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moony
宮本佳野作品の中で3番目に好きなキャラである「諏訪」が頑張ってる作品。
自由奔放で貞操観念の低い部分は『便利屋シリーズ』のブンというキャラにも通じるところがありますが、諏訪はブンよりももちっと繊細で、人の機微に敏感な空気読める器用貧乏です。
なので、人の恋に横槍入れたりする割りに、自分の気持ちを隠して退くような気遣いを見せたりもする。
見た目美人だし、器用貧乏特有の哀愁漂う感じがツボなキャラです。(でも表題作の主役じゃない)
本作は、桜花寮に住まう大学生たちのオムニバス形式の短編で構成されてます。
■moony / moony 2
表題作。
食べ物も人付き合いも偏食気味の受・森谷の生活能力の低さに、世話焼き体質な攻・ユースケが惚れちゃう話。
もとは寮の隣人同士のノンケ同士。
で、ユースケの恋の相談相手になって、ついでにバージンを奪ってしまったのが諏訪です。
ノンケのユースケがそもそも男を抱けるのか、という疑問を解消するために諏訪と体の関係を持ちます。
本命相手を差し置いて、違う男と同性同士の初体験をしてしまう…みたいな、一見純愛に反するような展開を軽々やってのけるのが宮本作品の魅力なんです!!!
リアリティあるというか…、現実ってそんなキレイごとばかりで成り立ってないからさ。
当然、そのことが森谷にバレてすったもんだした結果、最終的には、森谷とうまくいくと。
引っ掻き回したようなお邪魔虫の諏訪ですが、実は密かにユースケが好きだったりします。
それを知ってから本作を読み返すと、諏訪の表情が違ったものにうつり、彼のせつなさを読み取ることができます。
諏訪とユースケの濡れ場なんか泣きそうです。
諏訪マジいいやつ!
結局、諏訪がいたから二人はうまくいったんだから、ちょっとくらいイイ思いさせてあげてもいいじゃん!と本気で思う。
■FROZEN【番外編;過去篇】
諏訪の過去の話。優しいけど不誠実な先輩×諏訪。
諏訪がセックスに対して奔放になった原因がわかります。
男として好きになって付き合った初めての相手は、惚れた弱みに付け込んで他人に諏訪抱かせたりといろいろ無体を強いたあげく、諏訪から離れていくよう仕向けるような人だった。
歪んだ関係の中に少しでも諏訪への愛はあったのか…判然としないけど、何かしらの思いはあったんだろうな、と願いたくなるちょっとセツナイお話。
■桜の夜、春の月【後日譚】
『moony』と同じ時期を諏訪サイドからみた話。同じ大学の下級生であるマモルという青年目線で描かれてます。
たまたま寮の外の桜を見に来たマモルが、窓の隙間から諏訪と男の絡みを目撃してしまったことがきっかけで知り合う二人。
興味本位で「誰とでも寝るのか」と訪ねたマモルに、「誰とでも寝ますよ。おまえもする?」とあっさり答えた諏訪が好きです。
その後、またしても偶然、ユースケと諏訪の絡みを見てしまい、諏訪の本心を察したマモルが、徐々に諏訪に惹かれていくのは必然のような気がします。
ここでは、キス止まりだけど、その後の話は『待宵月』へ。
■MOON FLOWER【番外編】
ユースケの友人の安倍と松浦(生霊)の話。同じ大学の学生同士。
寮の中で幽霊がでるため誰も寄り付かない部屋に越してきた安倍が、空き部屋だと思って忍び込んできた松浦と親しくなるが、実は松浦は事故で意識不明のまま入院していることが判明。彼が目覚めるのを待つ、という話。
■待宵月【後日譚続編】
マモルと諏訪のその後。ユースケが森谷との交際をカムアウトしたので、失恋が確定した諏訪を励まし、あわよくば自分との関係を進展させようとマモルが頑張ります。
「ユースケよりは自分のほうがいい」と必死に自分を売り込むマモルに、
「アホ!」と突っ込みつつも、すかさず「で、チンコは?でかい?」と切り返す諏訪のストレートさがすばらしい!!
