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使命に殉じる捜査官に秘められた意外な宿命──和風獣人ファンタジー!!
hanasuidori wa takane de saezuru
最近多作な中原さんですが、前にレビューを書かれていたポッチさん(勝手にお名前出してすみません)が書かれているように、どれもこれも面白い!
ここのところ、コメディが多かったのですっかり失念していましたが、中原さんは『淫雨』とか、この手のノアールもお上手でしたよね。
加えて、笠井画伯のイラストが非常に雰囲気を盛り上げています。
私、BL読みとしては異端だと思うのですが『イラストはあればあるに越したことはないけれど、なければなくてもかまわない』派なのですけれども、このお話にこのイラストは必要と思いました。ベストマッチってこういうことを言うんですねー。
だって、『梟はなぜ烏を黒く染めたのか』に引き続き、今回も『鳥』なんですけれど、今度の鳥はハーピーですよ!美しくも妖しく、そして恐ろしいなんて、もうそれだけで笠井さんのイラストを観たくなるじゃありませんか(『大食い』って所だけはちょっとイメージが違うけどね)。
結局、またしてもお話の虜になってしまい、途中で止められませんでした。
ヒトの変種『目白』は美しい声で囀ることから、好事家による『泣き合わせ』が闇で行われ、人身売買の対象になっています。また、目白は希に『妖鳥』と化すことがあり、その場合、他の目白を犯し、喰らうという危険な存在でもあります。白井奏多は目白の売買を取り締まる若手司法警察官で、蛇島というブローカーを追っています。先輩刑事の伝手で、目白をより美しい声で囀らせることに長け、かつて『伝説の鳴かせ屋』と呼ばれた鵙矢と協力して、潜入捜査を試みることになります。白井は目白の売買や、美しい声で鳴かせるために行われる虐待を憎んでいます。それは勿論、人道的な立場からでもあるのですが、幼い頃に美しい目白と知り合い、激しく惹かれた思い出があるから。また、その目白は、養子として育った白井自身の出自に関する謎を解いてくれる人の様な気がしています。引退した鵙矢が白井という弟子を育てるために再び鳴かせ屋を行うという筋書きで、二人は蛇島からの接触を待つのですが……
美人さんなのに跳ねっ返りで、先輩刑事や鵙矢に対してもポンポン言い返す(そんでもって、結構強い)白井や、男臭くて余裕があって、そのくせ尽くすことに対して非常にまめな鵙矢(そんでもって、過去の後悔を引きずっている)という組み合わせは、いつものように魅力的です。同様に、脇を固める先輩刑事の面々が、人情味たっぷり。ラスボス様も哀しく美しい。
そんな魅力的な登場人物の中で、今回、心に残っちゃったのは、鵙矢が鳴かせ屋として関わるハクという少年なんです。自分の囀りに価値があることを自覚していて甘やかされているんですけれど、飼い主(って言っていいのか?)に愛されたいと望んでいることを素直に言えない子なんです。そもそも、それが愛なのかも漠然としているというか「口に出して言っていいのか解らない」と思っているような子。
この子がいじらしくてねー……いいエピソードでした(クスン)。
クライマックスに、目白が囀る時の開放感や幸せを表現したシーンがあります。
生き物の本性の美しさとでもいうか『そうあることが正しい』とでもいうような、このシーンは白眉。
不思議な世界観も、白井の出生の謎も、息詰まるような捜査のサスペンスも、妖鳥の妖しく恐ろしい様も、全てが合流するこのシーンで、こんな歓喜が襲ってくるなんて思いもしなかった。
小説好きの姐さま方に「ここを読まないのは損ですぜ」と言いたい!
