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wakaba no koi
初読時の記憶がなく、数年ぶりの再読。
全寮制の旧制高校を舞台に繰り広げられる学生達の恋。
バンカラで、なにかと会話にドイツ語を織り込んで(例:キュッセンしたい=キスしたい)いるところがそれっぽい気分を味わえて楽しい。
それはともかくも攻めの領家が、超〜問題児でしたね。
『若葉の戀』は受けの捷視点なんだけど、領家の印象は最悪。
だって領家ときたら基本無視を決め込んでいて、時折口を開くと皮肉しか言わない。
「なんなんだ??こいつは?!」ですよ。
デレがなくて、完全ツンツン。
後半の『燃ゆる頬』は攻め視点なんですね。
私はこの後半部分が好き。
あの時の感じの悪いセリフや心情は実はこーだった!!という種明かしが次々とされるんだけど、ほんと領家ときたら難儀な子。
あんなにツンと孤高の男みたいなポーズを決め込んでたのに、脳内はぐらんぐらんのジェットコースター状態で目まぐるしく妄想したり、落ち込んだり、焦ったりと煩悩大忙しだったのかと。
ロマンティックなBGMとともにシェイクスピア的な愛の告白を考えていたはずなのに、「好きでもないやつと素股なんかできるか!」とか、「お前に捨てられたら発狂する」みたいな脅迫めいた告白(?)しかできず‥‥
笑えます。
全寮制が舞台。時代は、昭和初期の設定。一番日本が元気だった時で、長い大戦がはじまる前。
大正ロマン風に拘った物語なので、例えば恋を旧漢字の「戀」=糸し糸しという心という字を選んでます。そして当時の流行りにこだわっていて、ドイツ語でリルケの詩とか引用が多いです。
モデルはで日本最初の七年制高校だと思う。(ここは今も男子校、難関で有名。80年以上にわたって太陽黒点の観測を続けている珍しい学校。OBに衛星ハヤブサのスタッフが居る事でも話題になっていた。)
凄く面白かった。
バンカラが善く表現されていて、オトコらしさの勘違いというか、汚い臭いが漢の勲章と言う、男子校の寮は若いオスを集めた動物園と似ていて面白い。
この著者さんは、真面目な表現なのになんとなく面白くて笑わせるのが上手です。
登場人物の内言表現の際に、心情に合う曲や詩の一節が書き添えられていて、ラフマニノフや、トッカータとフーガや、啄木の詩の一節の引用など、それを想像しながら読むと場面のBGM効果が脳内で響いて、笑っちゃって面白くてたまらなくなる場面が何度も有りました。おもしろいわー。
大真面目な場面なのに、想像しながら読むと、フフフと笑い声まで出してしまった。つい笑っちゃうから、コッソリ読めない。
眠れないときや、痛みがある時の気分転換にBLを読んで居ます。何故かハーレクインなどの恋愛ものだと集中できない。
BLだと、痛みがある時でも笑ったり夢中になれる作品が多いのですが、特に小林典雅さんには可笑しい作品が多いようなので、気に入ってしまいました。あとがきによると「ビタミンBL」と言うのだそうです。面白い。
他にも面白そうな作品があるので、読んでみます。
一つ不思議に感じたのは、主人公の父親が「古代朝鮮語」の研究者という設定。
古代朝鮮語とは、「吏語」の事だと思う。
使用していた一族が絶滅して、謎とされている言語で、官吏が用いたり、万葉集に一部残って居たり、日本の神道の祭文に使われていいのが古代朝鮮語=高句麗語だと習いましたが、面白いものを持ってくるんだな、と思いました。
雰囲気ある表紙に惹かれて手に取ったが、まず一文の長さに驚いた。一段落を読点でつなげた一文で仕上げている。数ページ読んだだけで、息継ぎができず酸欠になる気分を味わった。(音読していたわけではない)
会話文の長さも半端なく、説明調で長々しゃべるので読むのが辛い。しかも序盤で六歳の妹に向かって一ページ近くも説明セリフをしゃべっている。圧倒しているようで怖すぎて、ちょっと引いてしまった。
