物怪荘の思われびと

mononokesou no omowarebito

物怪荘の思われびと
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神5
  • 萌×27
  • 萌5
  • 中立3
  • しゅみじゃない2

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レビュー数
3
得点
71
評価数
22
平均
3.5 / 5
神率
22.7%
著者
宇喜田紅 

作家さんの新作発表
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イラスト
Ciel 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
価格
¥890(税抜)  
ISBN
9784799734452

あらすじ

強い妖力を持つ妖怪で、誰が見てもいい男。
そんな男がどうして自分なんかにこうも尽くしたがるのか。

「俺は清伊と番いたい。あんたが好きだ。どうしようもなく」
生真面目な公務員の清伊は、妖怪ばかりが住んでいる古い家を相続するが、
彼らを追い出せず同居することに。
個性豊かな面々の中でも、特に強大な力を持つ東雲は、
神話では神の使いとされるあやかし八咫烏だった。
東雲は清伊に一目で運命を感じ、熱烈に求愛する。
その情熱に押し倒されるように、毎晩東雲と体を触れ合わせてしまう清伊。
清伊の全てを世話し、尽くしたがる東雲の溺愛に、
いけないと思いながらも溺れそうで…!
「なあ、一度番ったらどちらかが死ぬまで相手を変えないって本当か?」
妖怪に溺愛される日々!

【人物紹介】
三条清伊(さんじょうきよい)
潔癖症で生真面目な公務員。
妖怪の実在に最初はショックを受けるが、
行き場のない彼らの想いに共感してしまう。

東雲(しののめ)
巨大な八咫烏。三本の足のうち、一本は折れている。
家事の達人。惚れた清伊をひたすら甘やかしたがる。

表題作物怪荘の思われびと

東雲、清伊の相続した家に住みつくあやかし・八咫烏
三条清伊、潔癖性で生真面目な公務員、30

その他の収録作品

  • 物怪荘の休日
  • あとがき

レビュー投稿数3

このセンス、素晴らしい!

ずっと気になってた作品ですが、インタビューを読んで購入を決めました。
インタビューでは初小説となってましたが、すごく熟れた文章だと思います。とても読みやすい上に、随所でクスッとさせてくれて、かなりのセンスが感じられました。
そして、世界観がこれまた素晴らしい!
あやかしものなのですが、人間とあやかし達との奇妙な同居生活が、どこかシュールでコミカルに、そしてあたたかく書かれています。痛快に感じさせてくれる部分もあったりして。
また、そこで繰り広げられる人間(?)ドラマの面白い事!!
キャラクターも大変魅力的で、特に受けにはホレボレさせられました。


内容ですが、あやかし達と生真面目な公務員の、どこかコミカルでとぼけた世界観の同居生活ものです。
祖母から古い屋敷を譲り受けた公務員・清伊。
そこには個性豊かなあやかし達が住み着いており、勢い同居する事に。
八咫烏の東雲には何故か溺愛され、東雲が好きな元式神・式鬼には目の敵にされ、人懐っこい付喪神・硯には話し相手にさせられと、賑やかでどこか郷愁を感じる毎日。
そんな中、清伊達の住む地域が市街地再開発事業の候補地に挙がりー・・・というものです。

まずこちらの作品、その独特の世界観がすごく魅力的です。
あやかし達との非日常な同居生活が、すごく日常的に、そしてユーモアを持って進んで行くのが面白いのです。
清伊がかなり男前で、一本筋が通ったタイプなんですね。
「物怪荘法度書」と生活する上でのルールを決めて書き出し、あやかし達に守らせたり。あと、「働かざるもの食うべからず」とそれぞれ得意な事で労働させたり。
う~ん・・・。あやかしものでありながら、アットホームな雰囲気を感じさせてくれるのです。家族では無いのだけど、確かな絆を感じさせる空気感が魅力的だと言うか。
実はこの作品を読みながら、某先生の作品が思い浮かんで仕方なくて。妖怪と人間が一緒に住んで、事件なんかを解決してくやつです。ユーモラスでちょっぴり恐ろしい怪異譚の。
そしたらあとがきで作家さん自身がその作品の大ファンと書かれていて、なんだか凄く嬉しくなりました。
まさにそんな雰囲気の作品なのです。

そんな世界観と共に、とても魅力的なキャラクター達。
住み着いてるあやかし達もそれぞれ面白いのですが、何と言っても受けの清伊がよろしいのです。
最初こそあやかし達に驚いたものの、その後は彼等を柔軟に受け入れる、その男前ぶりが素敵なんですね。
そして、そんな清伊にベタ惚れ状態の東雲。
清伊が「物怪法度書」を書いて守るように言えば、「清伊の字はキレイで、人となりがあらわれてる」とすかさずデレる。
彼は神の使いとされる八咫烏ですが、とても人間的で傲慢さみたいのはカケラも無く、常に清伊を第一優先させてるのです。
彼には彼の葛藤なんかがあり、その当たり前に悩む所なんかも親近感を持たせてくれました。

