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tabenaino ookamisan
先ほど読み終わり、あまりの衝撃をくらいましたのでレビューいたします!
森に住む狼・ウルと生け贄の男の子・太郎のお話。
とにかく何がすごいのか。
最初私は獣×人間の、ストーリーが苦手で購入を迷ったんです。でも紹介文の切なそうなところに惹かれて読んだら、なんと一話終わりで衝撃の狼→人型描写が来まして!
ウル、すごい素敵!!
これがまた、ウルがとにかく狼姿でも紳士なんです。
○言葉が丁寧!
○ミシンで太郎に手作り服縫う!
○自分の着てる服が裂けてもかまわず走って太郎のピンチにかけつける!
○住んでる家、太郎への服、とにかくセンスが光る
全体的なこの本の魅力は、子供のころに読んだ美しい絵本の、優しく美しい空気をまとっているところです。
絵本。この表現がぴったりです。
太郎をはじめ、人間キャラクターの顔(特に、目、髪、手)も派手な描き方でなく、また背景は主に森の中。その他動物や人魚、景色やインテリアの整った洋館(二人の暮らす家)など、ファンタジーを自然に見せる丁寧な描写が続き、全ての存在と人間や狼の存在が、ことごとくマッチしています。
太郎は口べらしのため生け贄にされた、痩せている小さな男の子。その子に、おいしく食べるためだよ、と狼が言い聞かせながら手厚く育てています。
蜂蜜クリーム、へちま化粧水などを与え、とにかく、過保護に育てています。
いつかはウルに食べてもらえる、食べられると思いながら暮らしてきた日々。太郎は徐々に声変わりし始め、蓮の沼で見た男女の人魚の交わりに大人としての芽生えをしていきます。
もちろんウルは頭からバリバリ食べる気なんてなく、いつか自分が太郎を手放し別離する道を覚悟しています。
穏やかに穏やかに、進む時間。
この穏やかが怖いですので。←すごいネタバレです
腐女子になり色んな描写に慣れ、ちょっとやそっとの漫画ではこの心臓に生えた毛が揺らぐことも珍しくなってしまった昨今でしたが。
計三回、人型のウルと太郎(だいたいそのシーンで太郎は半裸)のところで、ウルの色気にとにかく、久しぶりに!!ドキーっというあの電気を感じました。
腐女子になりたてのあの頃の電気です。もうふさふさの心臓の毛が抜けた感じです。
本番シーンはシンプルでラスト一回のみですが、これ含めて三回は美味しいと感じるところがありました。絵本を読んでたら急に15禁漫画をくらった気分に近いです。
ちなみに、普段はメリバやバッドエンドを好む私ですが、この本はハッピーエンド以外受付けられないくらいの優しさで前半溢れているので、最後まで怖かったです。
大丈夫です、ハッピーエンドでした(  ̄ー ̄)ノ
なにげに素敵なのは、太郎の履いている靴。
いつも素敵な靴を履きこなしています。
お布団がまた、いい!!熊の毛皮です!
ちなみに、ウルは獣のときブラッシングされるのが大好きで、そのブラッシングコールがもらえた時の描写のかわいさたるや!
私の語彙力はこんなものなので、どうかこの絵本のようなBL漫画をぜひ一度読んで頂きたいです!
今年買ってみて一番良かったです。ちなみに電子で購入しましたが、紙でも欲しくなりました。
たくさんの方が、癒されることを願っています!!
