チル76
新しい出会いに刺激されて、べなと壱の関係性がまた1つ深みを増す、そんな3巻でした。べなは2巻でも自分の力の強さに対する不安と闘っていましたが、なかなか簡単には乗り越えられないようですね。自分でコントロールできない力ですから、当然かもしれません。ただ、お互いある程度知った仲になった後であれば、鬼の子であることがバレても関係を絶たなくても済むという経験をしたのはかなりの糧になったのではないでしょうか…
自分が普通の人間ではなく、いつどんなきっかけで周囲や壱を傷付けてしまうか分からないことを不安がるべな。特に、壱は自身の痛みには無頓着で、他人のことばかり優先してしまうので、余計に心配になってしまう。自分よりも他人を労るのって素晴らしいことのように聞こえるけれど、実は周りのことを考えてないエゴでもあると思うんです。自分が傷付いて悲しむ相手の気持ちを無視しているし、結局他人を守って安心を得られるのっ…
獣のような風体でありながら、顔も体も人である不思議な少年・べな。見世物小屋から始まるストーリーでべなも壱も見世物になることを経験しているので、シリアスな雰囲気の場面もありますが、そこまで配分は多くなく、読後は案外からっとした余韻が残ります。双子の片割れを失い、小屋の仲間に男娼扱いされていた壱が、どんな相手にも啖呵を切れる、どこででも生活できる逞しさを持っている所が大きいかな。美人で顔もタイプだし…
3巻まで通して本当に絵が綺麗で圧巻です。
普段は現代ものしか読まない私ですが、物語が作り込まれていてグッと引き込まれます。
さて、今回は旅の用心棒をお願いされたところから、とある事に巻き込まれていきます。
さらに道中で、べなは嫉妬を覚えて自分の感情に大混乱。
いつだって「鬼」が心にあって戦っています。
それを耐えず傍で支える壱と二人、尊すぎます…!!
目まぐるしい展開で悲し…
あんなに感動した一巻を超えました。
一巻だけでも充分満足したのに、二巻を読み終えた今、この巻は絶対になくてはならないものだと思い知らされました。
私は二巻は二部構成だと思っていて、お話の半分はべなと壱が過去を乗り越えていく話。
後半は一巻の初め嫌な奴だと思っていたダンゾウと二三の過去についての話。
気になっていたことをこの二巻で解明してくれて本当に嬉しい…!!
相変わらず…