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何年経ってもアンタのそばにいてやる
mittsu
ずっと気になっててようやく読みましたら…。最初はすごい勢いで読めたんです。読みやすくて面白くて。
でも榛名のこじらせと星野の元カノへの意地で星野を素直に愛せない、涼一が元カノに似てる、そもそもあたたかい家庭を知らない、家族運もない、色んなモダモダがギリギリで緊張感があって。
ゲイだとばれた16歳、蔑まれレイプされそうになった18歳。
ただ星野を好きなだけなのに…、いや、歪んだ愛情で星野と涼一と対等に生きてこなかった報いか?
からの涼一19歳で、エエェェ!?涼一どうしたの〜?
もうこんなに振り回されるの無理無理!
どうしたら良かったんだろう。
榛名のこじらせも理解できる。だけど助けるなら意地はらずに素直に星野と涼一と仲良くやれば良かったのに。でもそうしたら涼一は違う19歳になったのかな?
誰もが最善を選んで実行できるわけじゃないですもんね。こんな関係性いやだ、自分の態度もいやだと思ってもどうにもならないのもわかる。人間だもの…。
トーンにあまあまとあるけどそこまでたどり着けずにリタイアです。もっと精神的に元気な時にまたトライします。
まだまだBL脳が子供なので、このどうしようもない感を消化できませんでした。
この作品は、学生時代に親友を好きになってしまった想いを引きずる榛名と、その親友の息子涼一との出会いから20年余りのお話になっています。
構成(時系列にお話が進む)は好みで、オヤジ受けも問題ないんですが、、、良いのに惜しい、何が惜しいと言えないけど惜しい。
涼一が榛名に惹かれる理由も後々語られるんですが、そこが弱いのかな。筋は予想できるのでそこなのかな。でもBL小説で筋が予想できるのは普通だしなぁ。
小道具として出てくるリップクリームが浮いちゃってる(何なら無くてもいいんじゃ?)のが気になりました。星野との関係も、涼一が語るまでのとこがもやっとしてしまって…つまりのところ、妄想の世界に没入しきれなかった、ってことかな。壁になりきれなかったというか。
イラストも私には合わなかったかな。
とはいえ、どんどん読み進められるし、消防士になったのは意外で良かった。(消防士って萌職業だと思ってる)これも後々それが生きてくるんですけど。後は、50手前になった榛名との関係が読めたのは良かった。
これが、デビュー作だったんですね。
また他の作品も読んでみたいな、と思います。
「榛名さんは冷たい態度を取るくせに、行動は熱いんだ。」
“小説投稿サイト「エブリスタ」による史上最大級10社合同でのBL小説新人賞受賞作品”とのことですが、この紹介記事を見ると表紙デザインが有名絵師や素敵なものが多いですね。こちらの作品も表紙と親子もので気になっていたものの、積読しておりました。
初恋の男が息子と借金を連れてくる。
この初恋相手の星野を主人公の榛名が好きになる理由がハッキリしていて、揺るぐわけがないんですよね。その星野が病死してからは息子を養子にし、金と家政婦で殆ど育てる形になりました。
息子涼一の育ち方や彼の気持ちに対して、親としての気持ちと初恋相手との約束、また彼や自分の帰る場所など逡巡する榛名は読者として納得出来て良かったです。
星野にあまり似ていないが血の繋がった息子、榛名の嫌味じみた表情が似たところはある意味二人の子みたいだなと滾りました。
榛名視点で話が進むので、彼自身自分を良い人間だと思っていないし素直ではないので、そう思いながら読むのです。でも涼一から見た榛名を種明かしされる展開では、もう榛名は頼もしく愛おしい人間に見えてくる。
そして榛名から見て聖人のようだった星野は涼一にとって残酷な一面を持っている。とは言え、最後の最後まで榛名を頼らなかった星野の気持ちは深い。
文章として引き込まれたというより、設定と心情がとても丁寧でした。
絵柄は、表紙は良かったけど挿絵の眼元がケバい…。
親子(その位歳の離れた)ものって、歳下が白い美肌だったり麗しい魅力がつきものだと思っていましたが、涼介は浅黒く鍛えていて健全な消防士に見えるところがいいです。
滅多に褒めない榛名に「よくやった」と言われ照れを隠せない彼がめちゃめちゃ可愛かったし、“俺の形ばかりの褒め言葉を間に受けてどういうつもりだ?”と天然に思う榛名のキツさに笑いました。
涼一の母のお骨を担保に、借金の形替わりをして、同居をするうちに、榛名は、死んだ初恋の男の息子・涼一を男手ひとつで育てる事になる。
涼一は母似。高卒後、涼一は消防士になり、強くたくましい男性に成長していく。