どういうわけか、「Beauty & Beast」をモチーフにしたBLは多い。さらに「赤ずきん」が好きな作家さんも多い。これはそれらを絶妙に掛け合わせた様な趣き。
狼のウルはいわゆる獣人では無い。普通に恐れられる山の狼。
太郎は生贄として供えられた子供。「いつか食べられる」と思わせておきながら、狼は幼ない太郎を可愛がり、慈しみ、大切に。それはもう大切に育てる。
太郎の方も自分は「いつか食べられる」のだと思いながら、それまでその時が来るのを待っている。
BL的には、それはいつか凌辱、というか。抱かれるんだろうな、と匂わせていて。
おそらく太郎も子供ながらそれに気付いているんじゃなかろうか?と、期待もさせるんだけど。
そうでも無い。人並みに教養を付けさせながら、教育を施されている太郎は無知では無いがウブなのだ。
愛されたいとモヤーッと願いながら、あまりよくは分かってなさそうなのだ。
狼の方の苦悩はそれよりも大きい。いつか太郎が自分の元を離れて生きて行くその日まで。
太郎を一人前に育てようと、覚悟している。監禁して凌辱しようだなんて考えてもいない。
この狼の無償の愛を想うとき、号泣せずにはいられない。狼の孤独。
人々に恐れられ、忌み嫌われ、それでいて山の神だと奉られる孤独。
狼は獣人では無く、月夜の夜に美しい男の姿になる。彼が変貌する様子は些かグロテスクではあるけれど、狼男である彼の美男っぷりは麗しく。獣姦にはならない事にホッとする。
その姿を最初から晒してくれていたら。太郎はもっと簡単に落ちたであろうに、と精霊に心配される様子も良い。狼は決して。太郎を籠絡しようなどとは思っていないのだ。
お伽話の様な美しい愛の物語。
森には精霊が棲み、人魚が戯れ、恋を謳歌する。ユニコーン。ひっそりと木の精霊は美しく描かれ、
妖精が春の訪れを知らせる。それらは詩の様に美しい。
太郎に懐いて、側で丸くなって眠る狸も可愛らしい。あらいぐまかと思ったよ。
子供が育つのは早い筈なのだが、幼ない太郎は中々大人にはならない。
変声期を迎え、背が伸びて。いよいよ?と思わせておいて。「それはまだ僕が小さかった頃のお話。」と言って、遡ったりする。どんなに狼が太郎を愛していたのか、溺愛しているのか、萌えだけを楽しんでいくのかな、などと思わせてもいて。
突然に別れはやって来る。
狼は太郎の幸せの為に、太郎に別れを選ばせる。(号泣)
そして、あっ⁉︎ と驚かされてしまうのだ。森の楽園に2人きり。過ごしていたその時間は、100年も経ってしまっていた事を。
えーっ⁈ 100年も⁈ エンディングには「One Love」が私の頭の中を駆け巡る。
「〜100年先も愛を誓うよ。君は僕の全てさ〜♬」100年…。
この世の禍いの全てから太郎を守りたいという、狼の、永きにわたる大きな愛情。
森の精霊と生きることで、太郎も永遠の命を授かったのか。もしくは、時がゆっくりと流れたのか。
いつか太郎は自分の意志のままに森へと戻り、愛しい者と結ばれる。
必ず訪れると信じていた美しいハッピーエンディング。温かくて、優しくて。
そして2人はずっと。幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。
途中、狼の縄張りに迷い込む猟師。盲目の行商人など、人間が介入したりしてヒヤヒヤしたりするものの、それは楽園をかき乱すほどのものでは無く。
もしかしたら、普通の人の目に触れる事なく、今も何処かで息づいているのかも、と思いたい。
これまでの100年とこれからの100年。そしてまたそれ以上に。
永遠にこの幸せを守られて欲しいなと、願ってしまうのでした。
満ち足りる、というのはこういう気持ちなのかもね。
ウルという黒い狼男さん、
その狼男の生贄として森に捨てられたちっちゃな太郎のお話です。
もふもふ好きの私にとっては換毛期に毛が抜けやすいという設定が
The もふもふ!!でとても嬉しかったです。
