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神作品

女性Sakura0904さん

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短髪時代の神田天使。小林にも感謝

 すべてにおいて絶妙でした。序盤では上野から神田へのまだ無意識な好意が軸となって進んでいくのかな、と思ったんです。ゲイからノンケへの、自覚し始めたら切なくてしんどい恋。神田は上野がゲイだと知った上で彼の家で全裸になれるほど飄々としていて、良くも悪くも周りをまったく気にしない人間なんだなと。さばさばしているから友人として付き合う分には気持ちがいい人間だけど、恋してしまうとちょっと大変そうなタイプだなぁと思ったり。

 しかし、上野視点がずっと続くわけではなく、すぐに神田視点の話が始まります。この切り替えで2人の関係の見え方がぐっと変わるんです。いつもあっけらかんとしていて、営業の仕事も難なくこなして、日々実に楽しんで生きているように見える神田の本当の姿。元々同僚としのて好感を持っていた上野にカミングアウトされたと同時に、お前はタイプじゃないから大丈夫と言われたことがずっと引っかかっていた彼。もちろん上野のその台詞はノンケへの気遣いの塊で、「だから気にしないでね」と軽く肩を叩くような言い方だった。でも、何度も上野の家に通い、彼のさり気ない優しさや包容力に触れるたび、最初に言われたその言葉が神田の心に深く食い込んでいく。

 真面目そうなありふれた新入社員から、いつの間にか垢抜けて人好きのするふわふわした雰囲気を纏うようになった神田ですが、それがすべて上野を意識した変化だったと知り、なんて切なくて可愛くていじらしいんだろうと思わずにはいられませんでした。他人の家で全裸になれるなんて良く言えば大らか、悪く言えばがさつな性格なんだなぁと思いきや、まったく真逆で上野の目を気にして気にしての行為だったなんて。文字にするとゲイをからかう悪意のあるノンケのように聞こえるかもしれませんが、読めば神田がいかに真剣に上野を振り向かせようとしていたかが分かってもらえると思います。

 また、神田はセンスで出世街道を楽々と駆け上がってきたわけではなく、実は苦労人。上野はそんな神田を高い所から憐れむこともなく、本人の意思を無視してお節介することもなく、お前がしんどいことは分かっている、1人でいたくないなら一緒にいよう、と誠実な心地よい態度でずっと接してきた一面もあります。その存在に甘えたいと思うようになる神田の心情変化がとても自然でした。神田が大切だからこそ、恋人にはなれないとはっきり告げた上野もただ臆病だったのではなく、彼との付き合いを維持させたいという強い気持ちがあったからこそ。そして、最後にもう一度アタックした神田。彼の真摯な恋心が上野の苦い思い出を払拭し、心に届いて本当に嬉しかったです。恋人になってから初めて家に「おいで」と言われた時の神田の反応がとても可愛かったですね。

INCITE withボディガード、推させてください

 ストーリー展開、攻め受けのビジュアルと性格、アイドルという特殊な仕事ならではの魅力と大変さの盛り込み、どれをとっても素晴らしい作品でした。序盤ではもさかった男子高校生がトップアイドルになれるものかしら、なんて思いましたが、実在する美形俳優でも、学生時代はぱっとしない隠キャだった方もいらっしゃいますもんね。やっぱり素材を活かす髪型や服装、努力を経た自信って大事なんだなぁ。一度は根暗なゲイで終わるだろうと決めかけた人生の天井を自身の力でここまで大きく突破してみせた智也の、せっかく得たチャンスを無駄にしないいつも素直で一生懸命な姿に感動しました。

 そして、攻めであるケイがまた途轍もなく魅力的なんですよね。まず見た目に大人の色気と深みが溢れていて、私も智也に負けず劣らず終始見惚れてしまっていました(笑)。大島先生の画力に大感謝です。ゲイバーで会った時も、再会してからも、恋人になってからも、過剰な甘さや優しさ、受けへの愛情表現がないところが逆に現実味があって、だからこそ彼が智也を可愛い、愛おしいと思う瞬間を表情から読み取れると、とても尊いものを見せてもらった気持ちになりました。分かりやすい言葉は少なくても、彼は態度や行動、案外豊かな表情で、智也を大切にしていることを十分伝えてくれます。安易な励ましや上辺の賞賛もせず、智也が弱音を溢した時にはそっと受け止めてくれる静かな寄り添い方にも好感が持てました。好きな人に愛される歓びを知った智也にはこれからもっともっと輝いていって欲しいですね。