他のレビューを見ると典雅節?といういつもの書き方みたいだが、初読みだと六歳女児にいきなりこのセリフ量を浴びせるのは狂気じみているとしか思えない。内容も読者への説明であって、六歳に言う話じゃない。言われた妹が怖がる様子はなく、この作品世界の中では問題ない行動だと分かったが、それでもこのシーンで私と作品とで心の距離が開いてしまった。
舞台は旧制高校なせいか、設定を説明する文章がとにかく多い。文体が合わないと、もはやただの苦行。それでも一応これでどんなラブを書くのか?てとこだけは気になったので読み進めた。
文章的にも内容的にも切なさはない、たぶん。
攻めの素直じゃないキャラはなかなか好き。受けは心理描写とセリフで説明役を担わされているせいか、ところどころ言い訳がましく感じたり自画自賛になっているところが気になったり、微妙に粘着質に見えるところもあったりして、あまり好きになれなかった。たまに出る相手を押さえ付けるような言い回しも苦手。この口調は時代設定のせいかもしれないが、現代だと性格悪い人のしゃべり方になっているところがある。
全体的に受けのセリフと行動と性格設定に一貫性がないように感じた。
軸になるストーリーはどこかで見たことがある感じ。前半は受け視点で終始圧倒してくるため、攻めの内面がさっぱり分からない。やたらとキツイ言動から察するところはあっても、種明かしされた内容には肩透かしを食わされる。後半の攻め視点での補足がないと恋愛部分が成立していると言い難い内容なのもどうかと。
というか特に後半はどう読めばいいのか分からなかった。ウケ狙い?笑うところ?これが典雅節ユーモア?文章が煩すぎて酸欠で頭が真っ白よ……。
読後はとにかく疲れたな、て印象しか残っていない。個性が強く、怒涛のように襲い来る威圧的にも感じる文章に終始戸惑っていた。労力に見合うほどの斬新なストーリーでもないし、満足度は低い。
合わない。
前半はピュアで健全な受け視点なので青春の恋って感じで清涼感さえ漂っていて、これはまたかわいらしい恋のお話じゃないか。あれ?作者さん誰だっけ?と。
後半はひねくれた攻め視点。
こういうひねくれ者が恋の病に侵されるとその恋心だけは真っ直ぐに狂おしいほどで、恋の炎が竜巻のように暴走しまくっているのが面白かった。
その表現はまさしく作者様のものでした。
はじめてのベガッテンが薪小屋だし。
でも、これほどに想われたら多少重くともそばにいてやりたいと思うのかもしれませんね。
ちゃんと攻めに恋と人生の教育的指導もできる紳士な受け様。
受けの言う事ならなんでも聞きそうな感じだから、立派な紳士になったことでしょう。
この攻めの事だから生涯受けを手放さなかっただろうなぁ。
全体的には普通の純愛ものだった。
旧制高校を舞台にした男の子同士の初恋物語。
ツンとしたお坊ちゃま達が多数登場するのかと思いきや、新入生を手荒く、もとい熱烈に歓迎するストーム(襲撃)があったり、いきなり窓から寮雨を(まぁ立ちショ〇の事だ、男ならではだな)、なんて悪ふざけがあったりと先輩達が結構やんちゃだったりする。
主人公の捷(しょう)も高校デビュー宜しく、入学前から新品の制服を改造したがって母親に諫められたりな辺り、今時の高校生と通じるものがあるのかも知れない。
寮内の学生間で独逸語(ドイツ語)が氾濫している様子なんて、何だかDK同士にしか通じないような言葉の羅列だった。
以前読んだ事のある他作家さんの大正時代の旧制高校ものにもシャン、メッチェンといった言葉があったが、こちらの話はそれ以上に独逸語で溢れている。
自慰やエッチ用語まで独逸語かーい!!(^^;)
まぁ、今とさほど変わりないような当時のDKノリが楽しめるような感覚だった。