森の精霊が出てきたり、大蛇や人魚、一角獣、
そして森の動物たちがたくさん出てきて、
雰囲気は魔法使いの嫁にとても似ているなと個人的には思いました。
精霊や魔法の動物が好きな私にはこれもツボ。
そして「食べられたい太郎」と「食べる食べる詐欺のウル」のやり取りが、
どちらもお互いを好きで微笑ましい部分もありつつ、
ちょっと切ない二人の気持ちも見えて、
すごくバランスのとれたいい作品だと思いました。
「たとえそれが正しい幸せでなくても その日が来るまでは そこは ふたりだけの楽園」
いい文章かくな〜と思ったシーンです。
森の中のウルの縄張りにある二人の家はまさに楽園で、
二人はそこで幸せに暮らしているけれど、
傍から見た二人は、生贄と、それを食べる者という、歪な関係です。
でもそれをシリアスな暗い雰囲気で
ドロドロに描いてないところがすごく好きです。
もふもふが好き、ファンタジーが好き、
ほのぼのした雰囲気が好き、
このどれか1つでもあてはまるなら、ぜひ読んでいただきたいです。
小石川先生の作品は、心を掴んでじわじわと揺さぶるような、深い根を張った優しさと寂しさがある。
誰も真似できない、圧倒的な個性。
限りなく優しくて、温かくて、悲しい。優しすぎてたくさん傷ついてしまう人たちを、静かに描く。
冬に初めて降る雪のような、春に降る温かな雨のような、そんな、読者の心を静かに包む優しさに溢れた作品だった。
ウルの愛情はひたすら慈しみに満ちていて、太郎の心と体をひたひたと満たしていく。初めて読んだ時は、なんて心温まる描写だろう…と思ったのだけれど、再読時にはその限りなく優しいウルの姿に涙が止まらなかった。
いずれ手放すと分かっていても愛さずにはいられない、そんなウルの愛、孤独の深さに胸をえぐられる。
とにかく読んでほしい。素晴らしい作品。
上質な絵本のような美しさと愛らしさ。
童話のように優しさと残酷さが同居するストーリー。
先の気になる展開。
1話目から強烈に惹きこまれました。
(まず試読したのですが、続きが気になりすぎて即ポチでした。うますぎる)
切なく愛溢れる素晴らしい人外ファンタジーだと思います。
おおかみ男ウル×生贄に捧げられた少年・太郎。
痩せっぽちの幼児だった太郎を“大人になったら美味しく食べるために”という理由で、食事や素敵な衣服や教養などを惜しみなく与え、大切に大切に育てていくウル。
太郎はそんなウルのことが大好き。
いつか食べてもらうために、大好きなウルの側にいるのです。
そして太郎は少しずつ成長し、思春期を迎えるときが訪れて…。物語が大きく動き出します。
ウルの正体とは?太郎が大人になったとき、2人に何が起こるのか?
もう、先が気になって仕方ないのだけど、世界観があまりにも美しいから、先を急ぐのが憚られてしまう。
1ページ1ページをものすごく大切にしたいような、そんな作品でした。
ウルはめちゃくちゃ男前で優しくて、太郎は可愛い。
ウルはしょっちゅう太郎のことを抱きしめてペロペロ舐め回しているんだけど、これわかりすぎる!
ずっと愛でていたいくらいに反則級に愛らしいんだもん。
本当に「食べちゃいたいくらい」可愛い。
そんな2人の生活は、あたたかくて優しくて、その未来は感動的なものでした。
今、心がとてもぽかぽかしています。
文学的で童話的で叙情的な作品です。
「赤ずきん」やイエローストーン国立公園の狼……色んな要素をミックスしてると思う。
あまりに美しすぎて、これはBLか?と思ったのですが、少年が人魚の恋の歌を聴き、交わりを見、性を意識していく姿が鮮明に描かれており、あぁこれは立派な愛の話なのだと感じました。
各話のタイトルも詩的で素晴らしいので注目して下さい。
生贄として森に捨てられた・太郎を拾って育てるのは狼のウル。
過保護なほど愛情を注ぎ、大切に大切に太郎を育てるウルの目的は、大きくなった太郎を食べることーー…?
