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kre no niwa ni saku hana
いわゆる「桜花寮シリーズ」2冊目。
とはいえ、物語は独立している短編集です。
「彼の庭に咲く花」
前作で大きな存在感のあった諏訪。の同級生のエピソード。
諏訪の同級生・久保は、ひょんな事から弓道部の南条と知り合う。
クールで翳のある南条にときめきを感じる久保だが、とりあえず自分はホモじゃない。(でも諏訪はオマエにはホモのニオイがするぞ、とちょいちょいちょっかい出してくる。)
そんなこんなで友人になっていく久保と南条だが、ある日久保は南条から重大な真実を聞かされる…
非常に切ないストーリーで、ラストは真実を決めつけない終わり方。そこが余韻でもあり優しさでもあるのかも。
久保にとっては水辺に咲く花が南条なのでしょうか。
「FROST」
こちらは諏訪が中心。
そして、宮本先生の作品で時々ある怖い系のストーリーです。
この物語の中では諏訪は大学2年。既婚者の助教授・昭島と肉体関係を結んでいる。
昭島と諏訪は割り切った関係だが、次第に昭島の様子がおかしくなってくる…
離婚協議をしている妻、家の周りで泣き叫ぶカラス、甘ったるい香水の香り、昭島の首についている何かの粉…
ジワジワとやってくる不穏な感覚。そして最後に明かされた真相は…!
エドガー・アラン・ポーの不吉な「大鴉」と病みと死のイメージが作品を覆っている。
「見つめていたい」
ここからはもう桜花寮シリーズではない古い作品のようです。あとがきによると宮本先生のBLデビュー作!貴重だ!
アパートの真面目メガネのお隣さんに、ゲイ雑誌を見せたりキスしようとしたり壁越しに男との行為を大げさにして聞かせたり、とからかい半分のリョーイチだったが⁉︎
思いがけない結末は意外と明るい。
「ふたりがここにいる理由」
宮本先生作品によくある不幸系な子が出てくる。
いつもクスリでぼんやりしてるヨウちゃんは中学の時から育ての親の実の叔父から性的虐待を受けていて、今はお金のためにウリもして…
でも恋の力で生き直していきます。
「12階の鳥」
これがまた暗い系列。
『オレは少年を監禁している』
ビルの屋上で助けた自殺志願の少年・ユウキは、精神疾患の治療なのか向精神薬を多量に服用していて、動きも鈍くいつもぼんやりしている。が、目は離せないので鉄格子のある部屋に閉じ込めている。
シュンはゲイで、ユウキを抱いた。そしてユウキを手放し難く感じるようになる。
ユウキをきちんと病院に連れて行き2人でやっていこうというお話。
特に最後の2編は暗い系のストーリーだけど、淡々と綴られて宮本先生らしさが感じられました。やっぱり宮本先生好きだ〜!
桜花寮トリロジーの続編と、作者さんのデビュー作など初期の短編が入った一冊。
「桜花寮トリロジー」ではけっこう曖昧に終わったカップリングが多かったのでその続きが読めるのかとおもったら・・・完全に前とは別のお話でした。なのでこれ一冊でも読めると思います。
しかし、これに入っていた二作もちょっとふわっとしたラストになっていて、カップリングとしてはスッキリしない終わりかたでした。
ダークファンタジーというかミステリーホラーというか、どっちもちょっと怖く不思議なお話です。
「彼の庭に咲く花」
南條と久保は大学の同学年ですが、南條は白血病というせつない設定でした。終わりかたはかなり不思議で曖昧で、読者の想像力に委ねられてます。
男同士だから、でなく自分は死ぬからという理由での告白を断るがせつなかった。
「FROST」
ふたつめの話は前回出ずっぱりだった諏訪の話。特定の相手と結ばれていない彼が気になっていたのですが、今回の人とも遊びという感じでした。
一体どれだけ相手がいるのか・・・。
諏訪には特定の相手はできないのかな?
身体の関係のある教授とその奥さんの愛憎劇に巻き込まれていく、ミステリーというよりはホラーじみたお話でした。
こういうのは好きですが、もうちょっと甘い話がひとつでも入っていたらよかったなあとも思います。
後半は独立した短編集です。ちょっとほの暗く病んだ話が多いので、そういうのが苦手な方はさけたほうがいいかもしれません。
『MOONY ムーニー』に続き桜花寮シリーズです。
諏訪と教授の恋愛ストーリーなど、見知ったキャラががんばってます。
前作のときから、諏訪は大好きだったので、幸せになってほしいな~と思うのですが…
不倫相手の教授が奥さん殺しちゃったりと、思わぬ展開になってビックリしました!
全体的にも暗いというか…シリアスな印象が強い作品集になってます。
表題作は、大学生どうしのセツナイ悲恋ものです。
白血病で余命わずかな南条と彼を好きになってしまった久保の話。
ここにもちょっと諏訪が出てきます。
結局、南条は病院を抜け出して行方不明なってしまう…というバッドエンドで、せつなさだけが残るお話でした。
このレーベルとは思えないほどエロの少ない、文学的な作品です。
《個人的 好感度》
★★★・・ :ストーリー
★・・・・ :エロス
★★★・・ :キャラ
★★★・・ :設定/シチュ
★★★・・ :構成