ちなみにこの話、前半が受け・捷目線で後半が攻め・領家目線となっているが、新入生で1,2を争う捷目線よりも、何かと彼に対してつっけんどんな同室のラーケン君こと領家目線のほうが断然面白かった。
領家は最初、クラスに一人は居そうな一匹狼ぶって突っ張っている子かと思っていたが、実はツンデレ君だった。
産みの母と引き離されて育った境遇から多少は繊細に…ってならなかった辺りがこれまた面白い。
更に、出逢いの第一印象からしくじって、誰にも相談できない初恋の悩みぶりが本人としては超真面目でも、読んでいるこちら側はププッっと笑えてくる落差があるのだ。
ツンデレ君でもギャップ落差があってもどちらの領家も好きになれたと思う。
二人の初エッチは初めてなんだしぎこちないのも仕方がないよね…って言う前に領家が暴走気味だったりして、君はもう寮内生活では猫被るんじゃぁない!!(笑)と感じたのだった。
是非とも最愛のリーベである捷には、これからもどんどん彼の素を引き出していってもらいたいものだ。
昭和初期の、全寮制男子高校を舞台にしたお話です。
主人公の捷は、見た目は繊細な美少年なのに、バンカラ学生に憧れて制服を改造しようとする等、時代の薫りをくゆらせつつ、少年たちがとっても生き生きとしていました。
小林典雅先生の書かれる文章は、いつも楽しくて好きなのですが、今回は主人公たちが外国語を勉強しているのに合わせ、文章の要所要所にドイツ語を織り交ぜているのが秀逸でした。
個人的には、キスを「キュッセン」って言うのが可愛いです…。
前編は、素直で天然な捷目線、後編はクールでツンな領家目線です。
特に後編は、素直になれない領家が実は…という種明かし的なストーリーなので、二度美味しい構成でした。
例えば、どさくさに紛れて領家が捷へ自慰を教えるシーンでは、前編では強気に見えたのに、領家視点では「このまま身体ごと、シャムの森の奥の遺跡のように、蔦に巻かれて何百年も絡み合っていられたら‥」みたいな、溺愛独白をしているのがたまりません。
また、湯上がりに、お互いの洗面器をコツンカツンとぶつけ合う、昭和ないちゃいちゃは、一読の価値ありです!
大正時代の男子寮を舞台にしたお話。様々な年齢の男子が集まる全寮制の高校で起こる恋!となると、雅な予想をするのですが、捷が鈍感でウブ、かつ領家が不器用なので可愛らしく楽しいお話となっています。
前半は捷視点、後半は領家視点。後半の領家視点が入っている事で、萌が倍増です…!
素敵な先輩が当て馬なのですが、捷はこちらとお付き合いしたらべたべたに甘やかされてそれはそれで幸せだったのかもなーと思ったり。笑
会話にドイツ語が混じったりと、少し驚くこともありますが、楽しくて元気になる話が読みたい方にオススメです。
失礼かもですが、珍しく笑いを誘わない真面目なお話…と、読み始め。
終わってみれば、やっぱり典雅さんや~!と同時収録作品にやられ。
しっとり真面目なお話から一気に崩れた読後感に大満足です。
時代は大正。
男子校の寮生活を大正時代モノで読むのが初だったので、新鮮でした。
受けさんの捷は、童顔で可愛く真っ直ぐ素直で色事に疎い新入生。
この時点で「まさかの、か弱い健気受け…?」と、うじうじする受けが好きではないので
恐る恐る読み進んでいたのですが。
いやあ~…スカッとするほど男前です。
見た目にそぐわずハッキリ言うし、行動的で世渡り上手。
のくせに、度を越す鈍感さと色事に疎いギャップ萌え。
かっこかわいいうえに性格も良し!なんて、最強小悪魔くんでした。
そんな捷に冷たく振る舞う攻めさんの領家。
いけ好かない野郎だなあ…が、最初の印象。
本編が終わってもあまり良さを見い出せなかった攻めさん。
なんですが…
続篇の領家視点での典雅さんワールド炸裂ぶりにやられました笑。
領家って、ただの恋する乙女やん!変態やん!
