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kemono jingai BL special
池玲文先生と稲荷家房之介先生目当てに購入したのですが、他にも素敵な作品が沢山ありました。
・高永ひなこ『火種』18P
獣人外などはそれほど好きなカテゴリーではないのですが、高永先生の描かれる【獣(たぶんオオカミ)の軍人】と【王子ニコラウス(人間)】の猛々しさと美しさ、主従の関係がとても妖しく綺麗で、獣人外という世界観に一気に入り込めました。なにやら陰謀も絡んでくるようで…。
ところが残念なことにこのお話、この先BE.BOY.GOLD10月号から連載が始まるらしく、こちらのアンソロではいわゆるプロローグに過ぎない18Pのみとなっております。続きが気になるじゃないかっ!!
・ビリー・バリバリ―『Welcome to inferno.』16P
地獄の門で悪人をさばく閻魔様と、裁きを受けにきた酒呑童子、閻魔の傍らに寄り添う鵺と言う名の獣(黒豹)のお話。
先生の絵柄が世界観にとてもマッチしています!ビリー先生の本は洋風なものしか読んでことがなかったので意外だったのですがすごく良かった。閻魔様が酒呑童子に指を舐めさせるシーンや、閻魔様を組伏せて牙をあてる黒豹のシーンなど、耽美でエロティックでした!
・蓮川蓮『恋愛操作×ねこぼん』16P
『恋愛操作』からのスピンオフ。私は元のお話を読んでいないので、登場人物が多くて戸惑ってしまったのですが、猫とウサギの生態が活かされているので、これだけでも楽しめる内容でした。
・会川フゥ『ういた』18P
神様と人身御供にされた少年(ういた)のお話。
姿は現さないけれど確かに存在する神様と神使の山犬。神と何度も交わり合い、山犬はういたのそばに寄り添う。だからういたは決して一人ではないし、運命を受け入れているのに、どこまでも孤独にしか見えなくて悲しい。そのやりきれなさが印象に残りました。
・岩飛猫『甘い香りとシロクマ』30P
大型獣人のシロクマとケーキ店に勤める青年のお話。
シロクマの見た目と性格のギャップと、体格差に萌えです!ロマンティックコメディと言うのかな。楽しく読めました。
・ながべ『エスカレート』20P
トカゲの転校生と、離れた場所から彼のことを見ていた同級生の猫のお話。
二足歩行なのでシルエットは人間なんだけど、顔がびっくりするほど【トカゲ】なの。お相手の猫も全然可愛くない(ごめんよ)。それなのにトカゲの色っぽさも猫の戸惑いもなんだか気になるんですよ!初読み作家様だったのですが、短編のセンスを感じます。今度は人間同士のお話が読んでみたいなと思いました。
・池玲文『ヤドカリの引越し』8P
オオヤドカリと、彼に家を造る研究者のお話。
絵の描き込みがすごい。流石です。オオヤドカリがヤドカリです(笑)体だけでなく顔もヤドカリ風味です(やどかりの顔ってよく見たことないけど^^;)なのでエリスの可愛らしは伝わるのですが、ヤドカリの健気さが表情からは伝わりづらいので、萌えるのは難しいかと思われます。
・稲荷家房之介『Garden of Ataraxia』16P
人外たちのカウンセラーのお話。
輪廻転生、運命、永遠、このうちのどの言葉も出てこないけれど、この3つが確かに感じられる。こういうお話は稲荷家先生の真骨頂ですね。一番最後のコマ、下を向くカウンセラーの見えない表情を想像すると切なくて泣けました。彼にこんな顔をさせたおじいさんとの過去話と、彼を笑顔にするこれからのお話が読んでみたいです。悩める人外たちのオムニバスも面白そうです。是非続きを!!
・元ハルヒラ『ソバコのねがいごと』33P
優しくしてくれた高校生のたかやが事故で亡くなり、一人残された彼のおじいさんのために、たかやに化けたきつねは…。
家族愛、死、健気なきつね…これはBLとは違うかもしれない。きつねのソバコの心境の変化が可愛くて切なくて、ページをめくりながら、どうかどうかハッピーエンドに、ソバコもおじいさんも幸せにと願いながら読みました。
きつねのことに気づいていたおじいさんが、そのことをずっと黙っていたのは、突然の別れに言えなかった言葉を、孫のたかやにどうしても伝えたかったからなんだろうか…切ない(T_T)
『ごんぎつね』に泣いた人と、どさんこは読むといい。健気なきつねにはいつも泣かされてしまうのです。ハッピーエンドなので安心してください。おじいさん、いい人です!
