも普通のアルファよりも優れてい
る上にそれぞれの動物のイメージを踏襲した優秀さを備えた者が多いと
言われています。

受様は狐、それも珍しい銀狐の耳と尻尾をもつ半獣です。両親の離婚と父
の早逝により、同じく狐の半獣の兄とともに父方の祖父に育てられますが、
祖父は「昔はそんな恥ずかしい外見の人間はいなかった」と公言してはば
からない人で、半獣の兄弟に厳しく接します。

兄はの赤狐の半獣アルファでしたが、勉強も運動も得意で利発で祖父の望
む誇り高く弱みを見せない優秀なアルファに育ちますが、受様は理解する
までに時間がかかる子供で、瞬発力が必要なスポーツは壊滅的な為に祖父
の小言も絶えず、怒鳴られ続けて育ちます。

祖父のアルファなら弱みを見せるな、他人に安易に頼るなと言葉は受様に
泣く事も笑う事も我慢させ、受様は喜怒哀楽が顔に出ないようになります。
祖父が鬼籍の人となった今でも受様は祖父の言葉に縛られ続け、友と呼べ
る人がいませんでした。

そんな受様の現在の職場は郊外にある研究所の資料室です。そこは半年前
に本社から左遷された受様ただ1人の部署なのです。受様は粛々と古いデ
ータが収まったハードディスクや議事録の整理を始めるものの、誰とも関
わらないために研究所の所員達とも馴染めずにいました。

そんなある日、受様は会社近くの広場でコーヒー販売をするキッチンカー
のオーナーと知り合います。このキッチンカーオーナーが今回の攻様にな
ります♪

受様は帰宅時に偶然、攻様の妹であるオメガ女性が発情している現場に居
合わせ、放っておけずに見守る事になったですが、その事によって攻様に
感謝され、以来受様は何かと声を掛けてくれるようになります。

攻様はベータでしたが喜怒哀楽がはっきり表に出て、思っている事もあっ
さり口にするところは受様とは正反対で、アルファの自分よりもよほど
凛としていて揺るぎなく、しなやかで強い人のように見えます。受様はそ
んな攻様のコーヒーも気入り、キッチンカーに通うようになります。

そんな時、普段疎遠が兄から入院すると連絡を寄こします。それなのに見
舞いすら断られた受様は兄が重篤な病なのでは思い至り、日頃から「早く
結婚しろ」と言い続けていた兄を安心させるため、偽婚約者を紹介する策
を思いつきます。

でも今の受様に気軽に偽恋人を頼める知り合いは攻様しかいません。意を
決して攻様に恋人役を頼むと、妹を助けてくれた礼にもなると攻様は快く
引き受けてくれます。

果たして受様の偽婚約者作戦はうまくいくのでしょうか!?

葵居先生の既刊『愛されオメガの幸せごはん』のスピンオフで、既刊の
攻様の勤務する研究所の資料室に配属された受様が、研究所の近くで
コーヒーを販売する攻様に偽婚約者のお芝居を頼んだ事から始まる恋物
語になります♪

本作もオメガバース世界が舞台ですが、ベータ×アルファという一般的な
オメガバースではなかなかみない取り合わせです。葵居先生は他社文庫
のオメガバースでもアルファ×ベータを書いてますが、アルファ×オメガ
なら定番の"運命の番"設定をどう解釈するのかも楽しみでワクワク読み
始めました (^-^)

受様は見た目が凛としたエリートアルファである半獣なのですが、半獣
を嫌った祖父に厳しく育てられたために、喜怒哀楽を素直に表現できず、
自己肯定力も異常に低く、上手く人との距離感が持てないままに大人に
なります。

そんな受様を最初は"高慢なアルファ"と思った攻様でしたが、妹の一件
と案外素直な受様の狐耳の動きから受様が人なれしていないだけで、
素直で可愛い人だと知り、偽婚約者の芝居に乗るのです(笑)