ああ、またしてもべらぼうに長くなっちゃったよ。すみません。
作家買い。作家買いですが、中原さん×笠井さんということでテンションMAXで読み始めました。
最近、個人的に中原作品はホントにはずれが無くてどれを読んでもめっちゃ面白いのですが、今作品もすんごく面白かったです。中原さんはコミカルな作品も書かれますが、今作品はどちらかというとシリアスでダークなお話でした。
すみません、ネタバレ含んでいます。
主人公は潜入捜査やおとり捜査といった極秘裏に行う捜査がメインとなる司法警察職員の白井。
現在彼が追っているのは、違法である「鳴き合わせ」を行う胴元。「鳴き合わせ」といっても鳥類のメジロの鳴き合わせではなく、メジロの特徴を持ち合わせる鳥人・通称「眼白」と呼ばれる人たちが出品され、より美しい声で囀る眼白が高額な金額で売買されるというおぞましいもの。
億単位のカネが動き、それらが裏組織の財源になること、さらに眼白たちの誘拐・人身売買といった犯罪の温床になりえることから取り締まりを強化しているが、警戒心の強い胴元を逮捕することができずにいる。
現状打破のために、かつて「伝説の鳴かせ屋」と呼ばれた鵙矢という男に協力を仰ぐことになるが…。
というお話。
最近刊行された中原作品の『梟はなぜ烏を黒く染めたのか』も鳥人のお話でしたがそちらとは世界観は異なっていて、今作品は鳥人(眼白)は人身売買の対象になりうるという社会的弱者でもあります。人間が、自分の楽しみのために眼白を飼う、というちょっとダークな設定。
白井はオークションにかけられる眼白に対して感情移入し過ぎる傾向がある。ゆえに、眼白が上手に囀ることができるよう調教する「鳴かせ屋」である鵙矢に対してはじめは敵対心が強い。
なぜ白井は眼白に感情移入し過ぎるのか。
というところを軸に、鵙矢との関係や、「鳴き合わせ」の胴元である蛇島逮捕に向けてのストーリー展開がなされていきますが、さすが中原さんというべきかそのストーリー展開が非常に秀逸。
そこかしこにまかれた伏線を上手に回収しながら、白井の正体や過去が少しずつ見えてくる。
そして、登場人物たちが非常に個性的で魅力的。
麗しいビジュアルを持ちながら豪胆な白井。
眼白に尽くし、そして実は懐の広い鵙矢。
といった主要キャラの二人はもちろん、白井の同僚の刑事さんたちも味がある。
が、白井と対峙することになる眼白(最後まで名前は出てきません)が何しろ良い。彼と白井との関係や、妖鳥化してしまっている、という設定とか。
ネタバレになってしまうので詳細に描くことは控えますが、近親相姦やレイプが苦手な方には注意が必要な描写があります。痛い描写もありますし、流血といった生臭い展開もあります。
が、とにかく面白い。
序盤からストーリーに引き込まれ、最後まで息つかせぬ展開で、ページをめくる手が止められませんでした。
しいて言えば、最後に鵙矢に尽くされまくる白井が見たかったな、という気も。
そして笠井さんの挿絵は今回も神だった。
激しい濡れ場は少なく、笠井さんの挿絵もどちらかというとエロは少なめ。
が、そこはかとなく漂う淫靡な空気は健在。魔性的な魅力を放つ妖鳥化した眼白の雰囲気がしっくりきます。とにかく麗しい。
鵙矢が探している妖鳥化した眼白はまだ見つかっていないし、眼白のハクのその後も気になるし、ぜひとも続編を書いていただきたいです。
鳥人モノ第二弾。と言っても別レーベルでテイストも全く違うんですが。
笠井あゆみ先生のイラストと相俟って、特に奏多の幼いころの想い出のシーン等はドキドキしました。
囀る声の美しさ、聴こえてくるようでした。
そこはかとなく漂う耽美な世界観が何とも言えず妖しく美しかったです。
眼白や妖鳥化という設定からして最高でした。
以下は本質に触れるネタバレ
最初に顕れたマーキングされ抗えない様から、妖鳥化した兄との再会。
兄が奏多に向けた愛情をもう少し深く読みたかったです。
このあたり個人的に大好物なので。
愛情と「食べたい」という欲望とのハザマにある(あった)彼の真意。
ただの妖鳥ではないと思いたい・・・。
唯一の肉親なのに、とても悲しい関係でした。
そして、恍惚を感じながら食べられていった、かつて鵙矢が世話をしていた眼白達。
まだまだ彼らの物語を読みたいです!
ぜひ続編を!!!
ハラハラドキドキワクワクしました。甘くないけどそこがいい!
半分まではなかなかページが進まずでしたが、そこからは一気読みでした。
白井は捜査官で眼白で、それでも自身の正体を知らず認められず眼白の人身売買など犯罪を追って。
さらに子供時代の話にも繋がりなんと!あの優しいお兄さんが白井にマーキングしてたなんて!
