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彼に抱かれてきなさい
kimi ni sasageru watashi no inori
泣きながら読み終わり感動しっぱなしの気持ちのままコチラのレビューを覗きに来たら、まだレビューがない!!!!!この感動を分かち合いたかったのに!!!
というわけで、勢いそのままにレビューをさせて頂きます。
冒頭、口喧嘩?してる村のおじさんたちの前を未亡人風な色気のある喪服姿の男性が登場。この時点では全くファンタジーだと気づけませんでした。お色気な受けにみんなが惑わされていくのかな~なんて思っていた自分が浅はかでした。
旦那さん、と呼ぶパートナーの死後、受けの妻さんは黒い喪服に身を包み旦那さんの遺品である日傘を常にさしています。その日傘の内側には妻さんと会話するように文字が浮かびあがる。日傘を通して妻さんと旦那さんは繋がっています。
そのことを知っているのは若大将と呼ばれる酒屋さんの息子さんだけ。息子さんは、妻さんに会った初めから惹かれていて旦那さんが生きている時から陰ながら想っていました。
それを旦那さんも気づいていて、あえて妻さんに「若大将に抱かれなさい」と日傘にメッセージを。
生きている時は若大将を牽制していたのに死後は二人が幸せになれるよう後押しをしながらもヤキモチを滲ませたり、若大将に抱かれる妻さんを「綺麗だった。あなたを抱きしめる腕がないのが寂しい」と呟いたりして、読者であるわたしは心を打たれっぱなし。
妻さんは四十路で高校生の時から旦那さんと寄り添っていて、旦那さんは自分の一部であり、それを裏切ることは出来ない、と若大将に惹かれているのに近づけません。それがまた切ない!!!
分かるんですよね、過ごした時の長さが思い出の多さでもあるし。死んだからといって気持ちがなくなるわけでもない。だからこそ、どう整理をつけたらいいかわからない。
そういった葛藤がうまく描かれていて滂沱です。笑
若大将も四十路カップルの話の中で瑞々しく輝いた存在ですし、旦那さんも優しく深い愛で妻さんを包んでいるし、妻さんもそんな旦那さんのことを心から想っているのに若大将にも惹かれている、それがまー、色気が凄い!!
未亡人いいですね!!!!
日傘の旦那さんとの出会いの話が最後にありますが、こちらも素敵です!!
もー運命としかいいようのない引力で惹かれてく二人がエモすぎる!!!
そんな話を聞いちゃう若大将は、心が広い~~
旦那さんを含めた妻さんを愛してる感が詰まっていて最高です!!
レビューがなかったので、拙い文しか残せない私が一番乗りですが、この感動をぜひ素晴らしい文でまとめてくれる方が現れますように……
日傘に現れる死んだ旦那さんの文字
・・これって、先生の幻覚なんだろうなーと思うのだけど。
不思議な設定です。
旦那を失った後、小説家の先生は、日傘に現れる文字(死んだ旦那のメッセージ)と会話して、淋しさを凌いでいた。
日傘は多分、女性用?
不思議な珍しい設定の作品でした。
ハッピーエンド。
綺麗な絵で、和服の描写も丁寧、和みます。
表題作と短編が1つ収録されています。
ある田舎町を舞台に、長年連れ添った「旦那さん」を見送って、ひとりで生きる先生(小説家・妻さん)と、酒屋の若大将(24才)の姿を通して、思い出に縋って生きることで変わらぬ愛を証明したい大人と、強い気持ちひとつで思い出や時間を超えようとする若者の姿をファンタジーの要素を交えて描いた、切ない話です。
本当に切ない。
旦那さんとの時間が先生にとってどれだけ大切だったかも丁寧に描かれているし、若大将がそこにどう絡んでくるかも説得力のあるエピソードが盛り込まれているので、ぐいぐい引き込まれました。
結構な年の差CP、さらにおじさん受けは苦手なのですが、全く気になりませんでしたよ。
旦那さんとの思い出と旦那さんへの想いに頑ななまでにしがみつく先生の気持ちも分かるし、惹きつけられた瞬間に「他人のもの」だと分かって遠慮した若大将の、「いつまで遠慮すればいいんだろう?」というもどかしさも分かる。
肌の弱い先生のために旦那さんがプレゼントした日傘に現れる文字は、旦那さんの願いであり、深い愛でもある。
すごく優しいひとだったんだろうなあ。
若大将が先生と初めて会ったときの回想シーンで、生前の旦那さんと成人式帰りの若大将が綴じを挟んで左右で対になるようなページがあるのですが、ここ!ご注目を!
旦那さんは金髪なのですが、似てるんですよ。
式用に髪を上げた若大将が、旦那さんの若い頃って感じで。
このページを見たときにちょっとゾワっと来るくらい「運命じゃん!」って思いました。
他の人と深く愛し合って、残されても、その想いを抱き続ける相手を、それなら旦那さんごとまるまる引き受ける!と包み込む大きな愛。
堪能させていただきました。
同時収録は旦那さんと先生が出会ったときからの回想話です。
外国人の両親を持った旦那さん(ケイ)はコミュニケーションにおける文化の違いに戸惑っていたものの、あるとき女子に追われて逃げ込んだ図書室で先生(いのる)に出会って、日本文化について習ったりするうちに、惹かれていきます。
先生の家の複雑な事情や過保護な義兄の存在があるものの、2人が相手の人柄に惹かれて、お互いだけを見て、愛をじっくり育んできたのがバシバシ伝わってくるんですよ。
こっちが表題作だったら、ちょっと若大将を受け入れられないくらい。
なので収録順がこれで良かった。
描き下ろしは若大将の初恋話でした。
素晴らしい作品なのですが、えろすが結構がっつりめなので、そこが「神」と「萌2」の分岐点かなと思います。
わたしはちょっと後半進むにつれて「きついなあ」と思ってしまいました。
運命的な大恋愛をしたあとに、その想いを乗り越えて、また誰かを好きになる。
それは悪いことじゃないんですよね。
どんなときでも愛した相手の幸せを願う。
そんなあたたかい気持ちを教えてもらった気がします。
年下ワンコ×未亡人。
パートナーが亡くなって一人になってしまった受け。
色気のあるお淑やかな黒髪着物美人さんです。
ですが、不思議なことに亡くなった旦那とは日傘を通じて会話ができます。
そんな、どこか放っておけない受けを攻めワンコの将大は好きなり、アプローチしますが受けは惹かれつつも旦那を裏切れないと拒み続けます。
このメインの将大×いのるCPも好きなのですが、私は旦那×いのるCPもめちゃくちゃ好き!
一冊の本に推しCPが二つ(どちらも受けは同じ))という、私にとっては珍しいパターンでした。
攻めが将大だと若い勢いに翻弄される感じがたまらん好きですし、旦那さんだと「妻さん」「旦那さん」と呼び合う敬語同士で好き…!!
どちらのCPも年齢差が上手く引き合いに出されていて本当にすごい。
また、落ち着いた紳士のうな旦那が将大との間を取り持つのですが「僕に腕があれば…」と悔しそうな一面を見せたのには、胸がギュッと締め付けれました。
けれど最後は受けの幸せを祈って背中を押してあげられる優しい旦那さんなんです…。
こういう設定は、普段なら少し嫌悪してしまうのですが、画力とストーリーとキャラが本当に素敵で思わぬ収穫でした!!
こんないい本に出会えてしまうから、食わず嫌いは良くないなと考えを改めました。