なので受様は攻様に「恋人ならこうする」「恋人なら普通」と言われると
自分は物知らずだからと攻様の意のままに操られるのですよね♡ 攻様って
かなりな策士です(笑)

受様の兄も受様に劣らず祖父の影響を受けていたので、攻様との交際にも
いろいろと文句をつけますが、攻様は障害があればさらに燃えるタイプで
もあり、ますますノリノリで受様との関係をステップアップさせていき、
受様も攻様との関係を進める中で自分の恋心に気付いていきます。

そんな2人なので、受様が攻様の好きな相手を誤解したりしつつも本物の
恋人関係になるまで、受様のぐるぐるにハラハラしつつ、楽しく読ませて
頂きました (^O^)/

個人的には健気なアルファという設定は面白かったですし、「運命の番」
という抗いがたい関係でなくても、大切な人の手を離さない生涯の恋が
できるという展開は良かったですが、アルファでも妊娠可能という設定に
引っかかると面白くないかなとは思いました。

攻様の妹の友人と受様の同僚の今後がちょっと気になります。

3

合わなかった

受けの凛一の不器用で頑なな性格が、読んでいて苦痛で途中で断念しそうになりました。

厳しい祖父に育てられて感情とかを表すのを苦手としていて、周りから誤解を受けて左遷されて閑職になって研究所に来たとありました。攻めの吉見に対しても申し訳ないだのとか自分を卑下する感情ばかりでイライラしてしまいました。

不器用なのは仕方ないけど、この人いったい何歳で祖父が兄がって言ってるの?大学まで通って付き合いが無いまでも、周りを見ることもしなかったの?10代のお話ならまだしも無理があると思いました。
グルグルグルグルしてて、吉見の妹のオメガの友達が登場するまで物語が動かなくて本当に参りました。

兄の瑶一も優秀で会社で期待されてて、順調に出世している人物には思えませんでした。むしろ変人なら理解出来ます。不器用じゃないあれは変人で偏屈なだけ。

吉見も肝心な事を言わないないまま進んで行くし、本来なら2段組の作品はボリュームがあって嬉しいはずなのに。

それにアルファ男子も妊娠出来る設定で、違和感がありました。

そう言えば前作の時も攻めの貴臣が言葉足らずでイライラした記憶がありました。葵居先生のオメガバは合わないかもと思ってしまいました。

8

このお話、好きだ……

『愛されオメガの幸せごはん』も良いけど、私はこっちの方が好きかも。
理由は2つ。
1.『ベータ×アルファ』であること
2.エチシーンがとてもとても幸せそうであること
これがたまらんかった。

お話の内容は先にレビューをお書きになられたお2人が詳しく紹介されているので、ここからは私の萌えを書き散らかします(他人に乗っかってごめんなさい)。

オメガバースがいまいち乗り切れないのは『魂のつがい』とか『運命のつがい』っていうのが私に合わない所為なんですよ。たぶん私は『不変のもの』よりも『流転するもの』が好きなんだと思うんです。遺伝よりも環境を重視したい。

オメガバ世界のベータってモブ扱いが多いように思うんです。
それがあえての攻め様。
それもなかなかの男前風味。
対するのは、自己肯定感がやたら低いアルファ!
『!』を付けたくなるじゃないですか。だって自己肯定感が低いアルファって、一般的なオメガバ世界では存在しないものだと思い込んでいたんですもの。
でもね、考えてみればあり得るわけですよ。
ベタなたとえで恐縮ですけれど『自分は頭が悪いと思っている東大生』っているわけでしょ?(いるよね?たぶんだけど)競争という物差しで測れば、すべての集団に上下は必ず生まれてしまいますもんねぇ。

でも、社会では物差しって一本じゃないんですよ。
祖父は凛一を『要領が悪くて弱虫』と評価したけれど、吉見は『丁寧で感受性が強い』とべた褒めする。
同じものを、どの角度から見るかなんです。
だからこそ「アルファの凛一のヒーローはベータの吉見でなけりゃアカン」と思うのです。大切なのは人と人の間に生まれる『関係』であって、その『関係』はやっぱり『運命』なんかじゃない方が良いと思うんですよね。『偶然』の要素はあっても、やっぱり『努力』とか『善きものであろうとする倫理性』だとかによって獲得できるものであってほしい。
だから、これを書いてくれた葵居さんに感謝したい。
だってこの結末にすごい納得できるんだもん。

