Sakura0904さんのマイページ

萌×2作品

女性Sakura0904さん

レビュー数76

ポイント数564

今年度23位

通算--位

  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • DVD
  • ゲーム
  • 小冊子
  • GOODS
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

自己犠牲も愛が繋がれば犠牲ではなくなるのかも

 1巻の中に10章以上収録されているにも関わらず、どの章も余韻を残してくれて、1つひとつが愛おしくどこか哀しかったり切なかったりする物語で、世界の雰囲気も異なっていて、ARUKU先生の無尽蔵の頭の中を覗いてみたいなぁと思わずにはいられません。絵本のようであり、大人向けの映画のようであり、どこまでも愛の物語であり。

 今回はピアニストとバイオリニスト、女工、秋の女王の話がお気に入りです。護堂の魂は相変わらず羽繕には見えないままだけれど、羽繕が生み出した小さなゴドーを通して彼は大切な人を何度も守り、新しい人生を輝かせている。ゴドーと羽繕が皇太子殿下をあくまでニャンコとして扱い、守る対象としているところも2人の温かい尊い心が感じられて好きです。私の頭ではこの作品の魅力をすべて言葉にして伝えるのはとても難しいですが、後悔しないように一生懸命生きようとする姿の美しさ、そして、もし後悔してしまっても、間違えたと気付いた所から1歩ずつ歩み直せばいいのだという励ましを感じさせてくれる唯一無二の作品だなと思いました。

何度でも呼び醒す

 いきいき描かれたであろうARUKU先生の熱量は1巻から変わらず感じることができました。ずっと先の読めない展開で、章が変われば羽繕たちが訪れる世界も変わり、毎回雰囲気も変わる。頭で理解しようとするより、羽繕たちと共にひたすら心で感じるままに読み進めていくべき物語なんだと思います。この旅の行き着く先がどこなのかはさっぱりですが、1つ試練を乗り越えるたびに宝物のように羽繕の心に蓄積されていく新たな考えや力に、私自身も生きる希望や日常に潜む輝きを再認識させられるような気がします。黒猫の正体にも驚くと同時に萌え、BL作品としても唯一無二の満足度があります。次巻も楽しみです。

これはいい攻め

 1、2巻の兎和たちの話はあまり刺さらなかったんですが、今回は当時から少し気になっていた兎和の兄である流兎がメインの受けで、想像以上に良かったです。海兎族として正常に発情できないことに1人悩んでいる流兎。そんな彼にアタックする冬馬が最初は常に自信のある俺様系の攻めに見えるのですが、実は幼少期から流兎一筋の男で。

 しかも、何度も流兎を襲える状況に置かれてもいつもキスや軽い愛撫止まりで、フェロモンや発情というエロに偏らざるを得ない設定のある世界観なのに、エロに期待はさせながら大事な一線は守りきる男で、22歳とは思えないほど人間性が出来ている本当にイイ男でした。受けのペースに合わせて「全裸で歩いていても1ミリも勃起しない」なんて言い切れる男、なかなかいないですよね。流兎が自信のない発言をしても、そこから自分への好意を拾って喜べる、大事なものを見失わないところも素敵でした。今まで自分を顧みなかった流兎もたくさんの長所を持っているので、お互い与え合うことのできるカップルになるだろうなと思います。

山瀬と佐久間にも期待

 1巻を読んだ時はここまで続くと思っていなかったので、正直驚いています。でも、4巻まで読み進めてきて改めて感じたのは、やはり夏野先生の描く作品の空気感がとても心地よくて好きだなぁということ。淡々としている中にじわりと熱や湿気を孕んでいる、そんな会話、表情、テンポが魅力的だなぁと思いました。

 今回は白崎の家庭環境の描写が多めでしたが、両親は健在で虐待されていたわけでもなく、悲惨なものではありませんでした。が、たとえ傍から見て問題なさそうな家庭でも、意外と歪みは潜んでいるもの。父親との淡白な関係、何よりも美醜を気にする母親。鈍感な殻に閉じこもってきた羽山が出会ったのが、演技の世界と白崎だったんですね。表情も言葉も鋭く真っ直ぐな白崎は、眩しかったろうなぁと。本当は豊かな感情、表現する力を持っている羽山が、殻を破るきっかけを得られたことが嬉しいです。これから2人ともどんどん成長していってほしいですね。