いつの間にか、育ての親の榛名を愛していた涼一。
実母に似た涼一は、実父の卑怯が許せない。榛名が寄せていた実父への恋慕の情を実父は利用して、榛名を頼りに行っていた。
父の狡い下心に気づいて居た涼一は、性根が良い子。
申し訳ないと言う気持ちから、恋慕に代わっていったのかな。そうだとしたら、榛名の育て方は、間違っていなかったのだと思う。
榛名は、同僚とのセフレの宙ぶらりんより、涼一と愛を育んだ方が、ずっとマシな関係だと思う。
拗れても居ないまっすぐな気持ちを持つ涼一はマトモな良い青年なので、榛名の世間体への抵抗が解消されたら、問題ない二人。
それにしても、涼一の父親はだらしない狡い、顔だけ良い男だったと思う。あんなのにどうして惚れたのかしら・・小説の中のネタだから、しょうがないことだけど。
父子相姦といっても、血のつながりはない、年の差と世間体だけが障害なので、予想よりずっと波乱のない内容。ただ悶々と榛名が悩んでいただけ。
どう決着付くのだと最後までハラハラしながら読みました。
榛名は頑なに涼一を拒否し続けるし、しまいには仕事を辞めて黙って逃げようとします。
年齢差は確かに気になるし、老いをこれから迎える恐怖は理解出来ました。
榛名は一見嫌な人間に見えますが、本当は不器用で素直に甘えられ無い孤独な人間です。
涼一はそれを分かっている理解者です。自分の父親のズルさを分かってて、榛名にお金を返そうとする潔癖さを持っていました。
もし星野に榛名の気持ちを教えたのは亡くなった母親で、それで榛名の元に来てたなら冒頭のシーンは全く違う意味を持って読むことができるでしょう。
ようやく一緒にいる事を選んだ榛名は幸せながらも、涼一に去られる事に怯えています。
そんな事はきっと無いだろうけど、2人の幸せを願わずにいられないお話でした。
表紙が余りに印象的で、性癖や内容等で何が出てくるか、おっかなびっくりだったんです。実際読んでみるとディープさはあるけれど、なかなか味わい深い人間ドラマが描かれていました。表紙で敬遠しないで欲しいですねw
エブリスタのBL合戦のクロスノベルズの大賞受賞作です。エブリスタ受賞作は、これから編集者がついて指導というより、既にプロの域に達成している人が受賞される賞のようで、どの作品も読んでいて安定感があります。ただWEB小説ですので、商業ものに比べて個性が強い作品が多いので、好き嫌いが分かれるようですね。
この作品も正直最初設定に思いっきり引きました。。主人公榛名の余りに屈折した性格と榛名の恋人になる涼一が榛名の高校時代の初恋の相手の星野の子供で、しかもその子は星野には全く似ず、榛名も良く知る星野の高校時代からの彼女で結婚した妻にそっくりという設定。。冒頭ではかなり尖った作品だなーと思いきや、読み進めるうちに人間のどうしようもない業の深さや人間同士の結びつきに深く沁みる部分がありました。義理親子恋愛ものでもありますが、とても長い家族の物語でもありました。後半は感情が込み上げて泣けましたね。。
榛名の性格も嫌いじゃないし、攻めでは珍しく小悪魔な涼一のキャラも良かったです。涼一は年を経るほど小学生化していくのが笑えましたが…。20歳差の年の差婚(?)の切実なリアル事情もショートストーリーで描かれていました。昔「咎犬の血」というゲームで、「青葉の様に瑞々しいアキラにおっさんの源泉は勿体無い!」と思って、おじさん×青年が苦手だったのですが、慣れって恐ろしいなー。年の差カップルに抵抗感無く読めました。
私はこの作品を読んで天性のBL作家さんのように感じたんですが、個性が強い故、評価が分かれるようですね…。恋愛ものは、余程特殊な舞台設定が無いと、飽きたり退屈してしまう方なのですが、人物描写や感情の機微の描き方が光る作家さんで、ストーリーに引き込まれ、読み応えがありました。
大どんでん返しがある訳でもなく、ある意味予定調和な物語であるけれど、時にぐさっときたり、ホロッとしたり、読み手も振り回される所も良かったです。義理親子ものといえ、背徳感はあまり感じず、人間同士深く関わる中で産まれてくる、どうしようもない情だと個人的に昇華しました。BL部分はなかなかディープな世界が繰り広げられます。
一つ残念に感じたのは、榛名がずっと好きだった星野との夢の5年間の同居生活が全く描かれる事も無く、スルーされた事です。これが描かれると、榛名と涼一との関係の焦点がブレるリスクもあるので、避けられたかもしれないけれど、榛名の人生において、大きな意味のあるこの濃い5年間の描写もがあれば、もっと物語に深い彩りも添えられたのでは無いかと感じました。
全体的に理論立っていて、まとまりもあり、読みやすかったです。次作大いに期待しています!