私はBL小説にそれほど『甘々』を求めません。
って言うか、物語の筋が終了した後のご褒美みたいな甘やかしシーンは「なくてもかまわない」とまで思っておりまして(申し訳ないんですが読み飛ばす時もある)。
このお話のエチシーンはそう思わなかったのよ。
とっても良いんですわ。
滾った(笑)わけじゃないのね。だって性癖は全然違うんだもん。
言ってみれば『幸せ』が読み取れるんです。
2人がどれほど幸せかっていうのが。つながるたびに。

たまたま私のコンディションの所為かもしれないのですけれども、でもね『甘々不感症』の私が、NTRとか緊縛とかが好きな所為で今作にも「私が『神』評価を付けるのにはあまりにも幸せオーラがあふれ過ぎている」と思って『萌×2』にせざるを得なかった私が、ここまで盛り上がっちゃったわけですから『甘々好き』の姐さま方がお読みになったら、かなりの確率で撃ち殺されてしまうと思います。
是非、ご一読を。

13

優しい溺愛もの

スピンオフ作とは知らずに読みましたが、未読でも問題なく楽しめました。
なんでしょう、すっごく可愛らしかった!
タイトル通りの愛され…いやいや、愛されを通り越して溺愛ものでした。
自己肯定感0で不遇の受けの凛一が、攻めの吉見によって優しく包まれ、どんどんとろけていってしまうのが愛らしくて仕方がないのです。

今作のカップリングは、ベータ×半獣のアルファと、あまり頻繁には見かけない組み合わせかなと思います。
オメガバースものではあるのですが、あまり意識せずに読んでいたかもしれません。
凛一がオメガの香りに敏感なタイプではなかったり、設定が少し変わっていたからかな。

毒親ならぬ毒祖父育ちの呪いから抜け出せずに長年不遇だった受けが、どでかい愛を抱えて突っ込んで来た年下攻めの手によって呪いが解かれ、どんどんと本来の愛らしい姿を取り戻しながら幸せでいっぱいになっていきます。
受けのメンタル面の救済とシンデレラストーリーかもしれない。
これはね、定番のアルファ×オメガではなくて、「ベータ×アルファ」なところが良いんですよね。
ベータが主役級になる作品も少なければ、秀でた部分がクローズアップされないアルファというのも珍しいのでは。
ベータだからといって無個性なわけではないですし、アルファだからといって誰もが完璧な人間であるはずがないのです。
良い意味で、運命や性差なんてものは関係無いと思える作品です。

兄を安心させるためにと、偽装婚約の相手として吉見に協力してもらう事になるのですが。
どこからどう見ても吉見は凛一に気があるんですよね。好意の塊なんです。
けれど凛一は微塵も気が付かないという…
これ幸いと、デートに行ったり食事をしたり手を繋いだり「嘘に見えないように恋人っぽくしないと」と、距離を詰めていく吉見。
そのどれもが凛一にとって初めての事だらけで、恋人以前に友人関係というものすら分からない彼が、戸惑いながらも吉見の大きな愛に包まれてきゅんとしたり、嬉しくなったり…
言葉を選ばずに言ってしまえばちょろいんですけど、友達も居なければ優しくされた事もほとんどなかった事もあって、初めての事に触れる度にとっても可愛らしくなっていってしまうんですね。
次第に恋心を自覚するものの、やはりここで問題となるのが凛一の自己肯定感の低さ。
凛一が焦ったいほどぐるぐると悩んでなかなかくっ付かないのですが、それは彼が育った環境を考えると仕方がないのかも。
その後の、たどたどしく想いを伝えるシーンが本当に愛らしい。
生まれたてのひよこちゃんみたいな受けってなんでこんなに可愛いんだろう。
幸せになれるのはオメガだけじゃないんです。

