絵はすっごく綺麗で期待の新人作家さんだなと思いましたが、BLとしての萌えは1巻ではまだ少なかったなというのが正直な感想です。現時点では無理に恋愛感情に導かなくてもいいという思いが強く、BLレーベルで読むより学園・青春ものの青年漫画として読む方が感動できる気がするのですが、もちろん2巻で印象が変わる可能性はあり。
また、いろんな要素が積み重ならないと椿のような人格には至らないと思うので、過去の事件1件以外にももう少しその辺りが見えてくるといいなと。弁護士を親に持つ子供がこう育つイメージがしにくいんですよね。兜はこの歳で未来を奪われてしまったことが本当に気の毒ですが、幽霊なりに椿との生活を楽しんでいるポジティブさに救われますね。お互いの存在を今度どう大切にしていくのか、2人の選択を見届けたいです。
今まで読んだnoji先生の作品は全部好みでしたし、今作も表紙の雰囲気からも好きになれそうな気がして、期待値を上げて読みました。結論から言うと、受けの百瀬にまったくハマれませんでした(笑)。永田の苦労人感も離島のスーパーという舞台ももちろん絵も好みなのに、百瀬の宇宙人感はまったくタイプではなかったです。
初対面が酷かったからちょっと良いことをするとすごく良い人に見える、みたいな展開は現実でも創作でもあからさまだと苦手かも。さり気なく上手くやってくれれば気になりませんが。借金で追われているかもしれないのに他人の家に勝手に入り浸ったら家主に危害が及ぶ可能性があるし、結局永田が保証人になるのも断らなかったし、その借金が賭け事が原因なのは百歩譲っていいとしても追われなければ踏み倒していたのでしょうか? ヤクザ相手でも自業自得の借金を返さない人は人間として好きになれません。受けは絶対精神的負債を背負っていて欲しいなどとは思っていませんし、のほほんとポジティヴにその日暮らしを楽しむキャラは見ていて爽快なのでけっして嫌いではありません。が、百瀬はそれ以前のところが私の倫理観に合いませんでした。
久々に中川先生の作品を読んだのですが、こんなに中性的な画だったっけ……と初のビジュアルを受け入れるのに結構時間がかかりました。大きくいつも潤んだ目、ぷるぷるの唇、長い髪、極端にくびれた腰、小ぶりに盛り上がったお尻、と女性的な要素がてんこもりで、前世の雄々しい姿とのギャップを大きくしたかったにしても、正直もう少しちゃんと男の子な部分があったらなぁと思いました。連日痴漢に遭ったり、初対面からレオンにキスを迫られたり、ただでさえ前世がファンタジーなのに現世ではBLファンタジー要素が多すぎて、せっかくの転生という美味しい設定が霞んで見えました。その辺をラブコメだと割り切って楽しむには、せめて受けの見た目がもう少し男でないと私にはハードルが高かったです。下巻では前世と現世の2人をもっと楽しめたらなと思います。