おっとこ前だわ~~!!
ふだん恐ろしいほどサバサバしてるのに、ベッドの中だといろっぺーというギャップ。スキです!
こうやって書いてみると、諏訪ばっかなことに改めて気づかされます。
私どんだけ諏訪がすきなんだ…。…でもまあ、それ以上に作家様が諏訪をすきってことよね!
ならばよし!(´・∀・`*)
《個人的 好感度》
★★★★★ :ストーリー
★★★・・ :エロス
★★★★★ :キャラ
★★★★・ :設定/シチュ
★★★★・ :構成
距離感から恋に近い状態に陥ってしまった
野郎どもの群像劇、と言うのが一番適切な
表現かと思われます。
行為そのものの描写は殆ど無く、その前後の
煩悶で深い所を語るという進行ですので、
物足りないと思う方もいらっしゃるかと思われ
ますが、じわじわと後味が来ます。
道理と言えば道理で初出の大半が小説JUNE
なのですね。だからそう言う問わず語りの
空気がどこかにある。
表題作の大元のきっかけ設定に、評者は
舌を巻きました。舞台をきちんと活用した
実に納得できるものです。
それは一読してご確認下さい。
この本を読んだのはいつだったか?
最近本の整理をしていて、ついつい好きな本を読んでしまい本の整理から脱線。
この本も脱線の原因の一冊です(本は悪くない!)
宮本佳野先生をはじめて読んだ本でした。
男子寮、そこが手にした理由だった気がします。
大学自体憧れだし、寮生活なんて本当に憧れだわ!
まぁ、現実も人聞きで知っているので、妄想だけでも美しくありたいもの。
この大学の桜花寮にいる佐藤(ユースケ)くんと、梅花寮にいる諏訪くんという二人の親友同士の男の子。
それぞれの恋と、彼らをとりまく男たち(男子寮だから)のお話で構成されています。
ユースケは春休みに苦手な森谷くんと寮に二人きり。
でも、森谷くんのスカした態度には、切実な理由があって…。
という、ユースケくんのお話からスタート。
ユースケくんは素直で流されやすくて、でも嘘がつけないばか正直な癒し系の男の子。
ユースケくんが惚れてしまう森谷くんの方が、なかなかの曲者です。
いろんな意味で。
ユースケの恋の相談にのる諏訪くんも色々絡んできて、ややこしくなったり、スルッと進んだり。
その後のお話は、諏訪くんの恋とか、諏訪くんの過去とか、諏訪くんを好きな男の子の話も出てきます。
他にも二人以外の寮生の幽霊話とかもあり。
嗚呼、大学寮七不思議って感じでいいわぁ、と、読んでいて非常に楽しかったです。
何と言っても、諏訪くんが良いのです。
クォーターの目立つ容姿に、オープンゲイなところとか。
なんでそんな風になっちゃったかという話とかも。
冷めているようで、実は一番熱い男やん!という性格も。
実はMちゃんなところなんかも。
諏訪くん、好きだなぁ~。
私が長年住んでいたところは大学がやたら多く、友人も大学生や大学院生がいました(私は大学とは無縁ですが)
有名大学の吉○寮なんかにも何度も遊びに行った事があります。
一年中下駄で過ごすバンカラくんとか、落研の雪駄くんとか、本当にそんな生物(←失礼)がゴロゴロいて。
面白い世界に羨ましかった事を覚えています。
あの頃腐女子であったなら、別の楽しみもあったろうに…残念。
と、あの頃を思い出す一冊でした。
大好きな宮本佳野先生の2003年作品。いわゆる「桜花寮シリーズ」の1作目。
ある大学の学生寮を舞台とした連作的な短編集です。
「MOONY」
「MOONY 2」
春休み、周囲が帰省する中2人だけ寮に残ったユースケと森谷。(2人ともノンケ)
元々接点のなかった2人だけど、ある晩血だらけの森谷をユースケが発見し…
