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作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
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梶本潤先生の2004年のピアスレーベル作品。
絵柄はともかく、設定・テーマ・描かれる心理描写等、全く古さを感じさせません。恋に悩み揺れる想いというのは、いつの世も不変なんでしょうね。
メインCPは、マンガ家の久高(キューちゃん)xノンケの瓜。
瓜は久高に愛されてるけど、通いのアシスタント兼マネージャーの志乃が昔久高と付き合っていたことなど何も知らなかった…
…という設定。
何もできない自分と、有能で全幅の信頼を得ている志乃をつい比べてしまう瓜。
久高はそんな瓜の自信のない心にまでは気が回らない。何もしなくていい、というばかり。志乃の事ばかりか、実はバツイチで息子がいる事もきちんと話してなくて、瓜は自分の存在って何だろう?みたいになっていきます。
その上、息子の高人がネチネチ瓜をいじめるし。
そう、高人は志乃が好きなのです。
恋人を甘やかす、というやり方を間違えてる久高。
居場所を見失う瓜。
本当はまだ久高を想っていた志乃。
志乃をずっと追っていた高人。
それぞれの切なさの描写が胸に迫ります。そのしっかりした心理描写の上に、梶本流の正に男同士!というぶつかり合うようなエロが加わって、読み応え十分。
初めて読んだとき、
「エロエロなBLでもここまで強く筋を追えるのか!」
といたく感動させられた話です。
のっけからガンガンに犯っているシーンからスタートする所は「流石ジュネ!」なのですが、この本の場合はエッチシーンの濃密度が高いだけでなく、恋人同士なのに何か微妙にかみあわない不器用さに焦れるような所がそこかしこに進む上に4人しか登場しないのにお互いの関係が非常に濃いので、どうなる事かとはらはらさせられます。
まず、家主のQちゃんこと久高。まぁこの人の遍歴がひとえにこの本のストーリーを濃くしてるんですけどね。結婚して子供(大塚高人)作って離婚して、男の恋人(冴木志乃)作ったけど別れて、でも仕事仲間のままで。さらにそこに新しい男(雪村瓜)を家に住まわせる…
うわ、こうまとめると久高、物凄く「嫌われそうな設定の男」だなと(汗)
いや、ちがうんですよ。久高はそういうふしだらなタイプではなくってですね。なんつうか全般的に不器用で本当に好きで大事にしたいだけなのにその伝え方がどうも相手にぴんと来させないようでとにかく不安にさせてしまったり。
実際もともとノンケな瓜は「久高が好き」からここまでついてきたけど元々の恋人である冴木志乃に比べ、結局何もできないことに無力感を感じてしまったり。
その久高×瓜の横軸だけでもなかなか心理的琴線の動きが細やかなのに、その二人に対していくうちに主に「元恋人の新しい恋を目の前で見ざるを得ない志乃を幼い時から見ている高人が好きになる」形で高人×志乃の組合せが進行していくという同時進行があり、本当にはらはらさせられます。
いや、よくこんな複雑な琴線張りながらそれでも毎回きっちりエッチを話に盛り込めましたね。それだけでもそこいらにあるぶっとびエロエロな話やあまいだけのお話とは格が違います。
ジュネなんだしエロだけでもいいじゃん…と私も思うんですが、緊張感のあるストーリーだけでなくその中に軽く弛緩するようなシーンなども混ぜたりしてるのは凄い。
個人的に何度も読み返したくなるような中毒性とか何かに訴えてくるような強烈なインパクトはあんまりないんですが、とにかく完成度が高い作品だと思います。
ただ、梶本さんの書く男の人たちは全体的に目が細め&ガッチガチな体型。かなりBLの中では外角低めなので、それは読み手を選ぶかな、とも。
表紙&あらすじ買いならこの本はまず裏切らないと思います。