はるのさくら
最終巻を読んで、やはり木下先生の繊細な心情描写が好きだなぁと感じました。シリアスな雰囲気ではあるけれど、どこかにずっと仄かな甘さが漂っていて、終始湿っぽい雰囲気ではないんですよね。穏やかに、リアルな展開が続いていく。2度目の別れを経て偶然の再会を果たした2人は、お互いに今度はどういう風に相手に接するべきか悩みます。ずるずると曖昧な関係を続けていくくらいなら、拒絶し綺麗さっぱり忘れて新しい一歩を踏…
前巻のラストでてっちゃんを呼び、彼の家に上がることになった宙。ぎくしゃくしていたのは最初だけで、少し時間が経てば、2人の間の空気は実家を行き来していた頃の柔らかさに戻る。一度は断腸の思いで自ら手を離したにも関わらず、再び宙が自分の元へと舞い戻ってきたからか、てっちゃんはに彼に未練があることを大して隠そうともしない。それどころか、宙への執着、独占欲は日ごとに強くなっていって。
基本的に宙目…
軽快なラブコメが多い木下先生ですが、こういうしっとり読ませるタイプの物語もラブコメに引けを取りませんね。家が隣同士のてっちゃんと宙。2階の窓から行き来するほどの仲は創作ではまあまあよく見るけれど、宙の家庭は複雑で。虐待まではいってないし、しっかり働いている父親だけど、宙を理解する姿勢は微塵もなく、自分の考えを一方的に押し付けて子供の言葉は意に介さないタイプの親。今風に言うと、毒親という感じでしょ…