若葉の戀

wakaba no koi

若葉の戀
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神13
  • 萌×227
  • 萌14
  • 中立7
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
18
得点
222
評価数
66
平均
3.5 / 5
神率
19.7%
著者
小林典雅 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
カズアキ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
価格
¥620(税抜)  
ISBN
9784403524493

あらすじ

旧制高校入寮初日、にこやかに挨拶した捷に向かって
「女子寮かよ」と悪態をついてきた領家。
最悪な相手と同室で先が思いやられる捷だけど?

表題作若葉の戀

捷の同室者で文科乙類の新入生
名門煌星学園高等部文科甲類の新入生

その他の収録作品

  • 燃ゆる頬
  • あとがき

レビュー投稿数18

後半の攻め視点がわらえる。

初読時の記憶がなく、数年ぶりの再読。

全寮制の旧制高校を舞台に繰り広げられる学生達の恋。
バンカラで、なにかと会話にドイツ語を織り込んで(例:キュッセンしたい=キスしたい)いるところがそれっぽい気分を味わえて楽しい。

それはともかくも攻めの領家が、超〜問題児でしたね。

『若葉の戀』は受けの捷視点なんだけど、領家の印象は最悪。
だって領家ときたら基本無視を決め込んでいて、時折口を開くと皮肉しか言わない。
「なんなんだ??こいつは?!」ですよ。
デレがなくて、完全ツンツン。

後半の『燃ゆる頬』は攻め視点なんですね。
私はこの後半部分が好き。

あの時の感じの悪いセリフや心情は実はこーだった!!という種明かしが次々とされるんだけど、ほんと領家ときたら難儀な子。

あんなにツンと孤高の男みたいなポーズを決め込んでたのに、脳内はぐらんぐらんのジェットコースター状態で目まぐるしく妄想したり、落ち込んだり、焦ったりと煩悩大忙しだったのかと。

ロマンティックなBGMとともにシェイクスピア的な愛の告白を考えていたはずなのに、「好きでもないやつと素股なんかできるか!」とか、「お前に捨てられたら発狂する」みたいな脅迫めいた告白(?)しかできず‥‥

笑えます。




0

どうしても笑いがこみ上げる

全寮制が舞台。時代は、昭和初期の設定。一番日本が元気だった時で、長い大戦がはじまる前。
大正ロマン風に拘った物語なので、例えば恋を旧漢字の「戀」=糸し糸しという心という字を選んでます。そして当時の流行りにこだわっていて、ドイツ語でリルケの詩とか引用が多いです。

モデルはで日本最初の七年制高校だと思う。(ここは今も男子校、難関で有名。80年以上にわたって太陽黒点の観測を続けている珍しい学校。OBに衛星ハヤブサのスタッフが居る事でも話題になっていた。)

凄く面白かった。
バンカラが善く表現されていて、オトコらしさの勘違いというか、汚い臭いが漢の勲章と言う、男子校の寮は若いオスを集めた動物園と似ていて面白い。

この著者さんは、真面目な表現なのになんとなく面白くて笑わせるのが上手です。
登場人物の内言表現の際に、心情に合う曲や詩の一節が書き添えられていて、ラフマニノフや、トッカータとフーガや、啄木の詩の一節の引用など、それを想像しながら読むと場面のBGM効果が脳内で響いて、笑っちゃって面白くてたまらなくなる場面が何度も有りました。おもしろいわー。
大真面目な場面なのに、想像しながら読むと、フフフと笑い声まで出してしまった。つい笑っちゃうから、コッソリ読めない。
眠れないときや、痛みがある時の気分転換にBLを読んで居ます。何故かハーレクインなどの恋愛ものだと集中できない。
BLだと、痛みがある時でも笑ったり夢中になれる作品が多いのですが、特に小林典雅さんには可笑しい作品が多いようなので、気に入ってしまいました。あとがきによると「ビタミンBL」と言うのだそうです。面白い。
他にも面白そうな作品があるので、読んでみます。

