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この瞳は、いつでもこんなふうに優しくて――
London nightingale
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
泣けて泣けて。フェイスタオルで涙を拭い景品の薄いティッシュで鼻をかみ。
19世紀のロンドンかあ。残酷さとロマンがありますね。貴族や階級社会や浮浪児や。
なんという巡り合わせ!良かったね!
王道というのでしょうか?
心も外見も美しくさらに小さなサミィを養いその日暮らしを続けていたルーイ。
偶然ドクターに出会い…。
初めて安心して庇護されるあたたかさを感じられたルーイ。サミィにも絵本を買ってやれて。家事能力がない主人のドクターに優しい家政婦さん。
でもこのままいられるわけじゃない、いつかドクターは良いところのお嬢様と結婚し自分も用無し、サミィだって自分がいなくても生きていけるかもしれない…。
身を引くルーイ。だけど…。
良かったね(泣)こういうの弱いんです。
不憫受けが攻めに救われる。守るべきちびっ子もいて。
強くて美しいルーイ。ずっとドクターのそばにいて子守唄をうたってあげてね。
19世紀のロンドンを舞台とした、ヒストリカルロマンスを思わせるお話。
浮浪児として生きてきた主人公が、優しい攻めと出逢った事により、穏やかで温かい毎日を手に入れる。
また、その類稀な美貌と歌声により、彼は社交界でも話題となり・・・と言った感じでしょうか。
こちらですね、まさに正統派ラブストーリーなんですよ。
人気者となった事で主人公が変わってしまうとか、二人の間にスレ違いが生じるとか、そう言う人間の醜い部分は無し。
毒気の無い、ただひたすら美しいお話なのです。
個人的に夢乃先生のお話が大好きなんですけど、作者さんのカラーが良く出た、切なくも素敵なお話だと思います。
えーと、表紙の雰囲気そのままに、美しいロマンスに浸りたい方にオススメしたい。
ザックリした内容です。
弟分サミィの面倒を見ながら、その日暮らしをする浮浪児・ルーイ。
使い走りや雑用で小銭を稼ぐ彼は、穏やかで優しい紳士のハクスリーと知り合います。
不眠を患うハクスリーの為、子守唄を歌う事を条件に、サミィと共に彼の自宅に住み込むように。
そこでかつて無い穏やかな毎日を手に入れ、更に歌声が周囲の話題となり、サロンに呼ばれては披露するようになるんですね。
そんな日々の中、売春紛いの仕事をしていたかつての自分を知る人物が目の前に現れー・・・と言ったものになります。
まずこちら、主人公となるルーイですが、美しい歌声と類稀な美貌を持つ孤児だったりします。
すごく健気で真っ直ぐないい子なんですよ。
弟分であるサミィの面倒を見る為、どうしても暮らしに困れば売春紛いの仕事までする。
一応、身体を触らせるだけで、行為そのものはやって無いんですけど。
で、そんな彼と偶然知り合い、使用人として雇うようになるのが攻めであるハクスリー。ドクターです。
彼はですね、浮浪児であるルーイに対しても紳士的な態度と、すごく優しくて穏やかな人物になるんですね。
一方で、生活能力に関してはあやしいもので、ルーイはそんな彼の身の回りの世話をする様になる。
個人的に、不憫受けが攻めと出逢った事により、幸せを手に入れると言うお話が大好きだったりするんですけど。
今作ですが、まさにその黄金パターンでして。
浮浪児としてみすぼらしいナリで、その日暮らしをしていた主人公。
そんな彼が穏やかで温かい毎日を手に入れ、更にちゃんとした衣服と、見違えるように変身する。
その上、美しい歌声が認められと、何もかも順調な、新しい人生を手に入れる。
いやこれ、攻めであるハクスリーが、とにかくスパダリなのです。
それなのに、ちょっと抜けてる所があるのも可愛くてですね!
