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gekkasouei
初読み作家さんです。
表題作は主人公達の半生を描いたシリーズ物、同時収録作はギャグの短編と3話から成る超短編です。
表題作と同時収録作品で雰囲気が全く違います。
長年に渡るじんわりとくる、どちらかと言えば精神的な強いつながりを感じる大人の雰囲気の表題作と、コミカルでちょっとシニカルな同時収録作品。
私はどちらの作風も好きでした。今まで全く知らなかった作家さんなのですが、これから他の作品も読んでみたいと思わせてくれた作品です。
私は気に入れば気に入るほど作品のあらすじについては語りたくない性格なので、この作品もストーリーについては語りたくありません(笑)。
表題作の昭和初期というのは大好きな時代設定ではあるのですが、その後の歴史を鑑みると苦しい時代でもあるわけで、切なさがついて回るというか…。
少し変わっていたのは、森太郎の設定。
ちょっとファンタジーな要素で私は面白いと思いました。森太郎との関係を考えるとこちらも切なくて、嫌いにはなれませんでした。
表題作の中にもこの作家さんのコミカルな所が垣間見れたのですが、同時収録作品では存分に発揮されているなと感じました。
しっとりシリアスなのも、コミカルなのも合う作家さんだと思います。
近代物を探していて思い出し、再読しました。
黒川さん、昔よく読みました。今見ても、本当しっかりした綺麗な絵です。
大正時代付近の作家×記憶をなくした青年の話ですが、青年は心中の生き残りでその死んだ人妻が時々青年の躯を乗っ取り、作家と色々したりします。
ここらが不思議なんですがこの設定は一般漫画ならば結構萌えだと思うのですが、BLだとちょっと入れ替わった人妻の設定は苦手かも。
実際、作家は本物の青年の方を求めていましたが、そこらへんがちょっと萌えにくかったかなあと。
その後、ちゃんと(?)青年と作家で纏まるので、
一応ハッピーエンドなんだと思います。
老後の作家がえらい素敵で、本当絵が上手い方だなあとほれぼれしました。
後半のギャグは、私はちょっと不得手でした。
置いていかれたまま終わってしまった感じです。
メインストーリーでの明確な年代の表記はありませんが、表題作完結編で東京大空襲付近の日付けが出て来たので、おそらく大正末~昭和初期の設定のストーリーかと思います。
作家の臥竜が河原で拾った記憶喪失の青年には、未亡人の幽霊が取り憑いていたのです。
なぜ記憶喪失なのか、何故取り憑かれているのかというのはストーリーを読んでいただけばわかるとして、この未亡人が、大変床上手でエロい。その上なかなか弁も立って勘も鋭く、いかにもしたたかな人妻といった風情。外身はきれいな顔をしているとは言え男性なので、その女性的な言動と外観のギャップが倒錯的で不思議な艶を醸し出しています。
その青年の記憶が戻るまで、と、作家の家で面倒を見ているわけですが、当然そんな暮らしがいつまでも続くわけはなく、二人は一度、別れます。
やがて時は移り、二人は偶然再会するのです。
再会してからのストーリーは全体から見たら短いですが、精神的な結びつきはとても濃く、二人がいかに充実した日々を過ごしたかを見て取るには十分な描写です。
やがて臥竜が老衰するまで話は続き、そこで幕、と、映画でも見ているようなドラマティックな展開にすっかり引き込まれてしまいました。
どちらかと言えば劇画寄りのリアルで肉感的なタッチが、ストーリーにとてもマッチしていてなお良い。私は大好きです。
で、そんなしっとりした感動作の後に「練馬フェティシズム」みたいな話を持って来ちゃうところが、ある意味この作家さんの魅力を存分に語っているような気がします。
いえ、面白かったですけどね。
桜~シリーズは超短編で、テンポが良いです。
(携帯の配信で読んだので実本とは若干構成が違ったら済みません)