一つ不思議に感じたのは、主人公の父親が「古代朝鮮語」の研究者という設定。
古代朝鮮語とは、「吏語」の事だと思う。
使用していた一族が絶滅して、謎とされている言語で、官吏が用いたり、万葉集に一部残って居たり、日本の神道の祭文に使われていいのが古代朝鮮語=高句麗語だと習いましたが、面白いものを持ってくるんだな、と思いました。

5

文章で酸欠になる、終始戸惑い

雰囲気ある表紙に惹かれて手に取ったが、まず一文の長さに驚いた。一段落を読点でつなげた一文で仕上げている。数ページ読んだだけで、息継ぎができず酸欠になる気分を味わった。(音読していたわけではない)
会話文の長さも半端なく、説明調で長々しゃべるので読むのが辛い。しかも序盤で六歳の妹に向かって一ページ近くも説明セリフをしゃべっている。圧倒しているようで怖すぎて、ちょっと引いてしまった。
他のレビューを見ると典雅節?といういつもの書き方みたいだが、初読みだと六歳女児にいきなりこのセリフ量を浴びせるのは狂気じみているとしか思えない。内容も読者への説明であって、六歳に言う話じゃない。言われた妹が怖がる様子はなく、この作品世界の中では問題ない行動だと分かったが、それでもこのシーンで私と作品とで心の距離が開いてしまった。

舞台は旧制高校なせいか、設定を説明する文章がとにかく多い。文体が合わないと、もはやただの苦行。それでも一応これでどんなラブを書くのか?てとこだけは気になったので読み進めた。
文章的にも内容的にも切なさはない、たぶん。

攻めの素直じゃないキャラはなかなか好き。受けは心理描写とセリフで説明役を担わされているせいか、ところどころ言い訳がましく感じたり自画自賛になっているところが気になったり、微妙に粘着質に見えるところもあったりして、あまり好きになれなかった。たまに出る相手を押さえ付けるような言い回しも苦手。この口調は時代設定のせいかもしれないが、現代だと性格悪い人のしゃべり方になっているところがある。
全体的に受けのセリフと行動と性格設定に一貫性がないように感じた。

軸になるストーリーはどこかで見たことがある感じ。前半は受け視点で終始圧倒してくるため、攻めの内面がさっぱり分からない。やたらとキツイ言動から察するところはあっても、種明かしされた内容には肩透かしを食わされる。後半の攻め視点での補足がないと恋愛部分が成立していると言い難い内容なのもどうかと。
というか特に後半はどう読めばいいのか分からなかった。ウケ狙い?笑うところ?これが典雅節ユーモア?文章が煩すぎて酸欠で頭が真っ白よ……。

読後はとにかく疲れたな、て印象しか残っていない。個性が強く、怒涛のように襲い来る威圧的にも感じる文章に終始戸惑っていた。労力に見合うほどの斬新なストーリーでもないし、満足度は低い。
合わない。

3

濃厚シュライベンからキュッセン最後の最後にやっとベガッテン

前半はピュアで健全な受け視点なので青春の恋って感じで清涼感さえ漂っていて、これはまたかわいらしい恋のお話じゃないか。あれ?作者さん誰だっけ?と。

後半はひねくれた攻め視点。
こういうひねくれ者が恋の病に侵されるとその恋心だけは真っ直ぐに狂おしいほどで、恋の炎が竜巻のように暴走しまくっているのが面白かった。
その表現はまさしく作者様のものでした。
はじめてのベガッテンが薪小屋だし。

でも、これほどに想われたら多少重くともそばにいてやりたいと思うのかもしれませんね。
ちゃんと攻めに恋と人生の教育的指導もできる紳士な受け様。
受けの言う事ならなんでも聞きそうな感じだから、立派な紳士になったことでしょう。
この攻めの事だから生涯受けを手放さなかっただろうなぁ。

全体的には普通の純愛ものだった。

3

旧制高校内のDK事情

旧制高校を舞台にした男の子同士の初恋物語。
ツンとしたお坊ちゃま達が多数登場するのかと思いきや、新入生を手荒く、もとい熱烈に歓迎するストーム(襲撃)があったり、いきなり窓から寮雨を(まぁ立ちショ〇の事だ、男ならではだな)、なんて悪ふざけがあったりと先輩達が結構やんちゃだったりする。
主人公の捷(しょう)も高校デビュー宜しく、入学前から新品の制服を改造したがって母親に諫められたりな辺り、今時の高校生と通じるものがあるのかも知れない。

