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romantic risk
これはBLというより、何かお洒落なゲイのマンガといったほうがいいような。
でもこの短編集は重く、深く、決してハッピーエンドではない気だるさをそこはかとなく漂わせています。
特に次からの4編は足かせをはめられたような重さです。
『curious』
ある男性が花が咲くのが待ち切れず蕾の花弁をむしり取ってしまうように、目に付いた青年を犯す。
この男性の異常性と、それに引きずられてしまった青年の、底なし沼に落ちて行くような感覚は、それでもそこに魅力を感じる。
『うたかた』
ある映画の上映時に必ず一緒になる男性。
声をかけられて、親しくなって、ひと時のうたかたにさまよう。
まるで、その関係自体がモノクロ映画のように進み、影にどんな酷い現実があっても映画のように通り過ぎて行く。
『デイジーデイジー』
ホームレス親子の行きつく運命。
『マリアちゃん』
小さい頃別れた弟との再会は、弟と知らず少女だと思いこみ関係を続けていたある日、真実を知る。
生生しい幼児虐待のなれの果て。
『GENTLE THINGS』
両親を亡くし、叔父の養子になった青年は叔父に仄かな恋心を抱くが、それは報われない。
代替えの愛。
冒頭の『Meet Meet』でもいくらか軽い感じがあるものの、裕福な家の子供にかかわらず、フリーターのような男性にせまり、セックスの関係を続けている高校生の話ですし、『Obay Session』は、ミュージシャンとカメラマンのエロスを通した被写体撮影。
全体を通して、愛だの恋だのと、深く追求したものではなく、ただ欲望のままに、その時の流れで、ケ・セラ・セラ な人間達の話になっています。
多分作品的に00年前後のものと思われます。
現在この流れは主流ではありませんが、こうした作品をたまに見るのも、古いヨーロッパ映画や写真集を見る感じで気分転換にもなるのではないでしょうか。