イラスト入り
kodoku wo kaihi suru houhou
あらすじの一行目から設定が渋滞しており、内容も最初からぶっ飛んでいた。いきなり性技を磨く女友達が出てきたり、四百年前の学校帰りの回想に入ったり、BL妄想を話す腐女子が出てきたり。
どうやら細かいことは気にしない方が良いらしいと思いつつ読んだ。
メイン二人の出会いは飲み会で、明るい雰囲気で進む。一夜を過ごした後は、初対面の横柄な態度から一変した岩瀬の、子犬のような逆ギレ(?)っぷりが激しくて面白い。
ミハルはちょっと口煩い世話焼きタイプで歯の浮くセリフを言いまくる。学院生でルーマニア人で吸血鬼、四百年以上を生きているらしい。年齢のわりに迂闊なのは性格なんだろうか。生活費の出どころが謎。
クセのある設定とエピソードが大量に詰め込まれている中でも衝撃的だったのは、ミハルの両親の最期。あまりにも残酷。ここだけ空気が違いすぎるのもダメージが大きい。
ミハルは大切な人の死を目にしてトラウマになっているのに、岩瀬の前で消失しそうになった際、喜びのみを感じていたのは気になった。目の前で死なれた辛さは誰より知っているはずなのに。あのシーンは岩瀬の気持ちも慮って欲しかったかな。
二人がまとまるのは同情や傷の舐め合い的側面を持ち、お互いにそれを自覚しながら、ちゃんと恋愛感情に持っていこうとしていて良かった。
今後年を取らない問題や寿命問題にぶち当たるかもしれないけれど、岩瀬のキャラで軽く乗り越えていけそう。
最後には女友達の裏事情や記憶を飛ばした一夜の件も回収されてすっきり。やっぱり推したい作家さんだなあと思った。