こう、二人の日常がやたら優しくて、うっとりしちゃうんですよ。
ひたすら穏やかで大切に扱ってくれるハクスリーに、そんな彼の世話をする事が、嬉しいルーイてな感じで。
二人の距離が縮んで行くのがじっくり丁寧に語られ、その恋模様に萌えまくっちゃうのです。
と、そんな日々の中、ハクスリーに惹かれてゆくルーイ。
しかし自分の過去を知る男が現れ・・・と続きます。
これ、ルーイの出る行動がですね、若干浅はかだとは思うのです。
ただ、自分の汚い過去を知られる事、嫌われる事に強い恐怖を感じちゃうのは理解出来る。
こう、生きる為に必死だったんですけど、それでもその「仕事」が心の深い傷になってるんですよね。きっと。
だからって言うなりになるんじゃ本末転倒だよと、何とももどかしくて仕方ないんですけど。
と、多少切ないものの、痛い展開にはならないのでご安心を。
繰り返しになるんですけど、攻めがとにかく器が大きくてスパダリなのです。
これ、彼のバックボーンが語られる事によって、このスパダリぶりにも説得力がある所が上手いなぁと。
こう、お話としてはキレイにまとまり過ぎて、人によっては物足りないと感じるかもしれないんですけど。
もうちょい、人間としてのドロドロした部分なんかもあった方が、不自然では無い気もしますし。
ただ、キレイで優しいお話を読みたい方にはオススメ。
とてもロマンチックで素敵なお話だと思いました。
表紙を見て、子育てBLだと思い手に取りました。
が、実際には表紙の3人は親子ではなく他人です。
浮浪児として生きてきたルーイとサミィは兄弟ではないのですが、大きな愛情と信頼関係で深く結びついています。
それでも日々の生活は苦しく、パンを買うのもままならない状況。
そんな二人が、偶然出会った医師のハクスリーによって幸せを手にしていくーーというお話です。
ドクターとの生活に幸せを感じながらも、このままでいいのか?と悩むルーイ。
心理的なもので言葉を話せないサミィ。
そして、ルーイはドクターにほのかな恋心を抱き……
流れとしては王道かなと思うのですが、貧しい人たちのために尽力するドクターが素敵だし、ここにルーイの素晴らしい歌声が加わることで作品の個性を出しています。
サロンで認められ始めたルーイの歌声ですが、最終的には本当に必要としている人のためだけに歌いたいと考えるようになります。
ルーイの歌声に癒され、のちにルーイがいればそれだけで満たされていくドクター。
音楽って人の心を解いてとかす、素晴らしい癒しツールだと思います。
ちなみに、タイトルの夜啼(鳴)鶯はナイチンゲールという鳥のことです。
日本語では「サヨナキドリ」といい、美しい鳴き声をもつ鳥のようです。
タイトルから、てっきり看護師の方のナイチンゲールを想像していたのですが、実は違いました(そもそも字が違う^^;)
ただ、ルーイがドクターを支えるための仕事をしたいと考えるようになったラストから考えると、多分ルーイはナースになるんじゃないかな?と思います^^
『われは心より医師を助け わが手に託されたる人々の幸のために 身を捧げん』という〝ナイチンゲール誓詞〟
ルーイの思いは、この志にピッタリじゃないでしょうか?
「倫敦夜啼鶯」と書いてロンドンナイチンゲール。
とても美しいタイトルだと思いませんか?
タイトルのイメージがぴったりと合う、非常にロマンチックで素敵なお話でした。
舞台は19世紀のロンドン。
記憶も定かではない頃に孤児となり、浮浪児として街の片隅でひっそりと生きるルーイが主人公。
今で言うストリートチルドレンですね。
救貧院でいじめられていた所を助けたサミィという、心因性のものが原因で口の聞けない小さな弟分を連れて、毎日を懸命に、必死に生きています。
食べるものすらままならず、時々舞い込む「いやな仕事」をしなければ暮らせない現状をどうにかしたいと考えています。
ある日、偶然出会った紳士のために馬車を呼ぶと、チップとしては高過ぎる金額を貰ってしまい困惑するルーイ。
また同じ紳士と出会った際に、こんなには頂けないと申し出て、紳士の荷物持ちを手伝い自宅まで一緒に運ぶ事に。
そのまま成り行きで家の掃除をする事になり、眠そうなサミィに子守唄を歌っていると、あまりの美しい歌声に惹き寄せられた紳士にもう1度歌ってくれとせがまれ歌いますが、歌い始めてすぐにサミィも紳士もぐっすりと眠ってしまいます。
そして後日、また同じ紳士が現れ「夜、私のために歌ってくれないか」と言われ…と続きます。
浮浪児として貧しい暮らしをしていた美しい少年が、優しく包容力のある大人と出会い救われていく…という王道のシンデレラストーリーです。
王道中の王道ですし、ストーリーにも派手さはありません。
ですが、何故だか品の良さすらも感じさせる魅力があり、お話の美しさにどうしようもなく惹かれてしまうのですよね。
まず第一に、攻めのドクターことハクスリーがすごく良い攻めで。
非の打ち所がない好青年と言いますか、本当に親切で穏やかで優しく紳士的。
伯爵家の三男坊という恵まれた環境で育っている事をきちんと自覚をしながら、困っている人や貧しい人のために自分が出来得る事をしたいと「ノブレス・オブリージュ」の精神を持ち、言葉にするだけではなく自然と行動で示している素敵な男性なのです。