その一方で、元から好意を持っていた凛一の不器用さと繊細さをきちんと理解しつつ、デートや言葉の交流を続ける内にあまりの可愛さにたまらなくなっていってしまう吉見。
凛一の初心さを知った上で、偽装婚約を利用してあれやこれやと距離を詰めていくのはちょっとずるくもあるのですけれど、本当に大切に大切に接しているのも分かるのです。
ここが可愛い、ここも可愛い、全部可愛いとひたすらに溺愛し肯定する様子はなかなかの良い溺愛攻め。
彼の広い心と包み込むような愛によって凛一が解けていく。
巻末の吉見視点のお話を見ると、大きいだけではなく結構重ための愛のようで、恋愛どころか人と接するのが初心者の凛一のペースに合わせて頑張って自制していたんだなと。
ベータならではの嫉妬や不安も描かれていて、ただ受けを甘やかす包容力の持ち主なだけではなく、きちんと人間臭さもある良い攻めでした。
無個性で、オメガバースの世界ではその他大勢として描かれがちなベータを、魅力と個性のある素敵な人として描かれているところが良いです。

初めてのえっちが性急過ぎて、もうちょっとゆっくり進んであげてーと思ったのですが、これがかなり糖度高めのひたすらに凛一を愛でるものでして…
褒められ慣れていない凛一も、耳をぺったりと垂らしてすごく嬉しそうですし、その後何回かある濃厚な睦み合いの数々も幸せに溢れたものでした。
それにしても実況系の溺愛言葉責めがすごかった。
これくらいでろでろに受けの事が好きで溺愛しているのが分かるとたまらないですね。
すっごく甘かったです。幸せの香りがする。
ものすごーーく!萌えました!

吉見と過ごす内に、気持ちの変化が現れたり、本来の抑え込まれていた自分が日常生活でも良い方向に出て来て、彼と出逢えて本当に良かったねと思える、なんだか心が優しい気持ちになる素敵な作品でした。
繊細な受けが優しい攻めの手によって丁寧に愛されて幸せになっていく姿を見届けたい方、溺愛ものがお好きな方にぜひ読んで頂きたい、大変可愛らしい1冊です。
シトロンラテ、飲んでみたいなあ。
本編にちょこっと登場しているスピンオフ元のキャラクター達のお話も読んでみたくなりました。

9

たった一人の、大事な人になりたい

「愛されオメガの幸せごはん」スピンオフになります。
今作だけで問題無く読めます。

で、今作ですが、包容力ベータ×半獣アルファの美人受けによる、偽装恋人モノになるんですね。

いや、思ったよりと言うか、すごく葵居先生らしいと言うか、結構切ないししんどいお話なのです。
でも、同時にすごく優しいお話でもあって。
もうさあ、受けのあまりの不器用さに、愛しくて愛しくて仕方なかったですよ。
そして、攻めがそんな繊細な受けを、これでもかと言う大きな愛で包み込むのが、嬉しくて仕方なかったですよ。
ついでに、攻めの愛が意外と重いものである所まで、最高でしたよ。
受けを閉じ込めて独り占めしたいとか思ってる攻め、大好き。
暴走しちゃわないように、そんな自分を戒めてる攻めは、もっと大好き。

ちなみに、1P目から「愛されオメガ~」の二人が(間接的に)登場してまして。
思わずニヤリとしました。
巻末に攻め視点のSSが収録されてるんですけど、そこでもこの二人が活躍してるんですよね。
幸せそうで、思わず「うふふ」となりましたよ。
「愛されオメガ~」もめちゃくちゃ素敵なお話だと思うので、未読の方はこの機会にぜひ!