と、本編と違い散々笑わせてもらいました(。・ω・。)
典雅さん好きさんも、まだ読んだことのない方も!
大正時代の男子高校生の純愛モノで癒されてほしいです(*˘︶˘*)
昭和初期の私立学校の学生寮を舞台にしたお話。
このごく限られた平和な期間の時代設定が、上品で善良で初心な男の子たちの初恋物語に絶妙に似合っている。
前半は鞍掛視点。
鞍掛自身が初心なので、なかなか周りの思惑や自分の感情に気づかないが、自分の中にある感情が何なのか見極めたら、結構潔い。
後半は領家視点。
こちらは、最初の出会いから一目惚れして、心の中は大嵐で右往左往の乱高下。
でも、心と裏腹な態度しか取れない、そんな領家の心の中を、こちらはいつもの典雅節で展開。
二人の両方の視点のお話があってこその面白さでした。
これな、
二日がかり4度目にして、あきらめてワードで打ったテキスト貼り付けにしてようやくアップできた。
何でこればっかり消えちゃったんだか、不思議
昭和初期の寮制旧制高校が舞台の、典雅風青春ストーリー。
『摩利と新吾』が好きだった(=無自覚に腐っていた)思春期の記憶が活性化し
うわ〜、旧制高校のドイツ語(スラングですね)だあ!とそれだけでテンションが上がる。
うん、面白かった。
なんと言っても主役2人のキャラクターがすごく好み。
小林作品のキャラはきらいじゃあないけれど、ツボ真ん中ってことがあまりなく
そういう意味では今まで読んだ典雅先生作品の中で一番のヒット。
ただし、大好きなこの「ドイツ語スラング」、典雅節を堪能するにはいささか不向きかも。
前半は受けの捷くん視点なのだが、彼のキャラがまっとうな良い子なこともあって
レトロな雰囲気にも浸りきれず、爆笑モードにも入り切れず、
良い感じではあるのだけれど、インパクトは弱めで穏やかに読了。
個人的には、後半、孤独なクールくんに見えていた攻めの草介の心の中の空回りっぷりが
なんとも楽しかった。
典雅作品は、ちょっと変態がかったこういうのがなくっちゃ!という感じ。
アホ臭い程のその心中のBGMとしてクラシックの名曲が流れるのが、また可笑しい。
ということで、全体としてはかなり楽しく読み終わりました。
今後の攻めの暴走ぶりを期待します。
スピンオフ要員もいるし、また彼らに会える機会もあることと楽しみにしています。
追記:
メチャクチャなレビュータイトルは、『摩利と新吾』の副題
ヴェッテンベルク・バンカランゲンになぞらえて。
全く意味不明なドイツ語もどきです。
追記その2:
ところで、この舞台。
武蔵野にある私立の旧制高校で、私鉄二駅のところに繁華街があり
そしてお祭りの名前は「紀念祭」。
ということで、練馬にあるM蔵ですね。
ただし実際のM蔵は、創立は大正で7年生(中高一貫)だったようです。
とにかく出てくるキャラクターが可愛いです。
特に受けのキャラが甘いお菓子に例えられたりと、ふわふわのイメージで容姿を想像しやすいです。
ドイツ語の多様も作品の雰囲気にあってて面白い。
昭和初期の児童文学を読んでいるような気分が味わえます。
学園モノも時代が変わればまた雰囲気が変わりますね。
こういう学園モノのBLを読んだことがなかったので、とても新鮮に感じました。
シリーズ化してほしいくらいです。
この作家さんは色々な雰囲気のBLが書ける方なので本当に凄いと思います。
次作も楽しみに待たせて頂きます。
大変久しぶりにレビューしたくなりました。
当初表紙を見て、こんな可愛らしい少年たちの話では、典雅さんの面白さが出しにくいのではないかと思ったのですが、そこは問題なかったですね。
しかし、評価がマイナスになった理由がそこにあります。
