イラスト入り
switch
エロ重視作だが凝っていて面白い設定。刑事に抱かれることで、セックス中に殺された被害者にシンクロして事件解決の手助けをする作家のお話。
当然ミステリ小説として見れば酷いけど、自分でない誰かになって関係を持った相手への恋心、初めて自分として抱かれるときの羞恥心と高揚感など、BLとしての萌えどころが好みだった。
舞台は英国、主人公は東洋系の外見を持つ英国人の叶。生い立ちや日本名と本名の話、イーストエンドに住む理由など、背景までさらっと書かれている。そこに潜む鬱屈した心情も匂わせていて、短編なのが惜しいと思わせる。
相手役のアルバートは見目麗しい警視庁期待のホープ。パーフェクトでいかにもBLの攻め然とした男。最後に少し崩れたところも見せてくれたけど、そこをもっと見たいと思った。切なくなっている姿をもっと見たい。
ストーリーは二回のエロに圧され気味で、設定を投げるだけ投げて放置された印象。面白くできそうだったり、伏線に使えそうだったり、読み応えのある描写にできそうだったり、そういったものがたくさん詰め込まれているので本当にもったいない!
今回の短編では、最初の事件の結末もアルバートの気持ちもはっきりとは描かれず、中途半端に終わってしまった。できれば長編でじっくり書いて欲しい作品だと思った。
とても不思議なのは、会話やモノローグから察するに何度もこんな特殊プレイをやっているらしいこと。アルバートはセックス絡みの殺人事件ばかりを担当する刑事なのか。まあどっちにしても、もしBLでシリーズ化すればそうなってしまうだろうな……。
なぜこれをエロ重視短編で使い捨てしたんだろう。犯人と被害者になりきってのセックスと、本人同士としてのセックスの違いが見どころってことなのかな、タイトルも「switch」だし。
この作家さんの他の作品も読んでみたくなった。
電子短編。
まず、SM的なベッドシーンから始まる本作。
しかし、その行為は実は「プレイ」。
愛や快楽のためのものではなくて、「捜査」のためのプレイなのです。
舞台はロンドン。
責められているのは作家の叶(かなえ)。日系の英国人。
攻めはスコットランドヤードの刑事・アルバート。
アルバートと叶は友人。
叶は殺された犠牲者に同調して殺人現場の再現的なことができる。被害者に憑依し、殺人者の心理をなぞり、操作に協力しているのだ。
だから、今夜は2人で娼婦が殺された事件を再現している…というテイ。
「再現プレイ」によって実感した殺人者の動機と行動をアルバートに伝える叶。
ただし。
叶は本当はアルバートが好きなのですよね。
だからプレイの後は虚しい。
もちろんアルバートの方も本当は叶が好き。
でも叶はそんな事を考えもしない。
いつ無くなるかわからない恋愛よりも友情の方がいい、と考えているから。
あゝすれ違い。
アルバートが事件と関係なく叶を抱き、この友情はどうなってしまうのかと恐れる叶だけど。
一度出て行ったアルバートがまた戻ってキスしてくれた時、叶の心の中で友情から愛情にスイッチが切り替わった…
…らしいけど。
え?switchってそういう文脈?
ここでブツっと終わっちゃうし、なんなら攻めと受けがswitchしてリバリバでもしてくれんのかと期待してたんだけど、アラ終わり?みたいな。
とにかくここで終わり?という感想。もう少しその後のアルバートと叶を読みたい。
叶の能力も全く掘り下げられてないのも残念。
長編向きの題材だったのかもしれませんね。「萌」で。