巻頭の高永先生で魅せられて、最後のハルヒラ先生で涙涙…。とてもバランスのいいアンソロでした。買ってよかった。
第1弾は気になりながらも結局買わずじまいだったのですが、今作は池玲文さんがコミックで参加だったのと、お試し読みでビリー・バリバリーさんの美しい画面に一目惚れして迷わずお買い上げです♪
zwwさんが羅列してくださっていますが、人外の種類が本当にバラエティ豊かで、人外好きには視覚的にグッとくる人外がいっぱいで楽しめました◎
でも読み物的には短いよー読み足りないよー><ってやっぱり思っちゃいますねー。
人外・ファンタジー系となると、日常系とかエロ系とか痛系のアンソロと違って、その世界観についても詳しく知りたくなるから20ページやそこらではもう全然物足りない!
お目当てに買った池玲文さん、ビリー・バリバリーさんなんかは特にそう思いました。
そんな中でながべさんが非常に良かったです!
これはもうストレートに萌えました♡
人外に関しては「これが私のスタンダードなんですけど何か?」的なながべさんですので、人外描きました!感が全然無いんですよね。ここら辺さすがです。
誰もいない放課後の教室で、僕とは違うきみが気になって───
10代男子の性の芽生え。
ネコくんのピュアと、トカゲくんのエロス、充満する甘酸っぱい空気感。
ネコくんのドキドキがこちらにまで伝染してくるような、まごうことなき青春の一コマ。
リアルなトカゲと猫のキャラデザでこんなにドキドキさせてもらえるとは!
先の妄想が膨らむ萌BL度の高い短編でした。
(そして最後のライターズコメント、カッコ良すぎて惚れました!!!)
続いて、お目当てのお二方。まず池玲文さん。
ヤドカリのキャラデザがさすがです!!!
これはもう、池さんの空想力とヤドカリのビジュアルに心からの拍手をおくりたい。
池さんは8ページしかなくってエロに徹してらっしゃるんですが、キモいのにエロいし、キモいのに萌えるし、すんごい刺激的なエロ漫画なのにしっかりきゅん可愛いし、画面がいろんな意味で眼福過ぎるし、「でも8ページは短すぎるーーーー!これで1冊描いてください!!!」って叫びたくなるようなお話でした。
ビリー・バリバリーさん。
こちらもやはり画面の美しさは眼福もの。
美しい閻魔様と、鬼の酒呑童子、そして作中では「鵺(虎の妖怪)」と呼ばれているけど黒豹の様な美しい体躯に蛇の尻尾を生やしたビジュアルの閻魔様の側近。
荒くれ者の酒呑童子が閻魔の手練れた淫靡さで組み敷かれるかと思いきや───
あぁこれはもう完全に私の性癖ガン突き。切なエロ美しい和耽美な1編でございました。
ほか、好みだったのは、
・稲荷家房之介さん。
人を伴侶とし、その相手に先立たれてしまった人ならざる者たちの心のケアをするカウンセラーのお話。
絵がやはりめちゃくちゃ美しい!
・元ハルヒラさん。
孫を事故で亡くしたおじいさんのために、孫に化けておじいさんに寄り添うキツネの話。
全然BLじゃないけど、キツネの健気さ、おじいさんの優しさに泣かされます。
・一式アキラさん。
これもほのぼの動物マンガって感じでBLみは殆どないんですが可愛かった。
まるっこい猫とまるっこい鳥がいちゃいちゃしてる動物ファンタジーでした。
池さんが修正を心配されていましたが、残念ながら白抜きでした。(←電子版。リブレだし紙も一緒かな?)