私としてはもう少し大人な感じのイラストでお願いしたかったなと・・・
内容に関しては他の方が書かれているので、いつも私が典雅さんに期待している『道徳的』な部分について少し。
二人で浴室から帰る時の会話が、192~193ページにまたがってあるのですが、男前な受くんが攻くんに求める恋人像に、うんうんと頷くばかりでした。
それから、端々にドイツ語やクラシックの名曲が出てきます。
ドイツ語は、注釈付きなので私にとっては邪魔にもならず、楽しめました。
攻くんの脳内に度々流れるクラシックの名曲が、BGMですぐに流れてくれたら申し分ないと思いました。
とにかく、嫌な人が出てこないので、典雅さんの小説は癒されます。
あとがきでも書かれていますが、『読むと和んで元気になるビタミンBL』を今後も期待したいと思います。
今回は誰とも馴染まないツンな皮肉屋と
朗らかで誰にでも好かれる人気者のお話になります。
受視点で
不仲だった攻様の誤解が解けて両想いになるまでと
攻視点で
出会いから恋人として結ばれるまでを収録。
受様は父親か学生時代を過ごした
全寮制の高校に猛勉強の末に入学します。
その高校は明治中期創立の私学で
帝大合格率が官立のナンバースクールにも
引けを取らない名門校で
受様は意気揚々と入寮するのですが
咆哮しながら竹刀や下駄や薬缶を打ち鳴らす
野生猿の群れが如き集団に出迎えられ
寮雨(窓からの立ちション)に遭遇し
唖然としてしまいます。
その上、
寮室の担当チューターである先輩学生には
今年の真に優勢の中では群をぬくシャン
(美しい=シェーン→美人)だから
夜這いとかに気を付けてと言われて
冗談か本気の忠告か戸惑ってしまいます。
寮の自室は4人部屋ですが
先に入寮していた2人、
年下ながらも飛び級入学した美少年と
就職後に再受験して首席合格した苦労人は
穏やかそうでうまくやって行けそうです。
最後に顔を合わせた人物は
受様と年も変わらないけれど
背が高くキリっとした美男子でした。
ところが親しみを込めた受様の挨拶に
「女子寮かよ」という険のある言葉と
仲良くなる気はないという不愉快な態度で
受様はムッとしてしまいます。
この美男子こそが今回の攻様です。
なぜ攻様がこんな棘のある態度なのか
受様には理解できませんが
受様が歩み寄っても攻様は変わりません。
そうこうするうちに期末試験を終え
受様も帰省の用意を整えますが
寮に1人居残りするという攻様が
寂しげに見えてしまい
ついつい実家に誘ってしまいます。
するとなんと攻様からやもやの
「行ってやってもいい」発言!!
受様は犬猿の仲の攻様を連れての
帰省と相成ります(笑)
受様は夏休みを無事に過ごせるのか!?
攻様の真意は何処に!?
雑誌掲載作のタイトル作に
攻視点の続編を書き下ろして文庫化です。
大正時代の旧制高校を舞台にして
大正ロマンのノスタルジー溢れた世界で
男子学生たちが友愛を育むお話かな。
明るく素直で面倒見も良いけれど
かなり鈍感な受様を巡って
受様を好きすぎてついツンツンになる攻様や
世話を焼きつつアプローチする先輩との
見えない恋のさや当てなんかもあって
2人がまとまるまでかなりムズムズします。
大正時代の名門旧制高校ということで
ドイツ語が文中に併用されてるのが
正直私には読みにくかったので
今回は「萌」評価に留めます。
自信満々の長セリフも
日本語カスタムのドイツ語のノリに
ついていけなくて軽快な典雅ぶしが
スル~と入ってこないのですよ(泣)
一見、正論な台詞の中に
巧妙に隠された意味不明な論理展開が
典雅ぶしの真骨頂なのに!!
