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sakuranamiki fukurokouji
この本を買うとき、とてもどきどきしながら買った記憶があります。
この本に出会ったのは「やおい」にはまってまだ間もなかったころです。
丁度BLに移行するぐらいの過渡期ぐらいの頃でしょうか。
値段は600円。
その頃の私にとっては普段買う漫画より高価なものでした。
たった数百円の違いも自分にとっては大きな違いだったので、
これを買ったらあれが買えなくなるかも…などあれこれ思いめぐらし。
そして本屋で何度か手にとっては躊躇して戻し、数日。
やっぱり買いたくなって買ってしまった本です。
藤たまきさんを知ったのは二次創作本からです。
それから藤たまきさんの商業本があることを知って、
オリジナルの物語が読みたくて買った本でした。
普段自分の記憶力の残念ぶりにあきれることが多い(しかも至らんことばかり覚えている)のですが、
この本は読み直してみたらすべての物語の内容を覚えていて、
次に「こんな感じの絵がきたはず」と、絵も記憶していました。
私がまだ何も疑わず、純粋に楽しむということが出来ていた頃。
そんな頃に出会えたことも良かったと思うけれど、
それ以上に今読み返してもやっぱり好きでいられたことのほうが私には大きかったです。
割と大人になるとあの時感じた新鮮な気持ちを感じられず、読み直したためにがっかりすることもあるのですが、
この本はむしろその当時感じた気持ちをそのまま、また感じることが出来きたのでホっとしました。
短いお話がいくつも入っているファンタジックな短編集です。
この作品に限らず藤たまきさんは地の文章が独特の詩的とも言える表現をすることがあるので、その点が合わない人は合わないだろうなと思います。
しかも過度のファンタジー性を含みますのでまずファンタジーが苦手な方にはおすすめしません。
いま読み返すとやはり絵が古いなとか、BLファンタジー全開ね…など思いますが、
それが嫌というわけではなく、ただ懐かしいだけです。
内容は短いのでどのお話もあっさりしています。
けれどその中に切なさや萌えも詰まっていて、短いながら良質な内容です。
砂漠のファンタジーからSFものまで、方向性もさまざま。
過度な描写はありませんが性描写も入った、
古い作品ながらBLの素地を持った作品です。
古本屋でもなかなか見かけない、かなり昔の物。藤たまきさんの作品は、『ミスター・シーナの精霊日記』から入ったので、こんなのもあったんだ!と嬉しい発見でした。藤たまきさんの描き出す、繊細で感傷的、ロマンチックな世界観は、『アナトミア』上記の『ミスター・シーナ』これの関連作の『ホライズン』に集約されるのではいかと思いますが、初期の短編集、春風のような寂しさが胸に染み入ります。かといって不幸ではなく、しみじみとした切なさが、読者を何処かへ連れて行ってくれます。ファンタジックな要素を取り込むことにかけては藤たまきさんの右に出る人はいないかと思われます。藤さんの良さはやはり、最近の作品より昔の物に出ているようです。やはり時代なのですね。萌やえろとは別次元ですし、中期の作品はやや感傷的すぎるきらいもありますが、これから先、何度でも読み返したい作品です。BLを表現の1様式と捉えている方には、是非読んで頂きたい漫画家です。
藤たまきさんの作品では初めて読んだ本で、綺麗で素敵だなと思いました。
表題作はちょっと悲しくも美しいファンタジー。
毎年桜の季節になると時雨の前に現れる不思議な少年桜花。
成長するにつれ、次第に桜花に引かれていく少年時雨。
悲しい過去を持つ桜花は、時雨の愛情に救われます。
ラストは少し悲しいけれど、私はこういう余韻を残す作品は好きです。
他にも、御伽噺のような「砂丘の青石」、夏のバイト先で綺麗な少年に淡い恋をする「夏のおとしもの」等、かわいい作品が一杯です。
短編集です。
耽美っぽい空気感っていうのかな、独特の藤たまきワールドでした。
ふわふわしたお菓子みたいな肌ざわりなんだけど、小さな棘も潜ませてあったりして、ただ甘いだけではないのを感じます。
モノローグが独特なので、好き嫌いはあるかも。ハマる人はハマるけど、ハマれない人はハマれない。私は微妙にハマれませんでした。スイマセン。
ひとつひとつのお話が短くて、感情移入しきれなかったのもあるかな。
表題作は好きでした。
こういう結末に私は弱いんですよね。安易なハピエンよりも心に残る。