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シリーズ第6弾にして(8冊目)。
カイが、13歳のイシスに退行してしまった「バロックパール」の後日談。
船にとっては特に事件らしい事件は起きないのだが、
カイの精神世界とそれによって起こる出来事を描いた巻。
退行後月人の能力が戻りつつあるカイは、記憶の空白期間に疑問を持ち調べるうちに、
隠されていた秘密を探り当ててしまう。
享楽的な「月人」としての過去を知られてしまったと知ったカイは、
三四郎を利用して自殺を図る。「お前の痛みで死にたい」…!
イシスの映像を見て錯乱するカイが、哀しくて愛おしい。
三四郎の「俺はイシスが好きだった」という言葉に、
生まれて初めて「嫉妬」という感情を抱くカイ。
カイにとって、過去との和解というのは重要なテーマなのだが、
一方であまりにも苦しく蓋をして見ないふりをし続けていることでもある。
三四郎との出会いによって変化をし始めたカイだが、変容の時は危機の時でもある。
カイは、そしてカイと三四郎の関係は一体どうなっていくのか?!
シリーズ8冊目。
前回は事件が起きたせいもあって有耶無耶になってしまっていたが、カイは自分の中の曖昧な記憶が解せない。
違和感を裏付けるような小さな種をいくつか拾ったカイは罠を仕掛ける。
そして、罠を前に三四郎の口から隠されていた真実が漏れ…。
今回は前々回の件を引っ張ってるカイが「イシス」と向き合うようになるまでのお話とでもいいましょうか。
イシスの件がバレたカイが引き起こす騒動とその行方。
自分の中の「恥」ともいえる自分が一番嫌いな時期である「イシス」を知られてしまっていたことにどうしようもない絶望的なまでの気分に陥るカイ。
それは、そんな姿を見られてしまった全ての人間を殺してしまいたいほどで。
けれど、クルーたちはイシスを性対象としてではなく単純に子供のようにかわいがっていたようなところもあって。
もちろん、性交渉を持った者などいなかった。
が、誰よりもイシスを知っているはずのカイにはそれが信じられない。
イシスがイシスであるためには何もガマンすることなく自由に振舞っていたはずだから。
カイは自分の中のイシスを殺すために三四郎までも道具として用いようとする。
それはギリギリのところで防がれるが、カイの抱えるものは消えない。
三四郎に触れるのを躊躇してみたりするが、そういう意味では無頓着な三四郎は平気でカイに触れてくる。
その無頓着さこそが三四郎が三四郎である所以であって、カイがほかの人間と違って三四郎のそばにいることに不思議な安らぎのようなものを感じる所以でもあるのだと思うのだけれど。
カイはひとまず自分の中のイシスを認める結論に達する。
それが、本当の結論ではなかったけれども。
今回、最後にカイがみせたイシスに対する嫉妬。
カイにとっての三四郎という存在が少しずつ動き始めているのかなとも感じられて。
三四郎の方はどうなんだろう?
冒頭ではバディ登録の件で、それはそれ、これはこれ、というかカイに対するそこまでの執着はないようにも感じられたのだが、最後のシーンではカイに対する感情が芽生えているようでもあって…。
2人がどうなっていくのかまだまだ楽しみ。
そして、カイが何やら動いているのが非常に気になるところ。