雑誌掲載された時もここがネックで
けっこう読み飛ばして雰囲気だけを
楽しんだお話だったので
文庫も即買いするか迷ったくらい。
でも結果的には
続編の攻視点がすごいグッジョブ♡
しっぱなからテンパる攻様が
その後も天邪鬼な言動から抜けられず
挙句に逆ギレしての告白まで
素直になれない攻様のジレンマに
ものすごくワクワクして萌え萌え
出来ました。
物事も視点を変えてみると
全く違う視野が広がりますね。
文庫化での書き下ろし続編ですが
本編が続編の前日譚くらいに
続編はMYツボでした♪
でもできれば今後は現代版にて
典雅ぶしを炸裂させて欲しいです。
今回は小林典雅さんの既刊から
本作と逆パターンで
受様がテンパり過ぎて誤解が進むお話
『国民的スターに恋してしまいました』を
おススメ作とします。
今朝早くに届いた典雅さんの新刊。「ちょっとだけ」と思って読み始めたら止められなくなって、本日するはずの仕事が明日に持ち越しに……いや、後悔はしていないっ。
『若葉の戀』と『燃ゆる頬』の二部構成です。いや、これがほぼ同じ話なのに与える印象が違うったらないの。その構成の妙だけで「うふふ」と含み笑いをしちゃうほどでした。
父の思い出話に憧れて、猛勉強の末全寮制の高校に入学した鞍掛捷は同室の領家草介に自己紹介をした途端「女子寮かよ」「仲良しごっこ」という侮蔑的な言葉を投げかけられます。理由もなくこの様な態度を取られたことのない捷は怒り、戸惑いますが日を重ねても領家のツンケンする態度は変わりません。ならばこちらから歩み寄る必要などないと思っていた捷ですが、とあるピンチを救って貰ったこともあり、夏休みにも帰省しないという領家の寂しそうに見える姿を見て自分の家で休みを過ごそうと誘います。鞍掛家での領家は捷に対する態度とは手のひらを返した様な好青年ぶり。ひょんなことから捷は領家が妾腹であること、9歳の時に実母から引き離された後は冷たい家庭環境にいること、実の母に捨てられたと思っていることを打ち明けられ、今までの態度は幸せな家庭に育ったであろう捷への八つ当たりだったと謝罪されます。捷は領家の実の母親を捜すことを提案し、一緒に静岡まで行くのですが……
『若葉の戀』で描かれるのは、まさしく旧制高校での青春です。ストーム、硬派の美少年へのアプローチ、ドイツ語混じりのあだ名や学生隠語がちりばめられており「ああこれは!ヴェッデンブルグ・バンカランゲン!金髪ものならトーマの心臓の世界のノリ!」と口元がほころんじゃう訳ですが、素直で優しい、おまけに初心な捷くんの目を通した物語なので、どこまでも健全でピュア。典雅さんお得意の饒舌さも長ゼリフも若干なりを潜め、美しい青春譚となっています。
ところがどっこい『裏バージョン』とでも言うべき『燃える頬』では、そのピュアが、健全さが踏みにじられるとでも言いますか、典雅節が炸裂!領家の激しくも捻くれたおなじみと言っても良い恋が描かれます。
このどんでん返しが可笑しいったらないの!
