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エロもエチもない、ましてや恋愛と呼ぶものは少なく、それは少年の時代の甘い記憶だったり、思い出だったり、後悔だったり、進化の過程であったり、
様々な少年達の姿、男性の姿に、自分は男性でないのに「あ、そうそう!」ってノスタルジックな共感を呼び、胸をキュンキュン締め付ける。
今よくある作品のキュンとは違うキュン(わかるかな?)
JUNEの世界に近いかもしれない。
どの作品も短編小説風で、一つ一つの作品がマンガなのに文字になって、映像になって頭に入り込んでくる作風は見事だと。。
表題、彼のボーイソプラノに魅せられたのに再会した時それを裏切る変声した声に、彼を美化していたイメージは少年の落胆を呼び、それは苛めと言う行為に走らせる。
しかし再び再会し、社会人になっても再会し、そのくされ縁に、過去を想う時・・・
ああー、この寂寥、初めて気がつく恋心。
何だか、わかる、わかる、この気持ち!
そして、転校してきた少年を打ち解けさせようと同級生達が仕掛けたトリックのお話。
まんまと騙される少年はいつの間にか彼等と仲間に。
その後の伝説の美少年の虫よけ計画が爆笑で、これは番外的なものなのではあるが、この少年達の群れたガヤガヤが、そこはかとない萌え心を刺激するのです。
もう一編、多分今で言うところの女装っ娘のお話になるのですね。
彼は女の子になりたい男の子ではないのです。
女の子が好きな男の子で、女の子の好きな物も好きな男の子なんです。
まさに女装っ娘の原点ですね♪
彼を否定もせずに見守り受け入れる、父親とその恋人の関係もほんわかとしていますが、あくまでも主人公はこの女装っ娘。
次のお話で、彼が気になる男子が自分は男子が好きな男子だという目覚めを女装っ娘によって覚醒させられるという展開が、その嗜好の違いを明確にしていて、また愉快なのです。
明るくてあっけらかんとしていて、いいなーこの世界ww
『天使も踏むを恐れるところ』
イギリスの作家・フォスターの作品の題名を下敷きにしたようですが、その世界は彼の作品『モーリス』に非常によく似ている、もしくは『アナザーカントリー』の世界ですww
互いに好意を持っていた同士が再会した時、相手には妻がいて。
しかし、彼女は病というハンデがあり、とういう、苦手な人には地雷な設定ではあるだろう。
妻公認のゲイ関係なんて!
しかし、その体のせいで多分に夫婦の関係はもてていないのだと思う(予測)
悲しみは触れられておらず、物解りの良い妻という面が前面に出ているが、こんな三角関係も、この時代設定では充分ありうると自分的には肯定できるので、実に映画的で好きな展開ではあるのだ。
やっぱり、紺野キタ作品は大好きだーー!
淡く、切なく、なつかしい。少年の日の帰ってこない夏休み。
先生の感性がたまらなく好きです。
指先でちょこっと触れてしまったら、はじけてしまうシャボン玉のような関係を描くのがうまいですよね。
区分的にいうとBLなんだけど、先生は百合もの?もお得意だから、もうそんな区分わけは超越しているのではと思えてきます。
この種の感情に反応する人たちをうまくピンポイントで突いてきます。
いっしょに収められた「天使も踏むを恐れるところ」のほうが表題作より評判がよかったりしますが、私もそう思います。
表題作「SALVA・ME」を筆頭に計・6作品が収録された短編集。
サルヴァ・メとはラテン語で「我を救いたまえ」と言う祈りの言葉らしいです。
作品も似たような意味を描かれていて、子供の頃に出会った美しい少年が忘れられずにいる男の人の話。 言い表しにくいのですが…、裏表紙の台詞で解るかと。
ずっと求めていた 彼であって
彼でないもの
あれも あれも あれも
すべて彼というひとりであるのに
続きがあるのですけどオチが解っちゃうので。
「告白」「小泉くんと愉快な仲間たち」はホノボノとした友情のお話。
昔の小泉くんが可愛すぎます(笑)
デフォルメの絵で先生が小泉君襲った姿がカワエエ(え?)
