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異性愛ラノベも手掛ける火崎先生の作品は、初読みでした。
BLらしくないというか、言葉遊びが上手な小説家らしい作家だと思いました。
読み物として、とても面白かった。
無理な展開がない、後半にどんでん返しがあって、構成上手。
近くに同じ年ごろの子供がいない六歳年下の弟・貢
ずっと兄と兄・至と友人の木辺に可愛がられて、二人に憧れて育つ。
兄は優等生タイプ。木辺は野生児タイプ。
兄たちは、ジャンルは違うけれど、物書きの仕事に就く。
何故か兄の友人・木辺は近くに家を買い、転居してきた。
・・・弟は、編集者になる。
「木辺の新作を取ってこい」と指示を受けた貢頼は木辺を訪問する前に、兄に断りを入れて会いに行く。
木辺は、書いているのに「おまえには読ませられない」と、貢を避ける。
編集者として諦めない貢と、書けない作家の微妙なすれ違いが始まる。
貢は、兄の言葉に引っ掛かりを感じて、兄と木辺は恋人同士ではないかと遠慮する。
野生児に見えても傷つきやすい繊細な木辺。関係はなかなか進展変化しない。
後半、兄の友人の作家、北岡が登場、伏線が回収されだして展開が変わります。
兄たち三人の作家。木辺の小説のモデルは誰?
軸は、兄。視線は、弟。鍵は、兄の言葉。
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BBS。https://6819.teacup.com/hizaki/bbs
火崎さんって自分的には神作品も無いけど平均以下と感じる作品も滅多にないといういわば安全パイな作家さんの一人。
貴〔受〕の一人称で書かれているんですが、この貴が適度に素直で真っ直ぐな性格なので、それもあって凄く文章が読みやすいものとなってます。
貴はまだ新人の編集者ですが、何故彼がこの仕事を選んだかというと、6歳年上の兄の親友であり小説家の木辺〔攻〕にもう一度、小説を書いて欲しいという気持ちがあったからなんですね。
木辺は学生デビューして一躍人気作家となったのですが、最後の方の作品が酷評されてからずっと小説を書いていません。
けれど木辺をずっと恋愛対象として想っている貴は、もう一度彼に小説を書いて欲しくて、何度も彼の元へと通います。
そして木辺が実は小説を書いている事を知るのですが、頑なに木辺はそれを読ませられないし発表出来ないと言う。
何故なら木辺は「私小説」しか書けない、から。
お互い想い合っていた2人ですがちょっとした誤解が重なってそれを分からずにいた彼ら。
互いの想いが通じた後に、木辺が発表した新作は貴と木辺の恋愛を書いたものでした。
兄がアメリカに行ってしまってから木辺と会えなくなり、そうか彼は兄の親友で、自分のものじゃない、と貴が始めて気付くシーンとか、木辺に何とかして小説を書いて欲しいとひたむきに頑張る貴の姿とか、全体的に丁寧な描写がなかなかでした。
あと余談ですが、木辺は小説家にしては性格的にはかなりまともです、いやBL作品に出てくる小説家って凄く変人が多いのでむしろちょっと新鮮かも。