寮内の学生間で独逸語(ドイツ語)が氾濫している様子なんて、何だかDK同士にしか通じないような言葉の羅列だった。
以前読んだ事のある他作家さんの大正時代の旧制高校ものにもシャン、メッチェンといった言葉があったが、こちらの話はそれ以上に独逸語で溢れている。
自慰やエッチ用語まで独逸語かーい!!(^^;)
まぁ、今とさほど変わりないような当時のDKノリが楽しめるような感覚だった。

ちなみにこの話、前半が受け・捷目線で後半が攻め・領家目線となっているが、新入生で1,2を争う捷目線よりも、何かと彼に対してつっけんどんな同室のラーケン君こと領家目線のほうが断然面白かった。
領家は最初、クラスに一人は居そうな一匹狼ぶって突っ張っている子かと思っていたが、実はツンデレ君だった。
産みの母と引き離されて育った境遇から多少は繊細に…ってならなかった辺りがこれまた面白い。
更に、出逢いの第一印象からしくじって、誰にも相談できない初恋の悩みぶりが本人としては超真面目でも、読んでいるこちら側はププッっと笑えてくる落差があるのだ。
ツンデレ君でもギャップ落差があってもどちらの領家も好きになれたと思う。

二人の初エッチは初めてなんだしぎこちないのも仕方がないよね…って言う前に領家が暴走気味だったりして、君はもう寮内生活では猫被るんじゃぁない!!(笑)と感じたのだった。
是非とも最愛のリーベである捷には、これからもどんどん彼の素を引き出していってもらいたいものだ。

2

不器用な領家君、可愛いです!

昭和初期の、全寮制男子高校を舞台にしたお話です。

主人公の捷は、見た目は繊細な美少年なのに、バンカラ学生に憧れて制服を改造しようとする等、時代の薫りをくゆらせつつ、少年たちがとっても生き生きとしていました。

小林典雅先生の書かれる文章は、いつも楽しくて好きなのですが、今回は主人公たちが外国語を勉強しているのに合わせ、文章の要所要所にドイツ語を織り交ぜているのが秀逸でした。

個人的には、キスを「キュッセン」って言うのが可愛いです…。

前編は、素直で天然な捷目線、後編はクールでツンな領家目線です。
特に後編は、素直になれない領家が実は…という種明かし的なストーリーなので、二度美味しい構成でした。

例えば、どさくさに紛れて領家が捷へ自慰を教えるシーンでは、前編では強気に見えたのに、領家視点では「このまま身体ごと、シャムの森の奥の遺跡のように、蔦に巻かれて何百年も絡み合っていられたら‥」みたいな、溺愛独白をしているのがたまりません。

また、湯上がりに、お互いの洗面器をコツンカツンとぶつけ合う、昭和ないちゃいちゃは、一読の価値ありです!

6

不器用な攻の実は…な溺愛ぶりが微笑ましい

大正時代の男子寮を舞台にしたお話。様々な年齢の男子が集まる全寮制の高校で起こる恋!となると、雅な予想をするのですが、捷が鈍感でウブ、かつ領家が不器用なので可愛らしく楽しいお話となっています。

前半は捷視点、後半は領家視点。後半の領家視点が入っている事で、萌が倍増です…!

