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haru no ne
帯『春・夏・秋・冬―
先輩とふたりで奏でる時間が過ぎていく……。』
先ず梶原にきさんの絵も漫画も凄く好きです、そして絵も漫画も凄く上手い、読んでて思わず上手ッと思ってしまう程に。
表題作連作+短編3作、その内「小さな出来事」は女の子が主役の非BL作品です。
表題作は吹奏楽部でホルン担当の池田先輩と、昴の2人。
エロ要素は全くありません、それっぽい描写は池田先輩が事故にあって駆けつけた昴が思わずハグしてしまったシーン位でキスさえないんですがそこがいいんですよ!(力説)
ホルン担当の2人は揃って練習をするのですね、しかし面白いなあ上手いなあと思うのは、練習中も発表会の時もホルンの音の効果音は一切無いんですよ、なのに画面からホルンの音色が聞こえてくる気がするから凄いのだ。
池田先輩は3年生なので文化祭の演奏が池田と昴とが一緒に演奏する最後の演奏になるのだけれど、その時に昴の譜面の端っこに池田先輩からのメッセージが小さく書いてあるシーンが良いです。
んもう池田先輩はホントにクーデレなんだからっ!!って感じで可愛い。
「恋する悪ガキ」は不良な生徒が先生にだけは懐いているという生徒と教師モノ。
好きな先生の授業にだけは出るという生徒がアホだけど可愛い。
「雪の夜」
面相筆で描かれた様なタッチの時代モノ。敵打ちをする者とされる者。
そういえば池波正太郎の作品で長年敵討ちをしようと追っている間に男色にも似た奇妙な関係が生まれるって話があったなあというのを思い出しました。
どの作品にもあからさまなBL要素は無いんですが、そこが良いのです。
そしてしみじみ上手いなーと思う作家さんの一人でもあります。
お話の、ストーリーのどこがいいのかと聞かれたら特筆したところもなく、壮大なストーリーというでもなく、淡々とした日常のお話です。
一度目はそんなに深いお話ではないなあと思いさらさら読んでいたのですが、なぜだかこの二人が気になって気に入ってもう一度読み返し、終わっても三度四度と読んでしまい…。
本当になんてないお話なんです。しかし、噛めば噛むほどというか、読めば読むほど味が染みて来る感じでした。
主人公・昴と先輩の池田は同じ吹奏学部の先輩後輩で、その二人が一年をかけ、一緒に練習し、ケンカして、仲直りして、後輩の女の子に嫉妬して、引退する池田を見送って…
そんなこんなで二人の春夏秋冬が巡ります。
わかりやすいツンデレな先輩・池田と、そんな先輩に気を使いながらも懐く後輩の昴。四季を通して綴られる二人のストーリーは柔らかく、可愛くて心が温まります。ずっと見ていたくなるような二人でした。
あまり大きくストーリーが動いたり、ドキドキするようなドラマ的な展開や会話はないのですが、逆にそれがとてもよく、静かに心に染みていきました。
自分がどれだけ先輩が好きか気づくところや、引退していく先輩を見送るところ、ツンデレな先輩が昴に向かって先に行ってるから待ってると言いたいのに言えないところ…とにかく青春だなあ、学生だなあという感じで、読み終わっても余韻が残りました。
先輩、後輩という関係のいいところがギュッと濃縮されています。
BLBLした感じは少なく、人によっては物足りなく思うかもしれませんが、私は人にお進めしたくなる作品だなあと思いました。
また、梶原さんのイラストが柔らかくてとても愛しさが湧きました。
この絵にしてこのストーリーだと思います。
一冊通してどこにも「好き」という単語が登場しない。「好きだ」という告白はもちろんの事、俺、あいつのことが好きなのかな?といった自問すら登場しない。
でも、表題作や、別の収録作「恋する悪ガキ」に存在するのは間違えなく恋心であり、それを「好き」とか「恋」といった言葉で安易に示さず間接的に描かれているところがたまらなくキュンキュンします。
表題作:【春の音】そして関連作【夏の音】【秋の音】【冬の音】
高校の吹奏楽部でホルンを担当している先輩と後輩のお話。
「二人でホルンを吹いて息を合わせるのが、音がぴったり重なるのが気持ち良い」
って二人ともそう感じてるんです。これが妙にエロティックに感じてしまうのは私の思考回路が爛れているから?
お互いはっきり口にはしないけど、なんとなく抱いているものが同じなのでは?とお互い感じあってるけど、大胆な一歩を踏み出せずに照れてみたり、バレないようにツンとしてみたり、え?と驚いている姿がなんとも初々しくて青春だなぁと。
クーデレ先輩が引退前最後の演奏会の楽譜にこそっと書いた一言がいい。やはりここでも「好きだ」じゃないんですよね。でもそこがいいんです。
読み返すほどにいいなと思える作品です。
【恋する悪ガキ】これは私の好きなタイプの先生です。手は出さず、ちゃんと指導してくれて卒業後の楽しみを諭してくれるという。
【小さな出来事】これは非BL作品です。
【雪の夜】これも地味なんだけど、心に染み入りました。これは神作品です。
時代物で絵柄がそれまでの作品とは異なるんだけど、やや古風な絵柄と作品がマッチしていて素晴らしかったです。
雪の夜、一人暮らしの老人の元へ訪ねてきた男二人組。
もとは兄弟のように育った幼馴染同士なんだけど、親の仇を討つ側とされる側という関係になってしまい、四年もの間、追い追われ続けている。
その二人の関係性もさることながら、仇討ちを果たしたある男の話を聞かせた老人。
この老人がかつての友の形見と共に、後悔を携えて生き長らえている。
老いても今なお忘れ得ぬかつての仇、そして友のこと。
私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのが、こちらの作品です。
地味なんですけどね、地味〜にでも確実にツボをぐいーっと押されて何だか妙に心に残るんですよね、この本。
読めば読むほど、じわじわきてこれは神評価だなと思うに至りました。教えてくださりどうもありがとうございました。
この作家さんの作品を読むのはこれが2冊目です。
絵はスッキリしていてとても綺麗で好みです。
全部で4つのお話が収録されているのですが、そのうち「小さな出来事」は小学生が主人公でBL要素はありません。
その他のお話は高校生同士、高校生と教師、幼い時から共に育ってきた侍という主人公達なのですが、いずれもはっきりとした恋愛描写はありません。
なのに仄かな想いが感じられてそれにキュンキュンします。
特に表題作は高校生同士で青春というか、同じ部活を頑張っている先輩・後輩のお話なので、学生時代に部活に打ち込んでいた人なら何らかの懐かしいなと思わせる要素があると思います。
この作品はシリーズ作品なんですが、春から冬への時の移り変わりを通して、主人公達の心情が丁寧に描かれている作品だと思いました。
他の2つのBL作品もコミカルだったり、切なかったりと作品ごとに違う雰囲気を楽しめました。
私は時代物が好きなのですが、侍が主人公の「雪の夜」は切なくて好きでした。
幼馴染の2人が運命の悪戯か、追いつ追われつという関係になってしまったのが哀しい…。
絵の雰囲気も現代ものとは違っていて、昔の時代の雰囲気と美しい絵が眼福でした。