喰いたい喰いたいって長年執着されてて。
はぁ、上手く書けません。とにかく波瀾万丈で眼白という生き物のこと、鳴かせ屋としての潜入捜査や仕事、眼白との交流、胴元を引きずり出すまでの地道な努力、そしてとうとう対面してからの攻防。
特に島に渡ってからは息をつかせぬ展開で。
白井がなんとか鵙矢の言葉を心の支えに踏みとどまるところも絆を感じました。白井の囀りを頼りに探し出すところも。
無事に終わって良かったです。三方得?警察も白井も鵙矢も良い形で収まります。
しかし兄が実の弟を相手に…。色んな意味で衝撃でした。長年の執着と実の親のことやマーキングの呪縛や喰いたいとかその前のお楽しみとか。
島から出るつもりで船に行った所は特にハラハラしました。白井が自分の手で終わりにしましたね。
鵙矢の強靭さしぶとさもびっくりです。
白井と鵙矢がどうなるかも気になってましたが、目の前で兄に犯されるのを見られちゃって。でも妖鳥ですから絶対白井を助けてやると奮起したのかな。
ダラダラ行ったり来たりまとまらなくてすみません。
二人のイチャイチャはありませんがそれでいいかも。一緒に住んでお互いにやるべきことをやり、囀るために尽くされてそばにいて。
いい終わり方でした。
勝手にシリーズにしていますが、公式には動物の生態シリーズはありません(笑)
私的に、クジラの次は鳥なのかと、わくわくしつつ読み始め大満足で読破。
この前に鳥人BL(『梟は〜』)も有りなのですが、残念ながらそちらはまだ未読。
早く読まなきゃ!
前回のマッコウクジラの時も思ったのですが、
今回も眼白の設定が面白い。
ストーリーは眼白(というか、妖鳥)の妖艶さに惑わされそうですが、
中原さんらしいハードボイルド刑事物な気がします!
眼白という特殊な設定に彩られて、それはそれは(BL的に)美味しく展開します。
鵙矢と白井のBLというには、ちょっと恋愛要素薄めで、
決定的な恋心に行き着くまでにはもう少し時間が必要な気がします。
そこのところ、ラストでちょっと続編を匂わせる終わり方になっているので、
ぜひぜひ続きも発売されることを切望!
刑事部屋の面々もそれぞれ個性的で面白いし、
ハクのその後も気になります!
最後がちょっとバタバタ感がありすが、
眼白の囀りの開放感と歓びを一緒に味わいつつ、
評価は「神」で!
眼白という鳥のような特徴を持つ獣人を、人身売買組織から保護する捜査官のお話しでした。
新米捜査官の白井は「伝説の鳴かせ屋」の鵙矢と、弟子として一緒に潜入捜査をする事になるのです。
もう眼白という人とは違う存在も面白いし、鵙矢が眼白を丁寧に世話をする事で綺麗に囀らせていた事も面白かったです。
白井の秘密が段々と隠せなくなって行く辺りが最高に緊張しました。
そして白井が幼い頃に出会ってた眼白の正体にびっくりです。
眼白が妖鳥と化すと共喰いをする設定も光っていました。人身売買組織の黒幕の島へ潜入し、白井が妖鳥に攫われて巣に連れて行かれたのがまた恐ろしいです。
甘さはあまりないですが鵙矢に世話をされて、最後に眼白の白井が体調が良くなってるのが微笑ましかったです。
鵙矢が引退した原因の妖鳥の話も番外編で読みたいと思いました。
「眼白」ー闇取引されるほど美しい声で鳴き、眼の回りに白いタトゥーのようなアイラインを持つ鳥人。
この設定だけで胸が高鳴ります。
眼白であることを隠した刑事、白井と、伝説の鳴かせ屋、鵙矢が闇取引の黒幕を暴くべく、身分を隠して潜入捜査を行う。
幼い白井に恋にも似た憧れを植え付け、マーキングした眼白の謎、鵙矢の過去、闇取引の黒幕。
ぐんぐん引き込まれるストーリーと、時折挟まれる妖鳥化した眼白の美しくおぞましい描写。
不安に苛まれながらも気骨のある白井と冗談や皮肉ばかり口にしながら、頼れる鵙矢の軽妙な会話がさすが中原先生の主人公!
笠井あゆみ先生の挿絵も素晴らしく、本当に面白かった!
続編読みたい!!
