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今となっては珍しいSFモノBLの金字塔、『青の軌跡』。
ドラマCDがあまりにも面白いので原作に手出しいたしました。
1990年代、いわゆるJUNE期の作品ですからして、
文章はかなり装飾的で、とっつきにくいところもあるでしょう。
しかし、昨今のBLのように出会って恋してすぐエッチ、とはならない。
前半はひたすら三四郎とカイの対立を通して、登場人物4名の人物描写に徹しています。
この作品の面白さの一つはそれぞれのキャラが一辺倒ではなく、人の持つ光と影、
クール、豪胆、強情、コンプレックス、欺瞞、不安、そうした人格の複雑さが万華鏡のように織りなされているところです。
ことに、持つカイの人格はまさにカレイドスコープ(万華鏡)!
読めば読むほどその人となりに惹かれます(近くにこんなヤツいたら嫌だがw)
ストーリー中、唯一の女性キャラ・サンドラが三四郎を誘惑したり、
カイが自分のタスク達成のためにロードを誘惑したりするのもヤキモキさせられます。
そうした危なっかしい人間ドラマの果てに、突如、宇宙からのメッセージを受け取ります。
そのメッセージの背景に愕然としました。
カイの口を通してしか語られないそのメッセージの意味は
なんともスケールの大きい「尽くせぬ絆」なのです。
そして、ラストシーンが圧巻です。
通信機ごしの会話が表面的ではない、生命をかけた想いに溢れている!
HシーンはJUNE期らしいとでもいったらいいのか、
控え目でつつましやか、しかし行間から情熱と色気が立ち上ってくるようだ~!
よく、「性別を超えた愛」とかなんとか語られますが、
三四郎とカイはそんな性別すらも超えた「宇宙にひとつだけの絆」のようです。
温故知新といってもいいこの作品、全力でおススメいたします。
このシリーズは発売されて日をおかずにリアルタイムで購入していたので初読みは桜桃書房の「エクリプスロマンス」です。
カバーが描きかえられていてとても美しい~♪
こちらも新装版に掲載された「インターミッション」のために新装版上巻と同時購入。
三四郎とカイの心の声・・・闘うふたり、良いコンビ(バディ)だと思います(笑)
たぶん、新装版を購入するのは「青の軌跡 上・下」だけかな~。
ちゃんと調べていないのですが、このあとは、たしかドラマCDに収録されたssの再録があったはず・・・。
読んだことのないふたりを読みたくてついつい新装版にも手を出してしまう・・・。
シリーズ第1弾下巻。
お互いに気に食わないようでいて、少しずつ意識し始めている三四郎とカイ。
そんな中での「意識」しすぎたかのようなカイの起こした行動が三四郎との間に生まれかけていた信頼に亀裂を入れることに。
カイは対等でいたいがために、三四郎以外の人間を選んだのだが。
その行為自体というよりも、それを隠そうとしたカイのやりようが三四郎には許せない。
どうしても鎮められない怒りのままに三四郎はカイを傷付けるような言葉を吐くのだが…。
いやー、面白かった!
かなりの昔に旧版を読んでたので一体どうやってこれまで反発し合ってきた彼らがうまく纏まるに至るんだろうと思っていたんだが。
なるほど。
以前より大いに三四郎のことを「意識」しているカイ。
そんなカイに向けて発せられた三四郎の言葉は三四郎の予測を遥に上回る勢いでカイを傷付け、それはまた三四郎自身にも衝撃となる。
自分がそれほどまでカイに影響を与えいるとは思っていなかったのに、カイから全ての感情を奪うようなショックを与えていることにいくばくかの恐れさえ感じる。
そして、関わらないことにしようと思うのに、何故か気になる。
この気になりだしてからも深く考え込まないのが三四郎。
考えるよりも本能で動く!
そうして、彼の本能の結果のいきなりの告白がなんだかとても三四郎らしくてステキでした。
それまでの何もかもを気にするでもなく今ある感情だけで新しい関係を築いていこうとする。
カイはカイなりに三四郎との関係を考えていくわけだが、頭脳派のこちらは頭で考えてしまいがち。
そこは三四郎がうまく誘導して月人本来のカイを引き出していったりもするのだが。
その昔、この作品のCDも聞いていたせいなのか特に誘うシーンとかは脳内での音声変換が。
中原さんの妖しいセクシーボイスが蘇りました。
CDもまた聞こう…。
かなり昔の作品なので現在一般的に書店などに並んでいるBLと比べればかなりえちは薄いです(というか、ほぼ朝チュンに近いし)
けれど、そんなシーンなしにしても三四郎とカイのやりとりは見ていてとても面白く非常に楽しく読めました。