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cadenza
昔々シリーズ一作目の『青の軌跡』を読んですぐ三四郎とカイに夢中になり既刊を読み漁るも、タイトロープダンサーの途中で胃が痛くなって脱落したんですよね。私はキング・オブ・面倒くさい受けことカイが大好きなので、三四郎も一生忘れられないくらいカイに夢中になって添い遂げると言ってくれればいいのに…単純なのに薄情な三四郎が憎い…と思っていました。
最近になってカデンツァの存在を知り一作目から読み返してみましたが、相変わらずカイ贔屓なので所々辛かったです。
しかしカデンツァに入るとどうでしょう!三四郎からカイに対する未練や執着が見られるようになり、もしかしたら、もしかしたらこの二人、今度こそちゃんとくっ付くのかもしれない…でもな~三四郎だからな~三四郎だから油断できないな~でもこの感じはもしかしたら……とドキドキしっぱなしでした。カイが◯姦されそうだったときレプリカ刀で輩の頭吹っ飛ばした三四郎なんかもう目眩がするほど格好良くてね…。
最終的に月独立を巡る幾多の試練を乗り越え、人間的に成長し、関係性もいい具合のところに納まった二人。よかったねカイ。三四郎にここまで腹を決めさせたカイの執念勝ちだと思ってます。そしてずっと一緒なのではなく、たまに三四郎が帰ってくるという形なのがエロい。面倒ごとを持って帰ってきてカイに怒られて喧嘩してイチャイチャして末永くお幸せに…。短編で会える日が非常に楽しみです。
カデンツァの最終巻で青の軌跡シリーズの最終回でもあります。
長かったですね…
凱が、「自分のほうがカイと一緒にいた時間が長い」とカイに言いますが、カイと三四郎が一緒にいたのは本編の飛行任務の間だけだし、その後リリアンが8歳なことからみても別れてから10年は会ってないと思われます。
でもそれだけ濃厚な関係だというのはわかるのは不思議な感じです。
でも果たして付き合おうとか言って付き合ってた期間ってあるのか…?みたいな感じだったんですよね…特に別れていた間は。なので、どういう形に二人の関係が収まるのかは見届けないと気になって仕方ない。それにちゃんと名前をつけて終わったのは予想していたよりずっと満足でした。
どういう終わり方にすることもできたはずですが、三四郎にとってでなくカイにとってこれが一番幸せじゃないかという終わり方で終わってよかったと思います。
このシリーズは主人公が攻めで、受けも攻めも他に似たタイプのいない非常に個性的なキャラなので楽しいのですが最終的にはすっかりカイ側になっていました…三四郎がカイに「ハニートラップを仕掛けるなら人にやらせず自分でやれ」とか言ったり、実際しようとすれば相手に嫉妬して怒り狂ったり、ほんとに勝手というか・・・凱が「アレを許せるのか」と言って怒りますが、ほんとそう…
なのでどういう形であれ、カイが幸せになれるような提案を三四郎に出して終わって欲しかったんです。
なので、ラストとしてはこれ以上ないくらい個人的には良かったです。
難を言うなら、長くなりすぎたせいで、ストーリーを楽しむというよりもう早く2人の関係に区切りをつけてほしい…という焦燥の方が読み手としてあったことです^^;
特に政治的なアレコレはあっちにいったりこっちにいったりをせずにもっと短く読みやすくまとめられたんじゃないかな~と思います。なのでその辺を含めて、やっぱり本編のほうが一気に書いたという勢いがあったなあという意味で星4です。
蛇足ですが、成長したリリアンがものすごく好きなタイプでした。ザ・女の子って感じです。
リリアンが誘拐されるくだりなど、ちょっと脱線してるっぽいなぁと思ったのですが、このラストは三四郎がカイとカイの父親の絆・ロード夫妻とリリアンの絆を目の当たりにしたからこそ出した結論だろうから、やっぱり無駄なことは何もなかったのかなぁ・・・。
しかし、1分前にはそんなこと思ってなかったろうに、思いついたらすぐ飛び出して行ってしまうこの性格って、羨ましいというか迷惑というか。
長いシリーズでしたが、終わってしまったという惜しさは驚くほどないですね…
これで終わった~という読み手の安堵が大きいです。でもやっぱり面白い終わり方だったので、これからどうなったかは興味があります。
特に、ラストシーンのその後とか。
この先のカイと三四郎には、敵と戦うとかいうシリアスな展開ではなく、もっと身近な難題が次々降りかかるはず。
作者さんはこの後も番外的な短編を書いてると書かれてましたが、いつかまとめて読める時がくるんでしょうか。今は終わりを読めた安堵でいっぱいなのですぐにはいいですが、いつかこの安堵のほとぼり(?)が冷めたころに読んでみたい気がします。