こちらではあまり評価が高くないのですが、私は面白かったんですよね……
私の萌えポイントは『乙女』なんですよ。
これ、榛名の弁護士事務所の上司にして大学の同級生、なおかつセフレという非常に濃いキャラクターの岩下が作中で言っているんですけれども、言い得て妙だなと思います。
榛名は高校時代の初恋を引きずっています。
貧しくて、親からも大切にされなくて、同級生らからも侮蔑的な言葉を投げかけられる榛名を救ってくれた星野のことが忘れられないのです。
『救ってくれた』と言っても、人に好かれる性質の星野の『空気を読まない発言や振る舞い』が、本来であれば『周りとは異質なもの』であった榛名をいじめの対象にさせなかった、ということなんです。
同情から手を差し伸べられたのなら、プライドの高い榛名は決して星野に恋をしなかったと思うんです。
この辺がね、上手い。
で、長じた榛名のところに星野が金の無心に来るんです、子どもを連れて。
親が経営していた会社が潰れて、もうどうしようもない状態の星野に対して榛名が浴びせる罵詈雑言がもう酷いのなんの。
でも、それは全て、自分を守るためなんですよ。
「頼る人を持たずに一人で生きるというのはこういうことだ」と思います。
でも結局、榛名は星野の借金を肩代わりし、2人を自分のところに住まわせます。そして星野が亡くなった後には、息子を養子として育てます。
乙女だから。
彼は初恋に、そして自分を救ってくれた星野の為に精一杯のことをするんです。偽悪的なので、決して自分では『精一杯』と認めようとはしませんが。
この認めない所も、とてもとても乙女を感じます。
捧げたことはあくまでも榛名の自己満足です。
そういう意味では、榛名の恋はいつも独りで行うものでしかありません。
「それでいい」と思っていたんだと思うのです。
いやー、とても乙女ですね。
でも、子どもは気づいていたんですよ。変な鋭さで。
「ここからの展開をドリームと言わずして何を?」と乙女の私は思うのです。
人は単純なものではないですよね。
1人の人に綺麗な処と醜い処がある。
綺麗な処をひけらかす人もいれば、殊更それを隠そうとする人もいる。
自分の感じていることが上手く言えないだけじゃなく、下手をすれば自分でもよく解らなかったりする。
そういう部分が非常にリアルで、とても身につまされました。
でもまず最初に…
20歳差のBLです。攻め小学校4年生10才で受けはすでに30才です。攻め20才で受け40才ですね。この時点で「あ…無理かも…」な方には合わないかもしれません。BL界にはどうしても無理な設定というものが誰にでもありますもの…
そしてなんとこの主人公・おっさん受けの榛名、性格が捻じ曲がってる。なので冒頭のエピソードで完全にドン引です。萌えジャンル「性格悪い受け」属性の私ですら、うわぁ…ってなりましたもん。でもなんていうか、違和感があったんです。そしてストーリーを読み進めてくウチに徐々に気づきました。
あ。こいつただのいいやつじゃんって。
以下、私の妄想炸裂感想文になりますので、勘違い見当違い内容もあるかもしれませんがご容赦ください。ですが、なぜ自分にとってこの小説が神だったのかを暴走気味に語らせてください…!