内容です。
優秀だとされる半獣のアルファでありながら、落ちこぼれの凛一。
病気で入院する事になった兄を安心させる為、偽装婚約者を作る事を計画するんですね。
そんな彼が婚約者役として目をつけたのが、唯一親しくしてくれるベータの沖津でー・・・と言うものです。

で、婚約者役を承諾する沖津。
更に、自然な恋人同士に見えるようにと、濃厚すぎるスキンシップを仕掛けて来て・・・と言う流れ。

と、こちら、ストーリーとしてはすごく甘いですし、一見王道なお話なのです。
お話なのですが、実はとても深いし切なくもあるお話でして。

いやこれ、主人公となる凛一がですね、とにかく不憫だし、読んでて痛々しいんですよ。
えーと、彼は一見、無表情で口調も冷たくと、鼻持ちならないタイプ見えるんですよね。
が、それは彼の生い立ちに理由があって。
こう、威圧的な祖父に極端に片寄った教育を受けた事が原因なのです。
お前は出来損ないだと貶されながら、感情と言う弱味を見せる事を厳しく禁止されて育った。
そのせいで、人と上手く関われない、感情を無表情の仮面に閉じ込めてしまう、現在の彼が形成されたと言いますか。

こちら、凛一視点で進むのですが、そんな彼のこれまでや、現在の友達の一人も居ない、孤独な状況が丁寧に書かれてまして。
これ、本当の彼と言うのは、不器用で繊細で思いやりもある青年なのです。
でも、そのキツい言動と無表情のせいで、誤解されたり周囲から浮いてしまったり。
いや、めちゃくちゃ切ない。
本人の自己評価の低さも、切なさに拍車をかけてるんだけど。

こちら、一番の萌え処がですね、そんな受けが攻めに目一杯愛される事だと思うのです。
攻めの大きな愛により、祖父の呪縛から解き放たれる事だと思うのです。
そして、幸せを掴む事なのです!
そんなすごく優しくてあたたかいお話なのです!!

(偽装)婚約者として沖津とデートしたり、共に過ごしたりと、かつてない甘く優しい時間を過ごす凛一。
こう、初めての経験の数々に、戸惑ったり喜びを感じる彼の姿が、やたら可愛いんですよね。
いや、愛に飢えた受けが、攻めからこれでもかと甘やかされるエピソードなんかが大好きでして。
凛一、良かったねぇ!と。

また、凛一はわりと世間知らずな部分もあると思うんですよね。
明らかに、沖津は彼に惚れている。
そして、偽装恋人にかこつけて、凛一を落とそうとしている。
あれよあれよと誘導されて、キスだのエッチだのいつの間にかなだれ込んでるのに、ニヤニヤが止まらないと言いますか。
凛一、チョロすぎるよ!と。

あとですね、こちらオメガバース。
珍しいベータ×アルファのカップルになるんですね。
これ、沖津がベータの為、二人の間に「運命」というものは存在しません。
これの落とし処が、とても素敵でした。
そう、人を愛するのに、運命とか運命じゃないとか、関係ない。
ただただ、その人だから特別なのです。

他、祖父そっくりの、優秀で高圧的な凛一の兄。
彼もまた、不器用な男なんですよね。
例の祖父に育てられて、愛情の示し方がヘタクソな。
沖津の存在により、この兄弟が(ちょこっとだけ)分かりあえるのも、とても素敵でした。

最後にですね、沖津視点のSSが収録されていて、こちらで彼の内心と言うのが語られます。
彼もまた、ベータである事、そして家庭環境から「特別」な存在を求めてきたんですよね。
そう、受けが攻めによって救われただけじゃなく、実は、攻めも受けによって救われていたー。
すごく、素敵なお話なんですよね。
ちなみに、ここでの沖津ですが、凛一への愛を爆発させてます。
そして、重すぎる本音もチラッと洩らしています。
いやいや、暴走しないように、気をつけて。

と、とにかく優しくてあたたかい、とても素敵な作品だと思います。
若干、受けがグルグル悩みすぎて、ここで好き嫌いが分かれる気もしなくもないんですけど。
ただ、個人的にはそんな主人公の葛藤部分まで、とても読み応えがありました。
いや、受け尊すぎぃ!!

17

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