「とてもじゃないけどみつからない」はゲイになっちゃった父親と女の子の格好をして現れた息子のお話。
お父さんは少女向けの小説家で、メルヘンなお家に男性の恋人と住んでいます。
とても息子想いの良いお父さん。
子供を生んだことないオイラは解らない部分があるんだけど、いつかは、このお父さんのような感情を抱けるように子供を愛せたらいいなぁと思う作品。
「めばえ」は息子と、その息子のクラスメートのお話。
女の子の格好をする息子をからかってたんだけど…?みたいな。
このクラスメートの顛末が知りたい(笑)
「天使も踏むを恐れるところ」は前後編。 これが一番良い作品。表題作でないのが不思議なくらいです。結婚した学生時代の友人の家へ訪ねる話。
舞台が英国なので優雅で美しいです。
主人公のセリフで好きな部分があります。
「この荷物だけはおろすことができないんだ。何かを忘れるのに時間と距離が必要だなんて、あれは大嘘だな」
自分の中で時間が止まる。
恋しい想いのまま 寝ても覚めても
想いの向かうところはいつも同じ――――――
静かに泣いたのは久しぶりです。
どんなに好きでも離れたり忘れたくても、結局ふと想ってしまうのは彼のこと。
そんな劇的な展開もなく、修羅場もないのだけれど。
静かに心が揺れる感覚。
キタ先生の作品はどれも絶品です。おススメです。
紺野さんの描く想いの在り方は時を経ても澱むことなく、
やがて限りなく純化された瞬間に立ち会う度、
その美しさと儚さに心震える思いがします。
友情の延長線上にある揺らめきや同性同士の恋愛のどれにも、
根底に流れるのは普遍的な愛情や慈しみだと感じるのです。
少年の頃に感じた想いの昇華を描く表題作から、
サスペンス風に始まる少年同士の賑やかな日常、
普通でないことへの悩みを抱えた息子を
そっと包み込むお話などが並ぶ中、
数年振りに再会した親友同士と妻の3人が織りなす
詩のような1篇に感嘆しました。
広大な領地に暮らすジェームズと彼の妻クラリッサ。
成長が止まったかのような可憐な少女姿のクラリッサは、
ここをおとぎの国と例え王子様にも解けない魔法があると
呟きます。
3人が交わす言葉の底では語られない想いが交差し、
おそらく誰もが孤独と罪悪感を抱えているのですが、
それを牧歌的で穏やかに過ぎる日々が薄い膜のように包みます。
旅立ちの挨拶に交わされた
アイルランドの詩人の詩「盗まれた子供」とは、
妖精が人間の子供を盗み自分の子を替わりにおいていくという
言い伝えを指しています。
旅の途中で放り投げるはずだったものを、
アーネストは寄る辺の灯りとして
ここに置いていく事にしたのでしょう。
そして、クラリッサは彼がジェームズを愛し、
このおとぎの国を訪れることを受け入れるのです。
彼女の病ゆえそう遠くない先、この理想的な関係にも
終わりがくることが暗示されるのですが、
刹那とも永遠ともつかない物語の美しさは
変わらずに在り続けると思うのです。
気に入った作品が以下。
【SALVA ME】
ふと聴こえてきた美しいボーイソプラノの歌声に魅せられた主人公が目にしたのはピアノの伴奏で歌う可愛らしい少年の姿だった。
しかし次に再会した時は変声期を迎え、その声は失われており失望感から虐めに走るのです。
その後も高校生、社会人と会うたびに立場や印象が変わり続けていく二人。
おしっこを飲ますような酷い虐めをしていた中学時代。高校生になり立場が逆転し、社会人となり再会し酒を酌み交わすような仲となる。
あの虐めは許す事が出来るのか?と思ったけど、恐らくあれは執着の裏返しだった事に気づいたんでしょう、虐められた側も。だから社会人になった彼も主人公を誘惑する。
娘の弾くピアノを聴いてあの日の旋律が心捉えてやまないのは何故か、あれはいったい何だったのかと気づくところが切ないです。
ボーイソプラノという永遠には続かない束の間の美しさに心奪われてしまったために変わりゆくものを、そして変わってしまったものを受け入れることが出来なかった男。しかし本当に心惹かれたのは声ではなく声の持ち主だったのだ、という事に気づいた今、全てが手遅れなのに、その旋律は未だ心をかきならし、胸をかきむしる…。
