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高校生だから仕方ないと思える、彼等の選択。
これは寓話「北風と太陽」なのだ。
東京から田舎の高校へと転校して来た海江田は、クラスで孤立している様に見える犬井と友達になってやってくれと教師に頼まれる。ぶ厚い眼鏡をかけ、その表情が見えない犬井は、もう初夏だというのにきっちりとジャージを着込んでいるヘンな奴だったが、話しかけてみると存外明るいヤツだった。
どうして? 何故? 彼は孤立しているのか。
ある日彼は、クラスでも派手なグループに属する綾部が犬井を抱いているところを見てしまう…。
犬井は綾部の Pet なのか。何か弱みを握られているのか。
…と、いうことは何も無く。
まさかのフツーに恋人同士‼︎ しかも、顔を見えなくする程の眼鏡も、きっちり着込んだジャージも。
美しい恋人を人目に晒したく無いという愛執ゆえ。そして台詞では語られないものの、犬井はそれを分かった上で受け入れてもいるのだ。
外からの闖入者によって、それは暴かれ、奪われてしまう事になる。
一見、「好きな子には笑っていて欲しい。」という海江田は太陽で、正しくて、めでたし!なんだけど。
BL的には綾部との恋だって、歪だけれども それはちゃんと恋で。ラスト周辺にはちょっとだけダークサイドに堕ちそうになるものの、二人は白日の下、幸せなのだという結末に終わる。
いやー、何とも言い難い。言い難いよ、これは。
だってね、犬井の人を惑わせる魅力と、閉鎖的な田舎というある種抑圧された社会だもの。
海江田が都会の高校で イジメに遭っていた同級生を見て見ぬふりをしていた事を後悔する件があって、その子がどうなったか気になるし、坊主頭の栗山が 海江田にヘアワックスの銘柄を聞いてるのも可笑しいし(コレ笑うとこなのかな?)グループの中心にいる綾部がその後どうなったのか? とか。
ものすごく気になってしまうけど。それは描き下ろしにも触れられる事は無い。
しかし作者曰く、犬井を攻めていた綾部は「受け」となるらしい…。何故。
表題作は中編の様な趣きで、他に「calling」のその後 「feeling」
「夜明けへの閃光」のその後がそれぞれ番外編として収められ、それぞれイチャあま後日談となっている。
大槻先生は絵柄にとても色気があって好きな先生なのですが、今回のはちょっとモヤっとする部分がありました…
まず前提として綾部×犬居なのです。2人は付き合っているのですが、綾部が犬居への気持ちを拗らせてしまい、犬居にメガネとジャージで容貌を隠すようにさせます。犬居は無理しているとかそういうのは感じ取れないのですが、クラスのボス的ポジションの綾部に目を付けられていると思われ、クラスでは当然孤立するわけで。
そこに転校してきた海江田が、犬居との仲を深めていくわけですが。
ちょっと犬居の心情が分かりずらいかなーっと。別に犬居は健気キャラではなく元ヤン設定なんですが、綾部に特に反抗する事なく従うばかりで、最後に「気持ちがあるのはわかる。人も自分も傷つけないといけないならやめたほうがいい。自分たちはもうお終いだ。」的なことを綾部に言うのですが、それならどうして付き合っている間、綾部に対してもっとぶつかっていってあげなかったのかなーっとちょっとモヤっとしました。
綾部が悪者的な扱いになってるのですが、正直どっちもどっちだなーと思ってしまいました…
犬居の心情にちょっとついていけなかったので、今回は萌評価で。
田舎に来た転校生海江田
そのちょっと前に転校してきた犬居
その犬居をペットのように扱う(?)綾部
犬居に眼鏡を掛けさせ、ジャージを着させ
人前でその二つを外すのを禁止する綾部の目的は
ハッキリ描かれていないけど・・・素直になれない恋心!?
純情かよ!!・・・かわいいなぁおい。
これは、魔性犬居に魅了された二人の男子高生のお話って感じですね。
ただ、周りの目とか他人を気にして自分の気持ちに素直になれない綾部より
周りに揶揄われようと自分の気持ちを認め犬居を守ろうとした海江田が
犬居を勝ち取ることが出来た。って感じの。
犬居がなんともこなれた魔性っぷり発揮でメインカプ二人に萌えづらかった反動も加え、
綾部と犬居の関係を終わらせたのは犬居で、
二人の仲の主導権は結局犬居にあったのがなんとも・・・犬居恐い。
でも、川で海江田と話していた時に
「二人だけだったら簡単」と話してるので
少なくとも犬居には綾部を想う気持ちはあったんだよね?
と、信じてる。