これは、狼の神様と愛しい生贄の愛の物語です。
読み切り形式で進むストーリーの中で、太郎の成長や性の目覚め、ウルの葛藤が描かれています。
童話的で可愛くありながら、太郎が子どもから大人に成長していく心と体の変化にそこはかとなくエロスを感じます。
ユニコーンや妖精、人魚など、ファンタジー要素が多数散りばめられており、太郎が〝春の妖精〟を見つける場面はあまりに可愛くて、何度も読み返してしまいました。
「おいしそう」は、太郎が成長している意味であり、愛しいけど少しさみしさを感じさせます。
ずっと手元に置いておくつもりはないウルは、いつか太郎を人里に返そうと思っているのです。
太郎が愛しくて愛しくて仕方がない様子がウルの全身から痛いほど伝わってくるので、ウルのこの思いはとても切なくて苦しい。
いつか太郎を壊してしまいそうな自分に怯えているウルの想いは、もう愛だよね。
太郎を一人の男として深く深く愛しているの。
人獣のウルが人型を晒すのは、人と交わる時だけ。
太郎に拒絶されたウルが、「それでいいんだ」と言った時の表情に胸をギュッと締め上げられて泣いた。
太郎もウルを愛しているのに、すれ違っていく姿が泣けて泣けて仕方がなかった。
離れても、何年経っても変わらない愛に感動し、再会後の二人が可愛すぎてどうしたらいいか分からない気持ちになりました。
ウルがイケメンなんだよ♡
優しさが、愛しさが溢れて止まらない。
掲載誌で本編しか読んでいない方には、ぜひ描き下ろしを読んでほしい。
初めて結ばれた二人に感極まりました。
コミカルな要素もキュンとするほど可愛い要素もたくさん詰まっていて、読み終わってため息が出ました。
和と洋が絶妙に組み合わさっているところはシュールだけど、美しくも感じます。
小石川先生の既刊作品もチェックします!
切なキュンキュンです。
あらすじがドツボにハマって購入したんですが、めっっちゃ良かった!200P越えで読み応えがあり、優しい童話のようなストーリー展開で2人きりの世界は甘くて切なくて…(;///;)「心温まる」と「切ない」が絡むともうダメですね。涙腺にきちゃう。童話BLがお好きな方は是非…!
さてさて。
内容はあらすじにもあるように、森に住むオオカミさんが生け贄の少年を大切に大切に育てるお話です。それはもう蝶よ花よと手塩にかけてめっっっっっっっっっっっちゃ溺愛してますw オオカミさんは大切に育てる理由を"大きく育てて美味しく食べるためだ"と説明。少年はいつか食べられることを待ちながら愛情をかけられる生活を楽しんでいます。
そんな2人きりの生活は優しさと愛に溢れて穏やか。けれど少年の成長に従い、共に暮らす生活も終わりが近づいていてーーーと展開します。
攻め:ウルはオオカミ男です。昔は神の眷属でした。太郎の前では隠しているけれど人間ver.の姿もあります。これがま~~~めちゃカッコよい!髭剃りしてるとこなんて色気が爆発してた。(個人的なシュミです←)けれど太郎の前で人間の姿にならない理由があって…。人間ver.の憂い顔にめっちゃキュンキュンした///
生け贄に来た当時、オオカミ姿だと怖がらせてしまうかもしれないと紳士風の服を着る気遣いがグッときますね。ウルは温かい心があってとっても優しいんです。そして多分ですが太郎が来る前は一人だったのかな?と。話相手の精霊もいますが、森の動物や精霊の一部はウルを怖い狼だと遠巻きに見てましたからね…。こういうのホント弱い…(;///;)
受け:太郎はウルが手塩にかけただけあってプリツヤの可愛い少年です。心も清らかなので森の仲間達にも好かれているようでした。けれど無垢な太郎は少しずつ成長し、いつまでも無垢なままではいられなくなるーーー。声変わり、身体の変化、性的欲求。恋を知ると更に『食べ頃』へと近づくんですね。
……ええ。そうです。食べ頃というのは性的なそういうこと。生け贄は花嫁。ウルと番うということは俗世を切り捨て一生森に縛り付けるということなんです。ウルは太郎をそんな風にしたくなくて、ずっとずっと人の世に返す為の教養を身につけさせていたんですね。ウルの優しさが切なくて萌えがシンドイ…(;///;)
太郎はそれを知らないまま育ちました。いつかガブリと食べられてウルの血肉になるのだと。そのために美味しい身体にしようと。でも出来ればこのまま穏やかで優しい暮らしを続けられたらいいな…と。『食べる』が性的な意味だと知った時の太郎は、芽がいっきに花開くような、青臭さから一気に花の香りが広がるような、そんな萌えを感じました(∩´///`∩)成長モノは大人になる瞬間が良きですね///
ウルの想い。
太郎の願い。
ある事実が明らかになって2人の想いはすれ違います。
ウルは太郎の為に、
森の中から出て行くべきだと考えているのですね。
しかし太郎はウルから離れたくないと願う。
この場面がもぅもぅ涙腺崩壊しました!!!