一生懸命歌舞伎やってるんだから文句は言わせない

 蔦丸、武市、菊右衛門とそれなりの人が2人の関係を知ることになりましたが、この3人はひとまず源介と惣五郎が真面目に稽古や舞台に取り組んで、人前では一切仄めかさない限り、反対はしないというスタンスでほっと一安心。本人たちもその線引きは曖昧にではなくきっちり守っているし、もちろん歌舞伎への情熱は変わらないし、咎められる謂れもないでしょう。ただ、将来も視野に入れると後継ぎ問題は避けて通れず、大谷屋も玉乃屋も納得させるという大仕事をいつか成し遂げなければなりませんね。でもまだ今は、1つひとつの舞台に全力でぶつかる、これができていれば十分だと思います。

「告白されたい」が素直で可愛すぎる

 最後まで丁寧に2人の言動が描かれていて、満足度の高い下巻でした。自分のセクシャリティと金江に抱いている感情について、じっくり悩んで結論を出した灰賀。もっと大人でも悩んでいる人がいるなか、大学1年生でこの壁にぶつかって、金江に対して誠実に接し続けた灰賀は、自分では頼りないと思っているみたいだけれどいい男だなと思いました。受け身で控えめな言動も、その場のノリや考えなしな行動で相手を傷付けたくないからこそでもあったはず。金江も灰賀のそういう所は分かってくれていたと思います。

 灰賀に恋する女の子も雑に扱われることなく、恋愛の難しさと希望が見える形でメイン2人のストーリーに上手く絡められていたり、4年生で灰賀よりずっと先輩である金江が友達に恋愛相談をして背中を押されたり、2人だけの世界で閉じていないところも好印象でした。大学生同士ならではの恋愛を存分に楽しめました。

燿一という存在の温かさに安心する

 下巻は上巻で謎めいていた部分もすっきり明かされ、死神や呪いの正体、憬の幼少期の経験も知り、それらを踏まえた上で2人の関係に目を向けられるので理解が深まって満足度が上がりました。列車事故の前には両親との虚しい別れがあったのですね。憬の物書きという仕事に対する一筋縄ではいかない想いの理由が分かりました。そこに目を瞑らずもう一度正面から向き合うこと。燿一といたからこそ、できたことですね。

 そして、本当の死神は憬ではなかった。しかし、その片棒を知らぬ間に担がされていたという事実は憬の中でけっして消えないでしょう。それでも、脚本家という人生を通して燿一と共に生きることで、時間をかけて昇華させられるだろうと信じています。憬の生み出す言葉には人を救う、人に希望をもたらす力もある。そのことに気付く機会がこれからたくさんやってくるだろうと思います。

これだけ意思疎通したらもう化け物とは思えないよね

 この5巻で全部ではないけれどかなり謎が解けてすっきりしました。ここまで追ってきた甲斐があります。よしきの真相の解明を諦めない姿勢、なかなか高校生1人でここまでできないと思うんです。亡くなった光のためでもあり、それと同じくらい今のヒカルのためでもあるのだなと。よしきはヒカルにすっかり情が湧いていたんですね。最初は光の姿だったからかもしれないけれど、光とは完全に別物だと理解した上でこの得体の知れない何かを救いたいと考えている。彼の気持ちを知り、私もようやく光の死を受け入れる覚悟ができそうです。ここからまだ一悶着ありそうですが、最後までこの地域の業についていきます。

まだまだ見守らせて欲しい

 真嶋の日常にも仕事が組み込まれて、日々とても忙しそうで疲れ切って帰ってくる姿にはつい同情してしまいますが、就職したての頃は誰だってこんなものですよね。徐々に力の抜き方とか、適度な休みの取り方を覚えて、仕事も私生活も充実させられるようになるといいな。真嶋も園木もまだ家族にはお互いの関係性を伝えられていないけれど、一番大切で関係を壊したくないからこそ慎重になるもの。2人それぞれのペースで、伝えられる日が来ることを祈っています。真嶋は行動力や陰のない考え方で、園木は深い思考力と包容力でお互いを支え合っていて、とてもバランスの良いカップルだなぁと、改めて微笑ましく感じました。

手を繋ぐシーンにぐっと来た

 話数を重ねても2人の距離感、恋人としての生活がずっと等身大なところがいいなぁと思います。もちろん大学を経て社会人になり、人として成長していく部分もあるけれど、根本的な部分は高校時代から変わらず、昔の交友関係もそれぞれ大事にしているところが素敵です。真嶋のどんな時、どんな相手に対しても物怖じしない堂々とした振る舞いに感化されて、職場でカミングアウトできた園木。でも、プライベートは必ずしも明らかにする必要はない。言えなくて苦しいなら言うのも1つ、言わずとも居心地がいいならずっと言わなくてもいい。正解などないから、その時々の自分の感情に大事に、正直にいることが一番だとこれから分かっていってほしいな。夜の関係も、真嶋がとても紳士的で園木を大切にしているところが素晴らしかったです。