素敵な先輩が当て馬なのですが、捷はこちらとお付き合いしたらべたべたに甘やかされてそれはそれで幸せだったのかもなーと思ったり。笑

会話にドイツ語が混じったりと、少し驚くこともありますが、楽しくて元気になる話が読みたい方にオススメです。

4

やっぱり典雅さんは典雅さん。笑

失礼かもですが、珍しく笑いを誘わない真面目なお話…と、読み始め。
終わってみれば、やっぱり典雅さんや~!と同時収録作品にやられ。
しっとり真面目なお話から一気に崩れた読後感に大満足です。

時代は大正。
男子校の寮生活を大正時代モノで読むのが初だったので、新鮮でした。
受けさんの捷は、童顔で可愛く真っ直ぐ素直で色事に疎い新入生。
この時点で「まさかの、か弱い健気受け…?」と、うじうじする受けが好きではないので
恐る恐る読み進んでいたのですが。
いやあ~…スカッとするほど男前です。
見た目にそぐわずハッキリ言うし、行動的で世渡り上手。
のくせに、度を越す鈍感さと色事に疎いギャップ萌え。
かっこかわいいうえに性格も良し!なんて、最強小悪魔くんでした。

そんな捷に冷たく振る舞う攻めさんの領家。
いけ好かない野郎だなあ…が、最初の印象。
本編が終わってもあまり良さを見い出せなかった攻めさん。
なんですが…
続篇の領家視点での典雅さんワールド炸裂ぶりにやられました笑。
領家って、ただの恋する乙女やん!変態やん!
と、本編と違い散々笑わせてもらいました(。・ω・。)

典雅さん好きさんも、まだ読んだことのない方も!
大正時代の男子高校生の純愛モノで癒されてほしいです(*˘︶˘*)

8

好きな子ほど

昭和初期の私立学校の学生寮を舞台にしたお話。
このごく限られた平和な期間の時代設定が、上品で善良で初心な男の子たちの初恋物語に絶妙に似合っている。
前半は鞍掛視点。
鞍掛自身が初心なので、なかなか周りの思惑や自分の感情に気づかないが、自分の中にある感情が何なのか見極めたら、結構潔い。
後半は領家視点。
こちらは、最初の出会いから一目惚れして、心の中は大嵐で右往左往の乱高下。
でも、心と裏腹な態度しか取れない、そんな領家の心の中を、こちらはいつもの典雅節で展開。
二人の両方の視点のお話があってこその面白さでした。

6

雀影

これな、
二日がかり4度目にして、あきらめてワードで打ったテキスト貼り付けにしてようやくアップできた。
何でこればっかり消えちゃったんだか、不思議

リーベンウントキュッセンベルク・バンカランゲン(笑)

昭和初期の寮制旧制高校が舞台の、典雅風青春ストーリー。
『摩利と新吾』が好きだった(=無自覚に腐っていた)思春期の記憶が活性化し
うわ〜、旧制高校のドイツ語(スラングですね)だあ!とそれだけでテンションが上がる。

うん、面白かった。
なんと言っても主役2人のキャラクターがすごく好み。
小林作品のキャラはきらいじゃあないけれど、ツボ真ん中ってことがあまりなく
そういう意味では今まで読んだ典雅先生作品の中で一番のヒット。

ただし、大好きなこの「ドイツ語スラング」、典雅節を堪能するにはいささか不向きかも。
前半は受けの捷くん視点なのだが、彼のキャラがまっとうな良い子なこともあって
レトロな雰囲気にも浸りきれず、爆笑モードにも入り切れず、
良い感じではあるのだけれど、インパクトは弱めで穏やかに読了。

個人的には、後半、孤独なクールくんに見えていた攻めの草介の心の中の空回りっぷりが
なんとも楽しかった。
典雅作品は、ちょっと変態がかったこういうのがなくっちゃ!という感じ。
アホ臭い程のその心中のBGMとしてクラシックの名曲が流れるのが、また可笑しい。

ということで、全体としてはかなり楽しく読み終わりました。
今後の攻めの暴走ぶりを期待します。
スピンオフ要員もいるし、また彼らに会える機会もあることと楽しみにしています。




追記:
メチャクチャなレビュータイトルは、『摩利と新吾』の副題
ヴェッテンベルク・バンカランゲンになぞらえて。
全く意味不明なドイツ語もどきです。


追記その2:
ところで、この舞台。
武蔵野にある私立の旧制高校で、私鉄二駅のところに繁華街があり
そしてお祭りの名前は「紀念祭」。
ということで、練馬にあるM蔵ですね。
ただし実際のM蔵は、創立は大正で7年生(中高一貫)だったようです。

7

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