あの強烈なキャラデザインのヤドカリさんのヤドカリJr.はどんな造形だったのだろうかと悶々としています。笑
(追記)電子版の修正について
他のレビュアー様からいただいた情報によると、ebj版は白抜きではないようです。
https://www.chil-chil.net/answerList/question_id/6250#comment48
私は、蓮川 愛先生の「恋愛操作xねこぼん。」目当てでの購入です。
そちらは勿論、他の収録作もそれぞれ魅力的な作品。お買い得なアンソロジーだとおすすめできます。
私のレビューでは、迷宮のリコリス様のレビューにて触れられてない作品について書きますね。(一部敬称略です)
1.口絵「ケモノ男子 ピンナップ」赤河左岸
橙〜茶系の色合い。洗濯物が干してあるベランダ?でタバコを吸っている犬系男子。そこに買い物から飛んで帰ってきたらしい鳥系男子。(脚で買い物袋を掴んでいる)
2.火種…高永ひなこ
3.クレイジー・サマー・ウール…赤河左岸
モコっとした羊男子。
羊くんは冬に「人間」と付き合ってたけど、夏に振られて。
アパートの隣人はトカゲの美容師さん。冬毛を切ってくれるという。
服を脱いで寝そべって、全身を…。ひんやりしたトカゲさんに触られると気持ちいい。この皮膚感覚。
4.メラニズムの恋…街こまち
白い鹿・白藤(しらふじ)と黒い鹿・橡(つるばみ)は幼馴染。美しいモテ鹿の白藤は実は橡が好きで…。
描写は、体が鹿で顔と手が人間で描かれています。
5.Welcome to Inferno.…ビリー・バリバリー
6.どうぞ一口…一式アキラ
道のど真ん中で酔って寝てた小鳥さん・ルナを助けた猫・塩。
助けてくれたお礼に『私をひとかじりして良いぞ‼︎』と言うルナの正体は…一種の恩返しもの?
絵柄が可愛らしい!です。擬人化ではなく、猫は猫、鳥は鳥で描かれています。
7.恋愛操作xねこぼん。…蓮川 愛
8.ういた…会川フゥ
9.あくまでパパ…RENA
地獄の門番で最強の人間・クロサワにアタックする一匹の悪魔。毎日お花を持ってアプローチ。
そうして3ヶ月経って、やっとクロサワの部屋に上げてもらうが、この悪魔は実はインキュバスで、クロサワに子供を産んでもらおうとしていた、という話。エロいシーンも萌えるシーンも無い…?
シュールな展開だと思います。
10.甘い香りとシロクマ…岩飛猫
11.神々の蜜技比べ…秋山みち花(小説)
神x神の意地を張った争い。
はじめは黒豹と雪豹の姿での力比べ。
当然同等。すると1人のいたずらな神の提案で、抱き合って身体で確かめる事に。
提案に乗り、まずは豹の姿で、続いて人型で抱き合う2人の神。いつしか快楽の夢見心地…
12.エスカレート…ながべ
13.ヤドカリの引越し…池 玲文
14.Garden of Ataraxia…稲荷家房之介
15.純愛♡クリーチャー…直野儚羅
触手もの。
イケメン人間と、タコ型のヨーグはラブラブ!
2人のHシーンは正にザ・触手!ただ、「触手」はリアルなのにヨーグの顔は丸に点の目が1こだけで、どこかコミカルです。
16.ソバコのねがいごと…元ハルヒラ
17.ライターズコメント
執筆陣の先生方の一言コメント。
蓮川 愛さんの「恋愛操作」はやっぱりいい!
池 玲文さん、さすが!ヤドカリの顔が凄い。
ながべさん、2人だけの静かな教室で…っていうのいいですよねー。
稲荷家房之介さん作品は…そんな切ないラストがくるなんて。グッときました。
ビリー・バリバリーさんの閻魔は耽美的で素敵〜!
狼、羊、トカゲ、鹿、鬼、猫、鳥、兎、神、悪魔、淫魔、熊、狐、ヤドカリ、死神、混沌…あ、あと人も!
ねぇこれすごくない?って誰かに言いたくなるほど多種多様な獣・人外パレードでした!
思わず買ってしまうアンソロジー…そして大抵後悔する 笑
結構満足度高くないものが多いんですが、このシリーズは別格です。全話有り!
高永ひなこさん「火種」は前作で期待しか生まなかった作品の前日譚で、しかも連載になるとの事でとても嬉しいです!美しい王子と犬系獣人…鼻息待機。
ながべさん「エスカレート」のトカゲくんの淫靡さとネコくんの童貞臭さ良かった!
あと直野儚羅さん「純愛ハートクリーチャー」で攻めが混沌?触手で混沌 笑
いやホントどれも面白かったんですが、この二つが印象深かったです。
このシリーズ、3冊目も期待してます!