他、市街地再開発事業の候補地にと言う事件が起こります。
皆で力を合わせて阻止しようと、色々計画して行動を起こすのが痛快!! ニヤリとさせてもらえました。

イメージ的に、あやかしがワガママで傲慢みたいなのがあったのです。イメージそのままのあやかしも出て来るのですが、攻めである東雲は真逆。どちらかと言うと、清伊の前では自信が無さげで弱い部分を見せます。
そして清伊は大変男前。その言動にはホレボレさせられます。
この二人、ぴったりだなぁ。
東雲が隙あらば口説きに掛かる為、エロが結構あります。
そのエロでも、清伊が男前過ぎてシビれました。男らしい艶っぽい誘い文句に悶絶です。ほんと、ホレボレする。

一点、サブキャラ達の個性が強すぎて、攻めである東雲の存在感がちょっぴり薄いのが残念と言えば残念でした。


初読み作家さんで、これ程好みにガッチリハマる事は珍しいので、大変興奮しております。
この独特の世界観だったり、ユーモアの入り混じる文章のセンスて、凄いと思う!
ぜひ次の作品も追わせていただきたいです。

9

夏を感じました

初めましての先生だったのですが、まだ「あとがき書くの2回目」(by先生)とのこと、びっくりです!読みやすくて、複数人登場するんですが皆キャラを感じて、季節感たっぷりな記載で。気が早いですが、次回作も楽しみーーーととても思いました!おどろおどろしい話ではなく穏やかな幸せを感じられるお話と思うので、ファンタジー大丈夫な方は是非是非。ちょっと早いですが夏を味わえるのではと思います。地雷はあんまり思いつきません。書き下ろし本編210P弱+後日談30Pちょっと+先生のあとがき。あ、開けてびっくり二段組。読み応え満点です・・・

母の兄から「祖母からの遺言」と頼まれ、ある不動産を相続した市役所勤務の清伊。引っ越し当日にその家を初めて訪れたのですが、もらっていた情報とは大きく異なるおんぼろ平屋・・・しかも中には見知らぬ人が4人もいて・・・とお話は始まります。

攻め受け以外の登場人物は
式鬼:極上の美人さん(♂)元式神で今は野良。本性は狐?意地っ張り。
煙羅:無精ひげでくたびれた風体+色気ありな男。煙の妖怪。
硯:清伊の祖母の使っていた硯の付喪神。素直な可愛らしい少年風。
あと清伊の同僚が出てきます。

挿絵情報:カラー1、モノクロ8.カラー口絵は皆の住むおんぼろ平屋の皆がいる庭。緑いっぱいで硯が水まきをしていて虹が出ている図なんですが、お話全体の印象がとてもよく出ている素敵な絵です。モノクロの最後は座位でイタしておられる図なんですが、東雲の翼付き♡いいなー翼でくるまれたい・・・翼のさわさわいう音を聞きたいー

*******以下は より個人的な感想

東雲がめっちゃ一目ぼれしちゃうところとか、清伊が引っ越し当日まで現地に行ってないとか、おいおいと思う箇所はあれど、作品全般にわたって感じる暑い夏!の雰囲気がとても心地良かったです。多分盛夏に読むと暑すぎてうだっちゃうと思うので、今頃とか、初秋に読むとちょうどいいんじゃないかな。スイカ、夏祭り、リンゴ酢、ミョウガ等々。
それから、一人で生きてきた受けさんが物の怪たちと家族のようになっていく過程が幸せに感じられて私は嬉しかったです。東雲は健気でひたすら尽くしてくれるし(忠犬スパダリ)、式鬼はきゃんきゃん可愛いし硯はすごい才能あるしw。硯が絵を描くのですが、そのシーン、凄いです。映像で見てみたいわー。

季節感たっぷりだったのとキャラが素敵だったのと、家族を得た!という幸せ感でとても満足した一冊でした。

2

終わらない夏休み



突然相続することになった土地家屋。倹約家の三条清伊(受け)は家賃の節約にとさっそく引っ越しするのですが、そこは話に聞いていたいたのとはまるで違うボロ家。
そして、何故かそこには4人の住人が。
4人は物の怪で行くところがなかったのを祖母が「いるだけでいい」と住まわせていたのでした。
4人もの物の怪ごと家を譲られたと知らなかった清伊と物の怪たちは最初から険悪な雰囲気になるのですが、すったもんだのあげく、清伊はとりあえず4人を住まわせ続けることを決めます。それだけでも面倒なのに、その中の一人・八咫烏の東雲(攻め)は清伊を予言にあった運命の人だと迫ってくるのです。