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榛名の魂みたいなものは、ツルッツルの小さな豆みたいなものなのかなーと!そこに優しさとか自尊心をキュッキュッて詰めてて、でもそれを傷つけられないよう隠すためにいっぱいそこらへんに落ちてるガラクタで武装しちゃって、大きくなってるポンコツマシーンなのかなって。ポンコツだから、わからない。優しくしたいのにできない。
毒親の下で育って、ろくな自尊心の守り方もわからず、不器用にトタン屋根みたいなものを何枚も重ねて武装してしまって、もう前も見えない。そんな高校生時代に出会った初恋の男・星野は光みたいな存在で。ただただトタン屋根の隙間から漏れてくる光だけを見てて幸せになってた榛名を思うと切なくなっちゃう。
そしてそのトタンのバリケードを初恋の男の息子・涼一がものすっごい勢いでバリバリ剥がしていくんですよ。きゃーーーやめてーーって榛名は悲鳴をあげて逃げるのに涼一はめげない笑
身ぐるみ全部剥がされてツルッツルの榛名を魂ごと捕まえて言うセリフはもうクラックラきますよ。あーここで書いちゃいたい、でも読んで欲しいから書かない。ああああああ今一瞬ここにコピペしたんだけど、それみてフゥゥゥってなった。魂を揺さぶる萌えBLゼリフbest3に入る!
もうもう本当にドキドキしたーーー!涼一がやばい!筋肉の描写には鼻血出るかと思ったぁあああ。こりゃ榛名もたまんないだろうな!と。
しかも涼一の執着っぷりにも脱帽ですよ!もう11歳の頃には養子にしろって、多分無自覚婿養子要請ですよね。何が何でも榛名にくっついてなきゃダメだって思ったんだろうなぁと。それは自分の保身じゃなくって子供心にも純粋に榛名を想ってのことだったのがわかって、すごいな〜何年越しの想いだろうねって。なんとなくわかるんですよ、子供時代の絶望の淵から救ってくれた榛名に対して執着する涼一の気持ち。救ってくれたスーパーヒーローなはずなのに、榛名の脆さとか儚さが混ざっちゃって、守んなきゃ!って、榛名のスーパーヒーロー像を自分の中に同一させて、それごと恋に落ちちゃったみたいな。あとは榛名を守り抜くために居たのかなって。
「居場所」 「帰る場所」っていうのがキーワードに出てきますが、涼一の「帰る場所」は榛名を守り抜くポジションなのかな〜って。そしてずっと武装してなきゃ居られなかった榛名にも、装備を外してくつろげる 「帰る場所」ができた。
素敵な素敵なラブストーリーでした。
何よりもエロがエッロい!!!!!ここ重要!!!!!久々、くぅ〜〜〜〜〜参りましたっ!!!とかわけわからない感想でたもん。
最後にショートストーリーが何編か入ってるのですが、そちらは本当にふわふわエロエロで幸せです。豆粒ツルンな榛名は本当にエロ可愛いです。そして涼一はエロかっこいいです。
とにかく、読みやすい文章そして感情表現の巧みさに新鮮な感動を覚えました。この作者さんがこれからどんどん活躍してって欲しい、私好みのエロ作品をどんどん出して欲しい!という下心満載で、レビューを投稿させていただきます。
是非是非たくさんの人に読んで欲しい作品です。BL界の新しい風のように感じました。
BL合戦からのデビュー作、おめでとうございます。結構長丁場なお話でして、ここまで年齢差があるとどうだろう??と少し萌が減りましたので萌えよりですが中立でお願いします。ええーとインパクトは大きかったです、なんてったって親子ほどの年齢差・・・受けさん頑張る本編190P弱+後日談50P弱+あとがき。
攻め6歳の時に出会い、11歳の時に攻め父(好きだった高校同級生)が死んだため養子にし、16歳の時にゲイバレし、18歳の時に家出していった攻め。1年後に「消防士になった、寮に住むけど休みの日にはここに帰ってきていいか?」と戻ってきて・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
受けの同僚弁護士である岩下と、借金まみれの攻め父ぐらいかな。少しだけ女子でてくるので、ちっぴりでもイヤと言う方は気をつけてください。
**攻め受けについて
受けさんはツンツンしていますが、基本、高校時代からずっと好きだった「攻め父」からもらったリップクリーム(表紙にある)を心の支えに頑張ってきた方だと思うので、切ないなあと思います。「岩下(こいつ良い奴だと思うのだが)の方が良かったんじゃないの、やっぱりずっと子供の頃から一緒にいた子に抱かれるのはどうも・・・」という思いでいっぱい。後日談では50歳になってるし。