森谷は夜になると目が見えないんだ…と告白する。ユースケは森谷の部屋で過ごすことに。
目が見えない、とすがりついてくる森谷に恋愛感情を抱き始めるユースケ。
ユースケはノンケだけど何となくのゲイ自認があって…
…という所までが「MOONY」。
「2」は森谷への恋愛感情を持て余すユースケが、隣の梅花寮の同級生・諏訪に相談するが、諏訪は実はゲイ。
男相手という事を怖がるユースケに、男も女も同じだ…と諏訪が男同士の行為を教える形で関係を結んでいく…
結局ユースケは諏訪に背中を押されて森谷に向き合うんだけど、森谷の方もユースケと諏訪の関係性に嫉妬を感じていた。そして、諏訪が本当はユースケを好きだとわかっていた…
この辺りの繊細な心模様の描写が上手くてうなってしまう。
「FROZEN」
軽い付き合いしかしない、とうそぶく諏訪の過去編。
諏訪が大学に入ったばかりの頃、1人の寂しげな先輩の横顔に惹かれる。
それが望(のぞむ)先輩。
だが、望はひどい男で…
「桜の夜、春の月」
梅花寮の寮生・2年のマモルは、寮の庭で夜桜を見ていて偶然4年生の諏訪が男と抱き合っているところを見てしまう。
それから諏訪が気になって気になって時折諏訪の部屋の下に行くようになるが…
諏訪に恋するマモルは、諏訪が本当はユースケが好きな事が切ないのだ。
「Moon Flower」
桜花寮で幽霊が出ると噂の角部屋に入居した安倍。安倍は全く信じていなかったが、ある晩窓の外に男が…
怒鳴りつけると男は1年の松浦薫と名乗り、1人になりたい時によくこの空き部屋に来ていたのだと言う。
安倍は薫が部屋に来るのを許し、仲良くなっていく。そして何となく可愛いと思うようになっていくが…
これは、宮本先生の作品で時々あるちょっと怖い系のお話。怖い中にも独特の切なさと繊細さがあって非常に好きなお話です。
「待宵月」
ユースケは森谷との仲を公表。諏訪を心配したマモルが寄り添う…
…が、まだマモルの春は遠い?
いつ読んでも宮本先生の作品はいい!
微妙な心の揺らぎや、心の弱さまた強さ、そこを繊細に描く…そんなところが素晴らしい。
面白いんですが、人によってはタブーな要素があるかもしれません。
大学の寮を舞台にした三部作。三部作…らしいですが、カップリングの数はもっとあります。
休み期間中、大学の寮に残ったコーイチは、優等生で正反対の森谷と二人きりに。
森谷は夜になると目が見えなくなるという病にかかっていて、コーイチが面倒を見るうちに恋心が芽生えます。
けれどやんわりと拒否されたコーイチは、他の男性と関係を持ってしまう…。
好きな人に振り向いてもらえない間に他の人とも寝てしまう、という描写がちょっとだけ自分は受け付けなかったです。
心は違うけどけれど、体はどうしようもないっていうのがコーイチの言い訳で、それは尤もかもしれないのですが。や、たとえ実際の男性がそうであろうと、お話としては好きな人がいながらそんな簡単に他の男とも寝るな~^^;て思います。
浮気(?)の相手の諏訪がインパクトのあるキャラクターだったので、次第に森谷の存在がないがしろにされていってる気がしました。
でも最後はハッピーエンドです。
その他のお話も面白いことは面白いのですが、コーイチと森谷のカップル意外は最後はどうなったか、結ばれたかどうかあいまいなまま終わるものが多くて全体的に少しもや~としたものが残りました。
でも宮本さんの作品のクオリティーが高いことは間違いありませんので、複数の男性と関係を持つという描写が大丈夫で寮ものがお好きな方にはオススメできると思います。