清伊は母親が20歳の時に蒸発してからは一人きりでした。母は清伊を身ごもって以来勘当されていたので、祖母とは全く面識はありませんでしたが、祖母が家を清伊に遺すという遺言に従って相続することにします。
聞いていた以上のぼろ家だったこと、変な住人がいたことなどで、更地にしてしまうという選択もあったのですが、4人も人手があることだし修繕するほうがお金がかからないだろうと4人をそのまま住まわせることにするのです。


東雲は本性は八咫烏ですが、仲間の鳥と違うということを気に病んだ母親に3本ある足の一本をもぎ取ろうされたことで足が一本変な風に曲がっています。そのうえ、バランスが悪くなり飛ぶこともできず、そのことがコンプレックスになり自分は醜いと思っています。
祖母の家に来る前に占いで運命の人に出会うという予言を受けており、清伊を一目見たとたん清伊が運命の人だと迫るのです。
東雲は最初から清伊一筋で、清伊に尽くそうと頑張ったり、清伊が書いた書を臆面もなくほめたりとでれでれでです。健気すぎてちょっとかわいそうになります。

他の住人も個性的な妖ばかりでした。
煙の妖・煙羅はすぐに口説くようなことを言ってきたり下品な冗談を言ったりしますが、ひょうひょうとしていてつかみどころがなく食えない男。皆が喧々囂々しているときもどちらの味方なのかわからない感じですが、実は清伊のこと一番受け入れていません。
野良式神・式鬼は東雲が好きでずっと口説いたのに全く振り向いてもらえず、突然きた清伊に横から掻っ攫われたこともあって、清伊に反抗的です。が、自分の気持ちに正直で何事にも本気で向かい合うので、憎めません。
硯の付喪神・硯は一番素直で従順で世間ずれしていない物の怪でした。オタクで絵を描くのが好きでおしゃべりです。硯が真剣に絵を描くシーンはかなり特殊で想像するとちょっと怖いのですが、怖いもの見たさでイラストで見たかったです。


清伊は潔癖気味なのに掃除が苦手だったり、無駄遣いが嫌いなのにずぼらだったりと物の怪たちにいろいろ苦情を言っておきながら自分も問題が多いのですが、そんな問題だらけの人たちが集まり、文句を言いながらも皆でボロ家を修繕し住みやすくしてく姿は楽しそうでした。一人暮らしが長かったため、自慰する場所がなく風呂場で致していて東雲にばれたりと他人と暮らすことによる弊害はある
のですが、このにぎやかな生活が居心地のよい場所になっていくことで、自分が味気ない生活をしていたことに気が付くのが切なかったです。そのなかで東雲との仲もすこしづつ近づいていきます。
二人の仲が式鬼にばれて愁嘆場になったり、そのことでやはり自分だけが異分子だと再確認したりと気まずくなるのですが、物怪荘周辺地域の土地再開発計画が発覚し、穏やかな生活を守るため初めて全員で戦う決意をするのです。
この阻止計画のために、役所代表として怖い思いをした清伊の同僚は気のいい人であっただけにすごく気の毒でした。

全く接触のなかった祖母が、ずっと家族というものに恵まれなかった清伊に一緒にいたいという人たちとの出会いを用意していたことが、会えなくても清伊のことを心配していたんだということがわかって救われたような気がしました。

最後の祖母の日記もあり母親なりに清伊のことを愛していたとわかりましたが、母親はどこいったんでしょうね。

人間にっとての一生は妖にとっては一瞬の時間かもしれませんが、運命の人と番になった東雲の幸せが少しでも長く続くことを願ってやみません。

孤独だった受けがにぎやかだけど居心地のよい仲間を見つけるという読了後も気持ちよい話でした。
ただ、ちょっと気になったのは、他の方もおっしゃっていましたが、他の物の怪たちの個性が強すぎた点です。当然東雲とのエピソードが一番多く、東雲の一途で健気な様子や物の怪としてのは能力は高いのにコンプレックスがあり弱るところなど話題に事欠かないのですが、なだらかな印象なのです。それよりは、憎まれ口をたたきあいながらも協力しあったり東雲のことで大泣きしたりと式鬼の激しさや煙羅の食えなさ、硯の可愛らしさのほうが強く印象に残り、東雲が食われ気味なことがちょっと残念でした。

2

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