受け視点と攻め視点が交互に描かれるBLはいくつも読みましたが、文章や物語の印象も含めて、これほどすれ違っていて、これほど抱腹絶倒な印象を残す老獪なお話は少ないんじゃないかと思いました。
……でも、最後の一文は泣かせるのよ。
くそっ、またやられてしまいました。
蛇足
『燃ゆる頬』では草介くんの恋心が強い衝撃を受ける度にクラシックの名曲が幻聴として現れます。
それらの曲をBGMにして、今度のお休みに再読しようと思っています。
ああ、楽しみ。
超表紙買い。この光の使い方、大好き!典雅先生、苦手なお話の時もあるのですが、あまりに好みな表紙だったので購入。あまりドタバタはしていないように感じたので、個人的にはセーフでした。「ディアプラスに掲載された本編」130P+書下ろしの「攻めさん視点で本編と一部ラップしているお話」90P+先生のあとがきでした。いやーこれ雑誌掲載分だけだったら、「えーーーここで終わるのー」という気持ちでいっぱいだったと思います。本になってから出会って良かった・・・。後半の方で、攻めさん感情が良く分かって良かったです!
昭和初期、煌星学院高校という全寮制私学の寮が舞台。攻めさん受けさん共に新入生として入学し、4人部屋の同じ部屋のメンバーだと顔を合わせるところから始まり、その時の秋ぐらいまでのお話です。
登場人物は、学校の先輩でチューターしてくれる人、同室の残りの二人、2留している先輩等と、受けさん家族が少々といったところ。
*******以下はより内容に触れる個人的感想・・・
ドイツ語表記混じりの文章に、「読みにくい!」と泣きそうになり、少々慣れはしたものの、やはり最後までちょっと邪魔くさかったです。(先生ごめんなさい)
♪♪と読み進めているのに、突如出てくるドイツ語記載。私の頭が悪いので、?なんだったっけか、これ?と一瞬読み進めるのが止まってしまう。うーん。でもバンカラな雰囲気出したいんだろうしなあ。。。うーん。。。。読みやすさと雰囲気の天秤?
攻め受けの性格などは好きだし、上にも書きましたが、後半の攻め視点で、ツンデレさんの内情がよく分かって楽しかったので、良かったです。想像していたより面白かったです(特に後半)。ただドツボにハマるものがあったか?と問われると、見当たらないなあと思って評価は萌にさせていただきました。
双方向の視点で記載あるのって好きなんだわ、私♡と改めて気づいた一冊でした。
作家買い。
表紙といい、タイトルといい、ちょっとノスタルジーを感じる。という事で、もしかしたらいつもの典雅さんの作風はなりを潜めているのかなとも思いつつ読み始めました。
バンカラ。
ドイツ語混じりの学生用語。
旧制高校。
設定は確かにノルスタジックな雰囲気にあふれていますが、内容は典雅さんらしいコメディ色の強い作品でした。ところどころでぶっこんでくるギャグに、腹筋崩壊しそうになりました。
全寮制の名門・煌星学園高等部に入学した捷が主人公。
破天荒な寮生たちにもまれながら、いけ好かないと思っていた領家と少しずつ恋を育てていくお話。家族に愛され育ってきたためか、素直で優しい青年。でも、自分というものを持っていて、一本芯が通っていてカッコよかった。
一方、典雅作品は大人で懐の広い攻め、ってテッパンな気がしますが、この作品の攻めくんはツンデレ。ちょっと珍しいなと思いつつ、それがまだ高校生という若く青い人物像に見事に合っていたように思います。
前半は捷視点、後半は領家視点。
捷視点でも、領家が彼に惚れてるんだろうなというのは透けてみえているのですが、後半の領家視点できっちり補足されるので読みやすい。典雅さんらしいちょい変態の入った攻めくんで爆笑しきりでした。
ただ、このノスタルジー感溢れる、というのか、耽美な世界観、というのか。
設定としてはそういうものに満ち溢れていますが、文体としてはいつもの典雅節炸裂なので、ちょっとちぐはぐ感があった、というか…。
この世界観にどっぷり浸れれば、めっちゃ面白いと思うのですが、個人的には世界観にはまり切れなかったのが残念でした。
いや、面白いんですよ?
