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sono hi wa kieanai
自分の中の性癖に気づかないふりをして彼女と付き合ってきた秋。彼女から結婚の話が出たことによりこのまま騙したまま付き合う訳にはいかないと別れて以来、ずっと自己嫌悪に陥っています。
ある日、居酒屋で「俺、男がすきな人」と言う声を聞いた秋。呆気に取られて声の方向を向くとそこにはあっけらかんと笑顔で話す男の姿が…。帰り道、同僚のタクシー代を肩代わりしたら自分のタクシー代が無くなってしまい途方に暮れていた秋に声をかけてきたのは、さきほど居酒屋にいたゲイの桧山。秋に対して、「お礼はタバコで、カートンじゃなくて分割で。だってまた会えるじゃん。」と言われて…。
ずっと昔から「大丈夫 まだ火はついていない 大丈夫」とずっと言い聞かせて、自分の中に潜む性癖に気づかないフリ、認めたがらないフリをしてきた秋。
桧山にキスをされたり、抱き合ったりすることに居心地の良さを感じるけど認めてしまったらもう「ふつう」には戻れない…。タクシー代を完済するまでにタバコ○箱分とカウントしているんですが、この関係を続けているのはタクシー代のお礼があるからだと自弁するかのような、それなのに全部返しきってしまう日を恐れているような、秋の踏ん切りつかない揺れ動く気持ちがうまく表現されていました。
(そもそも全く気がなければ現金一括、もしくはカートンで返せばいいのに、そうせず桧山の提案を受け入れている秋なんですから。)
そして「俺、男がすきな人」とあっけらかんと話していた桧山だけど、彼にも悩んで苦しんだ過去があったという事も描かれているので、ただの明るいオープンゲイではないというキャラの深みみたいなものが感じられました。
淡々と静かなお話の進め方、「その火はきえない」というタイトルが心の中で燻り続けている思いや、桧山に対する気持ちにピッタリなタイトルでお上手だなぁと思います。
話の流れが、第1話が現在、そして2話で二人の出会いと遡ります。
第1話は二人の関係性がよく掴めなくて手探りで読み進める感があるので、初読みだと少し戸惑うかもしれません。