薄雲
takane nohoshi
1945シリーズの番外編同人誌。女子本です。
3つのお話で構成されていて、ラブはありません。
「高嶺の星」
海軍兵学校時代、資紀とその親友である新多が厳しい兵学校で日々を送る中、息抜きに寄宿舎を抜けだして恋バナする話でした。
坊ちゃんの執着ぶりとダマヘルぶりに吹きだし、この時点からもう溺愛されていた希を思いにやにやします。
愛しい人を守るために戦いたいという坊ちゃんの気持ちがこの時から微塵もブレていなくて、甘く切ない気持ちになりました。
それにしても希の手を饅頭の求肥に例えるぼっちゃん(笑)
「ヒアシンス」
成重家で勤めていた光子さんのお話。
終戦後、希に失恋した光子さんがお見合いし、幸せを手に入れることが出来てほっとしました。お相手の男性もぱっとしない地味な役所勤めですが、光子さんのことをとても大切にしてくれる人で良かった。
タイトルになっているヒアシンスの花言葉が最後に書いてあって、少しこみ上げるものがありました。
「海辺のマーキュリー」
琴平兄弟の子供のころのお話。
希、恒、大、晴子、素子と非常に個性豊かな兄弟の特徴がそれぞれ出ていて読んでいて非常に面白かったです。その中でもひときわ輝く素子姉ちゃんがメインのお話だったのですが、彼女の強さと優しさが短い話の中に凝縮されていて、3つのお話の中ではこれが1番好きでした。けど、最後の惑星の誤植は正直痛すぎて残念……。
BL展開は全然ないですが、1945シリーズを彩る脇役にまでスポットを当てていて、よりシリーズに深みが出て楽しめるのではないかと思います。