短いながらも胸に迫ります。琴線に触れる作品です。
【天使も踏むを恐れるところ】
イギリス貴族のお屋敷が舞台。ジェイムスと妻クラリッサが暮らす屋敷へ、ジェイムスの学友アーネストがやってくる。
彼はジェイムスへの思いを捨て去るべく6年間もの異国を放浪していたのですが、どうやっても捨てる事ができないでいます。この思いを荷物に例えて語るアーネストのセリフが胸に染みます。
妻公認の男二人の関係でアーネストは男の愛人という立場で暮らすことになるのですが、一切の俗っぽさがなく、浮世離れしており世間からの批判などからも隔絶されたまさにおとぎの国のような世界。
クラリッサは病持ちで発育不良のため幼い容貌で恐らくジェイムスとは夫婦生活もないのでしょう。だからこそ一番の親友というポジションにこだわった上で、アーネストとジェイムスが愛し合うのを許しているのだと思います。
そして先行きが恐らく長くない、いわば期間限定の生活。過ぎ去ってしまえばそんな日々があったのかと幻に思うかのような儚さが感じられました。
答姐の「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」で教えていただいたのが、こちらの作品です。
ボーイソプラノ、少年時代、ジェイムスたちの三人での生活というような期間限定の美しさを描いていた一冊でした。
教えてくださり本当にありがとうございました。
過ぎ去った幼い日に、偶然出会った光に満ちた光景。
それは少年の頃にしか与えられない才能で。
表題作は、ボーイソプラノという、人生の中でほんの数年の時間しか与えられていない時期と、その独特の透明度と輝きへの憧憬がとても切ない作品です。
この表題作と「天使も踏むを恐れるところ」は文学色が強いと思いました。
台詞の切り方とか、私はとても好みです。
「天使~」の方はおそらく20世紀初頭頃のイギリスが舞台になっていて、E.M.フォスターやイェイツがお好きな人にはお薦め。
他は明るめの雰囲気の少年たちのお話。
少しコミカルで、でも透明でキラキラしているお話でした。
イラストで見知った漫画家さん探訪中です。
紺野さんの絵はほんわかしていてとにかく少年が美しい。
ストーリーも繊細で、微妙な関係性を描いたものが多かった気がします。
個人的には表題作が一番好きでした。
幼い頃教会で見かけた聖歌隊の少年の声は、再会したときには変声期でつぶれてしまっていた。それがなんだか悔しくていじめてしまった中学時代。
成長して立場が逆転した高校時代。そして会社員になって再会。
だけど、恋は始まらなくて、全ては終わってしまった物語。
この切なさがもう!!
中にはBLと呼ぶにはちょっと悩む作品もありましたが、この優しい空気感が大好きでした。
BL未満、恋未満。
絵もあっさり。むしろ少女漫画系かもしれない。
BL初心者にもいいかも?
表題作「SALVA ME」
音楽と記憶って密接に繋がってるよね。
ノスタルジックですごく切ないEDでしたが、好きですね。
中盤の4編は、非BL。
少年期の悩めるお年頃。
ショタでも中ニ病でもない、健全な少年もいいじゃないかと(笑)
無邪気さがまぶしいよ(≧ε≦)
私が一番好きだった 「天使も踏むをおそれるところ」
この本の中では一番BL的。
時間と共に静かに降り積もってゆく恋。
そして、第三者のクラリッサがいいね~。素敵だ。
それから、裏表紙を見てすぐに思い浮かんだのが、
「残酷な神が支配する」これもイエィツがらみだったよね?
不思議な符合を感じました。
ほんわかした絵とストーリー、独特な雰囲気のある作家さんで
ぜひまた読んでみたいです。
短編集です。
いい意味でBLっぽくないです。どう表現していいのか分からないんですが、とにかく独特の世界があります。この世界は、文字で説明しづらいな。
美しい詩とか絵画を見たときのような読後感でした。ホワーン、みたいな。
表題作が好きでしたねー。
めっちゃ短いし、込み入ったこともない簡単なストーリーなんだけど、一生心に残ってそうな気がする。
小学生、中学生、高校生、社会人、出会いなおすたびに変化している二人。かけ違えたボタンみたいな関係が、切なくて胸に染みました。