(アカン、レビュー書きながらも思い出し泣きする…)
(切なMAXメリバエンドを覚悟した…ビビった;∀;)
ラストから描き下ろしの多幸感に癒やされた~~~!良かった~~~!!
切ない展開はあるものの、大半はウルと太郎の穏やかな暮らしの場面が多いです。特にウルが過保護なぐらい太郎を溺愛しまくる描写が多い( ´艸`) ウルがベロベロ舐めるせいで太郎が"しっとり"してるのには笑っちゃいましたw狼というより犬に近いほど愛らしいオオカミさんと無垢な少年。童話のようなお話は癒やされ度が高くとても素敵なお話でした(∩´///`∩)
素晴らしかった!
もう、この言葉につきます.
今日は、朝に読んで、仕事終わって夜にまた読んで。
読んでも読んでも、良いところしかなかった。
ひたすら美しい愛の物語でした。
お話のモチーフは、赤ずきんだったり、ドイツの黒い森だったり。
アイルランドの古い妖精物語のような、古い日本でも有り。
たくさんのモチーフが集まっているのに、決してばらばらにならない。
黒い狼のウルと、小さな太郎。
食べられるため、下ごしらえのため、美味しくなるからと呪文のように、優しく話しかけながら大切に育てられた太郎。
そりゃあ、ウルが溺愛しています。
後半になると、太郎が成長していく過程での変化が訪れます。
食べないの?
とウルに聞く太郎が、うっすらと、でも確実に期待している瞬間。
食べられるとき。
太郎にとって甘美なときの予感なんですが、ウルは違う。愛するからこその苦悩が切なかったです。
美しくて、甘美な愛の話。
ウル、最高だ。
合間に入る狸の小太と佐助の冷静な突っ込みが、絶妙。
こだわりのある、太郎のための下ごしらえ(ボディケアグッズ)が堪らない!
良すぎて…物語に漂いますよ…
電子だったのですが、紙を買います。
紙のページをめくってうっとりしたい。
なんならイラストブックが欲しい。
私の今年度ベスト作品に加わりました。
小石川あお先生、素敵な話をありがとうございました。
もうなんかすごくいい。
すべてがすばらしい。(語彙力)
まず絵が素晴らしい。
森に生きとし生けるものたち、そして人魚や妖精たちの絵画的な美しさ。
「怖い」おおかみさんのおどろおどろしい姿をきちんと描くことができる画力。
(次第におおかみさんの狼姿もイケメンに見えてくる・なんて表情豊か!)
視覚を楽しませてくれるという漫画の力というものが最大限に生かされてると思います。
恐ろしいとされているおおかみさんの心根は本当にやさしくて、なんていうのかな、おおかみさんと太郎の暮らしぶりはこのうえなく満ち足りていて「全てがここにある」って感じ。
お手製のすみれの花の砂糖漬けとか、そういう細々とした描写がなんかもうたまらんていうか。そんなの作れちゃうおおかみさん、好きとしか言えないというか。
とにかく真綿でくるむように大切に大切に太郎を慈しむおおかみさん。
彼の細やかな愛情がページの隅から隅まで満ち満ちていて微笑ましい。
そして時には切なくて、愛するがゆえに手放そうとするシーンでは、涙、涙‥‥。
電子限定のおまけは4コマ漫画が4つなんですね。
もうその過保護な溺愛っぷりが笑えて仕方ない。
完全にギャグ漫画の域の溺愛なんです。
小石川あおさんって、泣けるところと笑えるところがちゃんとあるので好き。
あ〜なんかほんと良かった。
こういう心が優しくなるようなお話、今の時期だからこそなおさら癒されるし、求めていた!という感じ。
小石川あおさんは「ご主人さまとけだま」もすごく良くて、先日読み返したばかりなんですね。
で、2017年を最後に新刊がなくて寂しかったので、久しぶりの新作を読めてほんとーにほんとーに良かったです。
2020年上半期の中で個人的にベストです。
初めて読んだ小石川あお先生の作品です。
小石川あお先生は絵が綺麗で、コマ割りがスッキリしているので読みやすいです。
森に住むおおかみの神様のウルと生贄に捧げられた人間の子供 太郎のお話。
100年前に森の怪物の生贄として家族から差し出された幼い太郎。
森の怪物として恐れられていたウルは、ガリガリの太郎を見て「軽い!細い!!ぜんっぜん食べるとこない!!!」と憤慨します。
ウルは生贄の太郎に美味しい食事と素敵な洋服を与え、豊かな教養を身に付けさせ、惜しみない愛情を注ぎ、大切に大切に育てます。
何日も何ヶ月も何年も、太郎はウルとタヌキの佐助と小太の他に森の動物達や妖精と穏やかな日々を過ごしていました。
そして、太郎はずっと望んでいるのです。
自分が大人になったら生贄としてウルに食べられることを…。
いや~、素晴らしいです!!