面白いのですが、設定がちょっと上滑りしている、と言えばいいのか。
典雅さんて大好きな作家さまで、この作風がめっちゃ好きなんです。作品自体は面白かったですが、もしかしたら好みが分かれるんじゃないかな、と思いました。
あと気になったのは、彼らの寮の友人である栃折×伊毬。
彼らのお話も読んでみたいので、ぜひともスピンオフを書いてほしいな、と思います。
評価で悩みましたが、作家買いしている典雅作品、という事でちょびっとおまけして萌え×2で。
こちら旧制高校モノですが、残念ながら全くストーリーに設定が生かされていません。旧制高校設定を取り払っても普通に成立してしまうお話で、ストーリーだけを追うとBLテンプレをなぞっている感じ。そこに設定の説明を付け加えているので、調べた知識を披露されているだけなのかな…と思ってしまいます。
なので旧制高校らしいエピソードを期待せず、割り切っていつもの典雅節?を期待しながら読むのが楽しむコツかと。長ゼリフもいつも通り書いてくれていますので。
キャラは攻めが古き良きツンデレっぽくてなかなか良かったです。隠していた本心に、なんじゃそりゃ!とツッコミを入れたくなるようなテンプレオチ。これを今堂々と書いてしまうのは逆に新鮮で面白い。
ところどころノリがイタイと感じるところもありましたが、私には分からなかったというだけで、合う人には合うのかなと思います。
読後感は良かったので、萌えで。表紙の雰囲気も好き。
笑えるだけじゃなく、男子高校生の青春にとてもトキメかせて貰えましたが(*´ω`*)
こちら、二章に分かれていて、前半が受け視点での爽やか(?)青春初恋もの。
後半が、いつもの典雅節炸裂。同内容を攻め視点で書いた、恋心暴走編。
爽やかで甘酸っぱい青春ものにキュンキュンした後は、受けを好き過ぎて、やや後ろ向きに暴走している攻めの内心に爆笑すると言う按配になっております。
内容ですが、旧制高校を舞台にした昭和初期のバンカラもの。
やたらツンで眉目秀麗な攻め×鈍感ながら意外と男前な受け(美少年)になります。
全寮制高校で繰り広げられる、男子高校生達の濃ゆ~い友情に、寮の同室で繰り広げられる甘酸っぱい初恋。
受けが女装して劇をやり、スマートなチューター(監督生)の先輩が後輩を可愛がり、いつもピアノを演奏している麗人の生徒がおりー・・・。て感じの旧制高校もの。
作者さんに言わせると、高校生達が、めいいっぱい青春してるお話になります。
先にも書いた通り、前半は正統派(?)とも言える青春ものです。
やたら皮肉っぽく態度の悪い領家。逆に天真爛漫でかなり鈍い捷。
捷視点で進むので、序盤は領家の印象がかなり悪いです。
が、家族の関係から帰省をしない領家を自宅に招き、共に過ごす内、領家の意外な素顔を知って急速に近付く二人の距離。
領家の産みの母親を二人で探す旅行に出て、と言うエピソードが、かなりしんみりさせてくれます。
ここから、やっと距離が近付いたと思ったら、休み明けにはまた素っ気ない態度の領家。
彼のツンぶりにはかなりイライラさせられるのですが、ラストで彼の本心が分かり、ニマニマさせられると言うオチになってます。
そして、爆笑させてくれるのが後半。
やたらツンツンしていた領家の内心が明かされ、そのかなり重くて妙に後ろ向きな愛情の暴走ぶりにゲラゲラ笑わせて貰えます。
捷に自宅に誘われ、澄ました顔をしながらも、頭の中では「交響曲第九番」だの「歓喜の歌」だのが流れていたり。
あと手帳に捷への熱い想いを、「Klavier S・G・D」と暗号で綴っていたり。ちなみにこちら、捷が石鹸のいい匂いと言う意味です。DAIGOか!!!
二人の想いが通じ合ってからは、領家は臆面も無く、重すぎる愛情を伝えたりします。この時の捷の、至極真っ当で意外や男前な台詞にも大変萌えました。
最後はキュンで締めてくれるのが、典雅先生の巧みな所。
笑ってしんみりしてキュンとしてと、とても素敵な作品でした。