ということで美魔女ならぬ美魔法使いかもしれませんが難しかったです。
攻めさんは子供っぽいところが残る大型ワンコで、もう少し年の差が小さければなあーと思いました。もうちょっとスパダリ感を感じられると印象違ったかな。やや甘えん坊な印象が強かったです。
年の差大好き!で長い年数かかるすったもんだがお好きな方にはおススメしたいと思いました。
雪路さんの表紙に惹かれて購入。
この作品のストーリーを端的に言うならば、
初恋の男の子を引き取り育て、やがて息子が成長し、二人は恋に堕ちる。
といった内容。
まあ、よくある話といえばよくある話なんですが、この話はちょっと一線引いている。受けである養父がとにかくツンデレだから、なんです。
昔の伝手を頼りに弁護士である榛名を訪ねてきた男。
榛名はその男・星野にかつて恋をしていた。好きで好きで、でも手に入ることのなかった男。彼を手元に置きたいがために、男の抱えた3000万という多額の借金を肩代わりする―。
と書くと、めっちゃ健気さんをイメージするじゃないですか。
でも、榛名という男はとにかく甘えることが苦手。
自分の親切を、そうと悟られるのが嫌なんですね。だから、その想いを隠すために汚い言葉で星野親子を罵倒する。
それが彼の、星野という男への愛情の形なんです。
なんですが。
なんていうんだろうな。
設定はかなり面白い。
面白いのですが、登場人物の誰一人として、共感できる人物がいないんですよ。
妻亡きあと、多額の借金とまだ幼い子どもを抱え困窮した星野は、かつての親友だった榛名に助けを求める。榛名は借金を肩代わりしてくれて、住む場所も与えてくれた。さらに自分が癌で余命短いとわかった時に榛名に息子を養子にしてほしいと頼み、そして亡くなる。
こんな勝手な男、います?
ちょっと意味が分からない。ストーリーの終盤で彼の心情を息子である涼一が代弁するシーンがありますが、自分勝手すぎて、怒りを通り越して笑いしか出ない。
そして榛名。
なぜ、そこまで星野に尽くすのか全く理解できない。
星野は初恋の相手で、過酷な環境にいた高校生だった時に自分を照らしてくれた太陽のような男。
でも、たったそれだけの関係。
ずっと友人だったわけでもなく、音信不通だった。
なのに、なぜそこまで出来るのか。
涼一も。
彼が榛名に惚れる過程が非常に曖昧。
この作品は、義理とはいえ息子である涼一と恋人になっていいのか葛藤する榛名を、涼一が一途に想い続け、そして恋人になる、という部分がキモになる作品だと思うのです。
が、20以上も年上の、しかも男(涼一はゲイではない)をひたすら思い続ける、その「根っこ」となるのが涼一の榛名への恋愛感情だと思うのだけれど、そこが曖昧なためにストーリーの基盤がぐらつく。
他にも、榛名の両親は毒親過ぎて萎えたし、星野の亡き妻の存在にも若干イラつきました。
榛名が一途に想い続けた星野との思い出。
亡き父を愛していると知りながら、それでも榛名を一心に思う涼一。
涼一に愛され、愛し、葛藤する想いもあるけれど、それでも涼一の思いを受け入れた榛名。
一言で言うとそういうストーリーなのですが、この作品は涼一の求愛を榛名が受け入れるまでの葛藤を描いた部分が多すぎて中弛みしてる。
榛名にしても涼一にしても、甘えてみたり、激高してみたり。言動のブレ幅が大きすぎて、どのスタンスで読めばいいのか若干悩みもしました。
やっと二人がくっついた後の終盤の小話は、それまでとは一変、コミカルな雰囲気に。
相変わらず素直になれない榛名と、あふれんばかりの若さを持つ涼一との掛け合いが非常に面白く、そしてエロい。
こういった描写をより多くのページで割いてくれていたら、あるいはもっと萌える作品になったように思います。余談ですが、発売を記念して封入されているペーパーとか、コミコミスタジオさんで購入するといただける特典小冊子は、作中で登場する「ガラココ」(車のガラスを磨くための製品)をテーマにしたストーリーで、これがまた笑えます。ほのぼのです。甘々です。
こういった小話を、特典としてではなく作品の中に盛り込んでほしかったなと強く思いました。
表紙でも描かれているリップクリーム。
星野の亡き妻の遺骨。
酷評してしまいましたが、そういった小道具の使い方も非常に秀逸でしたし、バックボーンはとにかく萌えるものでした。そして、文章が凄く読みやすい。
それだけに、もう一声ほしい感が半端なかった。
次回作に期待。