貧富の差で生死が分かれるような世の中にしたくないと言う言葉の元となったエピソードも説得力のあるものでした。
しっかりとした信念を持って生きている姿に尊敬の念を抱いてしまいます…
けれど全てが完璧ではなく、いつも寝癖がぴょんとついていたりと、ちょっぴり愛嬌があるのがハクスリーというキャラクターの魅力を更に引き出していますね。
そして、彼に救われた少年・ルーイ。
この子がまた健気で、正直で綺麗な心の持ち主なんです。
日々を必死に生き、自分よりも弟分のサミィを思い、自分達を救い上げてくれたハクスリーのために何か出来る事はないかといつも考えているような子です。
そんな彼がハクスリーと出会い、あたたかな場所を知り、新たな世界を知り、さまざまなものを吸収しながら幸せになっていく姿をただただ応援したくなってしまう。
ハクスリーに対する想いが、感謝から尊敬、やがて淡い恋心へと移っていく様子も理解が出来るものでしたし、あんな素敵な人と出会ってしまったら惹かれずにはいられませんよね。
2人のゆっくりと進む恋の様子にも無理がなく、静かに丁寧に描かれていたのがすごく良かった。
まとまりが良く読みやすいです。
ルーイとハクスリーがおぼろげに覚えていた川下りの歌。
こちらの伏線回収も救いのあるもので、ここのシーンが本当に素敵でした。
いつか、ルーイが思う秘密の夢も叶う日がきっと来るでしょう。
古き良き、という言葉が合うかもしれません。
静かな雰囲気が漂う倫敦の美しい物語でした。
心が洗われるような物語。
著者は、この物語の為に物凄く資料を集めたとあとがきに有りました。
時代は、シャーロックホームズと同じころ。産業革命が起きて、工業化に伴い地方の農村から多くの人びとが労働者として都市部へ流れ込み、感染症;コレラと結核の大流行を起こしています。
そんな時代を背景にした物語。
歌が上手な金髪碧眼の美少年ルーイは、物心ついたときから孤児院に居た。両親の記憶はない。
生活の糧を得るために、何度か画家のモデルを引き受けたり、際どい男色家の相手をしたりして、その日暮らしを凌いでいた。
ルーイは、何故か「たった一人の為に歌いたい」と引退した、美貌のフランス人の女性歌手が数回公の場で披露した幻の歌を知って居た。
その歌を寝る前に歌って欲しいと要望を受けて、貴族出身の医師の家の住み込みの仕事を引き受ける。
ルーイが、子守歌の代わりに聞いて覚えていた曲が足掛かりになり、生まれてすぐに流行病で亡くなった両親の手がかりを得る。そして心優しい貴族出の医師の恋人と幸せになるという粗筋。
こういう物語を不憫受けというのかな?
大きな波乱がない、きれいなお話でした。
「倫敦待宵草」が発売されると知り、購入して読んでみました。
とにかく攻めのドクターことハクスリーが素晴らしかったですね。理想の攻めではないでしょうか?
狡い男たちから植え付けられた価値観に、ルーイが雁字搦めになるのが読んでて辛く感じました。読み手からすれば早くドクターに相談してよ!って思うんですけど、ルーイは出来ないんですよね。美徳と言えば美徳なんですが、凄く焦ったくて、またそれがこのお話を盛り上げる要因になってるんです。
ルーイがドクターの為にと取った行動で、途中ピンチに陥るんですが助けに現れたドクターが素敵なんです。ルーイではなく弱者を搾取しようとする、権威を笠に着る人間が醜悪で憎むべきだと一刀両断なんです。決してルーイを攻めようとしない一貫した態度にキュンとしました。
途中何度かルーイが酷い目にあったらどうしようかと心配になりましたが、その度に救いの手が差し伸べられたので安心して読めました。
八千代ハル先生の挿絵大好きなので購入。夢乃先生らしい、しっとり素敵なお話で、攻め受けとも嫌いではないですけど、強烈なインパクトは無かったので萌にしました。本編260Pほど。
身寄りなく、幼いサミィを抱えてその日暮らしのルーイ。ある日知り合ったハクスリーの家まで荷物を持っていくと、その家はなんだかとっても雑然と汚れていて・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
サミィ(ルーイに懐いている孤児、言葉が出ない)、バリー夫人(攻めの家の家政婦)、ギャスケル夫人(攻めの家の料理人、私の方が絶対ましな料理作るわ!)、ロズリン嬢(攻めの遠縁)、シャンロン(テノール歌手)、やな奴少々。
++攻め受けについて
攻めはノブレス・オブリージュ実践なさっていると思うお医者様(伯爵家三男坊)。ほんとに善人だと思うし、夢乃先生の攻め様ですから変態臭ございません。寝ぐせついてても全く意に介さない、色事には疎そうなス・パ・ダ・リでした!このような「お上品な善人」はとっても好き。ただアク、クセがないから、他との差別化がはかりにくいなと思うのです。
受けさんは健気さんですね。幼いサミィを自ら抱えてどうする、君も身寄りない孤児なんですが?!とやや驚き。本当に劣悪な環境から脱出できて、攻めさんに見出してもらえて、良かったねと思います。清い心だからこその歌声が彼を救ったのかも。
攻め受けとも清らか善人と感じるお話でした。八千代先生の挿絵がほんとにぴったりでうっとりです。