全腐女子の皆さまに読んでいただきたい!!
それぐらいクオリティの高い作品だと思います。
舞台は昔の日本のとある田舎の山なのですが、ウルが住むお家や調度品、衣類までも全て西洋風です。
そして、ウルの山にいるのは妖怪…ではなく、森の妖精やユニコーン、人魚達です。
普通なら違和感を感じる組み合わせも自然と受け入れてしまうのは、小石川あお先生の絵柄とストーリー構成の賜物だと思いました。
赤ずきんちゃんを彷彿させる童話のような世界感をBLと融合させており、読みながら思わず唸ってしまうほど見事な出来栄えです。
さらに、第1話~第6話までの各扉絵とタイトルも素敵ですよ。
ウルは太郎を心から溺愛しており、また太郎もウルが大好きです。
しかし、その2人の暮らしは永遠には続きません。
物語の途中では、自分の声変わりに戸惑い、人魚の愛の行為を目撃してしまった太郎がゆっくりと成長する様子が描かれています。
幼かった太郎も少しずつ思春期に入り、こころとからだのバランスが変化していきます。
そんな時に、森の妖精から「生贄」の本当の意味を聞かせられました。
「生贄」とはウルに食べられることではなく、ウルの花嫁になることを意味するのです。
全体を通してウルと太郎の心理描写が丁寧に描かれており、冒頭から物語に惹き込まれます。
そして、ウルがどれだけ太郎を大切に想っているか、どれだけ愛しているかが手に取るように伝わるので、読んでいて何度も胸が詰まりました。
もし、太郎を自分の花嫁にすれば、太郎はずっと森に囚われることになってしまう。
ウルは「いつか自分のもとから逃がそう」と考えていたのでした。
そのために、太郎が小さい頃から教養や知識を身に付けさせていたのです。
しかし、別れは突然やって来ました…心の準備も出来ないまま。
ウルも太郎もどんなに辛かったか(泣)
とくに、ウルは太郎を突き放すために泣きながら嘘を言います。
「きみのことなんて あいしていなかった」
太郎が幸せだったらそれだけでいい。
ウルのたったひとつの願い。
でも、太郎の幸せはウルと一緒にいること。
それ以外は何もいらない。
描き下ろし『ぼくを愛したおおかみの事。』
2人が再会したあとのお話。
初めて結ばれるウルと太郎に感動を覚えます。
個人的には、離れ離れで暮らしていた2人の数年間を見たかった(泣)
ウルは毎日のように山の麓の太郎に想いを馳せ、太郎は山にいるウルに何度も会いたいと思ったに違いありません。
いつか番外編で読めたら嬉しいです。
溢れる愛情と優しさが詰まった珠玉のラブストーリー。
読み終わった後はただただ幸せに浸れます。
人の姿をしたウルがめちゃくちゃイケメンで眼福にあずかりました♡
ロマンティックな甘さの中にちょっぴり切なさも味わえる素敵な作品です。