目白、鳥のメジロではなく、鳥人の「眼白」のお話。
繊細で丁寧なタッチの笠井あゆみさんの表紙がとても綺麗で、目を引く本です。笠井あゆみさんの表紙が付くだけで、ひょっとしたら売り上げが上がるんじゃないのかな?本の内容が一目でわかる構成の絵は何時もスゴイと思う。
「眼白」という鳥人は、遺伝子組み換えで生まれたデザインベビーと考えたらいいのかな。他に無いオモシロイ設定のSFサスペンスで、惹きこまれて、あっという間に読了しました。
続篇がもし出るなら、こんな哀しい生物がこの世に生まれた経緯について触れたものを出して欲しい。人が人の価値を決める行為は、競いあいがある限り消せない行為だけど、商材にしてはならないと思う。本気で遺伝子を改造している人達が居るので、怖い。
眼白の人身売買を取り締まる捜査官になった白井が、
眼白飼育の名人、伝説の鳴かせ師・鵙矢と組んで潜入捜査を開始する。
養子だった白井。
幼い頃出会った美貌の眼白と、違法の眼白の「鳴き合わせ」会で再会する。そして、マーキングに反応してしまい、自分も眼白であることを隠せなくなる。
再会した美しい眼白は、妖鳥化して共食いをする生物になっていた。
白井の推測通り、美しい眼白は、白井の出生の秘密を知って居る。
妖鳥化して自制が効かない美しい眼白、狂ったなりの精一杯の好意と狂気の自制を示す妖鳥眼白が気の毒で憎み切れない。
結末は、不幸とも幸せとも言えない、死に別れを伴う結末は物悲しい。
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目白=蜜吸い鳥
メジロ(目白・繍眼児、Zosterops japonicus)は、鳥綱スズメ目メジロ科メジロ属 目のまわりの白いフチドリ(これも短い羽毛です)。からだのあざやかな黄緑色から、ウグイスとまちがえやすい、囀りが違う。
桜の樹の下に桜の花が沢山落ちていますが、アレは花の蜜を吸うのがヘタクソなスズメの仕業。蜜がある花茎をちぎっています(多分蜜を吸えていないと思う)
目白は「蜜吸い鳥」と言われるように、蜜を吸うのが上手で、花を落下させずに蜜を吸い取っています。
メジロは花の蜜を吸う。中原先生の今回の鳥ちゃんは、メジロ限定でした。凄すぎて怖かった。先生の書きっぷりも鳥の精に乗っ取られたんじゃね?というぐらい、壮絶。それに拍車をかけたのが笠井先生の神×100な絵。この作品の絵は笠井先生しか描けないのでは というほどの凄いとしかいいようのない絵。妖しくて美しすぎて恐怖を感じるほどでした。私としては甘さは1ミリも感じられず、先生の発想、書きっぷり、笠井先生の挿絵は神なんですが、苦手な記載が2パターンあり(直接的ではないけどスプラッタよりなのと羽根が生えるところ)、申し訳ないです、萌がやっとこさでした。ちょっと飽和状態であぷあぷのままなんとか読み終え。ああ怖かった。冗談抜きで鳥肌。怖がりな方にはちょっとオススメしにくいです。そして笠井先生ファンの方には一見の価値ありと言いたいです。カラー口絵が人間バージョンなのがちょっと惜しまれるーー、眼白たちの絵をカラーでみたかったーーーーーーーーーっ
お話は、白井が東京郊外の倉庫で行われる「鳴き合わせ」をしている賭博場に潜入するところから始まります。「鳴き合わせ」は、眼白と言われる鳥人たちを鳴かせて、その囀りの優劣で賭博行為をするというもの。劣勢遺伝の眼白は数が少なく違法に攫われた幼い子もいて、今回白井はそんな子供の眼白も保護できたのですが、肝心要の悪党は捕まえそこない・・・と続きます。
登場人物は
悪党の親玉、ハク(眼白、この子の挿絵がまた凄い!)、白井の先輩たちかな。
***以下は苦手だったところ
羽根が生えるんです、その記載がコワいーーーー首に生えるのですが、思わず自分の首を抑えたくなるようなーーーーーキャー書いてる途中にも思い出して、ぞぞっとするーーーーーー(多分私限定だろうなーこんな事怖がるのは)羽根は好きだが、生える記載は要らないー(涙)
もう一つ、幼い頃の白井が惹かれた眼白がいるのですが、その方が妖しく美しくそしてコワいーー食べちゃうんですよね、執着する方を。それがダメでしたーーーーーーーキレイな方がそんな事しちゃイケないよう(泣)ううー
お話はとにかく凄いです!スプラッタより(記載量は少ないです)でもへっちゃらさっ という方でシリアスものが大好物な方は是非是非!しかし凄いもの読んだ&怖かったー